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後継TS-590Gからのおこぼれ頂戴

2014-10-05      
 いやぁ、まさかマイナーチェンジで続くとは・・・TS-590Gシリーズが11月から発売のようですね。現行機種たる「Gなし」は既に「生産完了」となり、ラインナップから消えています。少々寂しい感じ このニュースはKENWOODのメルマガで知りましたので、同様に「Gなし」でユーザ登録されている方は詳細情報をご存じかと思いますが、どうやら「おこぼれ」がありそうなんですよね

 本題に入る前に、カタログ情報から「どこが大きく変わったのか」をどよよん無線技士風(なにそれ)に読み解いてみると、やはりその筆頭は「近接ダイナミックレンジの大幅な改善」ではないかと思います。2KHz 離調時のダイナミックレンジが10dBほど「Gなし」より改善し107dB也 QST調べのスペック値では、K3、FTDX3000をも凌ぐということになりますね。これが本当なら、かなり強力な近接した信号の影響も少なく、「コンテストの40m」といった大混雑シーンで威力を発揮するでしょうね・・・いやぁ、羨ましいです。

 さらに横道に逸れますが、「Gなし」の1st Mixerは、2SK1740という石を4つ使ったいわゆる「クワッドミキサ」です。この石自体、50mA程度のIDSSを前提にしているようですが、2SK125やJ310に多めに電流を流したクワッドミキサと同じようなものです。これでも、IP3は(カタログ値として)+30dBmを超えていますから、「Gあり」の方はどんな回路構成なのか興味津々です。参考に「Gなし」の方のミクサ周辺回路の切り抜きを貼っ付けておきます。




 さて、この受信部の改善以外の大きなグレードアップ部分は、実はそう多くなさそう。さらに、「Gなし」でもファームウェアのアップグレードで実現可能な機能については、何と来年1月末に新しいファームウェアがリリースされる予定というビッグなニューイヤープレゼントが 詳細は本家の情報を見て頂くとして、どよよん無線技士的(これもなんだ)に気に入った改善機能をチョイスしました。

 ◆VFO A/BにFIL A/Bの状態を独立して設定できるようになる
 これはスプリット呼び出しの際、自分の送信周波数近辺の状態を確認するのに使用するフィルタの方の帯域を広げておくなど、非常に有効です。

 ◆RXイコライザー / TXイコライザーが、モードごとに設定可能になる
 これ、わざわざ改善要望まで出していたもの・・・漸く言うことを聞いてくれたのね そもそも、SSBとCWを交互に運用するシーンなど想像に難くない筈で、なんでモード毎設定になっていないのかが「超疑問」でした。改善と言うより修正

 ◆475.5KHz対応
 まぁ、ゆくゆくチャレンジしたいという程度ですが、このタイミングでの追加はGoodです

 このマイナーチェンジで劇的に売れるかどうかは謎・・・「相変わらずダウンコンバンドが限定的」「SDR等に使えるIF出力がない」など、他との差別化の点で疑問は残りますが、近接局とのせめぎ合いになり易いローバンドのコンテストマシーンとしては、価格・大きさから言っても選択肢の一つになりそうですね。

 期せずして恩恵を被ることになった「Gなし」、 特にグライコの改良については、CW受信への恩恵がかなりありそう・・・今から期待しています

FTDX3000のQST評価より

2013-03-21      
 まだご本尊の記事は目にしていませんが、QST誌の各メーカーリグの受信スペック表にFTDX3000の測定結果が早々と上がっていますね。世界的にコスパがズバ抜けているK3の次点「第5位」にランキングされています。やるなぁYAESU FTDX5000と共に、上位ランクインは流石です。

 今回の結果について、またしてもオプションの300Hzルーフィングが使われているか不明ですが、近接特性(2KHz)についてはTS-590より少しマシな程度。一方、20KHz離調時の特性は、IPの高さを自慢するだけの性能差はあるようで、FTDX5000に肉迫しています。

 やはり、大きなアンテナを立派にブン回す諸OMにとってはFTDX5000の受信諸元はかなり魅力でしょうが、値段から考えてFTDX3000の購入(で我慢)というチョイスも無きにしも非ずでしょう。しかし、K3の方がちょい安く手に入りそうですから、この辺りが思案のしどころかと思います。
 また、CW運用のみで考えると、シンプル設計の我が愛するTS-590も選択肢に入れて良さそうですが、やはりアップコンの部分の受信性能が我慢できないとなればきっぱりと諦めるべきかも知れません。逆に、既に実勢150K¥後半で購入できる現状では、「セカンド機」「ちょっと大きめの移動機」というチョイスもできそうです。

 何れにせよ、自分の懐と立地条件、手に入れたという満足感・・・等々、最後は自分が納得すればいいわけですが、TS-990も出回り始めましたから、悩みもひとしお・・・といったところでしょうか

補足 2013/03/23>
 どうも、FTDX3000の使用感に関するネット情報が少ないのか、本記事へのアクセス数が多いようです。このカテゴの直前記事に、戯れ言と共に「Sherwood Eng.の測定データ」へのリンクも貼ってありますので、併せてご覧頂ければ幸いです。
 何れにせよ「数dBの差」を実感として感じられるか否かは、同じ信号(或いは妨害の度合い)を、同じアンテナを切り替えて聞き比べるしか無いと思いますが、案外数値データで精神的な満足を得られることも確かですよね

