CW用クリスタルフィルタの設計・製作(その3)

2017-06-27      
 一昨日の日曜、我が愚息が急に帰ってきました。単に「序でにちょっと寄っただけ」という割に遅めの昼食を喰らい、宝塚記念に興じ(負けました)、あれこれダベったら帰って行きました。お陰で、土日中心のヘッポコ工作・・・フィルタの設計に割ける時間が減ってしまいましたが、まぁ元気で何よりでした 

 佳境を迎えたフィルタの設計フェーズ・・・LTspiceによるシミュレーションで望む特性が再現できるところまで追い込むという「試行錯誤」の作業がメインですが、何とか「こんなモンじゃろう・・・」というところまで持って行くことができたんで、この辺りをまとめちゃいたいと思います。

0.本編に入る前に・・・"Rm"の測定は必須

 既に注釈を入れておきましたが、前々回記事でQuに関する説明を少々雑に書き飛ばしてしまった点について、ここで補足しておきます。

 Quに関しては、前々回記事に書いた通り"Dishal"による設計では確かに使用しませんが、設計の終盤で実際に使用する水晶の諸元を使ってシミュレーションする際、その結果をより正確に導くために、水晶の等価回路上の抵抗値"Rm"(水晶の損失表現)が必要であり、何とかしてこの値を導き出す必要があります。
 自分は幸いにも、APB-3という強力な武器とちょっとした治具を用意して凌ぎましたが、仮にこうしたネットアナっぽい環境が整わなくても、何とかして"Rm”を求める必要があります。これには、

 ・水晶に安定して信号供給できる入出力インピーダンスがきちんと定まった治具
  >自分の過去記事を参考に。掲載した回路図の余計なスイッチ類を取っ払えばいいでしょう。
 ・フィルタに使う水晶のfs付近の周波数で安定に信号が供給できる信号源(いわゆるSG)
 ・終端型の小電力計(終端抵抗+検波ダイオード+DMMくらいの構成でよい)
 ・50~100Ωくらいのボリューム

等の準備が必要です。これらを適切に接続し、水晶の直列共振周波数(fs付近で最大出力になる周波数を探るとそれが直列共振周波数になります)を通して出力された電力を測っておき、水晶をボリュームに替えて同じ電力値になるように調整した際のボリュームが示す抵抗値を"Rm”とすればよいでしょう。
 なお、"Rm"が求まればQuも計算で求められますから、以降の自作データとして活用できますね。

 では、前回記事で説明した「フォーマルな水晶配置」の方で設計を進めたいと思います。

1.コンデンサ容量を丸めてシミュレート

 前回記事では、各コンデンサ容量を”Dishal”とサブプログラム"Xtal Tuning"の算出値としてシミュレートしましたが、実際に市販されている(手に入る)コンデンサ容量は言わば「飛び飛びの値」であり、幾つかのコンデンサを並列に接続して(まぁ、合成容量が合えば直列接続でも良いんですが・・・)調整する必要がある値になっていますね。ところが、実際にはある程度アバウトでもイケちゃうんですよ この辺りについてまとめましょう。



 上の図の上段は優秀なプログラム達に算出された結果としての容量値、下はこれらの容量値を市販で手に入るコンデンサ容量に置き換えたものです。これでシミュレーションしてみましょう。



 左が設計値のまま、右が丸めた後です。細かく見ると勿論差はありますが、極端な変化はありませんね。こんな風に、コンデンサの容量についても、シミュレーションレベルでの確認ではあるものの「ある程度丸められる」と結論して良さそうです

2.水晶の損失を入れてみる

 ”Dishal”と"Xtal Tuning"では、水晶の損失が無いものとして同調容量・結合容量が算出されることから、ある程度設計条件が整った段階で実際に使用する水晶のQuについて考慮する必要があります。ここでは、別途測定しておいた"Rm”を使ってシミュレーションしてみましょう。
 この作業は、これまで抵抗を省いてQuが無限大として扱ってきたLTspiceの水晶等価回路に抵抗"Rm"を入れ、「損失のある共振回路」にすることで行います。



 どうですか 何やらなだらかな形になって、よりお化けっぽくなったでしょう 水晶の共振度合いが下がったことで急峻な変化部分が鈍り、却って扱い易い感じになっていますね。ただ、喜んでばかりもいられないのはフィルタ全体としての減衰量です。上の「火山型」のグラフの天辺がフラットだと仮定すると、7~8dBほど減衰しているようです。

 こんな風になってくれれば、減衰量を除けばほぼ設計通りのものが得られたと言えます。そもそも「チェビシェフ、帯域内リプル1dB」で設計した上、市販のコンデンサ容量ですからね。それでも、こんな感じのフィルタができるかもという手応え・・・貪欲に、もう一歩掘り下げて設計の仕上げとしましょうか。

3.正規化分布的なフォルムで設計完了

 ここからは全く論理的でない世界です。何でもかんでも理屈にしなくちゃなんねぇ御仁には耐えられないかも知れませんが、上等なシミュレータがあればこんなこともできる・・・というところかな 直ぐ上に現れたお化けはお化けとして()、もっとイイ感じのお化け・・・「ガウシャン」たら言う正規化分布っぽいフォルムを目指してみましょうか。

 ちょっと話は逸れますが、2ポール以上のフィルタを作ったこと・・・っていうか調整したことがある方はご存じかと思いますが、双峰形から単峰形まで特性が変わっていくフィーリングを持っていると、これから行う「怒濤の試行錯誤」を楽しめるかも知れませんよ では、追い込んでみましょう。



 如何でしょう、まずまずのフォルムになったと思いませんか 水晶の諸元以外の部分をあれこれ弄っています。この辺りを詳細に見てみましょう。



 かなり試行錯誤を繰り返しました。入出力の負荷インピーダンスまで弄ったことが判りますね。この負荷インピーダンスは、最終的にフィルタとして製作した際に調整し易い値になるように弄った次第。200Ωであれば、1:4のインピーダンス変換トランスで上手く50Ωに整合できますからね
 コンデンサ容量については、あるコンデンサに着目して容量を上下に変化させると周波数特性の変化傾向が判ってきますから、これを頼りに調整して追い込んでいきました。

 何れにせよ、LTspiceに何度も計算させれば良いだけの話ですから、一杯飲みながら(え~)半日も探っていれば、この程度の特性までは追い込めそうです。本当は理屈になればカッチョイイんですが、まぁこうした「数打ちゃ当たるぜ、試行錯誤」でも形にはなるようです。本当は10pF刻み程度でもう少し追い込んでやるともっと良さげな特性になるんですが、実際に使うコンデンサ容量の誤差を含め、一度はこの程度追い込んだ状態で組んでみた方が「後学のため」には良さそうなんで、設計フェーズはこれで一応お終いにしたいと思います。

 残るは実際の製作・・・やはり休日利用のヘッポコ製作になると思いますが、今週末&来週末は予定がそこそこ詰まっていますんで、もの好きなそこの貴方 少々気長にお待ち下され
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アパマンというハンデにさらにQRPまで課し、失敗連続のヘッポコリグや周辺機器の製作・・・趣味というより「荒行」か!?

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