HPFの特性と減衰極

2018-06-23      
 相変わらず”W杯中心”で予定を立てていたりします。直前記事でも触れたように波乱含みの展開で”強さ”の定義が大きく揺らいでいますが、だからこそ面白い・・・って話は置いといて、さっさとヘッポコ実験報告へ。

 ノイズキャンセラに具備するノイズアンプの入力には広範な信号が加わりますが、数百KHz以下の”生活ノイズ”は簡単に遮断できても、中波ローカル局の強烈な信号についてはしっかり考慮しておかないと、このアンプが簡単に飽和してしまいます。

 今回使用予定のノイズアンプは手持ちの多い古参IC”μPC1678G”ですが、このアンプのカタログスペックはそもそもUHF帯のものであり、大きなRFCを抱かせて中波帯まで引っ張るような使い方ではこれらカタログ値を鵜呑みにはできません。そこで、7MHzでIMDを実測するとOIPは”22dBm”となりました。ここからICの利得(実測で21.7dB)を引いた値がIIPとなりますので、丁度0dBmくらいがIIPになりました。

 この「IIP=0dBm」をSメータ換算にすると”S9+77dB”ということになります。過去に何度か実験した”Mini Whip”で、我が家で一番強力なNHK東京第二をTS-590Dで受信してもそこまで強くなく、せいぜい”S9+50dB”といったところ。マージンが30dB近くありますからあまり神経質にならなくて良さそうなものの、まぁ適当なHPFを”精神的免罪符”として入れて軽く減衰させておいても良かろうと、ノイズアンプの前にHPFを入れることにしました。

 まずはシミュレーションから。



 HPFの計算サイトで5ポールのチェビシェフ(帯域内リプル0.05dB以内)として計算、入出力インピーダンスは50Ωです。

 我が家で一番強力なNHK東京第二は693KHzですが、その辺りの減衰量は50dB程度と十分です。次に強力な文化放送は1134KHzで減衰量は26dB程度・・・この辺りは気休めになってしまいますが、まぁ良しとしましょう。では、実際に回路を組んで実測。ちなみに、コイルはT37-2に0.32φのUEWを28回巻きで凡そ3.4μHとなりました。



 手前側の半分がグランドになるよう加工したこのブレッドボードは、水晶フィルタの自作で重宝した奴です。



 シミュレーション結果と殆ど同じになりました この場合、やはりLTSpiceが凄いんだということになりますね。

 実験自体はここまでで良かったんですが、どうしてももう少し減衰させたい場合は”減衰極”を入れて対処することになる・・・というわけで追加実験。出力側のコンデンサ(C3)と並列に20μHのマイクロインダクタ(10μH×2)を入れてみました。



 計算上は16μHくらいが良さそうなんですが、なかなかイカす結果でしょ 丁度文化放送の周波数辺りが60dB近く減衰しているのが判ります。160mバンドに少し暴れが現れましたが、一番ロスが大きいところ(2.1MHz付近)で2dB弱です。今回はここまでしなくても・・・とは思いつつも、ひょっとしたら入れてしまうかも

 これでHPF関連実験も完了、実際の製作まであと少し・・・のはずですが、どうなることやら

ノイズキャンセラの概要設計

2018-06-18      
 ここ最近のヘッポコ実験でそこそこの手応え・・・なんですが、遂に開催を迎えたW杯をライブで見ようと、結局土日の”AA TEST”はそっちのけになってしまいました。列強たるPY,DL,LUが苦戦し、EA vs CTがドロー・・・などなど、今回のW杯は結構な混線になっています。我が”SAMURAI BLUE”の初戦は明日・・・お誂え向きに夕刻の会議が終われば直帰できますから、HKとの対戦はライブ観戦ができそうです

 ノイズキャンセラの部分毎の実験がほぼ終わりました。ここら辺りで機能的なまとめをしておきたいと思います。



 機能と言っても、メインアンテナからの信号とノイズ信号を合成する回路に対し、ノイズ信号については広帯域アンテナで受信することを前提にプリアンプを置き、180°信号を捻るフェーズシフト回路があるだけです。これらの主要な機能部分は、それぞれ以下のようにまとめています。

