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電源修理依頼にお応えして

2020-07-04      
  6月の梅雨入りからかなり雨の日が続いています。我が家の防水工事はきちんと終わり、冬の雪の日に難儀していた階段はやや頼もしい滑り止めが付いてめでたしめでたし・・・まぁ、本当に雪が降ってみないと判りませんが、漸く職人さんがいなくなり”日常”を取り返しました。ただ、どういうわけか週末の悪天候は続くんで、アンテナやらカウンターポイズやらには手が付いていません

 数週前に旧友・・・昔は互いに世田谷区に住み、夜な夜な6mでくっちゃべっていた高校の同級生である自称(他称か)「あーるちゃん」から珍妙なる依頼が舞い込みました。曰く「中古で入手した電源のメーター表示がおかしいんじゃ。どうせならデジタル化したいんで、ちっこい電圧・電流計を付けたらんかい 謝礼はそこそこ出したるで~」(決して関西人ではありません)ということで、謝礼として「萩の月」を指定したら電源と一緒に送られてきたため、早速美味しく頂いた上で、今日はその電源の”デジタル化作業”を行いました。

 ターゲットの電源は、ちょっと古いダイヤモンドの”GSV500”。この電源は、2007年にアマ無線復活のために入手したIC-703用の電源として自分も持っています。メーターの表示がおかしい・・・まぁラジケータ紛いのおまけのようなものですから、経年変化でダメになることは容易に想像できましたが、自分のものはまだ特に不具合無く動いています。到着した電源のメーターをチェックすると、確かに上手く動かない・・・ゼロ調整を緩めてメーターの針を弾くと毎度ゼロには戻ってこないでゼロより少し上だったり下だったりする始末



 メーター自体は綺麗なんで何とか使えないかと思うものの、指示が不正確ではねぇ

 このメーターを外して”中華デジタルメーター”に換装せよというのが依頼・・・ネットに情報があるという紹介付きだったんで「GSV500 メーター 交換」で検索して情報を確認し、早速作業に取り掛かったのが今朝。

 電気的な作業は勝手知ったる中華メーターですから特に問題なく進められました。ところが中華メーターを実物に当てて確認すると、元のメーター用に開いている穴の左右に数ミリの隙間ができてしまうことが判りました。そこで、黒い塩ビの薄いシートをカットして、その隙間ができるだけ目立たないようにしました。



 この前購入したアンプ(2つ前の記事)で電流計測ができるか確認しています。電圧の表示調整は中華メーターの裏面の半固定抵抗でできますが、電流は表示を信じるしかありません。今回はテスターの測定値と比較しましたが、大きな差はありませんでした。

 この改修、結構いい感じに仕上がるので皆さんにもお薦めなんですが、果たしてGSV500を現用にしている方がどのくらいいらっしゃるか判りません。まぁ、読み物的に満足して頂ければ幸い・・・ってか、自分のGSV500も改造しちゃおうかしらん

続・どよよん的コンデンサ容量の決め方

2020-03-01      
  何やら新型ウィルスの影響が大きくなってきました。今週末は会社の合宿研修予定でしたが、直前になってキャンセルにしました。研修初日の夕刻に懇親会を準備したものの、ビュッフェ形式は流石に・・・という感じで研修自体も”無期延期”。この状態が長引くと、4月に迎え入れる新入社員研修にも影響が出そうで不安です
 連日の報道はどこか東日本の震災に似て、TV・新聞の一般報道はこぞって同じソースのものを流しています。まぁ、既にこれら一般報道には目もくれず専らネットの情報を紡いでますが、やはりあまり良い情報には触れなくなっており少々メゲ気味です。せめて、ヘッポコ駄文でも認めて、気分アゲアゲに・・・って、そんなに上手く行くかな

 前回記事の提案者であるbachさんから、さらにコメント話頂きました。「各コンデンサの求め方は数式 ”f=(1/2πRC)” と関係があるのでは」・・・なるほど、そう言われてみれば関係がありそうですね。

 と言うわけで、ちょいと探ってみることにしました。

 前回の記事では、低周波アンプの結合コンデンサ・バイパスコンデンサの周波数特性に着目し、その容量の求め方について入出力のインピーダンスに着目してLTspiceでシミュレートし、そこそこ通用しそうな線で答えを導きましたが、確かに原理的な数式で裏打ちできれば良いですよね

