APB-3のスペアナモードの周波数特性補正
2016-07-03
昨日は大きな宴会があり、午前中から夕方まで飲んでいました。流石に夕飯を食べたら爆睡
で今日は完全なる休息日・・・本当はプチ実験を画策していたんですが、水が低いところに流れるが如く(
)手元でできる簡単なことに着手。これとて直前記事で足を洗ったはずなのにやはり気になる部分は気になる・・・ということで、題名の通りさらなるAPB-3 のソフト改良を行いました。
直前記事ではAPB-3のスペアナモードにおいて測定対象周波数・・・1MHzから40MHzの測定時の電力値について検証し、10MHz以上での感度低下が結構あることが判りました。これは、AD変換による測定では仕方がないところであり、ひとまずその様子をきちんと知っておきたかったわけです。
一方、周波数の基準となるクロックの微調整を行うべくAPB-3のPC上の制御ソフトに手を入れ始めたら、自分なりのアレンジが利くことが判り、この感度低下の補正にまで手を出そうと思い立ちました。
まず、例によってSGの出力を基準に見立て、この電力とスペアナモードの表示電力のズレを周波数毎に偏差としてまとめてみました。

これを見ると、1MHzから20MHzまでは±0.3dB程度の偏差にまとまっています。しかし、30,40MHzは感度低下が顕在化していることがはっきり判りますね。また、(-5dBmから)-60dBmのぐらいまで測定電力では、各周波数における偏差がかなりリニアです。そこで、-10dBmから-60dBmまでの値を使って各周波数で平均を取り、この値で近似式を導いてみました。この辺りはExcel の十八番

比較的綺麗な近似曲線が描けています。プログラムの修正は、この多項式をグラフ表示のデータ生成部分に埋め込めばいいんですが、後々さらに微調整する場合を考慮して、この式から導き出される「MHz単位の値」で配列データを作っておき、これを参照して補正する形としました。また、10MHzを正規化基準とするため、10MHzでの偏差が「0」になるように全体の値を少し小さくしました。
本日午後からチマチマと作業し、夕方にはプログラム改修は終わりました。ソースプログラムの改修の様子は面倒なんでアップしません

各周波数の偏差が-60dBmまででは±0.1dBチョイ程度まで補正することができました。これで、発振器の高調波測定などのポピュラーな測定には十分でしょう。また、-60dBm以下の電力測定においても、±0.3dBm程度には納めることができました。もう少し追い込むこともできますが、ひとまずはこの辺りで留めたいと思います。
直前記事で打ち止めの予定だったAPB-3の改修・・・本当にお開きにしたいんだけどなぁ


直前記事ではAPB-3のスペアナモードにおいて測定対象周波数・・・1MHzから40MHzの測定時の電力値について検証し、10MHz以上での感度低下が結構あることが判りました。これは、AD変換による測定では仕方がないところであり、ひとまずその様子をきちんと知っておきたかったわけです。
一方、周波数の基準となるクロックの微調整を行うべくAPB-3のPC上の制御ソフトに手を入れ始めたら、自分なりのアレンジが利くことが判り、この感度低下の補正にまで手を出そうと思い立ちました。
まず、例によってSGの出力を基準に見立て、この電力とスペアナモードの表示電力のズレを周波数毎に偏差としてまとめてみました。

これを見ると、1MHzから20MHzまでは±0.3dB程度の偏差にまとまっています。しかし、30,40MHzは感度低下が顕在化していることがはっきり判りますね。また、(-5dBmから)-60dBmのぐらいまで測定電力では、各周波数における偏差がかなりリニアです。そこで、-10dBmから-60dBmまでの値を使って各周波数で平均を取り、この値で近似式を導いてみました。この辺りはExcel の十八番


比較的綺麗な近似曲線が描けています。プログラムの修正は、この多項式をグラフ表示のデータ生成部分に埋め込めばいいんですが、後々さらに微調整する場合を考慮して、この式から導き出される「MHz単位の値」で配列データを作っておき、これを参照して補正する形としました。また、10MHzを正規化基準とするため、10MHzでの偏差が「0」になるように全体の値を少し小さくしました。
本日午後からチマチマと作業し、夕方にはプログラム改修は終わりました。ソースプログラムの改修の様子は面倒なんでアップしません


各周波数の偏差が-60dBmまででは±0.1dBチョイ程度まで補正することができました。これで、発振器の高調波測定などのポピュラーな測定には十分でしょう。また、-60dBm以下の電力測定においても、±0.3dBm程度には納めることができました。もう少し追い込むこともできますが、ひとまずはこの辺りで留めたいと思います。
直前記事で打ち止めの予定だったAPB-3の改修・・・本当にお開きにしたいんだけどなぁ

APB-3の周波数特性
2016-07-01
今週は仕事よりも「肝臓」が忙しい一週間。漸く今日(既に昨日か・・・)は「飲み」はなく、かつ早く帰ることができました。
この記事はまたしても「APB-3モン」ですが、自分としてもここまで纏め切ってしまえば「深み」を抜け出せそうな気がしています。一気に纏め切ってしまいましょうかね
APB-3のスペアナモードでHF帯の信号の様子を測ることは、自分としては「かなりポピュラーな測定シーン」になります。表示された波形やdBm値はある程度信じたいと思い、直前の記事に記した制御ソフトの改良で少なくともdBm表示は追い込んだ気になっていますが、10MHzを標準とした合わせ込みだけでは少々片手落ち・・・特に、高調波を測定するような場面では周波数特性がフラットでないと上手くありません。
一方、APB-3の仕組みを考えるといわゆるAD変換で電力測定していることは明白ですから、採用されているデバイスとその使われ方で、高域程落ちる特性・・「高い方の電力値が小さく見える」という傾向はあるでしょう。そこで、この辺りを検証してみることにしました。

上のグラフは、APB-3としては測定電力が大きい方・・・0dBmから-10dBmの入力(SG出力)に対して表示されるAPB-3の表示電力を示しています。-4dBm以上の部分はリニアリティを失って低めの表示がされることは一目瞭然。例えば、基本波を0dBmとした高調波の測定では、このコンプレッションした分(3dB程度)の誤差が出ることは明白です。
一方、周波数特性的には1~10MHzの特性にはあまり差がありませんが、20,30,40MHzと周波数が上がっていくと感度が落ちていくことが判ります。総じて、1MHzの表示に対して10MHzで-0.1dBm、20MHzで-0.2dBm、30MHzで-0.7dBm、40MHzで-1.5dBm程度、測定値が下がって見えます。
では、もう少し小さい電力の方の特性を。