 ・信号合成回路はこちら
 ・ノイズアンプはこちら
 ・フェーズシフトはこちら

 その他、”ノイズキャンセル装置”として仕上げるための”覚書”を以下にまとめておきます。

 ◆ ノイズアンテナへの直流供給

 ノイズアンテナは様々な形状のものを試してみるのが良さそうですが、ベランダ設置でそこそこの成果を上げるためにはアクティブアンテナが良さそう・・・ということで、アンテナへの直流の供給回路を具備したいと思います。
 この部分の肝は、直流供給に必要となるRFC部分を「如何に広帯域にインピーダンスを高く保てるか」が課題ですが、この辺りは既にヘッポコ実験済みです。

 ◆ コントロール回路の様子

 このノイズキャンセラを接続するRIGとしては”TS-590D一択”ですから、インタフェースはこの条件(送信時に12V10mAを出力)で検討していきますが、念のためフォトカプラで(ノイズ的に)分離したいと思います。また、ノイズキャンセル回路には受信時に通電したいため、論理を逆転させます。
 電源は外部からの12V供給になりますが、ここにはLCによる簡易なノイズフィルタを入れて”免罪符”にしたいと思います

 ◆ ダイオードクランプで入出力を保護

 まぁ、QRP運用なんでそんなに神経質になる必要はありませんが、ノイズキャンセル回路の入出力にはダイオードクランプを付けておきましょう。HF帯では、普通のスイッチングダイオードで十分でしょう。

 ◆ 機能部分に隠れた付加回路

 ノイズアンプには広帯域な信号が入力されることから、中波放送部分はカットしたいところ・・・そこで、ノイズアンプの手前に中波帯をカットするHPFを付加します。ただ、我が運用環境では文化放送とNHK東京第二が強力ではあるものの、S9+60dBを振り切るまでにはいきませんので、5ポールくらいのものをひとまず付けておこうと思います。
 それから、フェーズシフトは2段構えにして、180°捻り辺りの調整が楽にできるように工夫したいと思います。

 とりあえず上のブロック構成を見ながらもう少し検討を深めて、この夏の間には形にしたいなぁ・・・

信号を合成する回路の実験

2018-06-10      
 今日は昼過ぎから雨・・・絶好の引き籠もり日和となりました 遅めの昼食を平らげた後一杯やりながら、シミュレーションのみで過ごしてしまっている信号の合成回路を実際に組み立てて実験してみることにしました。

 回路図は以下の通り。



 シミュレーションでは、エミフォロ用のトランジスタを適当に選んでいましたが、広帯域特性が必要なこと(=fTが高いこと)と手持ち数の関係から”2SC3355”にしました。また、J310のソース抵抗は180Ωでシミュレートしましたが、丁度手持ちが切れており200Ωで代用。回路図にはありませんが、出力は51Ωの抵抗で終端しています。

 では、この回路に信号を与えて増幅の様子を見てみましょう。まずは、IN2をショートしてIN1から21MHzの信号を入れてみました。



 ほぼシミュレーション通りの結果です。たまたまフェーズシフトのデータ採取時の測定項目が残っていて、位相差が測定されています。この回路では180°が理論値になりますが、若干ズレていますね。ま、これはノイズキャンセルには関係ないんですが、FETやトランジスタの立ち上がり特性と各所の時定数でこんな風に見えるわけです。

 次に、IN1とIN2に同じ信号を入れてみましょう。



 こちらもシミュレーション結果と大差なく、両入力を加算した値の3倍・・・即ちほぼ6倍となっています。この時の出力波形をもう少しクローズアップ。



 特に異常は見られないと判断しました。この状態で入力信号のレベルを上げていくと、出力1.9Vくらいから下端がクリップしてきます。これはエミフォロの抵抗値を弄るともう少し追い込めますが、幾ら何でもオーバースペックの領域ですから、今回実験した回路定数で問題ないでしょう。

 上記のように、信号の合成回路はシミュレーションと同等の結果を得ることができました。周波数特性も調べる必要がありますが、これはノイズキャンセラとして完成させる際に吟味すればいいでしょう。「日曜午後の引き籠もり」の様子はこの辺でお開きに