 では、いきなりですがグラフをご覧下さい。



 前回記事に引き続き結合コンデンサの特性をまとめたものですが、今回は入出力インピーダンスに着目して、入力インピーダンスが0Ωの場合と3KΩの場合を”出力 = 0dB”に正規化して比較しました。その上で、3dBダウンの場合のシミュレート値と ”f=(1/2πRC)” で求めた場合を併記しました。
 なるほど、この結果が裏付けするように、入力インピーダンスと出力インピーダンスを合算(この場合は3KΩ + 3KΩ = 6KΩ)して計算で求めた値が、この結合コンデンサ”0.1uF”の周波数特性になります。と言うことは、前段の出力インピーダンスと低周波アンプを構成するトランジスタアンプの入力インピーダンスが求まれば、これを合計して計算で求められることになります。

 今回は、低周波アンプをトランジスタのHFEが高い領域で動作させるのためほぼ無視でき、バイアス回路の合成抵抗で置き換えることができますから、前回記事とこの記事の”裏付け”で充分です。
 また、バイパスコンデンサについては、前回記事で特性をシミュレーションするために置いた1Ωの抵抗も単純な足し算で上手く行くことが判りました(200Ωと1Ωの合計で考えればOK)から、上記の数式で求められることが解ります。

 これが高周波アンプやもっと大出力の低周波アンプになると、トランジスタのHFEや必要なIcで違ってきます・・・って言うか、もっと低くなります。特に無線系の自作では高周波アンプを上手いこと作りたいわけで、例の ”Zi = 26β/IE(mA)”も登場しますから、さらに複雑になってきますね。
 ただ、HFEやIcの値は条件を整えれば客観的に調べることができますから、実験ベースでこれらの値を求めて回路設計に反映させることは、今の自分にもできそうです。そう、ブレボ実験の範疇で 

 またしても1つお利口さんになった気がしますが、まぁ、これもヘッポコさん所以の自己満足・・・それでも、理解が深まることは、幾つになっても楽しいですね

ヘッポコの極み・・・回路の中のコンデンサ耐圧に関する発見

2020-02-11      
  巷は、新型コロナウィルスの件で話題沸騰となっていますね。昨日は、所属会社のグループ一斉に海外渡航に纏わる注意喚起のメールが飛んできましたが、門外漢の自分としてはどこかピンと来ません。手洗いとうがいの励行を最優先に流行性感冒やインフルの予防と同じ防護策しか無さそうですから、変に慌てずに対処したいと思います。

 ここ数ヶ月は、段階的に家の中の家具入れ替えを進めるため、なかなか落ち着いてヘッポコ工作に手を染め難いことになります。手始めとして、我が納戸シャックにあったキーボード(KORGのちゃんとした奴)が出て行き、代わりに部品整理棚が一昨日の日曜夕刻に届いて今日の祝日を部品整理に充てていますが、一寸違うことに手を染めてしまっています 果たして今日中に終わるんかいなぁ

 年末・年始からオーディオ寄りの工作記事が続きますが、実はピロースピーカーとして、8cmユニットが入る10cm四方の密閉型スピーカーを製作中です。既に形にはなっているんですが、上記の通り家具の入れ替えがあることに加えて塗装にも手を染めたい(塗装だけに・・・っておい)と考え、前面パネルは小型のクランプで仮止めして視聴しています。
 このスピーカー云々は別記事に譲ることにしますが、今使っている”Sound Blaster play! 3”の出力で鳴らすのは心許なく、数百mWのアンプでもこしらえようかと例によってLTspiceで回路シミュレーションを始め、そこそこ煮詰まっています。そして、その回路のあちこちの電圧を測っていたら、超当たり前なことに気付きました。

 ※注意:ここから先、ベテラン工作士の方々には無用、Yahooニュースでもご覧頂いた方が無難ですぜ。


 さて、何に気付いたかというと・・・まずは回路図をご披露。



 0.5Wクラスのミニ・オーディオアンプです。Q1は無くてもいいんですが、入出力の位相が引っ繰り返るのがちょっと嫌で入れています。その後段にはオーソドックスなSEPPを配しています。これで1W弱までは、歪みも少ない出力が可能でしょう。

 この回路のシミュレーションをしながらあちこちの定数を弄っていて気付いたのが、各コンデンサに加わる電圧についてです。C1から順に見てみると・・・

 C1:入力が小さいため、Q1のバイアス電圧である1.97V程度
 C2:Q1の出力に重畳された7.89VとQ2のバイアス電圧である1.47Vの差
 C3:A級増幅のエミッタ部であり、1.06V程度で一定
 C4,C5:電源部であり、凡そ電源電圧(12V)と同程度
 C6:Q3とQ4の出力電位6.19Vを中心上下に数V動く程度
 C7:ここに接続するコンデンサはケミコンでは無いため、あまり考慮は要らない