このグラフでは1MHzの表示から最も大きく下がって見える40MHzにフォーカスし、その差分を「⊿」で記しています。小さな電力の方は、測定値がチラチラ動いてしまうため目視誤差を含みますが、大雑把に言って-1.6dBm程度の差がある・・・逆に、40MHzより高い周波数ではこれより小さな差異に収まっています。具体的には、10,20,30MHzの差異は、電力値に関わらず最初のグラフの解説で記した程度で一定しています。
以上のことから、例えば「13MHzの基本波の第三高調波を測定する」というモデルで考えると、39MHzに現れた第三高調波の電力表示は、少なくとも実際より-1.6dBm程度低く表示されていると考えることができます。また、その時の基本波電力は-4dBm乃至-5dBmを超えてはいけないということも、併せてチェックしなければならないということです。さらに、これまでの経験として-10dBmを超える入力を与えるとかなり歪みが観測できるようになりますから、測定条件が許せば、安全サイドで「-15dBm以下」の入力というのが望ましいものと思われます。これは、APB-3のOUTPUT電力が-14.6dBmであることからも納得できる値でしょう。
以上のことは、ネットアナモードではノーマライズしてしまえば全く気にならない部分ですが、スペアナモードでは考慮すべき部分であることに違いなく、これらの周波数特性を制御ソフト側で補正することも可能でしょう。ただ、差があるある
と騒いだところでたかだか1dBあまり・・・となると、拘るか否かの問題に帰着します。なおかつ狭帯域な測定では全く問題になりませんから、折角ここまで読んで頂いた皆さんにも「与太話」と整理して貰っても結構ですぜ・・・あぁ、満足、満足、これでAPB-3の素性を暴くシリーズ(
)は終われそうです
この記事はまたしても「APB-3モン」ですが、自分としてもここまで纏め切ってしまえば「深み」を抜け出せそうな気がしています。一気に纏め切ってしまいましょうかね

APB-3のスペアナモードでHF帯の信号の様子を測ることは、自分としては「かなりポピュラーな測定シーン」になります。表示された波形やdBm値はある程度信じたいと思い、直前の記事に記した制御ソフトの改良で少なくともdBm表示は追い込んだ気になっていますが、10MHzを標準とした合わせ込みだけでは少々片手落ち・・・特に、高調波を測定するような場面では周波数特性がフラットでないと上手くありません。
一方、APB-3の仕組みを考えるといわゆるAD変換で電力測定していることは明白ですから、採用されているデバイスとその使われ方で、高域程落ちる特性・・「高い方の電力値が小さく見える」という傾向はあるでしょう。そこで、この辺りを検証してみることにしました。

上のグラフは、APB-3としては測定電力が大きい方・・・0dBmから-10dBmの入力(SG出力)に対して表示されるAPB-3の表示電力を示しています。-4dBm以上の部分はリニアリティを失って低めの表示がされることは一目瞭然。例えば、基本波を0dBmとした高調波の測定では、このコンプレッションした分(3dB程度)の誤差が出ることは明白です。
一方、周波数特性的には1~10MHzの特性にはあまり差がありませんが、20,30,40MHzと周波数が上がっていくと感度が落ちていくことが判ります。総じて、1MHzの表示に対して10MHzで-0.1dBm、20MHzで-0.2dBm、30MHzで-0.7dBm、40MHzで-1.5dBm程度、測定値が下がって見えます。
では、もう少し小さい電力の方の特性を。

このグラフでは1MHzの表示から最も大きく下がって見える40MHzにフォーカスし、その差分を「⊿」で記しています。小さな電力の方は、測定値がチラチラ動いてしまうため目視誤差を含みますが、大雑把に言って-1.6dBm程度の差がある・・・逆に、40MHzより高い周波数ではこれより小さな差異に収まっています。具体的には、10,20,30MHzの差異は、電力値に関わらず最初のグラフの解説で記した程度で一定しています。
以上のことから、例えば「13MHzの基本波の第三高調波を測定する」というモデルで考えると、39MHzに現れた第三高調波の電力表示は、少なくとも実際より-1.6dBm程度低く表示されていると考えることができます。また、その時の基本波電力は-4dBm乃至-5dBmを超えてはいけないということも、併せてチェックしなければならないということです。さらに、これまでの経験として-10dBmを超える入力を与えるとかなり歪みが観測できるようになりますから、測定条件が許せば、安全サイドで「-15dBm以下」の入力というのが望ましいものと思われます。これは、APB-3のOUTPUT電力が-14.6dBmであることからも納得できる値でしょう。
以上のことは、ネットアナモードではノーマライズしてしまえば全く気にならない部分ですが、スペアナモードでは考慮すべき部分であることに違いなく、これらの周波数特性を制御ソフト側で補正することも可能でしょう。ただ、差があるある



