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LM380Nアンプの特性をシミュレートしてみた

2019-12-21      
  小型のオーディオアンプはケース加工を終え、残るは配線するだけの状態になりました。とっとと完成させればいいんですが、またしても”シミュレーションしたい病”を発症してしまい、ネットからLM380Nのspiceデータを拾ってきてモデル化し、このICの”ノーマル使い”と”NFB使い”の差を検証しました。

 そもそも今回の小型アンプに採用するICは、かれこれ40年近く前にLM380Nモドキとして安く売られていた”ULN2280B”というものを使ってひとまず形にしました。あまりに古い部品箱の死蔵品だったため放熱的にはあまり好ましくないICソケットを採用して、いざ「ウントモスントモ」の場合に本家を使うように備えましたが、試運転ではゴキゲンな音を聞かせてくれました。
 まぁ、今更本家のシミュレーションをしても仕方が無いんですが、そこはそれ、誰も咎めることのできない「シュミの世界」ですから、堂々とシミュレーションを楽しみましょう

 まずは、シミュレートした回路です。回路の定数は、既に組み立て済みのアンプのものと合わせています。



 LM380Nのモデルは、本当はオペアンプ記号のような横向き三角形にしたかったんですが、拾ってきたデータをモデル化したらこの形になったんでそのまま使ってます
 回路の肝は、C3,R2,R3で構成されるフィードバック回路。フィードバック量はR3の増減で簡単にできます。即ち、””ノーマル使い”の場合はこれらの部品を外して”inn”をグランドに落とします。

 それでは早速、シミュレートされた特性を見てみましょう。これは、LTspiceのシミュレーション結果をテキストで吐き出し、そのデータをExcelの散布図で描いています。1000Hz以下をグラフ化していますが、1000Hz以上の可聴周波数域はずっと同じ特性が続きます。



 最初はゲイン。グラフの注釈では”GA”としていますが、”ノーマル使い”を赤線、”NFB使い”を青線で描いています。1000Hzから下の方に辿っていくと、”ノーマル使い”では100Hz付近から下に向かってゲインがなだらかに落ちていきますが、”NFB使い”の方は10Hz辺りまでほぼ利得が一定になっています。その代わり、”NFB使い”の方は凡そ10dB程ゲインが低くなっていますね。まぁ、いちいち解説も要りませんが、NFBを掛けたときのポピュラーな特性(利得が一定の帯域が広がる)になっています。

 グラフの真ん中やや上に注釈していますが、10Hzから40Hz位の所に若干ゲインが高い帯域がありますね。これは、フィードバック量が若干大きいために起きています。シミュレーション上、R3を減らして(3.3KΩ程度)もう少し調整することが可能なことは確認しましたが、あまり気にすることもないでしょう。
 逆に、フィードバック量を極端に増やして・・・例えばR3を33KΩくらいまで持って行くと、10Hz以下までゲインが平坦の領域は広がる一方、その下に極端なゲインの山が現れます。その上、平坦域のゲインもどんどん減っていきます(十数dB程度になってしまう)から丁度いい頃合いがある・・・というわけで、R3の値は4.7KΩで良さそうです。

 このゲインに関する吟味は、実は100Hz以下を云々しているわけです。LM380Nの出力は精々1,2Wですから、この電力で駆動できるスピーカーはあまり大きな口径のものにはなりません。当然低音域の再生は苦しくなりますから、このゲインの平坦化は実はあまり意味が無いものと思います。ただ、ヘッドホン試聴する場合、或いはお耳の敏感な御仁にはその差がわかるかも知れません。自分には判らないかも

 このグラフの下の方にノイズの様子もシミュレートしています。グラフの注釈は雑音としていますが、”ノーマル使い”を橙線、”NFB使い”を水色線で描いています。こちらも、フィードバックの有り無しで凡そ10dBの差が描かれていますが、これはひょっとするとゲインの差がそのまま現れているような気がします。勿論、NFBの効用の1つに低ノイズ化があることは判っていますが、やや怪しい結果となりました