 如何でしょうか 交流が掛かる部分はその電圧の振れ幅を考慮する必要があります。また、マージンをどの程度取るかは、設計者の経験がモノをいう部分ですが、仮にアマチュア仕様として”1.5倍”とすると・・・

 C1,C3:6.3V
 C2:10V
 C4,C5:16V
 C6:10Vまたは16V

ということになりますね。

 ケミコンは、耐圧によって大きさ・・・さらに価格(低耐圧ほど安い)まで違ってきますから、何か大物をこしらえる場合やキットで量販しちゃったりする場合には、この辺りが響いてくるかも知れません。これまで何となく、或いは面倒くさくて「電源電圧が12Vだから16Vでよいな」とあまり深く考えていませんでしたが、今後はコンデンサに掛かる電圧にも目を向けて、少しでもお財布に優しい設計を心がけたいと思った次第。

 これも、ヘッポコ所以の記事になってしまいましたが、自分以外のどなたかの参考になれば幸いです

LM380Nアンプの特性をシミュレートしてみた

2019-12-21      
  小型のオーディオアンプはケース加工を終え、残るは配線するだけの状態になりました。とっとと完成させればいいんですが、またしても”シミュレーションしたい病”を発症してしまい、ネットからLM380Nのspiceデータを拾ってきてモデル化し、このICの”ノーマル使い”と”NFB使い”の差を検証しました。

 そもそも今回の小型アンプに採用するICは、かれこれ40年近く前にLM380Nモドキとして安く売られていた”ULN2280B”というものを使ってひとまず形にしました。あまりに古い部品箱の死蔵品だったため放熱的にはあまり好ましくないICソケットを採用して、いざ「ウントモスントモ」の場合に本家を使うように備えましたが、試運転ではゴキゲンな音を聞かせてくれました。
 まぁ、今更本家のシミュレーションをしても仕方が無いんですが、そこはそれ、誰も咎めることのできない「シュミの世界」ですから、堂々とシミュレーションを楽しみましょう

 まずは、シミュレートした回路です。回路の定数は、既に組み立て済みのアンプのものと合わせています。



 LM380Nのモデルは、本当はオペアンプ記号のような横向き三角形にしたかったんですが、拾ってきたデータをモデル化したらこの形になったんでそのまま使ってます
 回路の肝は、C3,R2,R3で構成されるフィードバック回路。フィードバック量はR3の増減で簡単にできます。即ち、””ノーマル使い”の場合はこれらの部品を外して”inn”をグランドに落とします。

 それでは早速、シミュレートされた特性を見てみましょう。これは、LTspiceのシミュレーション結果をテキストで吐き出し、そのデータをExcelの散布図で描いています。1000Hz以下をグラフ化していますが、1000Hz以上の可聴周波数域はずっと同じ特性が続きます。



 最初はゲイン。グラフの注釈では”GA”としていますが、”ノーマル使い”を赤線、”NFB使い”を青線で描いています。1000Hzから下の方に辿っていくと、”ノーマル使い”では100Hz付近から下に向かってゲインがなだらかに落ちていきますが、”NFB使い”の方は10Hz辺りまでほぼ利得が一定になっています。その代わり、”NFB使い”の方は凡そ10dB程ゲインが低くなっていますね。まぁ、いちいち解説も要りませんが、NFBを掛けたときのポピュラーな特性(利得が一定の帯域が広がる)になっています。

 グラフの真ん中やや上に注釈していますが、10Hzから40Hz位の所に若干ゲインが高い帯域がありますね。これは、フィードバック量が若干大きいために起きています。シミュレーション上、R3を減らして(3.3KΩ程度)もう少し調整することが可能なことは確認しましたが、あまり気にすることもないでしょう。
 逆に、フィードバック量を極端に増やして・・・例えばR3を33KΩくらいまで持って行くと、10Hz以下までゲインが平坦の領域は広がる一方、その下に極端なゲインの山が現れます。その上、平坦域のゲインもどんどん減っていきます(十数dB程度になってしまう)から丁度いい頃合いがある・・・というわけで、R3の値は4.7KΩで良さそうです。