APB-3の制御プログラムの改良
2016-06-25
直前記事では、APB-3の"素"の状態における周波数安定度を観察した様子をまとめました。そして、40分ほど放っておけばまずまず安定した測定ができることが判りました。ただ、周波数精度はあまり良くない様子で、10MHzをモデルとしたクロックとしてそもそも数百Hzの範囲で誤差が認められる上、室温に左右され易いといったことが判りました。まぁ、基準発振に普通の100MHzのクロックモジュールが採用されていますから、この程度の偏差・誤差は許容範囲内ではあります。
抜本的な改良は、このクロックモジュールの換装や安定した外部クロックの採用ということになります。さらに、もう少し大きなケースに基板のみを入れ、積極的な排熱を行って発振安定度を向上させるなどの工夫はできなくはないんですが、コンパクトでスマートな筐体は、狭っこい我が工作スペースにはまさにピッタリ・・・大規模なハード変更は遠慮したいところ
そこで、このクロック精度について同じ悩みを持つ方もいるんじゃないかとAPB-3の掲示板を検索すると、開発主である「ojisankoubou」こと小川一郎さんが、PC制御プログラム側で調整可能であると記されていました。これなら、昔取った杵柄よろしく自分でソフト改良できるかも・・・というわけで、このプログラム改良を計画しました。
PC制御プログラムは「C#」で組まれており、購入時添付のDVDにソース・プログラムと開発環境一式が入っています。一方、APB-3のwebページには、小川さんが改良されつつ進化した制御プログラムの実行ファイルがアップされていますが、これについては残念ながらソース・プログラムの提供はされていません。つまり、購入時の実行プログラム仕様に改良を加えることになります。
自分のAPB-3の使い方では特にスペアナモードで「dBm単位」の測定が多いんですが、これがDVDに入っている方・・・即ち購入時のプログラム仕様にはありません。こうなると、クロック周波数の調整ができても少々使い辛いことになりますから、この辺りも改良計画に加える必要があります。
上記より、改良は以下の手順で行うように考えました。
(1) 開発環境の準備
(2) 掲示板にある方法でクロックの調整が可能か確認
(3) 上手くいくようならスペアナモードを「dBm化」
(4) 最終的にクロック調整を動的に実施できるようにする
以下、APB-3の制御プログラムに手を入れていきます。お約束事として、著作権については小川さんのコメントを引用します。
// このプログラムは Ojisankoubou( OGAWA Ichiro ) が著作権を持っています。
// 個人の研究目的には、修正、改造など自由に使用できます。
// 発表される際は著作権表示部分を消さないようにしてください。
// このソフトウェアの全部もしくは一部を製品に組み込んだり販売したりするなどの
// 商業的利用はできません。
というわけで、以下のソース・プログラムの著作権は「Ojisankoubou( OGAWA Ichiro ) さん」に帰属しますのでご注意願います。また、どよよん無線技士こと当ブログ主も重ねて・・・この改造による不具合発生等につきましては一切責任を持ちませんので、ご自分の責任の下、お試し下さいませ
(1) 開発環境はMicrosoftの”Visual Studio”
プログラムのコンパイル環境は、無償化して久しいMicrosoft社の”Visual Studio”が使えそうです。早速無償版をダウンロードしてインストール・・・とこの辺りは無難に済ませることができました。昨今は「オープンソース」の潮流も落ち着き、プログラム開発環境に費用を掛けなくて済むことが多くなりましたが、Microsoftも遂に負けた・・・といったところですね。
初めてお目に掛かる開発環境はこんな感じです。

まぁ一般的なIDEですから、PIC開発など経験された方には親和性はあるでしょう。デバッグも直視的にできますから、かなり便利なツール・・・これが無料とは、笑いが止まんねぇだな
(2) クロック調整は掲示板通りでOK
クロックの微調整は小川さんの言う通り・・・って開発者が仰るわけですから当たり前ですが、「Apb3.cs」の627行目を弄ります。

この行の「100e6」がクロック周波数の100MHzを表しています。倍精度実数の変数に入れていることから、小数点以下に変分を入れて調整することになります。自分のAPB-3と部屋の温度(27.1℃)ではこのサンプルに書いた通り、「99.998810e6」という値で信号発生器モードで出力される信号がほぼ10.000000MHzとなりました。そして肝心のスペアナモードですが、SGから10.000000MHzを入力したらきちんと10.000000MHzで表示され、この変数の調整で上手くいくことが判りました。
(3) スペアナモードの「dBm化」は対処療法的
特に拘らなければいいんですが、高周波測定に限れば「dBm(@50Ω)」による表示がよく、この点を改良しました。

(「SpeanaView.cs」の1088行付近)
測定された電力はソースコードのように計算されて表示されますが、元々のロジックではdB表示です。これを「dBm単位」にアジャストすればいいわけですから、まずはdB表示とdBm表示の差を「最新版の実行ファイル」で確認しました。
その差「-4.5」のようです。-40dB以下は測定値があまり安定しなかったため目視で確認しましたが同様のようです。この状態で他の改良を進めている途中、ちょっと気付いてSGの出力で同様に調べてみると、もう少し小さい「-4.3」でピッタリと値が合うことが判り、今のところ「電力単位の我が家基準」たるSGとの親和性で「-4.3」を採用しました。
次にスペアナ表示画面の左上に表示される「MAG」の所に単位としての「dBm」を追加・・・これは簡単でした。単に「dBm」でもよかったんですが、まぁこれでOKとしています。

(「SpeanaView.cs」の134行目)
結構上手くいったぜ・・・と思っていられたのも束の間、スペアナモードで重宝する「カーソル間のデルタ表示」が上手くありません。そこで、ちょっと無理矢理なソース修正。

(「FreqResponseGraphForm.cs」の623行付近)
これは、カーソルモードと思しきフラグを使って「⊿」の場合は固定的に「dB」となるよう強制していますが、スペアナモードのみであり問題ないでしょう。
これらのプログラム修正により「dBm化」させた画面イメージを以下に。ちょっと巫山戯て画面左上表示のプログラム名も換えています
これで、最新の実行ファイルと同等な表示になりました。

(4) 真打ちのクロック補正はテキストファイルで実現
クロック補正ができることが判り、さらにスペアナモードのdBm表示が整ったことから、クロックの調整が動的にできるよう検討しました。当初は画面への入力フィールドの追加で考えましたが、かなり手を入れないと無理・・・ということで、テキストファイルに設定した値を拾ってそれを使って補正を行うようにしました。

(「Apb3.cs」の58行付近)
これは、実行ファイルと同じフォルダ内に「clockfreq.txt」というファイルを用意し、そこにMHz単位の周波数を記入しておけば、各モードの測定開始時に補正されるようになります。但し、コメントにあるように「ファイルがない」という場合のエラー処理は入れていません、悪しからず。
ファイルの内容は実にシンプル。