 歪みについてもシミュレートしてみました。こちらは、LTspiceで描かれたグラフを画像でセーブして作っています。



 これは、”ノーマル使い”と”NFB使い”共に出力が1W(0dB)になるように入力を加減して描いています。信号として1KHzの正弦波を与えて、そのハーモニクスを見ている感じです。
 この2つのグラフを比較してみると、第二高調波である2KHzで既に10dBの差があるように読み取れ、それ以上の高調波も10dB以上低くなっています。10dBの差ということでゲイン差と符合してしまっていますが、少なくとも出力は同じにしていますから、同じ音量で視聴する場合の歪みは”NFB使い”の方が有利そうです。これが、LM380Nの”非革命アンプ”の優れた点ということなんでしょうね。

 これで漸く”シミュレーションしたい病”から解放されました

極性のあるケミコンは逆電圧に弱い!

2019-12-18      
  いろいろと多忙だった仕事が昨日落ち着いたため、有給休暇を取りました。朝早くに目覚めて新聞を取りに外に出たら、「これぞ、濃霧」と言えるような濃い霧が出ていました。午後からは気温が上がるらしく、”百均ゆっくり巡り”でもしようかと画策しています。

 9時過ぎにスマホがピロリンと鳴ったんで「まさか、急な呼び出し」とビビりましたが、Amazonに注文していた品物が届いた知らせでした。階下のポストに取りに行き、まずはその中の9Vの充電電池を9V動作の測定器等々にぶっ込んでさらに他の品物を見たら、何と注文個数が入っていないというハプニング発生 Amazonに電話したら「返品してくれ」と言われ、「いやいや、不足分を送ってくるのが筋でしょう・・・」と言い返したら、結果的に「返品無用、届いた品はそのまま使って良し、お金は全額戻すよ」となりまして、何やら(その品物に関しては)タダ貰いに相成りました 1000円くらいの品物でしたが、期せずしてトクしちゃいました

 さて、この記事の序章はこれくらいにして・・・お伝えしたいのは、リプルフィルタの実験でやっちまった件です。

 実は、ACアダプタに平滑コンを増量した場合のノイズ低減具合を確認するため470μFのケミコンを使ったんですが、誤って±を逆接してしまいました・・・それも2つも その場では部品箱に戻さずはねておき、さっき9V充電電池を入れ替えたDE-5000で容量を測ってみると、2つとも1pF前後の値になっていました。



 何れも何分も逆接していたわけではなく、数十秒レベルだと思うんです。見た目には何の変化もありません。

 少し調べてみると、ケミコンのマイナス側は耐圧を施す仕掛けがなく精々1.5V程度が限度のようで、今回は実験時の12Vが印可されちゃってますから、ぶっ壊れたのも無理はないといったところでしょう。交流の整流を行う場合や比較的電位差のある入力に極性有りのケミコンを使う場合には、よく考えなければなりません。有極性ケミコンの逆接は危険・・・何となく知ってたことなんですが、この2つのコンデンサぶっ壊しの件で痛感した次第です

 これをお読みの皆さんも、逆接してしまったケミコンを「短時間だから平気でしょう」と高を括らずに確認して下さいね。

リプルフィルタの検証

2019-12-15      
  オーディオ用のミニアンプを製作中ですが、電源にスイッチング式のACアダプタを採用すべく考えています。スイッチング電源はノイズ源として有名()ですが、スイッチング周波数である数十KHz以上が酷いことになってはいるものの、それ以下の周波数は比較的大人しいと言われています。ただ、電源としての平滑コンの容量不足(小型化のため、大きな容量のコンデンサが出力に入っていない)から推察すると、やはりノイジーなのでは・・・と考え、今日はこの辺りを検証することにしました。

 まずは実験回路図から・・・LTspiceでシミュレートすべく描いたものです。



 非常に簡単な回路です。”P”が電源の直接出力で、その後方にリプルフィルタを配しました。

 サンプルに採用したトランジスタは、Ic=1A程度のものから適当にチョイスしています。この回路の肝はR1とC1で構成されるLPFで、R1,C1共に大きいほど低い周波数までフィルタリングできますが、R1が大きいと出力の電圧降下が大きくなり過ぎるし、C1もあまり大きいと突入電流が大きくなりますから、言わば”頃合い”があるわけです。シミュレーションをあれこれ行って、そこそこの結果になったのがこの回路定数です。
 出力の負荷は適当に選んであります。これで75mA程度流れている状態をシミュレートしていますが、今回作るアンプの”普段使い”の状態ではこんなモンかなぁという正に適当です これで、出力電圧は0.8V程度降下・・・11.2Vくらいになるようです。



