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実験用電源を真面目に作ってみる(その6)

2018-02-24      
 放熱で苦労したと言えば、”自作PC黎明期”に何とか高速に動作するPCをこしらえようとCPUのクロックアップにチャレンジする中で、CPUの”背中”を目の細かい紙ヤスリやコンパウンドで磨き、放熱器との密着度を上げてCPUが熱暴走しないように苦労したことを思い出します。そして、CPU付属のクーラーに飽き足らず、何やら筐体からはみ出てしまいそうなどでかいCPUクーラーを買い漁った記憶や、シリコングリスの塗り方に凝ったシーンまで蘇ります。流石にここ数年の自作PCでここまではしなくなり、専ら”静音性”を追求するという真逆な工夫に力を注いでいたり・・・って、乗っけから脱線気味

 さて、前回記事では製作予定の安定化電源に必要な放熱量を求め、ひとまず”11W”という数値を導き出しました。これを熱に還元して消費するのが命題になったわけですね。ただ一口に11Wと言っても、ファンを使わずに放熱するためにはかなり大きなヒートシンクが必要になります。
 実は一時、ファンを付けて強制空冷にする方向に検討を進めようかとも思ったんですが、たかだか1Aの電源にファンを実装するのも・・・と逡巡、結果的に今回の電源製作では「きちんとした放熱設計をしてみよう」という部分を優先することにしました。

 ヒートシンクによる放熱では、放熱したいワット数さえ判ってしまえばこっちのもの・・・その他のパラメータは簡単に求められます。

 まずはジャンクション温度。これは、デバイス内の回路が動作できる温度であり、データシートにしっかり記してあります。



 上段の表のLM317の欄がそれです。民生用ということで125℃が最高温度のようですが、この温度はLM317の内部回路が動作する最高温度ですから、これを超えるオペレーションはできません。

 次は、内部回路とケース・・・LM317の”外側”との間の熱抵抗です。内部回路が発した熱が、LM317の外側に伝わる際の”伝わり難さ”を熱抵抗(℃/W)として示しています。これもデータシートにあります。今回採用するLM317PはTO-220FPですから、5℃/Wということですね。

 外側まで伝わった熱はそのままヒートシンクに伝わるわけですが、一般に接触面の熱伝導を高めるためにシリコングリスを塗布して密着度を高めます。或いは、回路構成上ヒートシンクとの接触点に絶縁が必要な場合、絶縁シートなどを挟む場合がありますが、何れにせよここにも熱抵抗があるわけです。
 今回は、絶縁要らずですからシリコングリスを塗布しますが、この場合の熱抵抗は0.4K/W(Kはケルビン:温度と等価と考えて良い)程度になりますから、今回はこの値を採用します。

 最後に、ヒートシンクが熱を放出する際にヒートシンク周辺の温度によって放熱量が変わることを考慮するため、ヒートシンク周辺の温度を勘案します。自然空冷の場合、ヒートシンクが放射した熱で周辺温度は高くなりますから、一般に50℃くらいを想定しますが、アマチュア仕様としては45℃程度としても良さそうです。

 これらの数値を使って計算した結果を表にまとめました。



 この表はExcelで作成しています。下2行の計算式は以下の通りです。

 ①ジャンクションー空気間抵抗:(ジャンクション温度 - 周辺温度)/ 発熱量
 ②放熱器-空気間熱抵抗:① - ジャンクション-ケース間熱抵抗 - ケース-放熱器間熱抵抗

 ②で求めた値よりヒートシンクの熱抵抗が小さければ、発せられた熱をきちんと排熱できるということで、この情報を頼りにヒートシンクを探します。



 丁度1.9℃/WのヒートシンクをRSオンラインで見つけました。ね、でかいでしょ

 これで漸く1.5Vで1Aの連続運転がギリギリ可能になるんですね・・・。でも落ち着いて考えると、1.5Vで1Aを連続的に必要とするものって、どんな装置なんでしょうね。まぁ、ここまで排熱できれば5Vや12Vの1A 連続運転には余裕でしょうから、このヒートシンクでいってみたいと思います