小数点以下6桁まで(つまりHz単位まで)の補正値で十分に補正されます。また、ズレてきてしまったらファイル内容を書き換えて測定を一旦停止⇒再開すればその値で補正されます。まずまず便利ですよ
以上、随分長い記事になってしまいましたが、どなたかの参考になれば幸いです。
修正 2016.06.26>
dBm化の補正値について再度確認したら、我が家のSGとの差は-4.2ではなく-4.3の方が合っていました。関連部分を修正。
なお、この改良は「10MHz」で調整しているため、APB-3の周波数特性(当該周波数での感度)により0.x dBの差異は生じます。
修正 2016.06.26>
dBm化した後の画面イメージがありませんでしたね・・・追加しました。
抜本的な改良は、このクロックモジュールの換装や安定した外部クロックの採用ということになります。さらに、もう少し大きなケースに基板のみを入れ、積極的な排熱を行って発振安定度を向上させるなどの工夫はできなくはないんですが、コンパクトでスマートな筐体は、狭っこい我が工作スペースにはまさにピッタリ・・・大規模なハード変更は遠慮したいところ

そこで、このクロック精度について同じ悩みを持つ方もいるんじゃないかとAPB-3の掲示板を検索すると、開発主である「ojisankoubou」こと小川一郎さんが、PC制御プログラム側で調整可能であると記されていました。これなら、昔取った杵柄よろしく自分でソフト改良できるかも・・・というわけで、このプログラム改良を計画しました。
PC制御プログラムは「C#」で組まれており、購入時添付のDVDにソース・プログラムと開発環境一式が入っています。一方、APB-3のwebページには、小川さんが改良されつつ進化した制御プログラムの実行ファイルがアップされていますが、これについては残念ながらソース・プログラムの提供はされていません。つまり、購入時の実行プログラム仕様に改良を加えることになります。
自分のAPB-3の使い方では特にスペアナモードで「dBm単位」の測定が多いんですが、これがDVDに入っている方・・・即ち購入時のプログラム仕様にはありません。こうなると、クロック周波数の調整ができても少々使い辛いことになりますから、この辺りも改良計画に加える必要があります。
上記より、改良は以下の手順で行うように考えました。
(1) 開発環境の準備
(2) 掲示板にある方法でクロックの調整が可能か確認
(3) 上手くいくようならスペアナモードを「dBm化」
(4) 最終的にクロック調整を動的に実施できるようにする
以下、APB-3の制御プログラムに手を入れていきます。お約束事として、著作権については小川さんのコメントを引用します。
// このプログラムは Ojisankoubou( OGAWA Ichiro ) が著作権を持っています。
// 個人の研究目的には、修正、改造など自由に使用できます。
// 発表される際は著作権表示部分を消さないようにしてください。
// このソフトウェアの全部もしくは一部を製品に組み込んだり販売したりするなどの
// 商業的利用はできません。
というわけで、以下のソース・プログラムの著作権は「Ojisankoubou( OGAWA Ichiro ) さん」に帰属しますのでご注意願います。また、どよよん無線技士こと当ブログ主も重ねて・・・この改造による不具合発生等につきましては一切責任を持ちませんので、ご自分の責任の下、お試し下さいませ

(1) 開発環境はMicrosoftの”Visual Studio”
プログラムのコンパイル環境は、無償化して久しいMicrosoft社の”Visual Studio”が使えそうです。早速無償版をダウンロードしてインストール・・・とこの辺りは無難に済ませることができました。昨今は「オープンソース」の潮流も落ち着き、プログラム開発環境に費用を掛けなくて済むことが多くなりましたが、Microsoftも遂に負けた・・・といったところですね。
初めてお目に掛かる開発環境はこんな感じです。

まぁ一般的なIDEですから、PIC開発など経験された方には親和性はあるでしょう。デバッグも直視的にできますから、かなり便利なツール・・・これが無料とは、笑いが止まんねぇだな

(2) クロック調整は掲示板通りでOK
クロックの微調整は小川さんの言う通り・・・って開発者が仰るわけですから当たり前ですが、「Apb3.cs」の627行目を弄ります。

この行の「100e6」がクロック周波数の100MHzを表しています。倍精度実数の変数に入れていることから、小数点以下に変分を入れて調整することになります。自分のAPB-3と部屋の温度(27.1℃)ではこのサンプルに書いた通り、「99.998810e6」という値で信号発生器モードで出力される信号がほぼ10.000000MHzとなりました。そして肝心のスペアナモードですが、SGから10.000000MHzを入力したらきちんと10.000000MHzで表示され、この変数の調整で上手くいくことが判りました。
(3) スペアナモードの「dBm化」は対処療法的
特に拘らなければいいんですが、高周波測定に限れば「dBm(@50Ω)」による表示がよく、この点を改良しました。

(「SpeanaView.cs」の1088行付近)
測定された電力はソースコードのように計算されて表示されますが、元々のロジックではdB表示です。これを「dBm単位」にアジャストすればいいわけですから、まずはdB表示とdBm表示の差を「最新版の実行ファイル」で確認しました。
APB-3 信号発生器 | 表示単位 | |
dB | dBm | |
0dB | -10.38 | -14.88 |
-10dB | -20.39 | -24.89 |
-20dB | -30.39 | -34.89 |
-30dB | -40.39 | -44.89 |
その差「-4.5」のようです。-40dB以下は測定値があまり安定しなかったため目視で確認しましたが同様のようです。この状態で他の改良を進めている途中、ちょっと気付いてSGの出力で同様に調べてみると、もう少し小さい「-4.3」でピッタリと値が合うことが判り、今のところ「電力単位の我が家基準」たるSGとの親和性で「-4.3」を採用しました。
次にスペアナ表示画面の左上に表示される「MAG」の所に単位としての「dBm」を追加・・・これは簡単でした。単に「dBm」でもよかったんですが、まぁこれでOKとしています。

(「SpeanaView.cs」の134行目)
結構上手くいったぜ・・・と思っていられたのも束の間、スペアナモードで重宝する「カーソル間のデルタ表示」が上手くありません。そこで、ちょっと無理矢理なソース修正。

(「FreqResponseGraphForm.cs」の623行付近)
これは、カーソルモードと思しきフラグを使って「⊿」の場合は固定的に「dB」となるよう強制していますが、スペアナモードのみであり問題ないでしょう。
これらのプログラム修正により「dBm化」させた画面イメージを以下に。ちょっと巫山戯て画面左上表示のプログラム名も換えています