フェーズシフトの再試

2018-06-06      
 今は昔・・・ってそんなに古くはないんですが、5年ほど前のヘッポコ実験(結構古いか)でノイズ撃退の肝になるフェーズシフト回路(この辺りから辿ってください)を味見していました。まだ古いアナログオシロを使っての実験でしたが、この時に動作原理は理解して「さぁ、次のステップ」というところで頓挫・・・というか、興味の対象が移ってしまいそのまま放置してある「ひねる回路」に満を持して()戻って参りました

 ”集合住宅&住宅密集地&変電所近傍”という過酷な運用環境でも、酷いノイズ源があって邪魔されるようなことなく過ごしてきたつもりだったんですが、「コンテストでしか波を出さない弱小無線局」(←あぁ、当局ね・・・)がジワジワと感じていたノイズの圧迫感を、そろそろ本格的に撃退せんと思い立ったのが今年のALL JAでした。やはりS7前後のノイズの中での運用は、ATTで信号を絞っても気になるもんは気になるわけです・・・という講釈は置いといて、実際のノイズ撃退についてはMFJ1025を原本としてあれこれやった結果、いろいろと欠点を見つけた上で「こりゃ、自分で撃退装置をこしらえた方が良い結果が得られるかも・・・」と自惚れ またしても「ノイズのないクリーンな運用環境を目指す」という難題に改めてチャレンジすることにしました。

 幾記事か前に先んじて180°捻った信号を合成する部分のシミュレーションは終えており、この部分は多分実回路での再現性も高いと踏んで、フェーズシフト回路の改良・・・「減衰の少ない&周波数特性が平坦」という部分に突っ込んでみました。

 CRで構成するフェーズシフト回路は、その回路構成故に位相を調整する際に入出力インピーダンスが大きく動くため、後段を受け持つバッファアンプを”ハイ・インピ”に仕立てる必要があります。そこで、以前の実験では”FET受け”(ソースフロワ)で凌ごうとしましたが、随分と減衰があることが判りゲンナリ・・・。そこで、”高インピなトランジスタ受け”(エミッタフォロワ)ではどないじゃろ・・・要は、バッファのさらに後段に対してロス無く信号を受け渡すとなったら、エミフォロの方が上手くいくんじゃないかと思ってヘッポコ実験を挙行

 まずは、FETバッファの場合の特性です。周波数は21MHz、バッファを受け持つFETはJ310。



 凡そ90°捻った状態・・・270°0付近の様子です。775mVの入力(0dBm:Vppでは748mVと表示されている)に対して、出力は88mVと18dB程減衰しています。

 お待ちかねのトランジスタバッファの場合の特性です。周波数は上記と同じ、バッファ担当は2SC3355。



 同じ入力条件に対して出力は264mV・・・2.9dB程度の減衰にまで改善 この差は大きい シミュレーション結果もお見せしましょうか。



 2SC3355の兄弟分、2SC3357のモデルを使っていますが、実波形と同様の結果が得られているのが判りますね。

 こんな風にフェーズシフトは手中に収めた感じなんですが、実はこの回路一発で真逆となる180°を得るのは難しく、今いまのアイディアでは、この回路を2段重ねて”半捻り⇒全捻り”を実現しようとしています。即ち「90°捻り回路の2段重ね」という構成・・・そのためには、1段あたりの減衰量を小さくするのが命題だったというわけです。

 上記の結果より、トランジスタバッファを従えたフェーズシフト回路で何とか「ノイズ撃退の心臓部」を作り上げたいと思います。

WPXコンテスト中のアンテナヘッポコ実験の覚え書き

2018-06-03      
 6月になりました。気温が徐々に上がってきてちょっと過ごし難くなってきましたが、例によってエアコンはバッチリ掃除してスタンバっています

 件名の通り、先週末は40mに最適化したロングワイヤーでWW-WPXコンテスト(CW)に参戦・・・と言っても、1/4λになっているだけなんですが、これでどないやねん ってな案配で挑んだんです。が、当初の予想通り「CONDXがどうだったのか」がよく解らず、ほぼ夏のCONDXになっているであろう40mで試しても駄目なような気がしました。
 ただ、TI(Costa Rica)のビッグガンに拾って貰えたり、ZONE16の応答率がちょっぴり上がったり(これは、大いに感覚的です)した感じでしたんで、秋のWW-DXコンテストで再度試してみることにしました。

 さて、WW-WPXコンテストの合間に、上述のロングワイヤー関連のヘッポコ実験をしたんで、この辺りをまとめておきます。自分以外にはきっと何の役にも立ちませんので悪しからず