 フィルタリングの特性はこんな感じになりました。電源ハムで問題となる100Hz(@東日本)でも-40dB以上稼げるようで、それ以上の周波数はさらにフィルタリングが利くようです。因みに、通過電流が大きくなるとフィルタの特性は悪い方向に動きます。シミュレーションでは、電流を10倍にすると100KHzで10dBくらい落ちるようです。

 早速ブレボ&APB-3でお試し。最初は、ACアダプタの出力を直接測定・・・回路図上の”P”の位置で測定しました。



 APB-3の入力には直流遮断用に0.1μFのセラコンをつなぎ、1MΩの入力インピで測定。スイッチング電源特有のノイズの出方がよく判ります。35KHz辺りがスイッチング周波数、その高調波も見えています。このノイズが中波帯を超えて数MHzまで広がっているわけですね。

 次に、”P”の位置に470μFのケミコンを接続・・・平滑コンの増量です。



 少し効果がありそう・・・総じて-5dBから-10dB程度でしょうか。もう少し大きな容量のコンデンサの方が良さそうですが、やはり効果はあるというわけです。ACアダプタを使う小物製作の際には”馬鹿避け”に採用しても良さそうです。

 それではお待ちかねのリプルフィルタの登場・・・トランジスタには、2SC3422を使いました。平滑コン増量は無し。



 如何ですか かなり低減できていますね 出力電圧は、シミュレーションと同等の11.2Vとなりました。

 今回はこのリプルフィルタをオーディオアンプで使おうとしていますから、下の方の周波数をクローズアップしてみましょう。まずは、電源出力を3KHzまでのスパンで観測。



 これが、リプルフィルタを通すと以下のようになります。平滑コンの増量は無し。



 可聴周波数付近でも、かなり効果がありますね。ブレボのバラックで測定してるんで、電源ハムに纏わる50Hzの高調波が直接飛び込んでしまう部分は、実際のフィルタリング特性より悪く出てしまっていると思いますから、ケースに入れた状態ならもう少し良い結果になると思います。無論、電源出力そのままの測定にも同じことが言えますよ。

 それにしても、トランジスタ1石でこれだけ効果的なフィルタが作れるところが良いですね。三端子レギュレータの追加より熱的に有利ですし、自作測定器のノイズに対してクリチカルな部分にはどんどん採用したいと思います。

 このリプルフィルタは、製作中オーディオアンプに採用することにしました。来週末には完成に持って行きたいと思います。

やはり〇〇クオリティ・・・でも改良したら使えそうな同軸切替器

2019-11-10      
  今年の夏にSDRを手に入れて暫く遊んでいましたが、我がシャックに引き込んだ同軸は2ポートの切替しかできず、このSDR用に3ポート化したくなりました。あれこれ調べてみると、メーカー製のちゃんとした奴・・・UHF帯までカバーできる3ポートの切替器はそこそこの値段であり、精々VHF帯までで良いどよよん局長にはそもそもオーバースペックです。
 そこで、中華の同軸切替器なんてあるのかしらん・・・と調べてみるとあちこちに情報があって、それも1.5K前後で販売していることが判りました。ヤ〇オクやア〇ゾンでも手に入ることから中でも安そうな奴をポチって入手、SDR受信で活躍するようになりました。

 このスイッチ、何と”1000 Watts”と銘打ったシールが貼られた金属製のケーシングで好感は持てるものの、どう考えても「安物のロータリースイッチを使用してる感」が否めませんでした。万一送信した場合の他ポートへのアイソレーション不足を憂慮し、50MHz@5W出力で他ポートへのリークを測定したら何と20mWも漏れ出していました dB換算で-24dB・・・これじゃぁ、ちょっとした結合器ですやん