予想的中!? TS-590 vs FTDX3000 受信スペック値比較

2012-12-30      
 少し前に最終回としたTS-590の雑感シリーズの締めの部分に、以下のような意味のことを書いています。

 ★ FTDX3000は、大ざっぱに言って「TS-590の全バンドダウンコンバージョン」みたいなもんだろう

 これには根拠が全くなかったわけでもなく、受信部のダイヤグラムは価格から考えて「TS-590と同程度かちょっと良いくらいの回路」という感じで、価格差の分は液晶表示に大半が回ったと読んでいました。そして、FTDX3000のオプションフィルタを使わなければ、ダウンコンバンドの近接周波数特性は「100Hz分、TS-590の方が勝るかも・・・」と考えていたわけですが、どうやら本当にそんな感じのようです。

 リグのスペック値をまとめているサイトとして超有名な「Sherwood Eng.の受信部テスト」に、FTDX3000のテストデータが掲載されました。これによると、TS-590のアップコンバンドはともかく、ダウンコンバンドにおける近接周波数(2KHz)のダイナミックレンジはTS-590の方が若干優勢のように見て取れます。
 この差はルーフィングの差・・・つまり、TS-590は500Hz、FTDX3000は600Hz・・・という部分の差と類推でき、FTDX3000にオプションフィルタ(300Hz)を突っ込めばきっと結果は逆転すると思いますが、購入費用は17K¥ほど上がってしまいますね。
 20KHz離調時については、この2台のリグにはあまり差がないようですが、他のリグとの比較で考えると、K3/KX3は次元が違いますね・・・。特にKX3は、ダイレクトコンバージョンの良さが出ているといったところでしょうか。おっと、話が逸れました

 その他のデータは、「TS-590のアップコンバンド」とドッコイドッコイの値が並んでいます。TS-590のダウンコンバンドにおける「100KHz Blocking」・・・これは随分突出していますが、ダウンコンバンド全体ではなく20m限定の性能(ってか、混合周波数の優位性によるこのバンド特有の勝利)と見た方が良いかも知れません。

 今秋の絶好CONDXに期待し、少し迷った挙げ句早めにTS-590を購入したもののCONDXはあんまり良くならず 正直、FTDX3000の登場は驚異ではあったわけです。そして、価格も「約+100K¥」に落ち着いた時点で「早まったかしらん・・・」と若干後悔したんですが、液晶表示などの視認性・操作性(が良いかは、あんまり触っていないんで判りませんが・・・)を差し引けば、受信スペックとしては決して退けは取っていないと思います。オーディオ部分に関する差異や無信号時の内部ノイズの様子など、決め手は他にもありますが、受信性能に関しては「さらに10万出してでも」とは・・・。
 勿論、こうしたスペック値は測定環境や条件の差が如実に表れますから参考にしか過ぎず、やはり「並べて聞き比べる」という究極の比較をすべきで、この2台のどちらにするか購入を迷っている方は、何としてもショップなどで「実際の聞き比べ」をすべきかと思うものの、そんなに大きな差は無さそうな感じ。

 また、TS-590でもファームの改良によって多信号特性を改善したフェーズ(Ver1.05⇒1.06)がありましたが、FTDX3000にもこの可能性は十分に残されていると思います。結局、最後の決め手は「好きな方」で良いと思います。が、TS-590ユーザとして、このデータを見てちょっと安心したのも事実です

 TS-590を買って余った10万でKX3を買って遊ぶ・・・というのが、本当に良いかも

最強の信号受信とNRの功罪

2012-11-27      
 コンテスト参戦では、TS-590の前任であるIC-703ほど使い込んでいるわけではありませんが、既に何のストレスもなく使いこなせるようにはなったと思います。連続可変のBWやノイズ除去機能は、折々のシチュエーションでマメに切り替えることでより聞き取り易い状態に持っていくことができ、今のアンテナシステムとQRP故の交信可能範囲・限度まで、きちんとフォローしてくれているように思います。

 ◆ 最強の信号でちょっとお遊び

 ナンチャッテなインプレッションシリーズを終えて久しくなりましたが、先日のWW DX CWでついに「最強信号」を受信しました。それも、お誂え向きにアップコンバンドとダウンコンバンドで



 まずは10mでS9+50dBから55dBの信号・・・ほぼ振り切れです(近くの学校クラブ局です)。反射的に、例の「カツカツ音チェック」を敢行、アップコンバンドで確認できているS9+45dB程度の信号による影響範囲との比較。予想ではさらに大きく拡がってしまっているのではないかと思ったのですが、オンエア周波数の+6KHz、-7KHzが影響範囲と、それほど変わらない様子・・・。ここで、再度TS-590のアップコン用のルーフィングフィルタ構成とその特性を思い出してみて合点がいきました。

 TS-590のアップコンにおける1stフィルタの通過帯域は約15KHzですが、2ndはCWモード(BWが2700Hz以下)では2.7KHzが選択されます。つまり、2ndの帯域分はどうしても通過してしまうわけで、このフィルタの「肩の部分に掛かって落ちてくるところ」を評価していることになります。即ち、強い信号では±6KHz程度まで影響範囲が拡がっているのはこのせいですが、どうやらこのフィルタ一杯に影響範囲が拡がるのがS9+40dB程度ということで、それ以上強い信号でも、流石にフィルタの帯域を超えてまでは浸食してこない・・・ということのようです。

 次の遭遇はダウンコンバンド・・・それも40mです。信号強度はS9+50dBから55dBですが、若干50dBのことの方が長いかな・・・といった感じです。アナログメーターだと「針一本分」みたいな表現ができるんですがねぇ・・・。こちらの結果については表にまとめました。