 まず、このロングワイヤーの長さですが、ALL JA参戦の際には横方向が少々長過ぎてたるんでいたのと、同調点がかなり低かったため(この辺りは、こちらの記事にまとめています)、横方向を5.5mに切って同調点を測定しました。縦方向が5.2m程度ですから合わせて10.7m・・・これでも40mには長いことになりますが、長めの方がカップラでの同調が楽になるためひとまずこれで。



 5.88MHzでバッチリ同調が取れていますが、それにしても同調点が低過ぎ・・・そこで、バランを突っ込んでみました。



 秋月のLF-102Bに平行線を7回巻きしました。これで75μH程度となり、ソーターバランとして3KΩ@7MHzを保証できそう。

 このバランを入れて同調点の変化を確認しました。狙ったのはロングワイヤー部分とカウンターポイズ部分の分離で、同調点がどの程度動くかを確かめましたが、これが殆ど変化なし ということは、これまでワイヤー部分とカンターポイズを「エレメントが非対称なダイポール」と見立てて検討してきたのが、カウンターポイズがある程度”グランド”として動作する「不平衡型のアンテナ」であると解釈した方がよいのかも知れないと、逆に謎が一段深まってしまいました

 コンテストの最中でしたから、上記はあまり深入りせずに次のヘッポコ実験・・・アンテナ絶縁トランスによるノイズの低減です。これは、このバラン用に巻いたトランスを”ガラバニック・アイソレーション・トランス”に見立てて接続、入れなかった場合と比較してみました。
 これは、コンテスト参加局が聞こえないバンドエッジで比較・・・Sにして半分行くか行かないかの差でしたが、確かにノイズレベルは下がりました。まぁ、0.2,3dB程度の接続ロスは想定されますが少しは意味がありそう。本格的な導入には、再度詳細のデータ取りをしてからということで。

 その他、回路図のシミュレーションなどいろいろと手を染めました。結構収穫があったんで、実回路を組んでの実験へ。この辺りはきっと今後の記事になりますから、少々お待ちください・・・って、誰か待ってるんじゃろか

信号を合成する回路のシミュレーション

2018-05-24      
 梅雨入りにはまだ少し時間がある千葉県北西部は、この季節に時折登場する「寒気の張り出しと下界の暖かさ」というシチュエーションとなり、今日は真夏に負けないほどの積乱雲が見られました。東京都下では、雹が降った様子がニュースになっていました。ただ、地べたを彷徨く我らリーマン軍団にはやはり少々暑い一日・・・活動し難い季節の足音を聞いたように思いました。

 電源を作るぞ と息巻いていたヘッポコ工作ですが少々飽きてしまい(スンマヘン・・・)、RFCの味見などに浮気をしてしまいましたが、まぁ愛人が2,3人居ても良かろうと()突き進んでいます。即ち、この記事のネタは”信号合成”です。

 我が運用環境の命題は、狭っこいベランダに如何に効率の良いアンテナを上げるかということと、建て込んだ周辺住宅からのノイズ攻撃を如何に蹴散らすかということに集約します。QRPと言えど、やはりクリーンな受信環境の構築は重要です
 実は、こっそりと実験を進めてきた中でノイズ信号の増幅と位相シフトについては目処が立ち、漸く最終段階の”受信信号とノイズ信号の合成”(ノイズ成分は180°捻ってある前提での信号合成)について考え始めました。無論、いきなり回路を組んで大失敗しないよう、まずはシミュレータで遊んでみることに。

 信号合成回路の原典は、MFJ1025/1026の当該部分を模倣しました。コイルを上手く巻いて作ることも出来なくはないんですが、ちょっと合成ゲインも欲しかったんで、コイルで組むのを嫌ってまずはシミュレーション



 回路構成はJ310を2個対向させて使った単純なもので、これにエミフォロで出力を補強しています。

 上のシミュレーション波形の下段が入力で、2信号与えていることを判り易くしようという狙いで0.1V@10MHzの信号をほんの少しずらして与えていますが、あまり効果はなかったようですね・・・。
 上段は出力です。IN/OUTで反転出力になりますが、ひとまず良し。合成した信号は(2入力を加算した電圧の)凡そ3倍に増幅されていることが解ります。

