実験用電源を真面目に作ってみる(その3)

2018-02-18      
 今回の電源作成の前提となるトランスは二次側が2回路・・・16V1Aが2つあり、それぞれの”0V”のタップをセンタータップに見立ててショートさせて使います。そして、ダイオードを2つ使って全波整流して平滑コンデンサでさらに直流に近づけ、定電圧の要となる三端子レギュレータに入力するわけですが、この辺りの電圧の様子を見ていくことにしましょう。

 まず、初心に帰るべく、ダイオードで全波整流した直後の波形を眺めてみましょうか。なお、ダイオードには1N4007を使いました。



 ま、教科書通りです 負荷がつながっていませんから、ピークの電圧がかなり高くなっていますね。何となく「16V・√2 ≒ 22.6V」からダイオードの電圧降下分があるのかなぁと思っていましたが・・・。交流と見立てた場合の周波数が100Hzになるのも当たり前ですが、何れにせよ、こんな部分の波形をマジマジと見たのは初めてです

 この「まだまだ交流ですやん」を直流に近づけるのが平滑コンデンサです。まずは1000μFの電解コンデンサを接続して、どの程度直流に近づくかを見てみました。無論、負荷が掛からないと殆ど直流に見えてしまうでしょうから、今回の電源のスペックである”最大1A”を想定し、負荷として120Ω2Wの抵抗x10パラのダミーロードを接続しました。1.3Aほど流れていると思います。



 おやおや、お世辞にも直流とは言えず、明らかにコンデンサの容量不足が見て取れます。流石に8V以上も動いてしまうと、ちょっとねぇ・・・。それでは、平滑コンデンサの容量を6800μFにしてみましょうか。



 2V程度の変動に収まりました。机上の試算では1.5V程度となりましたが、若干多めな感じ。まぁ、この程度なら何とか使えそうです。勿論、もっと大きな容量にすればさらに改善できますが、コンデンサ自体がどんどん大きくなっていきますから、収納スペース見合いで考えた方がいいでしょう。

 上記の結果から、平滑コンデンサの容量は6800μF以上、耐圧は35V(25Vでは心許ない)を目安に考えればいいでしょう。また、今回製作する電源のスペックとして18Vくらいまではいけるんじゃないか・・・と思っていましたが、6800μFの実験でリップルの下限が17.52Vであることが解りましたから、ここから三端子レギュレータのドロップ電圧(-2V程度)を考えると、電源の出力としては15V程度が上限になりそうです。この辺り、次の記事でまとめたいと思います。



 バラック実験の様子です。100Vはやはりちょっと怖いんで、仮設ですが1Aのヒューズまで取り付けました。これで平滑コンデンサが6800μFなら二次側を1Aで通電しても、通電直後の瞬間的な過電流で溶断しないことも確認できました。

 まだ、日曜日は半日残っています。次の記事の仕込みでもしましょうかね

実験用電源を真面目に作ってみる(その2)

2018-02-15      
 いざ、真面目に作ると構えると、個々の部品の吟味にも時間が掛かります。そして、理に適った部品は案外高価だったり入手が難しかったりと、「たかがヘッポコ実験用電源、されどヘッポコ実験用電源」の如くなってしまいます。結局、どこかで妥協するしかないわけですが、今回の電源製作ではできるだけ必須条件に拘って設計を進めています。

 実は、回路図自体はもう引けてしまっていて、コントローラとして使用するPICのプログラム作りに進むべきなんですが、そこは相変わらずの亀の歩み・・・ノンビリ付き合って頂ければ幸い

 さて、今回の電源製作では端から前提となる条件があります。これは直前記事にも書いていますが以下の2点也。

 ① 電源収納スペースの制約による”高さ”と”巾”に制限
  ⇒ ケースのチョイスが肝になる

 ② 死蔵中の16V1A×2のトランスを何とか活用

 ①は物理的な大きさ制限です。高さが12cm以下、巾が10cm以下でないと電源の収納位置を変えなければならず、現在位置が引き回しとして”ベスポジ”ですから拘りたいところ。
 ②は前提とはいえ1Aクラスの電源製作にはオーバースペックのトランスを使うぞ・・・ということであり、仕様的な縛りにはなりませんね。