信号強度
(S9)
運用
周波数
影響がでなくなる周波数
(離調:KHz)
HIGHLOW
45dB21.059.1062.7
(3.6)
053.3
(3.8)
55dB7.028.5031.3
(2.8)
025.5
(3.0)
※何れもプリアンプ=ON 、NBはOFF、BW=500Hz

 おやおや、少し様子が変ですね・・・信号強度が強いのに影響範囲が狭い これは、そもそも別の局の比較であり信号の質の差はあるものの、それ以前に混信の中で「小さなカツカツ音」を聞き取るのが難しかったことに起因すると思います。とは言え大した差はなく、大凡±3,4KHzが影響範囲。これもどうやらルーフィングフィルタの特性をトレースしているような結果で、スカート特性が甘いと信号強度に連れて影響範囲が拡がっていくわけですが、自慢のMCF・・・500Hzの方のスカート特性は結構急峻な切れ味を発揮しているようです。

 ところで、これまで散々登場した「カツカツ音」ってなんだ・・・実際に聴いて貰うことにしましょう。



 CWをやる方なら、どなたでも知っている音ですね。この録音は、カツカツ音の影響が比較的強くS=9ほど振っている離調時のもので、丁度S=9程度のCW信号が一緒に聞こえています。影響度合いはそれほど感じませんが、やはり耳障りですね。

 離調すれば徐々に影響度合いが減っていきますが、その様子は大凡以下の通りです。運用周波数は上記と同じ7.028.5MHzです。

カツカツ音の
信号強度
周波数
(離調:KHz)
HIGHLOW
S=97.029.3
(0.8)
7.027.5
(1.0)
S=57.030.4
(1.9)
7.026.4
(2.1)
S=0
(影響消失)
7.031.3
(2.8)
7.025.5
(3.0)
※何れもプリアンプ=ON 、NBはOFF、BW=500Hz

 S=9より内側(運用周波数に近い側)は流石に影響が大きくてちょっと運用は無理ですが、S=5辺り・・・2KHzほど離れたところであれば、コンテストナンバーの交換程度は可能です(無論、相手の信号強度によります)から、この辺りまでの「幅寄せ」はできそうです

 ◆ NRに頼りすぎてはいけない

 TS-590のNRは完成度が高く、どうしても「ONにしっぱなし」になりがちです。そもそも弱い信号の局を呼び出してもQRP故滅多に拾ってくれないため、少しでも耳障りなノイズを除去しようというわけですが、ノイズが酷いからといってNRを掛けっぱなしにすると、本当に弱い信号は消え去ってしまいます。バンドが開けてくるとかオープンエリアが変化していく様子なんかを知ろうとした場合、NRが逆に邪魔になることがあります。
 人間のフィルターは大したもので、かなり激しいノイズの中から信号を聞き分ける能力はどんなフィルタにも勝ります。逆にNRで変な風に変調されて聞きづらくなってしまうような場合もありますから、NRに頼りすぎるのもあまり良くないでしょう。時折NRを外してワッチすると、思わぬ弱い信号を見つけて「お、そろそろEUが・・・」みたいな気づきに有り付けるかも知れませんよ

修正 2013/06/24>
 ちょっと誤解していた部分を赤字で伏せました。10.695MHzの2.7KHzフィルタのスカート特性が知りたいところです。

TS-590雑感シリーズ 7:ローバンドの混信の中で(了)

2012-10-08      
 購入以来始めたTS-590のインプレッションシリーズ、終盤にかなりじらされました()が、やっとこ思いが遂げられそうです

 一昨日からのACAGでローバンドの「真価」を見極めようと虎視眈々・・・80/40mの不調に若干阻まれた部分はあったものの混みっぷりの激しい時間帯にオンエアでき、軒並みS9+20dBを超える電波に囲まれたこのリグ、果たしてどんな感じだったのでしょう・・・。

 ◆ ダウンコンバンドのS9+40dB以下は「ほぼ平気」

 「相手局の電波の質」を棚上げして考えれば、S9+40dBくらいまでの信号は「そういう強度の信号が、その周波数に出ている」といった範疇で考えることができそうです。

 ちょっとこのシリーズが長引いてしまったため、「アップコンの調査結果」と「ダウンコンのプチ調査」をおさらいすると、大凡以下のように捉えることができます。勿論、あくまで測定器が「」ですから、主観バリバリです

 1) アップコンの場合、ルーフィングが広いため59+35dBくらいまで±3KHz程度に影響範囲が広がっている。
 2) ダウンコンの場合(BW≦500Hz)、59+35dBまでは±1.5KHz程度に影響範囲が広がっている。

 さて、今回のコンテストでは、ダウンコンで2)を超えるような信号探し・・・この信号強度では(ある程度、500HzのMCF特性を類推すると)あまりに参考にならない情報であり、実際に困ることになりそうな信号強度であるS9+40dBと当たりを付け(ってか、前に使っていたIC-703ではS9+40dBを超えると周辺10KHz程度が使えなくなるため)、ずっとその「巡り会い」を待っていたわけです。そして、今回のACAGで漸くその機会が巡ってきました。それも、かなり空いている15m・・・2)と殆ど同じ条件です

Conv.信号強度
(S9+
BW
(Hz)
運用
周波数
影響がでなくなる周波数
(離調:KHz)
LOWHIGH
UP45dB100050.287.0281.1
(6.9)
292.0
(5.0)
DOWN35dB50021.006.9005.1
(1.8)
008.2
(1.3)
DOWN 45dB50021.059.1055.3
(3.8)
062.7
(3.6)
 ※何れもプリアンプ=ON 、NBはOFF