(4) 真打ちのクロック補正はテキストファイルで実現
クロック補正ができることが判り、さらにスペアナモードのdBm表示が整ったことから、クロックの調整が動的にできるよう検討しました。当初は画面への入力フィールドの追加で考えましたが、かなり手を入れないと無理・・・ということで、テキストファイルに設定した値を拾ってそれを使って補正を行うようにしました。

(「Apb3.cs」の58行付近)
これは、実行ファイルと同じフォルダ内に「clockfreq.txt」というファイルを用意し、そこにMHz単位の周波数を記入しておけば、各モードの測定開始時に補正されるようになります。但し、コメントにあるように「ファイルがない」という場合のエラー処理は入れていません、悪しからず。
ファイルの内容は実にシンプル。

小数点以下6桁まで(つまりHz単位まで)の補正値で十分に補正されます。また、ズレてきてしまったらファイル内容を書き換えて測定を一旦停止⇒再開すればその値で補正されます。まずまず便利ですよ

以上、随分長い記事になってしまいましたが、どなたかの参考になれば幸いです。
修正 2016.06.26>
dBm化の補正値について再度確認したら、我が家のSGとの差は-4.2ではなく-4.3の方が合っていました。関連部分を修正。
なお、この改良は「10MHz」で調整しているため、APB-3の周波数特性(当該周波数での感度)により0.x dBの差異は生じます。
修正 2016.06.26>
dBm化した後の画面イメージがありませんでしたね・・・追加しました。
APB-3の周波数安定度など
2016-06-23
何やら忙しくてブログの更新がなかなかできない状態に陥ってしまいましたが、ヘッポコ実験は密かに(
)続けています。先週末はAll Asianコンテストに出場したかったんですが、前日の晩に上司の追いコンがあって土曜日の午前4時半に帰宅・・・この時点で戦意喪失した上、起きたら二日酔いでスットコドッコイ親父と化し、漸く翌日曜日からちょっと時間の掛かる調べ物に着手しました。
APB-3であれこれ測定する際、基準クロックのズレが気になることが以前から間々あって「何れは何とかせねば・・・」と思っていました。改めて調べてみると、やはり「初期変動が大きい」ということが判ってきました。
APB-3を組み立てたことがある方はきっとご存じだと思いますが、FPGAやA/D,D/A変換のチップがかなり熱を持つため、秋月で販売している「クールスタッフ」等の放熱用の部材を使って上手いこと放熱しているものと思います。そして、そもそも小さなアルミケースに入っていることから、どれだけ上手い具合に放熱できたとしても、電源投入後にクロックの変動があることを"覚悟"でお使いでしょう。少なくとも細かい周波数分解能を必要としない(例えば、水晶発振回路の高調波の様子を観る)場合、あまりこの「クロックの初期変動」に気を留めないかも知れません。
ただ、明らかに発振周波数が判っているものの測定などの場面で、APB-3の制御アプリに表示される周波数が何とも中途半端なことに気付いたり、何度も同じデータを採って比較したかったりすると、このちょっとした変動が気になることがあります。特に、周波数カウンタモードで被測定対象の変動を「Hz単位」辺りで観ようとすると、何の変動を測定したいのか判らなくなってしまいます。
そこで、「どのくらい『暖機』すればそこそこマシな測定ができるのか」という部分の測定を、やや真面目(
)にやってみました。

どうも我が工作室は、初夏から秋にかけての暑いときには結構暑くなると思いきや、そこそこの過ごし易い温度になったりするんで、様々な観測が必要なのかも知れませんが、とりあえず測定開始時点で26℃と28℃のときのデータ採りをしました。この手の測定では、本当は室温を一定にしなければならないんですが、それが一番難しいんであまり重たく考えずに測定。
結果はグラフに全て詰め込んだつもりです。初期変動は30-40分くらいで安定し、その後は±2Hzから±3Hzくらいに落ち着いています。電源投入から安定するまでの周波数の動きはマイナス方向で50Hzちょっと動く模様。でもまぁ電源投入から40分ぐらい放っておけば、ある程度安定した測定ができそうだ・・・ということです。
一方、室温に引っ張られている部分・・・2℃差で100Hzほどの変分が観られますが、安定に至る周波数のカーブはほぼ同じ・・・この辺りは当日の室温でのアジャスト云々と言うより、安定点に達したら一度発振周波数を測定してしまえば行けそうな雰囲気です。
・・・こんな風に纏めてはみたものの、「室温による安定点の周波数が結構違うこと」が気に入らず、このアジャストができないものかと考えたのが運のツキで、さらにこのダンジョンの深みに填まってしまったんです。続きは次の記事にしましょうかね

APB-3であれこれ測定する際、基準クロックのズレが気になることが以前から間々あって「何れは何とかせねば・・・」と思っていました。改めて調べてみると、やはり「初期変動が大きい」ということが判ってきました。
APB-3を組み立てたことがある方はきっとご存じだと思いますが、FPGAやA/D,D/A変換のチップがかなり熱を持つため、秋月で販売している「クールスタッフ」等の放熱用の部材を使って上手いこと放熱しているものと思います。そして、そもそも小さなアルミケースに入っていることから、どれだけ上手い具合に放熱できたとしても、電源投入後にクロックの変動があることを"覚悟"でお使いでしょう。少なくとも細かい周波数分解能を必要としない(例えば、水晶発振回路の高調波の様子を観る)場合、あまりこの「クロックの初期変動」に気を留めないかも知れません。
ただ、明らかに発振周波数が判っているものの測定などの場面で、APB-3の制御アプリに表示される周波数が何とも中途半端なことに気付いたり、何度も同じデータを採って比較したかったりすると、このちょっとした変動が気になることがあります。特に、周波数カウンタモードで被測定対象の変動を「Hz単位」辺りで観ようとすると、何の変動を測定したいのか判らなくなってしまいます。
そこで、「どのくらい『暖機』すればそこそこマシな測定ができるのか」という部分の測定を、やや真面目(