 それではこのトランスを紹介しながら、まずはトランスの1次側までの部分についてまとめていきましょう。

 前提となるトランスはTOYODENの”HTR-161”です。



 さぁ、ここで問題。このトランス、どこか変だと思いませんか 勘のいい方はあっという間に解ると思いますんで、答えはここでは言いません とにかく、このトランスを使います。

 諸元的にも何の変哲も無い代物、容量は”16Vx1Ax2=32VA”・・・って当たり前ですが、16Vで2Aまでは引っ張り出せるということで、1Aの電源製作にはかなり余裕のあるものと言えます。この辺りはトランスからの発熱量低減につながり、点けっぱなしのことが多い実験用電源としてはWelcomeでしょう。

 このトランスの1次側にはACコードは勿論のこと、スイッチやヒューズがつながりますが、どうせならもう少し工夫してできる限りノイズが少ない電源を作りたいと思い、ちょっくら付帯する回路を追加してみました。



 ※トランスの一次側の接続が110Vになっている点は、今回記事では気にしないで下さい。

 まずはヒューズ。電源として最もカタストロフィックな出来事、即ち、電源回路自体がショートした状態・・・恰もトランスの2次側がショートしたような状況では、必ず溶断するような電流値のものを選ぶ必要があります。これは、今回の電源トランスの電圧変動率を20%(これはJIS規格で決められており、20~60VAでは20%)と仮定すると計算でき、凡そ”2.3A”のヒューズが絶対必要条件(最大値)になります。

 また、今回の製作では電圧可変レギュレータを使おうと思っています(さぁて、何でしょうねぇ・・・)が、このレギュレータの出力がショートした場合の電流は2.2Aとなっていることから、これを1次側の電流に換算(これも電圧変動率を20%と仮定)すると”0.63A”と試算できます。

 その他、電源投入時に空っぽになっているであろう平滑コンデンサが一杯になるまでは、2次側のショートと同等な電流(2.3A)が短時間流れます。この一瞬の過電流に耐えられるものでないと、電源のスイッチを入れる度にヒューズが溶断することになります

 上記の条件から、2.3Aと0.63Aの間の電流フューズで「電源投入直後の過電流では切れないもの」を選択する必要があります。ここからは手に入るヒューズの特性にまで突っ込んで検討する必要がありますが、「日本一ヒューズに詳しいおっさん」になりたい気持ちはあまり湧いてきませんので、とりあえず”1A”として先へ進みたいと思います。

 お次は、家庭の・・・というか、アパートやマンションなどの集合住宅には必須であるノイズキラーこと、まあるい頭の”バリスタ”(図中のZ1)を置いて、サージやパルス性ノイズを低減しましょう。これ、効果のほどを測るのが難しいんで”お呪い的”に入れることになりますが、AC100Vを常時通電できる定格のものを間違えずにチョイス。おやおや、ヒューズの深掘りに反して、清々しいほどあっさり検討を終えてしまいました

 その後には、無線やオーディオを突っ込んで楽しんでいる方々にはお馴染みの”ラインフィルタ”を具備することにしました。この部分は市販のフィルタを置いてもいいんですが、造作として大きなものが多く、耐圧の大きなセラコンと適当なインダクタがあれば作れますから、市販のものの定数をパクって組んで特性を吟味することにしました。

 市販のフィルタは、大凡mHオーダーのキャンセル巻きコイルの両端にX,Yコンデンサを配し、Yコンデンサは中点を取ってグランドに接続するタイプ(コモンモードの電流を逃がす)ですが、アースの無い我が家でYコンデンサは不要、押さえ込みたいノイズもHF帯を中心に考えたいと思い、1mHのキャンセル巻きコイルに0.22μFのセラコンの組み合わせとして特性を取ってみました。