 仮に20mWもリークしていると、例えば過大入力に弱いSDRなどの機器には結構なダメージになるでしょうし、そもそも減衰が大きいことの証左でもありますね。

 ・・・ということで、今日はこの切替器の中を覗いてみました。



 思ったより酷い有様でした 2回路4接点のロータリースイッチに、同軸の芯線と網線を別系統にして接続しています。それも、ちょっと太めの被覆線で無造作に接続しているだけのもの。ダミーロードをつないでSWRを測ってみると、15m以下では1.2以下ではあるものの、6mで2以上、2mでは4以上となっていました。詳細の確認をしても仕方が無いんでこれ以上は止めましたが、まぁHF帯用としてはイケてるとも言えますね・・・。

 ここで、改良案を考えてみました。

 ① 黒い塗装がかなりしっかりしているため、ケースの地金を出す
  (紙ヤスリ等で研磨)のは面倒、銅テープをケース内側に貼って
  グランドにするのが良さそう。つまり、グランドをスイッチでは
  切り替えないで共通にする。

 ② 芯線側は、スズメッキ線などを使って最短距離で接続する。

 恐らく、上記の改良で満足いく程度の性能にはなりそう。手隙になったらやっつけようと思います。

10,000,000分周の1PIC化

2019-06-19      
  タイトルの件は半年以上前に2つのPICで片付けていることなんですが、旧ローカルさんに「CLCを使って1PIC化できるよね」とアドバイスを頂き、手が空いたら何とか1PIC化を試してみようと思っていた宿題です。そして、使用するPICF16F18313・・・いわゆるPIC16F1シリーズ(5桁PIC)はタイマやCCPモジュールの仕様が改善していることから、これらの機能を上手く使うと「もう少し簡単にできるんじゃなかろうか」と当たりを付け、近年無かった会社の忙しさの中で、毎日帰宅してからちょっとずつ実験をしていました。

 まずは条件・・・今回の必要スペックは、10MHzのクロックを1千万分の1に分周して1Hzを得ること、さらに作りかけの周波数カウンタで使用するプリスケーラの分周比(1/64)に対し上手くカウントできる”1.5625Hz”を出力できるようにすることが必要です。この周波数の切り替えには1つのポートをスイッチ代わりに使いますが、この辺りはI/Oポート処理の話で難儀なことはありません。

 一方、周波数の分周には考慮の為所があります。このICは6ポート(RA0~5)を具備、その内1ポート(RA3)は入力専用です。つまり、このポート以外は双方向に使えます。さらに、外部から10MHzの基準クロックを貰うとすると、RA5はこの役目を果たす必要があります。
 残り4ポート・・・まぁ数的には全く問題ありませんが、個々のタイマの分周能力を考えると最低2つ、何れかのポートを使ってをシリアルに接続して動作させる必要があります。

 さて、PIC16F18313には旧来の”Timer0”とは仕様が異なる”New Version”が搭載されています。

 ・8ビットのカウンタが拡張され、16ビットでも動作させることが可能
 ・8ビットのカウンタ2つ(TMR0HとTMR0Lの比較)で「ソフト手間要らず」の周期カウンタを構成可能
  ⇒その上、指定したピンに出力ができる

 最後の「
指定したピンに出力ができる」・・・が実はミソで、この機能はCCPモジュールでCompareモード(Timer1を使用)、PWMモード(Timer2を使用)でも同様に出力指定したピンにクロックが出せますから、組み合わせは様々に考えられます。ただ、分周出力の拡張性を考えると、16ビット動作が十八番のTimer1を組み込んでおいた方が有利です。
 最初は「Fosc/4⇒Timer2⇒Timer1⇒1Hzを出力」と考えてあれこれ弄ってみたんですが、どうも上手く動作しない
 そこで、「Fosc/4⇒Timer1⇒Timer0⇒1Hz」という流れにしたら上手く動かすことができました。

 自分的備忘録として、もう少し詳しく記しておきます。

 ① Timer1のクロックにFosc/4を入力
 ② Timer1のプリスケーラで1/8
 ③ CCP1H:Lに15625分周(15625-1)を設定
 ④ Timer1を使ってCCP1をCompareモードで動作させる
   ⇒一致時にTimer1をクリア、トグルするモード(1/2)
 ⑥ TMR0H:TMR0Lを2:1に設定(1/2分周)
 ⑦ ポストスケーラで1/5分周