どうも我が工作室は、初夏から秋にかけての暑いときには結構暑くなると思いきや、そこそこの過ごし易い温度になったりするんで、様々な観測が必要なのかも知れませんが、とりあえず測定開始時点で26℃と28℃のときのデータ採りをしました。この手の測定では、本当は室温を一定にしなければならないんですが、それが一番難しいんであまり重たく考えずに測定。
結果はグラフに全て詰め込んだつもりです。初期変動は30-40分くらいで安定し、その後は±2Hzから±3Hzくらいに落ち着いています。電源投入から安定するまでの周波数の動きはマイナス方向で50Hzちょっと動く模様。でもまぁ電源投入から40分ぐらい放っておけば、ある程度安定した測定ができそうだ・・・ということです。
一方、室温に引っ張られている部分・・・2℃差で100Hzほどの変分が観られますが、安定に至る周波数のカーブはほぼ同じ・・・この辺りは当日の室温でのアジャスト云々と言うより、安定点に達したら一度発振周波数を測定してしまえば行けそうな雰囲気です。
・・・こんな風に纏めてはみたものの、「室温による安定点の周波数が結構違うこと」が気に入らず、このアジャストができないものかと考えたのが運のツキで、さらにこのダンジョンの深みに填まってしまったんです。続きは次の記事にしましょうかね

APB-3が壊れた・・・直した
2015-12-13
このところPICを使った周波数カウンタの入力アンプの実験を平日の晩に絶好調(
)で続けていましたが、金曜の晩にAPB-3の出力が小さいことに気付きました。実験の途中から小さくなった感じ・・・「やべぇ、壊したか
」と思ったら、壊してました

APB-3は、完成時のチェックとして「入出力をケーブルでショート、50Ω終端したネットアナ測定で-10dB(下の方の周波数)から-15dB(40MHz)程度の測定が出来ればヨシ
」という確認をすることになっています。最新の実行ファイルである「2014/07/10版」では、これより少し低い出力(下の方で-11dB程度、40MHz付近で-16dB程度)になるはずがこの有様
青い線が50Ω終端であり、見事に10dBほど落ちています。赤い線の1MΩ終端は何やら波打っていますが、こんな風ではなかったなぁ
この状態では入力側の不具合も考えられるんですが、そこは自前の電力計で出力が小さいこと、さらに入力側はクラニシ君@簡易SGで問題が無いことを確認しました。購入直後の各周波数の電力を測定しておいたのが役に立ちました・・・といっても、故障確定
この電力低下についてネットを検索したら同様な現象に見舞われている方の記事を発見したんですが、この方の処置は最終的に「出力側のDACの換装」に至っています。そこで、APB-3の開発者である「おじさん工房」さんの掲示板に質問を上げさせて貰う一方、このDAC(AD9707)は何処ぞに・・・と調べると、Analog Devices の品揃えが多い若松通商さんに売っていることが判りました。そして、昨日の土曜に買いに行きました。店員さんに、「これ、半田付けするの
大変そうですね・・・」と同情されてしまいました
今朝は朝から準備開始です。

真ん中の正方形のゲジゲジが今回のターゲットです。周辺が比較的空いているため、換装作業はやり易そう・・・って、これじゃぁ広さが判らないですね
では、今回の修理役者と共にもう一枚。

ミニトーチと先が少しカッティングされているこて先の横にあるのが新しいDACです。換装するDACは、このスナップの上の方に少しだけ見えている養生テープ(これは百均で購入)で足が見えるように四角く囲い、それを何層か重ねて「耐熱壁」を作ります。そして、「どうせ壊れているんだ」と言い聞かせてトーチでこのDACを「火炙り」に・・・というわけで、取り外した様子を。

この養生テープ、結構燃え出すんで最初ちょっとビビりますが、かなり「強気」で炙らないといつまで経っても外れません。この後、DACの「退去跡地」のハンダを吸い取りながら整地し、フラックス除去液でよく拭いてから新たなDACを乗せて半田付けします。
今回換装するAD9707はQFNパッケージで、0.5mmピッチですが案外取り付けはスムーズ。そもそもハンダメッキが効いているランドへの取り付けですから、ハンダてんこ盛りで後から吸い取るのではなく、糸半田を溶かしながらランド部分をさらっていくと上手く付いた感じ。

換装が完了しました。本当にくっついたのかひとまず見渡しましたが、あまりよく判らないんでヨシとしました(ちょっと乱暴な判断
)
一方、この取り付け作業の折、以前に基板裏面に施した「スプリアス改善対策」のFB9が外れてしまいました。よく見ると、この部品が折れてしまっていて上手くありません。そこで、適当なFBを取り付け直しました。

FBを入れたのはお呪いのようなもの。この処置は水晶発振器にピュアな電源供給を行えばよいようで、FBを取り外して3.3Vのレギュレータ出力(このスナップの右端)に繋げてもよい・・・と、おじさん工房の掲示板にも書き込みがありました。
さぁ、修理は上手くいったのか・・・いよいよ通電。

見事に復活しました
いやぁ、ホッとしました。このブログに残していた各種の測定結果を見本にあれこれ試してみましたが、特に差異は見られず大丈夫なようです。
今回の故障原因については先に記した掲示板に早速回答があり、入力側のADC同様、不用意な電圧印加や静電気などが考えられるとのことで、測定の際には出力側にもATTを入れたり小容量コンデンサを接続したりするなどの「自衛」が必要だということでした。何となく「出力側」ということで過信していましたが、今後は気をつけて扱おうと思います。
故障発見時にはかなり落胆しましたが、あっという間に直すことが出来ました。メデタシ、メダタシ




APB-3は、完成時のチェックとして「入出力をケーブルでショート、50Ω終端したネットアナ測定で-10dB(下の方の周波数)から-15dB(40MHz)程度の測定が出来ればヨシ



この状態では入力側の不具合も考えられるんですが、そこは自前の電力計で出力が小さいこと、さらに入力側はクラニシ君@簡易SGで問題が無いことを確認しました。購入直後の各周波数の電力を測定しておいたのが役に立ちました・・・といっても、故障確定

この電力低下についてネットを検索したら同様な現象に見舞われている方の記事を発見したんですが、この方の処置は最終的に「出力側のDACの換装」に至っています。そこで、APB-3の開発者である「おじさん工房」さんの掲示板に質問を上げさせて貰う一方、このDAC(AD9707)は何処ぞに・・・と調べると、Analog Devices の品揃えが多い若松通商さんに売っていることが判りました。そして、昨日の土曜に買いに行きました。店員さんに、「これ、半田付けするの