 このゲインに関する吟味は、実は100Hz以下を云々しているわけです。LM380Nの出力は精々1,2Wですから、この電力で駆動できるスピーカーはあまり大きな口径のものにはなりません。当然低音域の再生は苦しくなりますから、このゲインの平坦化は実はあまり意味が無いものと思います。ただ、ヘッドホン試聴する場合、或いはお耳の敏感な御仁にはその差がわかるかも知れません。自分には判らないかも

 このグラフの下の方にノイズの様子もシミュレートしています。グラフの注釈は雑音としていますが、”ノーマル使い”を橙線、”NFB使い”を水色線で描いています。こちらも、フィードバックの有り無しで凡そ10dBの差が描かれていますが、これはひょっとするとゲインの差がそのまま現れているような気がします。勿論、NFBの効用の1つに低ノイズ化があることは判っていますが、やや怪しい結果となりました

 歪みについてもシミュレートしてみました。こちらは、LTspiceで描かれたグラフを画像でセーブして作っています。



 これは、”ノーマル使い”と”NFB使い”共に出力が1W(0dB)になるように入力を加減して描いています。信号として1KHzの正弦波を与えて、そのハーモニクスを見ている感じです。
 この2つのグラフを比較してみると、第二高調波である2KHzで既に10dBの差があるように読み取れ、それ以上の高調波も10dB以上低くなっています。10dBの差ということでゲイン差と符合してしまっていますが、少なくとも出力は同じにしていますから、同じ音量で視聴する場合の歪みは”NFB使い”の方が有利そうです。これが、LM380Nの”非革命アンプ”の優れた点ということなんでしょうね。

 これで漸く”シミュレーションしたい病”から解放されました

極性のあるケミコンは逆電圧に弱い!

2019-12-18      
  いろいろと多忙だった仕事が昨日落ち着いたため、有給休暇を取りました。朝早くに目覚めて新聞を取りに外に出たら、「これぞ、濃霧」と言えるような濃い霧が出ていました。午後からは気温が上がるらしく、”百均ゆっくり巡り”でもしようかと画策しています。

 9時過ぎにスマホがピロリンと鳴ったんで「まさか、急な呼び出し」とビビりましたが、Amazonに注文していた品物が届いた知らせでした。階下のポストに取りに行き、まずはその中の9Vの充電電池を9V動作の測定器等々にぶっ込んでさらに他の品物を見たら、何と注文個数が入っていないというハプニング発生 Amazonに電話したら「返品してくれ」と言われ、「いやいや、不足分を送ってくるのが筋でしょう・・・」と言い返したら、結果的に「返品無用、届いた品はそのまま使って良し、お金は全額戻すよ」となりまして、何やら(その品物に関しては)タダ貰いに相成りました 1000円くらいの品物でしたが、期せずしてトクしちゃいました

 さて、この記事の序章はこれくらいにして・・・お伝えしたいのは、リプルフィルタの実験でやっちまった件です。

 実は、ACアダプタに平滑コンを増量した場合のノイズ低減具合を確認するため470μFのケミコンを使ったんですが、誤って±を逆接してしまいました・・・それも2つも その場では部品箱に戻さずはねておき、さっき9V充電電池を入れ替えたDE-5000で容量を測ってみると、2つとも1pF前後の値になっていました。



 何れも何分も逆接していたわけではなく、数十秒レベルだと思うんです。見た目には何の変化もありません。

 少し調べてみると、ケミコンのマイナス側は耐圧を施す仕掛けがなく精々1.5V程度が限度のようで、今回は実験時の12Vが印可されちゃってますから、ぶっ壊れたのも無理はないといったところでしょう。交流の整流を行う場合や比較的電位差のある入力に極性有りのケミコンを使う場合には、よく考えなければなりません。有極性ケミコンの逆接は危険・・・何となく知ってたことなんですが、この2つのコンデンサぶっ壊しの件で痛感した次第です

 これをお読みの皆さんも、逆接してしまったケミコンを「短時間だから平気でしょう」と高を括らずに確認して下さいね。

リプルフィルタの検証

2019-12-15      
  オーディオ用のミニアンプを製作中ですが、電源にスイッチング式のACアダプタを採用すべく考えています。スイッチング電源はノイズ源として有名()ですが、スイッチング周波数である数十KHz以上が酷いことになってはいるものの、それ以下の周波数は比較的大人しいと言われています。ただ、電源としての平滑コンの容量不足(小型化のため、大きな容量のコンデンサが出力に入っていない)から推察すると、やはりノイジーなのでは・・・と考え、今日はこの辺りを検証することにしました。