 例によって「カツカツ音」での検証ですが、35dBのほぼ倍・・・±3.5KHz程度が影響範囲ですね。丁度+40dBという信号強度ではなかったため一概に言えませんが、+35dB乃至+40dB付近から徐々に影響が広がってくる・・・こんな風に捉えて良さそうです。アップコンとの比較では、大凡半分くらいまで影響範囲が狭まっています。
 さて、この離調範囲に出ている「弱い信号」には影響がありそうですが、ローバンドのコンテストにおいてこれがどの程度の影響になるか・・・少なくとも、弱い信号である相手局との交信確率の低い自分にとっては、IC-703で受けたブロッキングのようなことはなくなるという部分で「及第点」はあげられると思います。実際、軒並み+20dB以上が居並ぶ80m/40mで「うわぁ、邪魔くせぇ・・・」と思うような場面はほとんどありませんでした。

 また、このカツカツ音にどうやらNR2(NB2じゃないですよ)が除去効果を持っているようで、これをONにするとカツカツ音自体は復調範囲でなくなるのか、その影響がかなり低減されます(CW受信時のNR2方式から言って、CWトーンのような連続波形を強調する形の機構ですからねぇ・・・)ので、これとの併用も考えるとさらに良い感じになりそうです

 ◆ 隙間探しとノッチの効果

 CW運用の場合、BWを300Hz程度に絞ってしまえば殆どの場合は大丈夫です。ローバンドのCW域は狭い印象ですが(って、本当に狭いわけですが)、帯域を絞ってしまえば別にどうってことはありません。呼ばれる側ならいざ知らず、S&P中心の「エイチじゃない局」は、昨今のDSP機ならきっと全然困らないと思います。
 一方、なかなかつながらない自分のようなQRPerの方々にとって、別の局を「ずれて呼ぶ」(ゼロインせずに呼ぶ・・・わざととは思えない局長さんもいますが・・・)という芸当の方がカブってくることは勿論あるわけです。その方がそのままトントン拍子にQSOを済ませてどっかに行ってくれればいいのですが、ずれている所以なのかなかなか拾って貰えず長々と連呼していたり・・・。こんな場面ではノッチの出番です。このシリーズの5番目で紹介しましたが、TS-590のノッチはかなりイケていると思います。

 ◆ CWのグライコは外出しだなぁ・・・

 内蔵のグライコは、PHONEとCWで別々に記憶してくれないことから、普段ラジオ代わりにすることが多い自分としては、ヘッドホンで運用するCWについては「謎の小箱」(自作のパッシブBPF)を使っています。AMとは言え、そこそこHiFiで聴きたいですから、必要なときだけON・・・となると、「電信電話部門」ではモードによる切り換えが難儀そう。やはり今の内蔵グライコの「記憶方式」には満足できませんね。

 ◆ ファンが結構うるさい・・・

 まさか5W運用では「幻の機能」かと思っていた内蔵ファンですが、高温のシャック(29℃くらい)でCQを出していたら突然回り始めました 本当に最初はたまげましたよ・・・。
 このファン、空冷効果が高いのか、その後CQ連呼していても3分くらいしたら止まりました。多分、さらにその後もCQ連呼していたら、そのうちにまた回り出していたでしょうね・・・。
 ファンの音ですが、これは結構うるさいです。例えになるようなものがないのですが、我がPC(自作ミニタワー)より余程うるさく、あんまり良い気はしませんでした。
 受信時に1A、5W送信時に5Aという大食らいのリグですから、通常時の自己発熱も相当量なんでしょうね。入力で考えたら、この電流だったら余裕で25Wは出ますしねぇ その分、綺麗な電波であると信じることにしています

 ◆ ひとまず総評

 もう発売から2年ほど経過したリグですし対抗馬も色々と出てきていることから、今後は費用感が合うか否かでチョイスされるリグになると思いますが、入門機等さらに廉価なトリプルスーパー方式のリグとは違い、近接強力波に対する能力の部分で、「ダウンコンバンド」は結構いけてる印象ですし、CW運用に長けた部分が多いため、これからCWを本格的に・・・という方にはお奨めできると思います。混信除去等、この値段にしては申し分ないと思います。また、大きさは「小さなリグ」の部類に入れても良いかと思いますので、手狭なシャックに喘ぐアパマンハムの方々にもお奨めできそうです。小さなアンテナでもそこそこ聞こえるリグですよ。
 GENEスイッチでラジオに変身する部分も、あるシチュエーションでは非常に有効です。AM受信時のフィルタ設定を目一杯広げておけば、ひとまず5KHzまでは忠実に表現されますから、海外短波の耳慣れない音楽もクリアに楽しめます。

 ただ、良いロケーション、立派なアンテナをお持ちの方にとっての「アップコンバンド」は、普及機より少しマシな程度と考えて貰った方が良いでしょう。特にコンテストのメッカである6mがアップコンだというところ・・・ここは大きなマイナス要因かも知れませんね。まぁ、最近は6mでも「混んでて空きが探せないよぅ・・・」なんてことは希でしょうから、内蔵ATTとアンテナのビーム方向を駆使して近接強力局を上手く避けられれば・・・といったところでしょうか。
 昨今話題のFTDX3000は、大ざっぱに言って「TS-590の全バンドダウンコンバージョン」みたいなものでしょう。この部分に「あと10万円出せる」となればそちらを購入した方が良いように思います(勿論、近接強力波だけの話ですよ)が、その10万円で「KX3」を買うというアイディアもあるかな