 これを基本に、180°捻った信号を与えて信号の打ち消し(=ノイズの打ち消し)をシミュレーションしてみました。



 入力信号のタイミングを弄って180°の反転信号を入れているんで、先頭部分は無視して下さい。上段の出力波形がかなり小さくなり、互いの信号が打ち消し合っている様子が判りますね。

 最後はお遊び



 10MHzと2MHzの信号を合成してみました。なかなか味のある曲線が描けました。勿論、ノイズ信号はもっと複雑ですが、キチンとレベル合わせをして(反転信号と)合成させれば、結構イイ線いきそうです

 近いうちに小基板に組んで、実測ベースのデータ採りをしたいと思います。

秋月コアのRFC化をやや真面目に・・・

2018-05-13      
 直前記事に記した”親指負傷”の影響が、意に反して長引いてしまいました。鋭利な刃物で切ったのと違って傷口が塞がりにくかったことに加え、丁度物を掴むときに当たる場所だったことも要因だと思うんですが、何より”老化”によって治り難くなっていることが一番の要因のような気が とは言え、漸く使えるようになりました。

  昨日は、午後からホムセンに行って釣り竿君周りの部材を購入したり、夕餉のメインとして麻婆豆腐をこしらえたりで一日が終わってしまいましたが、今日は、ちょっと先になるであろう作り物に必須となる「広帯域なRFC」の実験をしたんで、今回の記事はこれをネタに。

 帯域の広いRFC・・・カバー範囲内に共振点が少なくてそこそこ”チョーク”として機能するコイル探しはなかなか難しいものです。特に、HF帯全域(180m~10m、欲張れば6m)を十分にカバーできるものとなると、HF帯全体に渡って3KΩ以上のインピーダンスが欲しいところ。その上、帯域内に共振がないとなると、市販で手に入り易いマイクロインダクタ等では難しくなります。自分が知る限りではEPCOS社の”VHF向けRFC”と銘打ったものが優秀ですが、こいつが結構でかいんです。



 そもそもコイルという代物はそこそこ大きくても仕方が無いんですが、トロイド状になっていたら取り付けの自由度がもう少し増しますよね。そこで、手巻きの手間は覚悟して適当なコアに巻いてみて、特性を実測しちゃおうと思い立った次第。

 これまでの経験と"トロ活先生”の情報から、#61材では透磁率不足でかなりの巻数が必要でコアが大きくなるため本末転倒、#43材のFB-801-43に巻くのも一考なんですが、透磁率が一足飛びに大きい上に真ん中の穴が小さ過ぎて必要なインダクタンスを得るのが難しくなりますからこれも除外。となると、以前の実験結果で結構イケそうな感触の”秋月コア”をチョイス・・・”TR-10-5-5ED”が今回のターゲットです。

 このコア、径が同じ程度の#43材よりは透磁率は高そうですが、13回巻きで100μH程度ということが判っていて、0.32φのUEWであれば30回程度は巻けそうですから、HFの下端で3KΩのインピーダンスとなる300μH以上にはなるでしょう。そこで、上のスナップの”芋虫”と同じインダクタンスである470μHを中心に巻き数を加減してデータ取り。まずは、25回巻きで凡そ470μHになることが判ったんでインピーダンス特性を採ってみました。



 下の方から見ていくと、2MHz辺りから3KΩを超えてからはHF帯全域に渡ってそれ以上の値になっています。ピークは15MHz辺りであり、ある意味ドンピシャな感じ

 では、このコアに0.32φのUEWを20,25,28回巻き(密巻きで目一杯)とした場合の減衰量を”芋虫”と比べてみました。



 少々見辛いですが、470μH同士の比較では1,2dB差で2MHz辺りまで追随した後、秋月コアの方は減衰がなだらかになります。一方の”芋虫”は流石に優秀で、減衰のピークである15.3MHzに向かってさらに減衰量が大きくなります。そして、秋月コアとしてはどうやら密巻きの限界である28回巻き(608μH)の時が、HF帯全域に渡ってバランスの取れた減衰量になるようです。