 ∴これで1Hz

 Timer1の出力とTimer0の入力は1ポートで賄えるため、結構経済的にポートアサインが可能です 今回は分周機能と1Hz/1.5625Hzの切り替えだけですから、4ポートで実現できてしまいました。個々のタイマを同期モードで動かすことを忘れないように



 実験風景です。上方のソケットに刺さっているのは10MHzの発振器、下方がPICです。クロックはRA5に入れ、RA4をTimer1とTimer0との接点、RA2が出力です。RA0がクロック切り替えポート。

 得られた波形はこんな感じ。



 下の青い方が1Hzの立ち上がり、黄色が10MHzクロックです。これで安定していますから、恐らく上手くいった・・・ってことで、青い方の波形は如何に



 まぁ、ざっとこんな感じになりました。

 今回は1Hz出力を狙いましたが、実はTimer0の分周はたったの「2」ですから、少なくともあと1/100はイケます。即ち、0.01Hz・・・100秒のクロックを作ることもできます。

 と、言うわけで、どうやら”宿題”は片付きました。さぁて、作りかけの周波数カウンタはどうしよう

10MHzのBPF・バッファのシミュレーションとプチ実験

2018-08-19      
 長かった休暇も最終日。一昨日より涼しい日が続いて身体的にはかなり安らいだ気がしますが、この涼しさも今日、明日辺りまでのよう。明後日からは30℃超の夏日がぶり返し、週の後半は台風20号の影響が出てくるかも知れず・・・と、まだまだ天気の変化に右往左往させられそうです

 GPSDOの出力部の設計とシミュレーションを手掛けていますが、漸くこの辺りに目処が立ちました。回路的には「10MHzのフィルタ」と「後続のバッファ」に分けられますが、何と言っても今回の周波数標準としての肝は「ジッタを伴う10MHzの方形波を綺麗な正弦波にする」という部分です。
 当初は”定K型LPFx2段”で高調波を取り除いた信号をバッファに放り込むように考えましたが、ブレボにLPFを組んで実測してみると、10MHzより低い周波数成分が思いの外多く上手くありません。そこで、”7Kボビン”に適当なタンクコイルを巻いたBPFを作ろうと考えましたが、大昔に1個26円で購入してなかなか捌けない”T37-6”を消費すべく「帯域の狭い2ポールのBPF」(3dB帯域が±30KHzで設計)をでっち上げることにしました。

 この記事が夏休みの集大成になりますから()、少し順を追ってこの辺りを図解。



 このフィルタへの入力はインバータ2つを並列にしたバッファで、個々のインバータに240Ωの抵抗をシリーズ接続して使用・・・インピーダンスを120Ωと見立て、これをBPFの入力インピーダンスとします。
 一方、出力インピーダンスは後続のバッファアンプの入力インピーダンスになるため、先にこのバッファアンプをどう作るかを想定しておく必要があります。GPSDOとして”3出力”を具備したいため、ここでは3分配を簡単に済ますべく入力インピーダンスの高いバッファアンプを前提にFET採用・・・こうなると、これまた在庫豊富な”J310”がベストと判断、ゲート抵抗に100KΩを置いて3つを並列接続して33KΩ程度になることを前提にしました。

 このように、このBPFの入出力インピーダンスは大きく異なりますが、特に33KΩという高インピーダンスではLマッチを構成する”CE2”は不要となる一方、同調容量”C2”を大きくして補正する必要があります(補正の仕方は”トロ活”に詳説されていますからそちらを参照して下さい)。この辺りは、自作のBPF設計ツールで暫しカット&トライ・・・と設計を進めました。

 さぁ、ここまで来れば回路として定数を入れ、シミュレートしてみましょう。まずは回路図。



 これはシミュレートを終えた完成版です。BPF出力時点での電圧が高いため、アンプ自体はソースフォロワで済ましても良かったんですが、あれこれ調整しても出力電力として前提にしていた10dBm@50Ωに満たなかったため、軽く増幅することにしました。その結果、今度は逆に若干過大入力になるため、ゲートに直列に抵抗(3.9KΩ)を入れました。
 また、アンプの負荷となるタンク回路のインピーダンスを高くするとこれまたゲインが大きくなり過ぎるため、設計仕様として200Ω程度にしています。Qも3.0と低くしていますから、この同調回路によるフィルタ効果は「刺身のつま」程度