今朝は朝から準備開始です。

真ん中の正方形のゲジゲジが今回のターゲットです。周辺が比較的空いているため、換装作業はやり易そう・・・って、これじゃぁ広さが判らないですね


ミニトーチと先が少しカッティングされているこて先の横にあるのが新しいDACです。換装するDACは、このスナップの上の方に少しだけ見えている養生テープ(これは百均で購入)で足が見えるように四角く囲い、それを何層か重ねて「耐熱壁」を作ります。そして、「どうせ壊れているんだ」と言い聞かせてトーチでこのDACを「火炙り」に・・・というわけで、取り外した様子を。

この養生テープ、結構燃え出すんで最初ちょっとビビりますが、かなり「強気」で炙らないといつまで経っても外れません。この後、DACの「退去跡地」のハンダを吸い取りながら整地し、フラックス除去液でよく拭いてから新たなDACを乗せて半田付けします。
今回換装するAD9707はQFNパッケージで、0.5mmピッチですが案外取り付けはスムーズ。そもそもハンダメッキが効いているランドへの取り付けですから、ハンダてんこ盛りで後から吸い取るのではなく、糸半田を溶かしながらランド部分をさらっていくと上手く付いた感じ。

換装が完了しました。本当にくっついたのかひとまず見渡しましたが、あまりよく判らないんでヨシとしました(ちょっと乱暴な判断

一方、この取り付け作業の折、以前に基板裏面に施した「スプリアス改善対策」のFB9が外れてしまいました。よく見ると、この部品が折れてしまっていて上手くありません。そこで、適当なFBを取り付け直しました。

FBを入れたのはお呪いのようなもの。この処置は水晶発振器にピュアな電源供給を行えばよいようで、FBを取り外して3.3Vのレギュレータ出力(このスナップの右端)に繋げてもよい・・・と、おじさん工房の掲示板にも書き込みがありました。
さぁ、修理は上手くいったのか・・・いよいよ通電。

見事に復活しました

今回の故障原因については先に記した掲示板に早速回答があり、入力側のADC同様、不用意な電圧印加や静電気などが考えられるとのことで、測定の際には出力側にもATTを入れたり小容量コンデンサを接続したりするなどの「自衛」が必要だということでした。何となく「出力側」ということで過信していましたが、今後は気をつけて扱おうと思います。
故障発見時にはかなり落胆しましたが、あっという間に直すことが出来ました。メデタシ、メダタシ

APB-3の過大入力対策
2015-10-04
昨日は久々に、旧同僚(主に諸先輩)との「定期寄り合い」に行き、ちょいと深酒をしてしまいました。朝方に一度起きたらまだ酔っ払っている状態で、結局午前中は睡眠で潰してしまいました。アンテナの修繕を予定していたら、この寝ている間に洗濯物が展開されており後回し
そこで、懸案だったAPB-3の過大入力対策を行いました。この改造自身は昨日のお出かけ前にやっつけており、今日はその結果まとめといった趣向です。
今回の改造は50Ω入力時の過大入力対策であり、パターンカットしてコンデンサを追加するという簡単なものです。

回路図上は上図の通りの改造です。CN2は基板に半田付けされていますので、パターンカットが必要になります。このコンデンサを取り付けない状態で直流(或いは大きな電圧振幅の低周波)を誤ってCN2に印加すると、過渡的にC112(100μF)に一瞬大きな電流が流れて後置のADA4950を痛める(不用意に高い電圧を一瞬掛けてしまう)という格好になるため、これを前段で防いでしまおうというのが今回の改造です。
挿入する容量によって50Ω入力時の低周波域の特性に影響が出てしまいますが、50Ωで低周波の測定・・・というシチュエーションはあまりないものと踏んで、0.1μFのセラミックコンデンサで片付けることにしました。

もう少し丁寧にパターンカットすれば良かったと反省していますが、2.54mmの足幅のセラコンは上手く収まりました。
それでは特性を見てみましょうか。まずは、対策と関係ない方の1MΩ入力。

200Hz辺りから上の周波数は一定の値になっていることが判ります。続いて、対策を施した方の50Ω入力は果たして

100KHz辺りからフラットになっています。これ以上の周波数はこれまで通りの測定が可能ですから、特にHF帯以上では問題になりませんね。ただ、アマチュアバンドの最も低い周波数帯である136KHz辺りは、少し影響が出るかも知れません。もう少し大きめの容量のコンデンサにするか、1μF程度の小型コンデンサをパラに繋げば、低周波域への拡大は容易でしょう。
この対策で、少し安心感が増しました。本当は、さらにダイオードで入力をクランプしてしまっても良さそうですが、これだけでも多少の御利益はありそうです

今回の改造は50Ω入力時の過大入力対策であり、パターンカットしてコンデンサを追加するという簡単なものです。

回路図上は上図の通りの改造です。CN2は基板に半田付けされていますので、パターンカットが必要になります。このコンデンサを取り付けない状態で直流(或いは大きな電圧振幅の低周波)を誤ってCN2に印加すると、過渡的にC112(100μF)に一瞬大きな電流が流れて後置のADA4950を痛める(不用意に高い電圧を一瞬掛けてしまう)という格好になるため、これを前段で防いでしまおうというのが今回の改造です。
挿入する容量によって50Ω入力時の低周波域の特性に影響が出てしまいますが、50Ωで低周波の測定・・・というシチュエーションはあまりないものと踏んで、0.1μFのセラミックコンデンサで片付けることにしました。

もう少し丁寧にパターンカットすれば良かったと反省していますが、2.54mmの足幅のセラコンは上手く収まりました。
それでは特性を見てみましょうか。まずは、対策と関係ない方の1MΩ入力。

200Hz辺りから上の周波数は一定の値になっていることが判ります。続いて、対策を施した方の50Ω入力は果たして


100KHz辺りからフラットになっています。これ以上の周波数はこれまで通りの測定が可能ですから、特にHF帯以上では問題になりませんね。ただ、アマチュアバンドの最も低い周波数帯である136KHz辺りは、少し影響が出るかも知れません。もう少し大きめの容量のコンデンサにするか、1μF程度の小型コンデンサをパラに繋げば、低周波域への拡大は容易でしょう。
この対策で、少し安心感が増しました。本当は、さらにダイオードで入力をクランプしてしまっても良さそうですが、これだけでも多少の御利益はありそうです