 まずは実験回路図から・・・LTspiceでシミュレートすべく描いたものです。



 非常に簡単な回路です。”P”が電源の直接出力で、その後方にリプルフィルタを配しました。

 サンプルに採用したトランジスタは、Ic=1A程度のものから適当にチョイスしています。この回路の肝はR1とC1で構成されるLPFで、R1,C1共に大きいほど低い周波数までフィルタリングできますが、R1が大きいと出力の電圧降下が大きくなり過ぎるし、C1もあまり大きいと突入電流が大きくなりますから、言わば”頃合い”があるわけです。シミュレーションをあれこれ行って、そこそこの結果になったのがこの回路定数です。
 出力の負荷は適当に選んであります。これで75mA程度流れている状態をシミュレートしていますが、今回作るアンプの”普段使い”の状態ではこんなモンかなぁという正に適当です これで、出力電圧は0.8V程度降下・・・11.2Vくらいになるようです。



 フィルタリングの特性はこんな感じになりました。電源ハムで問題となる100Hz(@東日本)でも-40dB以上稼げるようで、それ以上の周波数はさらにフィルタリングが利くようです。因みに、通過電流が大きくなるとフィルタの特性は悪い方向に動きます。シミュレーションでは、電流を10倍にすると100KHzで10dBくらい落ちるようです。

 早速ブレボ&APB-3でお試し。最初は、ACアダプタの出力を直接測定・・・回路図上の”P”の位置で測定しました。



 APB-3の入力には直流遮断用に0.1μFのセラコンをつなぎ、1MΩの入力インピで測定。スイッチング電源特有のノイズの出方がよく判ります。35KHz辺りがスイッチング周波数、その高調波も見えています。このノイズが中波帯を超えて数MHzまで広がっているわけですね。

 次に、”P”の位置に470μFのケミコンを接続・・・平滑コンの増量です。



 少し効果がありそう・・・総じて-5dBから-10dB程度でしょうか。もう少し大きな容量のコンデンサの方が良さそうですが、やはり効果はあるというわけです。ACアダプタを使う小物製作の際には”馬鹿避け”に採用しても良さそうです。

 それではお待ちかねのリプルフィルタの登場・・・トランジスタには、2SC3422を使いました。平滑コン増量は無し。



 如何ですか かなり低減できていますね 出力電圧は、シミュレーションと同等の11.2Vとなりました。

 今回はこのリプルフィルタをオーディオアンプで使おうとしていますから、下の方の周波数をクローズアップしてみましょう。まずは、電源出力を3KHzまでのスパンで観測。



 これが、リプルフィルタを通すと以下のようになります。平滑コンの増量は無し。



 可聴周波数付近でも、かなり効果がありますね。ブレボのバラックで測定してるんで、電源ハムに纏わる50Hzの高調波が直接飛び込んでしまう部分は、実際のフィルタリング特性より悪く出てしまっていると思いますから、ケースに入れた状態ならもう少し良い結果になると思います。無論、電源出力そのままの測定にも同じことが言えますよ。

 それにしても、トランジスタ1石でこれだけ効果的なフィルタが作れるところが良いですね。三端子レギュレータの追加より熱的に有利ですし、自作測定器のノイズに対してクリチカルな部分にはどんどん採用したいと思います。

 このリプルフィルタは、製作中オーディオアンプに採用することにしました。来週末には完成に持って行きたいと思います。

やはり〇〇クオリティ・・・でも改良したら使えそうな同軸切替器

2019-11-10      
  今年の夏にSDRを手に入れて暫く遊んでいましたが、我がシャックに引き込んだ同軸は2ポートの切替しかできず、このSDR用に3ポート化したくなりました。あれこれ調べてみると、メーカー製のちゃんとした奴・・・UHF帯までカバーできる3ポートの切替器はそこそこの値段であり、精々VHF帯までで良いどよよん局長にはそもそもオーバースペックです。
 そこで、中華の同軸切替器なんてあるのかしらん・・・と調べてみるとあちこちに情報があって、それも1.5K前後で販売していることが判りました。ヤ〇オクやア〇ゾンでも手に入ることから中でも安そうな奴をポチって入手、SDR受信で活躍するようになりました。

 このスイッチ、何と”1000 Watts”と銘打ったシールが貼られた金属製のケーシングで好感は持てるものの、どう考えても「安物のロータリースイッチを使用してる感」が否めませんでした。万一送信した場合の他ポートへのアイソレーション不足を憂慮し、50MHz@5W出力で他ポートへのリークを測定したら何と20mWも漏れ出していました dB換算で-24dB・・・これじゃぁ、ちょっとした結合器ですやん