 シミュレーション結果は以下の通りです。



 回路図上の”CLK”と”TP”、”OUT1”から”OUT3”の波形を見ています。”OUTx”の波形は全て重なって最後に描画した”OUT3”(赤)が表示されています。
 ”TP”の波形はBPFの特性を見ていることになりますが、綺麗な正弦波になっていることが解ります。また、”OUTx”の波形が±1Vなっており、凡そ10dBmの出力が確保されていることが解ります。”OUTx”にはそれぞれ-6dBのATTを通していますから、個々のFETは50Ωに対して40mW程度の信号を出力していることになります。

 BPF部分については、ブレボ実験もしてみました。その様子がこちら。



 回路図上の”CLK”と”TP”をそれぞれ見ています。”CLK”の波形では、オーバーシュート・アンダーシュートが結構あり、上下のピークを拾うと6.6V程になります。これをシミュレーションのクロックとして反映させると、”TP”の大きさが実測よりかなり大きくなります。そこで、上下の平均値(2.64V)を2倍した5.3Vでシミュレートしたら、”TP”の値が実測とほぼ合いました。
 もう一つ・・・BPF用に巻いたL1,2(T37-6に0.32φのUEWを20回巻き)は、必要なインダクタンス値を机上計算で求めた後、実際に巻いてから実測した二値を平均して反映させています。

 できればこの休暇中にJ310のバッファアンプ部もブレボ実験に持って行きたかったんですが、どうやら時間切れのよう・・・というのは、この休暇中ビール や酎ハイ などのアルコールを一切控え、完全なる”休肝週間”としたため、流石に今晩はこれから一杯やろうと計画しているからでした

 長かった夏休み・・・自分的にはそこそこヘッポコ実験にも興じられた良い休暇だったと思います。明日から暫く、忙しい日々が・・・と思ったら火曜日は都内の研修会から直帰できそうなんで、秋葉原でも回ってこようと思います

インバータによるバッファの出力電力

2018-08-16      
 昨夕からGPSDOの回路図を引き始めたんですが、先に2つの部分の実験&シミュレーションが必要となり、夜更かししてその作業に取り掛かりました。夜更かしの分、暑い時間はバッチリ昼寝・・・これも長期休暇の醍醐味なのか 今回の記事では、その一つの実験結果をご披露・・・って、そんなに大それたもんじゃないか

 前回の記事に記したように、今回使用するGPSモジュールのPPS出力は方形波でかつかなりのジッタを伴っており、これを整形して綺麗な正弦波に持って行く必要があります。そのためにはそこそこのフィルタ(LPF or BPF)を通してやる必要があり、ひとまずPPS出力をバッファに入れて落ち着かせてからフィルタを通す回路構成にします。バッファ自体はトランジスタ等で作ってもいいんですが、今回はインバータでひとまず受けて、ある程度安定した方形波に整形してからフィルタに通す形で考えました。

 使用するインバータは定番中の定番"74HC04”とし、アンバッファタイプの”74HCU04”も含めてブレボ実験を敢行、その結果を以下に。



 回路自体はよく見かけるものですね。

 まず、PPS出力をインバータで受けてそのまま出力しているのが”Pin2”です。240Ωの抵抗をシリーズに接続して電流を制限(74HCシリーズの通常ポートは、概ね1ポートあたり20mA)しています。出力は50Ωで終端された電力計で計測。
 その後は、残りのインバータを並列接続して出力電力(=電流)を稼いだ場合です。実際、インバータ1つでは波形が反転しますから、「受け用バッファに数個並列のバッファをシリーズ接続」という使い方(つまり、上図中の”OUT”を出力にする)にして、入力波形と同相になるようにしておく方がいいでしょう。

 また、電流制限用の抵抗値がこのバッファの出力インピーダンスとすると、5個並列の”48Ω”の場合以外はミスマッチということになります。

 ”74HC04”と”74HCU04”の比較では、”74HC04”の方が高出力のようです。何となく、アンバッファタイプの方がこうした用途には有利なように思いましたが・・・。

