白い石を運ぶべし!-其の参(了)

2013-08-15      
 八月十一日は、帰りしなに外宮さんに寄ることにした。子供達も何度か訪れているから思い出深いのであろう、このプランには賛成してくれた。

 チェックアウトから鳥羽駅出発までの時間を利用して、手持ちの荷物を片っ端から宅配便にして貰うと、ウソのように何も持たずに済む状態になった。これが有り難かった。昔は、この上に土産を持たされ、何やら荷物運びのアルバイトのような格好になってしまったものだが、今や実にスマートである。11時頃にホテルを出て、またしても宇治山田駅までの移動からスタートだ。

 今回の大移動でさんざん世話になった近鉄ビスタカー・・・やはり、旧式に近い車両がよい。



 この味わいのあるカラーリング・・・と思うのは「自分勝手な思い出のせい」だろうが、まだまだ新型車両より多くこのタイプが走っているのが近鉄の良いところだ。

 この沿線には、アマチュア無線家に馴染み深い山がある。JA2IGY・・・周波数基準のビーコンを発する「朝熊山」である。実は、今回は独りだけもう数泊して朝熊山に登ってみようと画策したのだが、連続休暇日数的に難しくなったため途中で諦めた。そこで、せめて撮影しておこうと山間を走る車窓から朝熊山を狙ってパチリ。



 見えた と思ってシャッターを押すと、木々に隠れてしまうのである。遠ざかりゆく朝熊山に3度もシャッターを押して、それが全て線路脇の木・・・何だか可笑しくなって撮るのを止めてしまった。近い内に、無線機背負ってもう一度来ようと思った次第。

 さて、宇治山田駅からタクシーで外宮前に着けて貰い、早速散策開始・・・本当はお参り主体の筈なんだが、やはり昔行った様々なところを回る方に偏ってしまうのは仕方がないところ。本殿にお参りをする前に、脇道に逸れて「狐の穴」と称する木を見に行った。



 樹齢何年かも解らぬほど太い木の根っこに祠ができている。伯父に言わせると、本当に狐の巣だったというが、まぁ確かに十分住み処として機能するほど大きな穴だ。
 一般の参道から少し脇に入ったところだから、自分が小さい頃は人なんか全く来ないちょっと不気味でもあるところだったが、今日は少し人影が見られる。せめて悪戯などされずに残って欲しいものだ。

 参道に引き返して鳥居を潜る。



 まだ、建って間もない鳥居はやはり綺麗だ。陽が差している部分が輝いていたりする。鏡に代表される「光を放つもの」は、太古にはやはり静かな驚きを誘うものであったに違いない。

 暫く歩くと、本殿前に到着だ。ここで賽銭を投げ入れる。



 苔生した茅葺き屋根と色褪せた鳥居とは対照的に、手前の新しい木の灯籠が目映い。この古い建造物も取り壊されると、全国各地の由緒ある神社に配られる。無論「檜」であるから、太いものならきちんと削り直せばまたしてもピッカピカに蘇り、格好の修繕材料になるのであろう。

 この鳥居の正面に池があり、その左手を上がっていくと3つのお宮・・・多寡宮、風宮、土宮がある。自分のお気に入りは一番手前にある「風宮」だ。



 本殿に比して大変小さなお宮だが、昔からこの佇まいが好きである。蒙古来襲の際には、ここと内宮にある「風日祈宮」で祈祷したところ『神風』が吹き起こり、敵を退けたと言われている。何とも豪快な神が住んでいるようだが、この少し遠慮がちなお宮が風を司るという部分に、子供ながらに「かっこいいなぁ・・・」と思っていたのである。

 既に一度渡ってきた大きな平たい石・・・丁度、風宮の横の地面にあるこの石は、土着の長を祀った古墳の扉と聞く。



 光の加減で判り辛いかも知れないが、縄の影の右側に幾つかポツポツと穴が開いているのが見えるであろう。雨だれで開いたとされる穴だが、果たして同じ箇所に水滴が落ち続けるものなのか・・・というのが子供のころからの謎である。

 参道を戻って、今回初めて「遷宮館」に行ってみた。ここは、ご遷宮の歴史を紹介する映画や、神殿の模型、各種の宝物や捧げもの(勿論、模型ではある)を説明する資料館で、勾玉池の畔に最近(と言っても数年前)にできたらしい。我が「イトトンボの住み処」たる勾玉池を荒らすとは何事 と息巻いても始まらないが、果たして・・・と思ったら、殆どの場所が「撮影禁止」だったので詳細略 まぁ、上映されている映像も綺麗だし、品々の解説は非常に丁寧だし、何と言ってもクーラーが結構効いていて非常に助かった。

 順路の最後が少し勾玉池にせり出すように作られており、一望できるようになっていた。



 写真では綺麗に見えるが、この池の水の透明度はほぼゼロだ。いわゆる「ヤゴ」の宝庫のような池・・・これが勾玉池である。昔は、ミズカマキリやタガメなどのちょいと珍しい水生昆虫がいたり、ヤゴがメダカに食らい付いていたりするのをよく見たものだが、今回そこまでは観察できなかった。
 奥に見える水草の向こうまで池の畔を歩いていくことができ、この辺りにイトトンボが群生していたが、これも確認しなかった。もし一匹も見つけられなかったら・・・と思うと、知らずにいた方が良いように思えたからだ。
 今年はご遷宮を含めて、きっと大勢の観光客で賑わうであろうこの地には、やはりもう少しタイミングを外して来てみようと改めて思った。

 少し遅めの昼食は、宇治山田駅近くの割烹にした。各々好きなものを食べ、自分は勿論 を幾杯か飲むと、そろそろ家路につかなければならない時間となった。



 初日に撮れなかった宇治山田駅の外観も、漸くカメラに収まった。綺麗に修繕されていても、佇まいは昔のままである。子供の頃、伊勢市駅に止まらない列車で帰るときは、ここまで伯母が車で送ってくれた。従兄弟や大好きだったおばあちゃんに手を振って列車が動き出すと、妙にしんみりとしたのを思い出す。そして、次の駅が伊勢市駅・・・ここで下りることができればと、さらに寂しくなってくるのである。今回は正にこの通りの帰路となった。



 車窓に車内が写り込んでしまったが、その向こうに見える伊勢の街、次回は自分のペースでゆっくり来てみようと思う。そして、朝熊山に登り、イトトンボを見、ブリでオニヤンマを捕まえ・・・既に次の「帰郷」のプランは決まったようだ。
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アパマンというハンデにさらにQRPまで課し、失敗連続のヘッポコリグや周辺機器の製作・・・趣味というより「荒行」か!?

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