 仮に20mWもリークしていると、例えば過大入力に弱いSDRなどの機器には結構なダメージになるでしょうし、そもそも減衰が大きいことの証左でもありますね。

 ・・・ということで、今日はこの切替器の中を覗いてみました。



 思ったより酷い有様でした 2回路4接点のロータリースイッチに、同軸の芯線と網線を別系統にして接続しています。それも、ちょっと太めの被覆線で無造作に接続しているだけのもの。ダミーロードをつないでSWRを測ってみると、15m以下では1.2以下ではあるものの、6mで2以上、2mでは4以上となっていました。詳細の確認をしても仕方が無いんでこれ以上は止めましたが、まぁHF帯用としてはイケてるとも言えますね・・・。

 ここで、改良案を考えてみました。

 ① 黒い塗装がかなりしっかりしているため、ケースの地金を出す
  (紙ヤスリ等で研磨)のは面倒、銅テープをケース内側に貼って
  グランドにするのが良さそう。つまり、グランドをスイッチでは
  切り替えないで共通にする。

 ② 芯線側は、スズメッキ線などを使って最短距離で接続する。

 恐らく、上記の改良で満足いく程度の性能にはなりそう。手隙になったらやっつけようと思います。

10,000,000分周の1PIC化

2019-06-19      
  タイトルの件は半年以上前に2つのPICで片付けていることなんですが、旧ローカルさんに「CLCを使って1PIC化できるよね」とアドバイスを頂き、手が空いたら何とか1PIC化を試してみようと思っていた宿題です。そして、使用するPICF16F18313・・・いわゆるPIC16F1シリーズ(5桁PIC)はタイマやCCPモジュールの仕様が改善していることから、これらの機能を上手く使うと「もう少し簡単にできるんじゃなかろうか」と当たりを付け、近年無かった会社の忙しさの中で、毎日帰宅してからちょっとずつ実験をしていました。

 まずは条件・・・今回の必要スペックは、10MHzのクロックを1千万分の1に分周して1Hzを得ること、さらに作りかけの周波数カウンタで使用するプリスケーラの分周比(1/64)に対し上手くカウントできる”1.5625Hz”を出力できるようにすることが必要です。この周波数の切り替えには1つのポートをスイッチ代わりに使いますが、この辺りはI/Oポート処理の話で難儀なことはありません。

 一方、周波数の分周には考慮の為所があります。このICは6ポート(RA0~5)を具備、その内1ポート(RA3)は入力専用です。つまり、このポート以外は双方向に使えます。さらに、外部から10MHzの基準クロックを貰うとすると、RA5はこの役目を果たす必要があります。
 残り4ポート・・・まぁ数的には全く問題ありませんが、個々のタイマの分周能力を考えると最低2つ、何れかのポートを使ってをシリアルに接続して動作させる必要があります。

 さて、PIC16F18313には旧来の”Timer0”とは仕様が異なる”New Version”が搭載されています。

 ・8ビットのカウンタが拡張され、16ビットでも動作させることが可能
 ・8ビットのカウンタ2つ(TMR0HとTMR0Lの比較)で「ソフト手間要らず」の周期カウンタを構成可能
  ⇒その上、指定したピンに出力ができる

 最後の「
指定したピンに出力ができる」・・・が実はミソで、この機能はCCPモジュールでCompareモード(Timer1を使用)、PWMモード(Timer2を使用)でも同様に出力指定したピンにクロックが出せますから、組み合わせは様々に考えられます。ただ、分周出力の拡張性を考えると、16ビット動作が十八番のTimer1を組み込んでおいた方が有利です。
 最初は「Fosc/4⇒Timer2⇒Timer1⇒1Hzを出力」と考えてあれこれ弄ってみたんですが、どうも上手く動作しない
 そこで、「Fosc/4⇒Timer1⇒Timer0⇒1Hz」という流れにしたら上手く動かすことができました。

 自分的備忘録として、もう少し詳しく記しておきます。

 ① Timer1のクロックにFosc/4を入力
 ② Timer1のプリスケーラで1/8
 ③ CCP1H:Lに15625分周(15625-1)を設定
 ④ Timer1を使ってCCP1をCompareモードで動作させる
   ⇒一致時にTimer1をクリア、トグルするモード(1/2)
 ⑥ TMR0H:TMR0Lを2:1に設定(1/2分周)
 ⑦ ポストスケーラで1/5分周