 何れにせよ、インバータ数個の組み合わせで10dBm以上の出力が得られることが解りました。まぁ、電源電圧と電流から考えれば当たり前ですが、こうしたDA変換に近い動きの部分はDDS等のデジタル発振を用いたQRP送信機にも応用できますから、このヘッポコ実験結果も”どよよんTips”としておきましょう

HPFの特性と減衰極

2018-06-23      
 相変わらず”W杯中心”で予定を立てていたりします。直前記事でも触れたように波乱含みの展開で”強さ”の定義が大きく揺らいでいますが、だからこそ面白い・・・って話は置いといて、さっさとヘッポコ実験報告へ。

 ノイズキャンセラに具備するノイズアンプの入力には広範な信号が加わりますが、数百KHz以下の”生活ノイズ”は簡単に遮断できても、中波ローカル局の強烈な信号についてはしっかり考慮しておかないと、このアンプが簡単に飽和してしまいます。

 今回使用予定のノイズアンプは手持ちの多い古参IC”μPC1678G”ですが、このアンプのカタログスペックはそもそもUHF帯のものであり、大きなRFCを抱かせて中波帯まで引っ張るような使い方ではこれらカタログ値を鵜呑みにはできません。そこで、7MHzでIMDを実測するとOIPは”22dBm”となりました。ここからICの利得(実測で21.7dB)を引いた値がIIPとなりますので、丁度0dBmくらいがIIPになりました。

 この「IIP=0dBm」をSメータ換算にすると”S9+77dB”ということになります。過去に何度か実験した”Mini Whip”で、我が家で一番強力なNHK東京第二をTS-590Dで受信してもそこまで強くなく、せいぜい”S9+50dB”といったところ。マージンが30dB近くありますからあまり神経質にならなくて良さそうなものの、まぁ適当なHPFを”精神的免罪符”として入れて軽く減衰させておいても良かろうと、ノイズアンプの前にHPFを入れることにしました。

 まずはシミュレーションから。



 HPFの計算サイトで5ポールのチェビシェフ(帯域内リプル0.05dB以内)として計算、入出力インピーダンスは50Ωです。

 我が家で一番強力なNHK東京第二は693KHzですが、その辺りの減衰量は50dB程度と十分です。次に強力な文化放送は1134KHzで減衰量は26dB程度・・・この辺りは気休めになってしまいますが、まぁ良しとしましょう。では、実際に回路を組んで実測。ちなみに、コイルはT37-2に0.32φのUEWを28回巻きで凡そ3.4μHとなりました。



 手前側の半分がグランドになるよう加工したこのブレッドボードは、水晶フィルタの自作で重宝した奴です。



 シミュレーション結果と殆ど同じになりました この場合、やはりLTSpiceが凄いんだということになりますね。

 実験自体はここまでで良かったんですが、どうしてももう少し減衰させたい場合は”減衰極”を入れて対処することになる・・・というわけで追加実験。出力側のコンデンサ(C3)と並列に20μHのマイクロインダクタ(10μH×2)を入れてみました。



 計算上は16μHくらいが良さそうなんですが、なかなかイカす結果でしょ 丁度文化放送の周波数辺りが60dB近く減衰しているのが判ります。160mバンドに少し暴れが現れましたが、一番ロスが大きいところ(2.1MHz付近)で2dB弱です。今回はここまでしなくても・・・とは思いつつも、ひょっとしたら入れてしまうかも

 これでHPF関連実験も完了、実際の製作まであと少し・・・のはずですが、どうなることやら

信号を合成する回路の実験

2018-06-10      
 今日は昼過ぎから雨・・・絶好の引き籠もり日和となりました 遅めの昼食を平らげた後一杯やりながら、シミュレーションのみで過ごしてしまっている信号の合成回路を実際に組み立てて実験してみることにしました。

 回路図は以下の通り。



 シミュレーションでは、エミフォロ用のトランジスタを適当に選んでいましたが、広帯域特性が必要なこと(=fTが高いこと)と手持ち数の関係から”2SC3355”にしました。また、J310のソース抵抗は180Ωでシミュレートしましたが、丁度手持ちが切れており200Ωで代用。回路図にはありませんが、出力は51Ωの抵抗で終端しています。