 以上で「独断と偏見」に満ちた『TS-590雑感シリーズ』は閉めたいと思います。また気づくことがあれば、ジャンジャン記事にしていこうと思います。

ヒヤヒヤのバージョンアップ

2012-09-16      
 まぁ、あんまり必要そうな項目は入っていませんでしたが、後学のため()に先日アップされたTS-590の最新ファームウェアを入れてみました。

 本体と常にUSBでつながっている主力PCから、ダウンロードした「Ver 1.07」を解凍して説明通りに転送・・・したんですが、本体のUSB通信速度がHamlog最高速度の38400bpsだったため、転送が遅い遅い とは言え、まぁ順調に進みました。



 さて、問題はここからなんです。

 各種の設定については「先にバックアップを取っておくといいぞぅ」と書いてあったんでその通りにしてアップ後にリストアしたんですが、なんだか必要な情報の殆どはバックアップされないんです・・・。AGCの時定数、NRのリダクションレベル・・・どれもこれもやり直しになりました。まぁ、そんなに難儀な話ではないものの、何かもう少しバックアップしてくれればいいのになぁ

 一番困ったのがANT端子の設定です。今、引き込みの関係で「ANT2」を使っているのですが、これが全部ディフォルト設定に。またパワー設定もTXチューンのパワーも元に戻っていました。そんなことも知らずに送信したら、SWRメーター振り切れ・・・50Wフルパワーでアンテナ未接続という野蛮な状況にぃ 直ぐに気づいて止めたんで大事には至りませんでしたが、ちょっとびっくらこけました

 今回のアップ項目にはもう少し期待した部分があったんですが、そろそろこのリグ自体としてはこなれたんでしょう。大きな変更はもう無いかも知れませんね でも、もうちょびっと期待して、気長に次のリリースを待つことにしましょう。
 ちなみに、今回の改善項目の「CWセミブレークインで受信に戻った直後、SWRメータが一瞬大きく振れる場合がある」という部分はちょっと気になっていたんで、この改修は歓迎でした でも、多分少数派ですね、この項目改善で喜ぶ局長さんは

TS-590雑感シリーズ 6":コンテストでの使用感など

2012-08-09      
 先日のフィールドデーコンテストにTS-590で参戦しました。狙いは混雑っぷりが相変わらず激しい80m/40mが、入門機やアップコンバージョン(ルーフィングが10KHz以上の普及機など)とどう違うのか・・・これまでIC-703で参加してきたフィーリングを基に、一段上っぽいこのリグとの差(良し悪し)を見極めようというのが、このコンテスト参戦でのチェックポイントでした。

 ところが、このコンテストの主旨をよく考えれば解るのですが、近傍の局が延々とCQでロングランするようなことはほとんど無く、強い近接波の影響を定量的に評価する(といっても、例の「カツカツ音の影響範囲」を耳で聞くという、何とも風流な方法ですが・・・)には、「瞬間的遭遇」はあったものの結局上手くデータが取れるには及ばず終い・・・。というわけで、この雑感シリーズも「打ち止め」の筈だったのがスカされてしまったため「6"」とし、コンテストにおけるこのリグの使い勝手を中心にまとめたいと思います。

 ◆ ラッシュの状態でも隙間が見つかる

 今年のフィールドデーコンテスト・・・流石に80m/40mは参加局も結構いて、IFフィルタの帯域を広め(1.5KHz程度)にしてスイープすると流石にきつい感じでしたが、状況に応じて500Hz以下に絞ってしまえば結構楽です。また、NR1を適当に掛けた状態で受信音自体をグライコ(欠点は後述します)で聞き易い感じにしておくと、長時間の運用での「聞き疲れ」が圧倒的に減ります。これは、IC-703単体での運用とは比較にならないほどの差がありました。
 IFフィルタは2つプリセットできますから、一つは1KHz程度、もう一つを300Hz程度にしておくと、これを切り替えながらのS&P運用は非常にスマートです。
 また、時折ある非常に近い周波数に2局がオンエアしている状態でも、50Hz以内に「同居」していることは滅多にありませんから、混信除去の部分はほぼ完璧だと言えます。これは、昨今のDSPリグに共通した点でもありますね。

 ◆ 非公式ながら・・・ダウンコンの実力

 この記事の乗っけに書いたように、定量データを取るほどの遭遇はなかったもの、S9+40dBの局と2回ほど遭遇しました。この時の「カツカツ音の広がり」は±2KHz程度(プリアンプON)でしたので、この記事の結果と共に考えて、やはり期待通りの性能は出ていそうです。が、一応「非公式」ということで・・・

 ◆ PRE/ATTの使い勝手

 プリアンプの性能・・・TS-590の設計陣が頑張ったところかも知れません。強い局がひしめく中では 無論プリアンプは不要ですが、入れた状態でも大きな多信号特性の劣化は感じません。まぁ、我が家の場合は「メーター振り切れ局」がいませんのであまり参考にならないかも知れませんが、例のカツカツ音が聞こえてきた時に(近くにS9+30dBほどの局が現れた時に)プリアンプをON/OFFにしても、その影響度合いはあまり変わりません。
 この辺り、きちんとアンテナを立てられ、かつ近傍に強力な局がいる方にはあまり参考になりませんが、アパマンハムの場合、アンテナもショボいことが多くて「聞こえない・・・つまんない・・・」的な要素があるため、受信感度は上げ目・・・せめて聞こえるという状態を好む傾向があるでしょうから、プリアンプが使用に耐えることは非常にウェルカムかと思います。
 一方、ATTは初期状態で「-12dB」という設定であり、これはリグ内にあるジャンパスイッチを取り外せば「-20dB」まで減衰量を増やすことができます。マニュアルにも書いてありますが、ショップでの試聴などでは解りにくい(なんだ、あんまりATT効かないぞ・・・という印象を持ちそうな)部分ですね。設定自体は、自局の立地に合わせて考えれば良いかと思います。