 ディファレンシャルモードは-60dB以下の帯域が1MHzから20MHzくらいをカバー、コモンモードの-25dB以下の帯域が200KHzから10MHz超と、ドンピシャではないものの比較的イイ感じの特性になりました。コイルを2mHにするともう少し下の方に帯域が寄ってしまうため、”1mH+0.22μF”をチャンピオンデータとしました。



 ラグ板に組みました。ちょいとバリスタが大きいですが、そこはご愛嬌ということで

 以上がトランスの一次側の回路定数検討結果です。どこのどんな部品を使ったのかは、回路図を披露するまでオ・ア・ズ・ケ

実験用電源を真面目に作ってみる(その1)

2018-02-12      
 先週末まで隔週の土曜出勤が続き、何れも「知力より体力⇒翌日グッタリ」だったため、無線関連・工作関連はお座なりにしてしまいました。その上、冬休みにしでかした”電源操作によるLCD飛ばし”で可愛がってきた"白い電源ちゃん”の操作上の欠点を目の当たりにし、ここ当面の目標であるAGC回路の試作より「何たって、全ての源たる実験用電源を新調するのが先」・・となってしまいました。
 当初、中古でそこそこの電源を手にすることを画策してヤ〇オクをチェックしていましたが、今いまの電源収納スペースを考えると”高さ”と”巾”に制限があるためなかなか手頃なものが見つからず、さらに数年前に企画倒れしている”プラマイ電源用”に購入した16V1A×2のトランスを何とか活用せんという思いもあって自作することに決め、どうせ作るならちょい真面目に組んでみることにしました。

 白い電源ちゃんの名誉のために先に記しておきますが、この電源が劣っているわけでは決してありません。通電しながら電圧を変えることは御法度であると説明書に書いてあったのを無視して、ロータリースイッチの操作性に負けてガチャリガチャリと電圧を変えたのが”冬休みの瑕疵”だったわけで、即ち、どよよん無線技士とか名乗ってる初老のデブメガネの仕業です。この辺りを踏まえ、興味のある御仁は読み進め給へ

 さて、実験用電源といっても様々な設計ポイントがあって、いざ手掛けてみると少なからず留意すべきポイントがあります。折角ですからこの辺りをまとめておきたいと思います・・・って、本当に結構な検討事項があって"1ブログ分"には重いため、何回かに分けて書いていこうと思います。

 ◆ まずは装置仕様を明確にする

 机上の実験では、専らよく使用する電圧がプリセットできた上でせいぜい”1A”が連続的に安定して供給できればOK。つまり、適当な電圧レギュレータを使って実現できるレベルで十分です。
 よく使用する電圧のチョイスはあまり悩むことはなく数種類のバリエーションで十分かと思いますが、固定的なプリセットだけでなく、できる範囲で可変できる機能も具備したいところ。

 一方、実験中によくある”ショート”に関しては、きちんと防護できるような仕組みにしておく必要があります。この辺りは単に電流制限するだけでなく、機能的に”アラーム通知”を施したいと思います。

 また、折角自作するわけですから”電圧”と”電流”の表示は欲しいところ・・・この辺りは、秋月の電圧・電流計を使って視認性の高いものをフロンパネルに備え付けてしまいましょう。

 ・・・ということで、今回自作する実験用電源の装置仕様モドキを以下に示します。

項 目内 容備 考
出力電圧プリセット:1.5, 3.3, 5, 9, 12V
可変範囲:1.5V~18V
出力電流各電圧で最大1A
1Aを超えるとアラーム
電流制限は1A
電源AC100V 50/60Hz

 その他の諸元は設計結果で変わっていきそうですから、ひとまず上記程度に留めておきましょう。続きは次の記事へ
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どよよん無線技士

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アパマンというハンデにさらにQRPまで課し、失敗連続のヘッポコリグや周辺機器の製作・・・趣味というより「荒行」か!?

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