 大きさの比較です。基板への実装を想像すると、やはり秋月コアの方が”専有面積”が小さくなるのは明白で、巻き線部分の線材が太いため”芋虫”より大きい電流を流せます(”芋虫”は最大300mAです)から、小さな電力のアンプのRFCとしても使い易いでしょう。
 また、この秋月コアは1個30円、一方の芋虫は200~300円くらいですから、やはり巻き線の手間を覚悟すれば安価にそこそこのRFCが実現できそうです。

急造釣り竿君の様子

2018-05-02      
  昨日は出勤、そして今日からGWの後半突入です。午後からは、とっておきのヘッポコ工作に取り掛かろうと、ケース加工の合わせ込みに両面テープで貼り付けてあった放熱板を外そうとしたらこれがなかなか剥がせず、ちょいと力を入れたはずみで、フィンのエッジで利き手である右手の親指を切ってしまいました。直ぐに手当てしたため大事には至りませんでしたが、流石に続きの作業はできず・・・折角の工作休暇()をロスしてしまいました。そこで、先日のコンテストににわか参戦となった釣り竿君・・・逆Lアンテナの様子などをまとめておきましょう。

 まずは、いきなり全体図を。



 ちと気が早いですが、既に釣り竿君の”Ver2”と銘打ちました。我が家のベランダに張れるアンテナとしては最大級になると思います。

 今回の改良は、元々の垂直エレメント(長さ5.4m)である青線の先端から、新調した竿(6.3m)の先端に向け水色のエレメントを張ったものです。青と水色を足したエレメント全体の長さは10mを超えますから、40mにオンエアする際にはコイルが不要、80mの場合はコイル1で必要なインダクタンスを装荷するだけで良くなります。

 水色の部分の長さは、40mを意識して長さを求めました。MMANAでベランダの構造物(鉄筋)を加味したモデルで計算したら6.4mと算出されたため、これをひとまず採用してコンテストに出場。エントリは80mに絞ったため、コイル1とカップラの合わせ技で上手く運用することができました。

 さぁ、このエレメント延長によるロスの削減(コイルを取っ払う効果)や打上角の様子などについて、MMANAの算出結果を2発。まずは、40mの方から。



 SWRは50Ω基準になっているんで無視するとして、虚数成分が一番小さくなるようにエレメント長を最適化しました。赤が元々の釣り竿くんの特性、青が今回の改良後のものです。

 40mの場合、元々の釣り竿君で凡そ50%の短縮率でしたが、フルサイズ(ちょっとオーバーですが・・・)になったことで0.6dBほどゲインが上がっています。また、水平偏波の成分がグッと小さくなったことが判りますね。
 メインローブの打上角も3度ほど下がるようで、これが本当なら()、よりDX向きになったと言えますね。この辺りは、やはりDXコンテストで確認・・・とは思いますが、毎度CONDXが違うからなぁ

 では、80mはというと・・・



 こちらはゲイン上昇が顕著で、2.8dBほどアップ・・・Sとしては0.5程度の上昇ですが、5WのQRPを10W運用にした程度の改善は見込めます。また、水平成分はスマートになりましたが、打上角は改善なしということのようです。

 それ以外にも、建物の上にエレメントが突出した効果も見込めそうです。いわゆるアンテナに電波が乗った状態で、電流・電圧の”腹"の部分がどこにあるかでいわゆる”飛び”が変わってくるわけですが、これは40m/80m何れも改善が見込めると思います。

 さて、聡明なOM諸氏は”エレメント長”に違和感を感じているかも知れません。垂直・水平エレメントの合計が11.8mということは、(短縮率を加味して)計算上は6.1MHz付近が同調点になりますね。そこで、アンアナで同調周波数を探してみました。



 計算値よりさらに下に同調点がありました。ワイヤーアンテナですから、カップラで整合を取ることを前提に考えれば”長め”の方が扱い易いんですが、どうもカウンターポイズとの分離の悪さに引っ張られている部分もあるようです。次は、バランでも仕込んでみようかな

 ALL JA参戦の際は、新調した竿が仮設だったことや、後半に竿が引っ込んでいたことが後から判った(水平エレメントがキチンと張られていなかった)ことなど、まだ不確定要素がありますから、この辺りをユルユルと改善しながら少し長い目で見ていきたいと思います。

ALL JA 2018 参戦記

2018-04-30      
 副題:久々のアンテナ改良で80mに殴り込み・・・果たして!?