 ∴これで1Hz

 Timer1の出力とTimer0の入力は1ポートで賄えるため、結構経済的にポートアサインが可能です 今回は分周機能と1Hz/1.5625Hzの切り替えだけですから、4ポートで実現できてしまいました。個々のタイマを同期モードで動かすことを忘れないように



 実験風景です。上方のソケットに刺さっているのは10MHzの発振器、下方がPICです。クロックはRA5に入れ、RA4をTimer1とTimer0との接点、RA2が出力です。RA0がクロック切り替えポート。

 得られた波形はこんな感じ。



 下の青い方が1Hzの立ち上がり、黄色が10MHzクロックです。これで安定していますから、恐らく上手くいった・・・ってことで、青い方の波形は如何に



 まぁ、ざっとこんな感じになりました。

 今回は1Hz出力を狙いましたが、実はTimer0の分周はたったの「2」ですから、少なくともあと1/100はイケます。即ち、0.01Hz・・・100秒のクロックを作ることもできます。

 と、言うわけで、どうやら”宿題”は片付きました。さぁて、作りかけの周波数カウンタはどうしよう

10MHzのBPF・バッファのシミュレーションとプチ実験

2018-08-19      
 長かった休暇も最終日。一昨日より涼しい日が続いて身体的にはかなり安らいだ気がしますが、この涼しさも今日、明日辺りまでのよう。明後日からは30℃超の夏日がぶり返し、週の後半は台風20号の影響が出てくるかも知れず・・・と、まだまだ天気の変化に右往左往させられそうです

 GPSDOの出力部の設計とシミュレーションを手掛けていますが、漸くこの辺りに目処が立ちました。回路的には「10MHzのフィルタ」と「後続のバッファ」に分けられますが、何と言っても今回の周波数標準としての肝は「ジッタを伴う10MHzの方形波を綺麗な正弦波にする」という部分です。
 当初は”定K型LPFx2段”で高調波を取り除いた信号をバッファに放り込むように考えましたが、ブレボにLPFを組んで実測してみると、10MHzより低い周波数成分が思いの外多く上手くありません。そこで、”7Kボビン”に適当なタンクコイルを巻いたBPFを作ろうと考えましたが、大昔に1個26円で購入してなかなか捌けない”T37-6”を消費すべく「帯域の狭い2ポールのBPF」(3dB帯域が±30KHzで設計)をでっち上げることにしました。

 この記事が夏休みの集大成になりますから()、少し順を追ってこの辺りを図解。



 このフィルタへの入力はインバータ2つを並列にしたバッファで、個々のインバータに240Ωの抵抗をシリーズ接続して使用・・・インピーダンスを120Ωと見立て、これをBPFの入力インピーダンスとします。
 一方、出力インピーダンスは後続のバッファアンプの入力インピーダンスになるため、先にこのバッファアンプをどう作るかを想定しておく必要があります。GPSDOとして”3出力”を具備したいため、ここでは3分配を簡単に済ますべく入力インピーダンスの高いバッファアンプを前提にFET採用・・・こうなると、これまた在庫豊富な”J310”がベストと判断、ゲート抵抗に100KΩを置いて3つを並列接続して33KΩ程度になることを前提にしました。

 このように、このBPFの入出力インピーダンスは大きく異なりますが、特に33KΩという高インピーダンスではLマッチを構成する”CE2”は不要となる一方、同調容量”C2”を大きくして補正する必要があります(補正の仕方は”トロ活”に詳説されていますからそちらを参照して下さい)。この辺りは、自作のBPF設計ツールで暫しカット&トライ・・・と設計を進めました。

 さぁ、ここまで来れば回路として定数を入れ、シミュレートしてみましょう。まずは回路図。



 これはシミュレートを終えた完成版です。BPF出力時点での電圧が高いため、アンプ自体はソースフォロワで済ましても良かったんですが、あれこれ調整しても出力電力として前提にしていた10dBm@50Ωに満たなかったため、軽く増幅することにしました。その結果、今度は逆に若干過大入力になるため、ゲートに直列に抵抗(3.9KΩ)を入れました。
 また、アンプの負荷となるタンク回路のインピーダンスを高くするとこれまたゲインが大きくなり過ぎるため、設計仕様として200Ω程度にしています。Qも3.0と低くしていますから、この同調回路によるフィルタ効果は「刺身のつま」程度