 それにしても、11Wの廃熱・・・これだけの電力であれば、電波なら地球の裏まで届いちゃうんですよね。何やら不思議な気分になります。

 さぁ、電源としての基本設計は終わりました。次回は、どんなアプリケーションに仕立てるか・・・制御周りに駒を進めます。

実験用電源を真面目に作ってみる(その5)

2018-02-24      
 三端子レギュレータは非常に優れた機能を持っていますが、必要な出力電圧より高い入力電圧を与えて定電圧を得るため、その差分の電圧と出力電流の積・・・即ち電力を熱にして追い出す必要があります。入力電圧をどの程度高くする必要があるかは、データシートにきちんと明記されています。LM317Pのものを見てみましょう。



 とりあえず25℃で1Aを出力するポイントを赤丸で囲ってみましたが、凡そ2V程度ドロップする・・・ということは、希望する出力電圧より2V以上高い入力電圧を与えてやらなければならないことになります。つまり、1A出力では最低でも2Wくらいの電力分を消費させる(放熱させる)必要があるわけです。

 問題は、必要な出力電圧より2Vだけ高い電圧を常に供給することは、市販の電源トランスの”電圧の刻み”では無理であり、どうしても”2Vより高い電圧”を与えることになります。そして、これに連れて消費させなければならない電力も増えます。例えば、今回使用する電源トランス(HTR-161)の最低出力電圧は10Vですが、仮にこの交流10Vを整流して12Vの直流を得た上でレギュレータに与え、出力として1.5Vで1Aの出力を得ようとすると、単純計算で「(12V-1.5V) x 1A = 10.5W」分の放熱が必要になります。これは、かなり大きな放熱器が必要そうですね・・・

 では、もう少し具体的に掘り下げてみましょう。

 レギュレータへの電圧入力はいわゆる”脈流”のレベルで与えられますが、「実験用電源を真面目に作ってみるシリーズ」の”その3”の実測時に、トランス出力の最大・最小の電圧でこの様子をデータとして採ってあります。これを表にまとめました。



 ダミーロードが12Ωのものだったため16Vと10Vで出力電流(表中のIL)が違ってしまっていますが、1A出力時のP-Pは凡そ2V弱程度と推測できます。一方、レギュレータが安定して定電圧を出力するためには、整流後の最低電圧(表中の”Min”)より2V低いことが要求されます。ここは少しマージンを取って2.5Vとすると、トランス出力16Vでは15V、出力10Vでは9Vが、ほぼ適正な出力電圧(1A出力時)となります。

 その上で、トランス出力16Vと10Vの脈流の平均値(表中の”Ave”)と直流出力との差が、熱にして追い出すべき消費電力になります。つまり・・・

 ・トランス出力16Vで15Vの直流出力を得る場合:(18.56V-15V) x 1A ≒ 3.6W
 ・トランス出力10Vで9Vの直流出力を得る場合:(12.44V-9V) x 1A ≒ 2.4W

ということになります。さらに最初に目標とした仕様「1.5Vからの連続可変」について考慮すると、

 ・トランス出力16Vで1.5Vの直流出力を得る場合:(18.56V-1.5V) x 1A ≒ 17W
 ・トランス出力10Vで1.5Vの直流出力を得る場合:(12.44V-1.5V) x 1A ≒ 11W

というように、トランス出力10Vから1.5Vを得た方が消費電力がかなり抑えられます。そこで、トランス出力16Vの可変範囲を9Vから15V、トランス出力10Vの可変範囲を1.5Vから9Vとすることにしました。個々の可変範囲で消費電力が最大になる時の計算も記しておきます。

 ・トランス出力16Vで9Vの直流出力を得る場合:(18.56V-9V) x 1A ≒ 9.6W
 ・トランス出力10Vで1.5Vの直流出力を得る場合:上記より11W

 つまり、今回の電源製作では11W程度の熱処理が行える放熱器が必要だということが解りました。では、この放熱を行うための設計に駒を進めましょう・・・って、これは次の記事にしましょうかね
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アパマンというハンデにさらにQRPまで課し、失敗連続のヘッポコリグや周辺機器の製作・・・趣味というより「荒行」か!?

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