 ◆ 送受信切り替えのリレー音が静か

 我が家のように狭いお宅には重要な要素になると思いますが、送受信のリレー切り替え音は大変静かです。夜中のコンテスト参加など、あまり周りを気にしないで済みそう・・・。逆に、バンド切り替え時の「フィルタ切り替えリレー」の音の方が大きいです。
 また、内蔵ATUは整合に時間が掛かるとやはり「パタパタ」と結構うるさいですが、IC-703の方が断然うるさかったため、そういう意味では「静かな部類」かも知れません。

 ◆ CWメモリにちょい引き・・・

 コンテストでは、メモリした符号が自動送出される機能が重宝します。無論、PCやメモリキーヤーをつないでしまえば不要ですが、とりあえず「ついているんだから試してみよう」ということで、自分のコールサインやらコンテストナンバーやらを入れてみました。
 IC-703は、メモリといっても「キャラクタ列をプリセットする方式」であり、設定した文字を内蔵のCPUが自動的に綺麗な符号・決められた間隔で送出するタイプなんですが、TS-590はこのメモリの仕方が「実際にマニピュレータで打って入れる方式」です。
 そして、ちょっと引いてしまったのは、符号の記録にクセがあって、内蔵エレキーで速度を落としてきちんと入力しているにもかかわらず、送出されるキャラクタ間の間隔が広がってしまったりすることがあるんです・・・。手打ちの方を意識しての仕様かなぁ・・・とも思うんで、ちょっと個性的な符号列になっていいかも知れませんが、何だかヘッポコ・オペがばれちゃいそう・・・ (って、ヘッポコだったな・・・

 ◆ ブレークインの表示が「VOX」

 CWでは余程の事情がない限り、フルorセミ・ブレークインを使いますよね このリグで「ブレークイン機能が動いてるぞ」という表示が何と「VOX」なんです・・・ってか、流用されている感じ。液晶パネル設計で手を抜いた感バリバリですが、他のリグってどうなんだろう ちなみに、IC-703は「BK」でした。ただ、まぁこれはイチャモンだぁな

 ◆ やはり改善希望・・・グライコについて

 このリグにはグライコが付いており、PCからのリグ・コントロールで「1つだけ」本体にプリセットできます。CW運用では、自分のお気に入りの周波数以外は殆どが邪魔者。従ってこの受信グライコの恩恵は大きく、普段から極端に上の方の周波数はバシッと切って使っています。ところがこの設定、モード毎にはできないんです・・・ つまり、「電信電話部門」では、ちょっと面倒なことになります。
 PCが接続されていてリグ・コントロールができる環境では、このグライコ設定がPC側に5つまでプリセットでき、これらを簡単に選択できますからまぁ良いとして、フィールドで使う場合はモード切替毎にON/OFFするような運用になりかねません。ここは是非、モード毎(或いは、CWとPHONEでもいい)に「プリセットされた音」が反映されるようにして欲しいです。それこそ難しいソフト論理にはならないと思うんで、是非KENWOODの技術者さんに頑張って貰い、次回のファームウェアの改善項目にしてください・・・という内容の意見を、KENWOODのユーザ登録したページから出しました・・・

 またしても我が儘レビューになりましたが、最後の「グライコ」に関する部分以外このリグには文句はありません。少し間が開いてしまいますが、10月の全市全郡に出られればそこで「カツカツ音」に決着を付け、この「雑感シリーズ」も完結したいと思います。

TS-590雑感シリーズ 6’:アップコンとダウンコンのプチ比べ

2012-07-29      
 詳しいデータを取るのは来週のフィールドデーに・・・と思っていたら、直線距離にして3.5Kmほど離れたコンテストステーションが頑張っていたため、こっそり()データを取らせて貰いました。
 この局は我が家の南側に位置するため、直接的にステルス君2号達(達て・・・)がその電波を受信するわけですが、こちらにバッチリビームが向いた時に出会っていないのか、真ん前にあるマンションの丁度陰になるのか、何れにせよS9+40dB程度の信号しか聴いたことがなかったと記憶しており、今日もS9+20dBで10mに出ているところを発見しました。

 10mはアップコンであり、まぁざっと先日の6mのデータと同程度であることを確認。何とか15mに下りてこないかなぁ・・・とお祈りをしていたところ(嘘つくな)、16時過ぎに15mで発見 それも、S9+35dBという強さです
 早速データ取りをした結果を、先日のデータと並べてみます。勿論、今日はBWを「500Hz」とし、ダウンコンの最高性能との比較になります。

Conv.信号強度
(S9+
BW
(Hz)
運用
周波数
影響がでなくなる周波数
(離調:KHz)
LOWHIGH
UP35dB100050.255.5251.2
(4.3)
258.0
(2.5)
DOWN35dB50021.006.9005.1
(1.8)
008.2
(1.3)
DOWN
(NB1-ON)
35dB50021.006.9004.0
(2.9)
010.5
(3.6)
 ※何れもプリアンプ=ON