 シミュレーション結果は以下の通りです。



 回路図上の”CLK”と”TP”、”OUT1”から”OUT3”の波形を見ています。”OUTx”の波形は全て重なって最後に描画した”OUT3”(赤)が表示されています。
 ”TP”の波形はBPFの特性を見ていることになりますが、綺麗な正弦波になっていることが解ります。また、”OUTx”の波形が±1Vなっており、凡そ10dBmの出力が確保されていることが解ります。”OUTx”にはそれぞれ-6dBのATTを通していますから、個々のFETは50Ωに対して40mW程度の信号を出力していることになります。

 BPF部分については、ブレボ実験もしてみました。その様子がこちら。



 回路図上の”CLK”と”TP”をそれぞれ見ています。”CLK”の波形では、オーバーシュート・アンダーシュートが結構あり、上下のピークを拾うと6.6V程になります。これをシミュレーションのクロックとして反映させると、”TP”の大きさが実測よりかなり大きくなります。そこで、上下の平均値(2.64V)を2倍した5.3Vでシミュレートしたら、”TP”の値が実測とほぼ合いました。
 もう一つ・・・BPF用に巻いたL1,2(T37-6に0.32φのUEWを20回巻き)は、必要なインダクタンス値を机上計算で求めた後、実際に巻いてから実測した二値を平均して反映させています。

 できればこの休暇中にJ310のバッファアンプ部もブレボ実験に持って行きたかったんですが、どうやら時間切れのよう・・・というのは、この休暇中ビール や酎ハイ などのアルコールを一切控え、完全なる”休肝週間”としたため、流石に今晩はこれから一杯やろうと計画しているからでした

 長かった夏休み・・・自分的にはそこそこヘッポコ実験にも興じられた良い休暇だったと思います。明日から暫く、忙しい日々が・・・と思ったら火曜日は都内の研修会から直帰できそうなんで、秋葉原でも回ってこようと思います

インバータによるバッファの出力電力

2018-08-16      
 昨夕からGPSDOの回路図を引き始めたんですが、先に2つの部分の実験&シミュレーションが必要となり、夜更かししてその作業に取り掛かりました。夜更かしの分、暑い時間はバッチリ昼寝・・・これも長期休暇の醍醐味なのか 今回の記事では、その一つの実験結果をご披露・・・って、そんなに大それたもんじゃないか

 前回の記事に記したように、今回使用するGPSモジュールのPPS出力は方形波でかつかなりのジッタを伴っており、これを整形して綺麗な正弦波に持って行く必要があります。そのためにはそこそこのフィルタ(LPF or BPF)を通してやる必要があり、ひとまずPPS出力をバッファに入れて落ち着かせてからフィルタを通す回路構成にします。バッファ自体はトランジスタ等で作ってもいいんですが、今回はインバータでひとまず受けて、ある程度安定した方形波に整形してからフィルタに通す形で考えました。

 使用するインバータは定番中の定番"74HC04”とし、アンバッファタイプの”74HCU04”も含めてブレボ実験を敢行、その結果を以下に。



 回路自体はよく見かけるものですね。

 まず、PPS出力をインバータで受けてそのまま出力しているのが”Pin2”です。240Ωの抵抗をシリーズに接続して電流を制限(74HCシリーズの通常ポートは、概ね1ポートあたり20mA)しています。出力は50Ωで終端された電力計で計測。
 その後は、残りのインバータを並列接続して出力電力(=電流)を稼いだ場合です。実際、インバータ1つでは波形が反転しますから、「受け用バッファに数個並列のバッファをシリーズ接続」という使い方(つまり、上図中の”OUT”を出力にする)にして、入力波形と同相になるようにしておく方がいいでしょう。

 また、電流制限用の抵抗値がこのバッファの出力インピーダンスとすると、5個並列の”48Ω”の場合以外はミスマッチということになります。

 ”74HC04”と”74HCU04”の比較では、”74HC04”の方が高出力のようです。何となく、アンバッファタイプの方がこうした用途には有利なように思いましたが・・・。

 何れにせよ、インバータ数個の組み合わせで10dBm以上の出力が得られることが解りました。まぁ、電源電圧と電流から考えれば当たり前ですが、こうしたDA変換に近い動きの部分はDDS等のデジタル発振を用いたQRP送信機にも応用できますから、このヘッポコ実験結果も”どよよんTips”としておきましょう
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アパマンというハンデにさらにQRPまで課し、失敗連続のヘッポコリグや周辺機器の製作・・・趣味というより「荒行」か!?

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