 何と一年振りとなってしまったコンテスト参戦、直前に思いついたアンテナ改良でちょっと前のめりで挑む気になったんですが、この辺りの経緯から。

 構想はずっと前からあったんですが、釣り竿をもう一本購入して”逆L”の形で長さを稼ぎ、少しでもローディングコイルのインダクタンスを減らしてゲインを上げたいという至極当たり前の改良をすべく、新しい釣り竿を注文したのが何と4月26日で到着はコンテスト当日の28日・・・幾ら何でも準備期間がないのは解っていましたが、まぁそんなに難しい加工は必要ないんで「何とかなるでしょう」といった軽い気持ちでポチッとしてしまいました
 新たなエレメントは、以前に千葉コンに持って行った細めの10mのビニール線を6.5mに切って使用。先端処理済みですから数分で準備が完了し、釣り竿到着を待ちました。
 ところがこれがなかなか来ない・・・運送業者のHPで輸送状況の確認をしたら16時時点でまだ大阪にあるように見えたため、問い合わせ先に連絡をしたら、「配送状況が更新されてないだけでひとまず地元のセンターから配送中、19時から21時までには到着する」という正にギリギリであることが判りました。他の機材を夕暮れまでには全てベランダに出し、19時には夕飯を食べて待ち構えていましたが、20時を回っても到着しません こうなると分刻みの戦いとなり、あと30分・・・15分・・・5分・・・オイオイ・・・え、21時・・・結局、コンテスト開始には間に合わず、21時5分に到着

 そこから、さっさと梱包を解いてセットアップを開始。エントリは80mと決めていましたから、普段使っているエレメント中間のローディングコイルを取っ払って逆Lの形にエレメントを張ったらカップラ直後のコイルでタップ探し。アンアナで追い込んで行くと直ぐに「この辺り」が見つかり、後はカップラで整合を取って完了。約30分ロスしましたが、最初の交信が21:33・・・漸くコンテスト開始です。

 昨年を例に取ると、80mの交信レートは開始直後から3時頃までは1時間あたり20QSO弱になります。出鼻をくじかれたものの、21時台は27分で8QSO、1時間換算で17QSO相当。おいおい、アンテナ改良の効果は・・・とちょっと心配になりましたが、22時台は24QSOと、自己最高を更新 その後も01時くらいまでは呼び回りに徹し、局数もマルチも順調に伸びていきました。

 02時を回ると流石にDupeが増え、レートが落ちてくるのも予定調和。ただ、昨年よりペースが速いことは間違いなく、1時間あたり数局とは言えQSO数が上回っています。さらに、課題だった北海道と九州のマルチも02時06分の時点で鹿児島とつながり、この時点でそれぞれ昨年より1つずつ増量・・・感覚的ですが、やはりアンテナ改良の効果はあったようです。

 03時を回ると急激に眠くなりましたが、少しCQを出してみました。10分少々で5QSOとそこそこのレート。その後、近くのコンビニに買い物に行ってリフレッシュして04時台にもRunしてみましたが、今度は15分で4QSO・・・流石に皆さんもお眠かなそして04時37分で130QSOとなり”納竿"・・・その前にスナップショット



 まずは、”いつもの竿”の方です。ローディングコイルがありません(オリジナルの様子はこちら)し、左の方にエレメントが伸びていますね(右下に向かっているのが給電方向)。



 これが反対側の新調した方です。ベランダの上空を横方向にエレメントを張っているんですが、かなり垂れ下がっているのが判るでしょう。ちょっと長過ぎでしたが、これには訳が・・・って、これは次の記事に委ねてさっさと寝ましょう

 さて、80mに専念するつもりですから、起き出してからはノンベンダラリと過ごしました。ちょっと寝足りなかったため夕方にはさらに1時間半ほど仮眠を取り、次の出竿時間・・・つまり夕暮れ待ち。18時40分を過ぎてちょっとフライング気味にアンテナの再セットアップを完了して運用再開です。

 Dupeが多いことを覚悟しつつ、埋まっていないマルチを探しながら呼びまわり。幸いにも、どういうわけか空いていた滋賀と局数が少ない島根を立て続けにGet それ以外はDupeでない局をひたすら探しては呼ぶんですが、やはりこのバンドは夜が深まった時刻でないとなかなか・・・。とは言え、昨年程度のレートではQSO数が伸びていきます。
 20:06には昨年の自分に勝利し、マルチ数も密かに目標だった40を超え、またしてもRunなどかましながらQSOを重ね、20:59に最後のQSOを成立させて終了時間を迎えました。