 今回は、データ取りに対して他局がQRMで邪魔になるようなコンテストではなく、結構ピュアにデータ取りができたと思います。UP/DOWNで明らかに違う点を以下に挙げておきます。

 ・ 15mはノイジー(S=5程度)であり、カツカツ音がノイズを
   変調させるため、若干目立ち易い (6mはノイズでSは
   振らない)
 ・ UPとDOWNはそれぞれ別の局のため、そもそも信号の
   質が違う

 今回は結構長時間ワッチできたため「NBのON/OFFの影響」を調べてみましたが、NB1をONにするとかなり影響範囲が広がってしまいます。ちなみに、NB2とNR1,2は変化無く、やはりアナログ系のNBの欠点が如実に表れてしまった格好です。

 正確なデータ取りはしていませんが、先日40mでS9+20dBで±800Hz (0.8KHz)程度の影響は出るものと確認済みです。上記のデータと合わせて考えれば、余程強力な局が本当に数KHzしか離れていない周波数に出てこない限りは、結構いけるという手応えを感じました。

 ますます、1週後のコンテストでの「追試」が楽しみになりました

50W機は何アンペア食うの?

2012-07-24      
 「お前、何年無線やってるだ」と怒られそうですが、そもそもずっと「大人しい出力」で運用してきましたから、10A以上の電流のことなんて考えたことも無かった・・・というのが、この実験をしておきたかった理由です。

 TS-590と同時に購入した新しい電源は、アルインコのDM-330MVです。随分余裕の電源ですが、このクラスの電源ってどこのメーカーも価格が似たり寄ったり・・・。当分世話になるであろうものですから、あんまり嵩張らない(大きくない)もの・・・というのが決め手です。移動にも使えそうですしね・・・って、いつ行くんだ

 現在、免許表示上の空中線電力を「50W」にすべく電子申請で変更手続き中なわけですが、上記の通り10A以上の電流なんて怖くて流したこともなかった(自作失敗で流れちゃったことはあるかも)ため、「TS-590D」(つまり50W機)用に既に作ってしまった「短い電源ケーブル」の線材の太さが若干気になったことや、本体と電源に折角付いているファンを回してみたかったこと()などから、無性に50Wで送信してみたくなりました。ひとまず電波法に触れぬようダミーロードの準備・・・古いダミーは探せばきっとあるのですが、一間の押入下段にたっぷりあるジャンクを引っかき回すのが億劫だったため、結局DL-50Aを買ってきてしまいました。間欠送信なら50Wで数十秒は送信できそうですので十分でしょう。

 実験前に机上で考えた予測は、以下の通りです。まぁ、②がまるっきり理屈になっていませんが・・・。

 ① 終段効率50%程度を仮定
   50W × (1 ÷ 0.5) ÷ 13.8V ≒ 7.3A
 ② これに諸々の回路電流・・・受信のみでも1.5A食うから
   結構大きいと仮定して4A(このうち、エキサイタで1A少々)

 ∴ 11.3A



 マニュアルを読みながら、「送信ってどうやるんだ」といったまさに素人状態でしたが、何とか50Wのキャリアを送信しました。上の写真では見難いのですが、SWR計(真裏にダミー接続)で確かに50W出力を確認。
 一方の電流は、電源付属の電流計(センタが12A)ですので一体どの程度の精度かは判りませんが、最初に測った7MHzで丁度12A・・・「ほぼ予想通りか・・・」と思いつつ、改めて各バンドを測ってみました。

 ◆1.9/3.5MHz:16A弱(メモリ幅が狭くてよく見えん・・・)
 ◆7-14MHz:12A程度
 ◆18MHz-28MHz:14A程度
 ◆50MHz:14A程度

 7-14MHzの結果は、机上予測通りで良い線いってそうです。ところが、特にローバンドの食いっぷり・・・これは結構大食らい発揮でしょう。ちょっと、エコ機ではないね ちなみに、今後も標準電力である「5W送信」では全バンドで大凡5A・・・これは、予想以上の大食らいでした

 さて、心配した「自作した短い電源ケーブルでいけるのか」・・・という部分、銅線の直径(凡そ2mm)から3.5SQと見立てた電源ケーブルですが、若干線材の素線(これを複数本撚り合わせて、1本のケーブルになる)が細い感じがしたため、もしかしたらその一つ下の規格である2SQかも・・・と考えていました。2SQの許容電流が17A・・・仮にそうであっても、ひとまずオールクリアとみて良いでしょう。ヒューズも20Aの選択でバッチリ
 一方の「ファンをグルグルさせたい実験」については、その前にダミーが結構熱くなってしまうため諦めました

追記
 今後、DSPなどの「プロセッサ内蔵」は当たり前になると思うのですが、こいつらの消費電流って結構バカにならないですよね。PCを自作される方には解ると思いますが、今後内蔵プロセッサのクロック周波数が上がっていくと、どんどん「エコ」からかけ離れていってしまいそうです・・・。

TS-590雑感シリーズ 5:普段の「聴き味」

2012-07-22      
 この雑感シリーズも佳境を迎えました。総括的な「聴き味」を自分なりに覚書しておこうと思います。

 TS-590の実力がフルに発揮されるのは、「21MHz以下のWARCバンドを除くバンドで『BWが狭帯域』の場合」というちょっと謎めく仕様です。「雑感シリーズ 3」で書いたように、アップコンでは今の普及機と同程度、近接波の影響を受けるリグであることは大体判りました。IC-703よりはかなりマシでしたが この「アップコン部分」がどうしても気になる諸兄は、やはりもう1ランク上のリグを手にするべきかも知れません。
 とは言え、かなり強力なNB/NRの具備・・・とりわけCWをメインに考えた場合には、コストパフォーマンスの点で抜きん出た「秀作」とも言うべきリグだとも思います。ってか、百億万円もするような超高級リグのことは全く解りませんので