 では、この回路に信号を与えて増幅の様子を見てみましょう。まずは、IN2をショートしてIN1から21MHzの信号を入れてみました。



 ほぼシミュレーション通りの結果です。たまたまフェーズシフトのデータ採取時の測定項目が残っていて、位相差が測定されています。この回路では180°が理論値になりますが、若干ズレていますね。ま、これはノイズキャンセルには関係ないんですが、FETやトランジスタの立ち上がり特性と各所の時定数でこんな風に見えるわけです。

 次に、IN1とIN2に同じ信号を入れてみましょう。



 こちらもシミュレーション結果と大差なく、両入力を加算した値の3倍・・・即ちほぼ6倍となっています。この時の出力波形をもう少しクローズアップ。



 特に異常は見られないと判断しました。この状態で入力信号のレベルを上げていくと、出力1.9Vくらいから下端がクリップしてきます。これはエミフォロの抵抗値を弄るともう少し追い込めますが、幾ら何でもオーバースペックの領域ですから、今回実験した回路定数で問題ないでしょう。

 上記のように、信号の合成回路はシミュレーションと同等の結果を得ることができました。周波数特性も調べる必要がありますが、これはノイズキャンセラとして完成させる際に吟味すればいいでしょう。「日曜午後の引き籠もり」の様子はこの辺でお開きに

信号を合成する回路のシミュレーション

2018-05-24      
 梅雨入りにはまだ少し時間がある千葉県北西部は、この季節に時折登場する「寒気の張り出しと下界の暖かさ」というシチュエーションとなり、今日は真夏に負けないほどの積乱雲が見られました。東京都下では、雹が降った様子がニュースになっていました。ただ、地べたを彷徨く我らリーマン軍団にはやはり少々暑い一日・・・活動し難い季節の足音を聞いたように思いました。

 電源を作るぞ と息巻いていたヘッポコ工作ですが少々飽きてしまい(スンマヘン・・・)、RFCの味見などに浮気をしてしまいましたが、まぁ愛人が2,3人居ても良かろうと()突き進んでいます。即ち、この記事のネタは”信号合成”です。

 我が運用環境の命題は、狭っこいベランダに如何に効率の良いアンテナを上げるかということと、建て込んだ周辺住宅からのノイズ攻撃を如何に蹴散らすかということに集約します。QRPと言えど、やはりクリーンな受信環境の構築は重要です
 実は、こっそりと実験を進めてきた中でノイズ信号の増幅と位相シフトについては目処が立ち、漸く最終段階の”受信信号とノイズ信号の合成”(ノイズ成分は180°捻ってある前提での信号合成)について考え始めました。無論、いきなり回路を組んで大失敗しないよう、まずはシミュレータで遊んでみることに。

 信号合成回路の原典は、MFJ1025/1026の当該部分を模倣しました。コイルを上手く巻いて作ることも出来なくはないんですが、ちょっと合成ゲインも欲しかったんで、コイルで組むのを嫌ってまずはシミュレーション



 回路構成はJ310を2個対向させて使った単純なもので、これにエミフォロで出力を補強しています。

 上のシミュレーション波形の下段が入力で、2信号与えていることを判り易くしようという狙いで0.1V@10MHzの信号をほんの少しずらして与えていますが、あまり効果はなかったようですね・・・。
 上段は出力です。IN/OUTで反転出力になりますが、ひとまず良し。合成した信号は(2入力を加算した電圧の)凡そ3倍に増幅されていることが解ります。

 これを基本に、180°捻った信号を与えて信号の打ち消し(=ノイズの打ち消し)をシミュレーションしてみました。



 入力信号のタイミングを弄って180°の反転信号を入れているんで、先頭部分は無視して下さい。上段の出力波形がかなり小さくなり、互いの信号が打ち消し合っている様子が判りますね。

 最後はお遊び



 10MHzと2MHzの信号を合成してみました。なかなか味のある曲線が描けました。勿論、ノイズ信号はもっと複雑ですが、キチンとレベル合わせをして(反転信号と)合成させれば、結構イイ線いきそうです

 近いうちに小基板に組んで、実測ベースのデータ採りをしたいと思います。
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どよよん無線技士

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アパマンというハンデにさらにQRPまで課し、失敗連続のヘッポコリグや周辺機器の製作・・・趣味というより「荒行」か!?

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