 終了後は今回のアンテナの同調特性のデータをアンアナで収集し、さて納竿しようと新調した方の竿の方に近づいて行くと・・・何と竿が先っちょから2段を残して引っ込んじゃっているではありませんか 一体、いつ引っ込んでしまったのか判りませんが、運用中は常に監視しているSWRはずっと変化無く気づきませんでした。まぁ、引っ張り出しが甘かった上に少し風が強かったことが原因ですが、もし出竿した直後に引っ込んでいたとしたら、収集したデータもいけてないことになります 再度キチンと上げるのも億劫で、データの取り直しもせずそのまま片付けてしまい、締まりの悪い幕となりました。

 ある程度Runしたんで、RBNを覗いてみました。



 青線の下が夜中の3,4時、上が20時です。4エリアの2局のデータですが、夜中の方が全般的に強くなっています。まさか、竿の引っ込みで・・・ということではなく、多分80mのCONDXがこういうものなんだと思います。

 恒例のスナップはこちら。



 センサー部を電源の放熱板に挟み込んである温度計です。CQを連呼していると、これがどんどん上昇して69℃台まで上昇しますが、そこからは逆に温度が下がってきます。これは、電源の温度監視機能が働いて70度になるとファンが回り始めるためで、この機能が上手く動いているかのバロメータ。普段は凡そ運用しませんから”ただの室温計”に成り下がっていますが、今回は特にビジュアル的に楽しめました

 アンテナが急ごしらえでちょっと失敗した感もありますが、十分に楽しめた今年のALL JA・・・来年も出場したいと思います。

ハイサイドは難しい也・・・

2018-04-16      
 先々週から先週までは、新入社員の教育や今年度始まる各種施策のキックオフでまずまずの多忙に加え、キックオフ流れの飲み会で深酒してみたりして、あまりヘッポコ実験には時間が割けず終い それでも少しはヘッポコできた部分もあるんで()ちょっとまとめておきましょう。

 ヘッポコ実験の焦点は「ハイサイド電流の検出」。あれこれ思考を巡らせた挙げ句、行き着いた先は”電流検出IC”・・・ACS712で何とかならないかなぁと、ひとまず実験してみることにしました。
 ここに行き着くまでにオペアンプの差動アンプで・・・と考えましたが電源をどう取るかがネックとなり、今の回路構成で(って、まだ発表してませんでしたね)マイナス電源を用意したら上手くいくことはシミュレーションで確認しました。でも、たかが安定化電源に何故の苦労・・・ということで、ひとまずIC頼りに考えました。



 このICは表面実装タイプであるため、電流検出するピンへの配線の電流容量を補うためにスズメッキ線でジャンパを形成しました。特性はこんな感じ。



 このレンジで見るとキチンとリニアな特性になっていますが、実は数十mA以下の部分は上手くなく、1mA刻みの電流測定は流石にできないことが判りました。またこのICはノイズ抑制を図るための抵抗が内蔵されていて、外付けにコンデンサを付加してLPFを構成するようになっています。この容量を大きくすることで小さい電流のDC測定にフィットできそうですが、カタログスペックより大きな容量のコンデンサを取り付けても微小電流の検出は難しいことに変わりなく、このICの採用は見送ることになりました。

 こうなると、オペアンプ+マイナス電源ということになり、シミュレーション状態に逆戻り 続報は改めることにしますが、そろそろ春たけなわなんで()アンテナのコイル再作なんかも控えていて、ちょっと思いつきで手掛けちゃった実験用安定化電源作りのブログが大河小説のようになりつつあり、自分でもあきれ返っています
Calendar
06 | 2018/07 | 08
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
New !
Category
Comments
Monthly Archives
Track Backs
Counter
Sunspot Now !

 


Survey Results

 

Profile

どよよん無線技士

Author :どよよん無線技士
こおるさいん:JM1DPL

アパマンというハンデにさらにQRPまで課し、失敗連続のヘッポコリグや周辺機器の製作・・・趣味というより「荒行」か!?

メールは「JARL経由」でお願いします。

Links
Follow me !
RSS Links
QR Code
QR