 ◆ ダウンコン・バンドの「聴き味」

 ダウンコンの本格的な実力試しは近づいてきたフィールドデーにしようと思いますが、普段の運用ではどんな感じなのか・・・過酷なコンテスト参加中ではない時の良く出るバンド(40m、15mなど)における言わば「平時の実力」はどんなものか考えてみます。

 ダウンコンのCW運用時のBWは最高2500Hzであり、ここからBWを絞っていき600Hzから500Hzに切り替わると、ルーフィングがそれまでの2700Hzから500Hzに切り替わるという動き方をします。つまり、ダウンコン対象バンドは常に比較的狭いルーフィングフィルタ(最低でも2700Hzのもの)が入っているわけです。
 少し古めのリグ・・・特に入門機(例えばIC-703)や普及機からTS-590にステップアップした場合、上記のお陰で混んでいる時の40mの聞こえ方が違うことに直ぐ気づくと思います。それまで何となくザワザワとしていたバンドがクリアになる感じです。勿論、感度が落ちたわけではなく、個々の信号がきちんと分離して聞こえる・・・ざっとこんな印象です。即ちこれは、上記の「既に狭帯域ルーフィングで選別された信号を聞いているんだ」ということが要因だと思います。

 あとは、自分の好みやヘッドフォンの特性に合わせて内蔵グライコで音の味付けをすれば、それなりに「宜しい味」には持って行けると思いますよ。

 ◆ まるで狭帯域フィルタをたくさん買ったよう・・・

 連続したBW設定・・・この機能も、比較的古い入門機・普及機をお使いだった方々は、状況に応じたBW設定ができるという部分だけでも「すげー」と感嘆するでしょう。

 これまで使っていたIC-703では、SSBフィルタ流用の約3KHzとCW用の250Hzという組み合わせだったため、前者ではQRMが邪魔、後者ではリンギングが酷くなって邪魔・・・結局どちらにしても聴き辛い場面が結構ありました。また、250Hzのフィルタ自体の減衰が大きいため、目的信号が聞こえなくなってしまうことも度々ありました。
 一方、TS-590では言わずと知れたIF-DSPによるフィルタリングですから、目的信号が大きく落ちるということはなく、2700Hzと500Hzのルーフィングフィルタの減衰量の差が若干あるかなぁといった程度です。流石ですね

 このIF-DSPによるフィルタの「切れ」はかなり急峻ですが、500HzのフィルタでS9+20dBほどの「綺麗なCW波」のカブりであっても、その信号の送信周波数から800Hzほど離れないと「無影響」とまでは行きません。勿論、これで十分といえますが、強力局の直ぐ横の本当に弱い局は拾えないでしょう。この辺りを、フィールドデーの宿題にしたいと思います。

 ◆ ビートを潰したり逃げたり・・・

 あまり目立たないけど非常に助かる機能・・・それが、ノッチとサイドバンド切り替え(REV)です。

 近傍、或いは少し離れた場所を含めて、何かある特定の周波数にビートが出てしまうような電気機器・機械を使っている場合があるようで、決まった時間、或いは比較的長時間、さらには常時出ているビートが、我が家でも少々困った周波数に幾つか確認できます。今までこのビートの近くでの交信は(つまりIC-703では)大変苦労したのですが、TS-590のノッチは非常に良く効くため、ちょっとした操作でこの苦労が無くなってしまいました 勿論、QRM逃れもできますし、どっかのアホウが掛けてくるキャリアにも効果があります。
 また、サイドバンドの切り替えもCWモードボタン長押し一発で変更されるため、混信から逃れる場合を含めて、あるシチュエーションで「ビートを消したい・逃れたい」という時には、この2つの機能で殆ど何とかなってしまいます。

 ◆ AGCはちょっとねぇ・・・

 BWを600Hz以上にすると、ルーフィングが2700Hzになるため、この帯域差の部分で受信している信号は無論AGCの対象になります。特に、600Hzから1500Hz辺りの受信フィーリングが「相手局探し」には丁度良い感じ(この程度のBWだとNR1も良く効くし・・・)なので多用したいわけですが、設定したBWから少しだけ離れた周波数に強力局がいると、その信号にAGCが反応してしまい、目的局の信号がそれにつられて強弱してしまう時があります。CW用に内蔵グライコを使うと、さらに「聞こえない強い信号」が増えるため、もっと顕在化します。

 徹底解説集ではこの部分について、

 「・・・DSP の最終通過帯域幅よりも前段 (アナログ段) の通過帯域幅が広くなるケースがあります。そのような場合でも、妨害信号が目的信号に影響を及ぼさないような、高度なデジタルAGC制御を実現しています」

と書いてありますが、実際には急に相手局信号が弱くなり一瞬戸惑ってしまう場合があります。暫くすると直ぐにBWを絞るようにクセが付きますので、結局慣れの問題ですね

 以上で大体、思いついたところは書けたと思います。残る宿題である「ダウンコンの実力調査」を行って、次回辺りで一旦このシリーズは打ち止めにしたいと思います。
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どよよん無線技士

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アパマンというハンデにさらにQRPまで課し、失敗連続のヘッポコリグや周辺機器の製作・・・趣味というより「荒行」か!?

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