APB-3のスプリアス改善とdBm表示の確認
2014-11-22
今や定番であろうAPB-3の「±48KHz問題処置」を行いました。チップタイプのFB経由で100MHzクロックに与えられている電源ソースを、よりノイズ影響の少ない電源ソース(三端子レギュレータの出力)に直接接続する改良ですが、既に多くのユーザが処置されているものと思います。このスプリアスは、RBWが1500Hz、3KHzの時に特に顕著で少々測定の邪魔になります。一旦組み上げた状態からの分解は正直面倒でしたが、昨日の夕飯の後、
(←酎ハイ)を片手に片付けてしまいました。
二端子のチップ部品は、「ハンダゴテ二刀流」で難なく外すことができ、ランドに直立させたFBと三端子レギュレータの出力間をビニール線で接続・・・この辺りの細かな処置方法は、公式のBBSや諸OMのサイトにも掲載されていますが、正味30分ほどで完了しました。ついでに、BNCコネクタの露出部分(基板と接続される部分)を銅テープでシールドしましたが、これはあんまり意味がなかったようです
改善の様子を貼っておきます。まずは改善前。

スプリアスを青いカーソルで示しています。入力信号と70dB以上の差はあるものの、事情がわからなければ「入力信号のスプリアス」と誤解することになりそうな、それこそ「ありがちな」信号強度ですね
処置後・・・結構劇的ですよ

±48KHzのスプリアスは見事に撃退されているばかりか、周辺の子供達も消えています。「この電源由来のスプリアスは他にもいたのね・・・」ってな感じ・・・何れにせよ、かなり綺麗になりました
もう一つ確認しておきたいことが・・・それは、dB表示の精度です。
スペアナ機能では、測定値のdB表示が現れます。特に50Ω系のdBm表示をどこまで信じていいのか・・・今後の測定データの「信憑性」を担保するために是非とも先に調べておきたかったことであり、スプリアス改善を済ませてからやろうと決めておいたことでもあります。
問題は、正確に出力電力が判っているものが手元にないということなんですが、ひとまずAPB-3の測定系として「ある程度信用できる」という程度で折り合うことにしました。
実はAPB-3購入後に回路図をしげしげと眺めていたら、以下のような記述を見つけました。

バシッと「-14.6dBm」と書いてありますね。DACで信号生成していますから、周波数によって出力電力は変わります(傾向として、周波数が上がると出力電力が落ちてくる)が、ひとまずこれを「証拠」として検証することにしました。
さらにもう一つ・・・このところのお遊びの相棒である中華SGと青い電力計も仲間に入れ、これらも検証対象に加えてみました。

狭い机には丁度いい測定系でしょう
・・・と、自慢してても仕方がありませんね。測定結果をグラフにまとめました。

-15dBm付近から始まっている測定結果がAPB-3出力を測定したものです。APB-3のスペアナ表示値と自作パワー計の表示値をプロットしています。
5MHz付近までは先に示した「-14.6dBm」近辺の値を示しており、何れの測定結果も「良く一致している」と言っていいでしょう。また、APB-3の電力表示と自作パワー計の電力表示の差は20MHzまで0.5dB差以内であり、どちらで測定しても「大体同じ」と見て取れます。これは、今後の実験や調整でも有力な武器になりそう
-8dBm付近から始まるのが中華SGの出力を測定したものです。これも概ね同様な結果となりました。測定差0.5dBに収まっているのが30MHz手前までのようです。
APB-3出力の測定と中華SG出力の測定に共通して言えるのは、APB-3で測定した場合より自作パワー計で測定した場合の方が電力が「多め」に測定される点です。これは大いに「自作パワー計の調整如何」の部分が大きく、再確認の必要がありそうですが、ひょっとすると周波数選択性を持たない自作パワー計の方が余計な信号を拾い易く、DDSやDAC出力の特徴である「周波数が上がるとスプリアスが増える」という部分をトレースできているのかも知れません。まぁ、そうは言ってもこの二台の測定差は大きくても1dB・・・目くじらを立てるようなものではありませんね
当面はこの結果を基に考察していくことになりそうですが、自分程度のヘッポコ自作フリークにはこれらの測定系が「十分以上である
」ということもハッキリと判りました。

二端子のチップ部品は、「ハンダゴテ二刀流」で難なく外すことができ、ランドに直立させたFBと三端子レギュレータの出力間をビニール線で接続・・・この辺りの細かな処置方法は、公式のBBSや諸OMのサイトにも掲載されていますが、正味30分ほどで完了しました。ついでに、BNCコネクタの露出部分(基板と接続される部分)を銅テープでシールドしましたが、これはあんまり意味がなかったようです

改善の様子を貼っておきます。まずは改善前。

スプリアスを青いカーソルで示しています。入力信号と70dB以上の差はあるものの、事情がわからなければ「入力信号のスプリアス」と誤解することになりそうな、それこそ「ありがちな」信号強度ですね

処置後・・・結構劇的ですよ


±48KHzのスプリアスは見事に撃退されているばかりか、周辺の子供達も消えています。「この電源由来のスプリアスは他にもいたのね・・・」ってな感じ・・・何れにせよ、かなり綺麗になりました

もう一つ確認しておきたいことが・・・それは、dB表示の精度です。
スペアナ機能では、測定値のdB表示が現れます。特に50Ω系のdBm表示をどこまで信じていいのか・・・今後の測定データの「信憑性」を担保するために是非とも先に調べておきたかったことであり、スプリアス改善を済ませてからやろうと決めておいたことでもあります。
問題は、正確に出力電力が判っているものが手元にないということなんですが、ひとまずAPB-3の測定系として「ある程度信用できる」という程度で折り合うことにしました。
実はAPB-3購入後に回路図をしげしげと眺めていたら、以下のような記述を見つけました。

バシッと「-14.6dBm」と書いてありますね。DACで信号生成していますから、周波数によって出力電力は変わります(傾向として、周波数が上がると出力電力が落ちてくる)が、ひとまずこれを「証拠」として検証することにしました。
さらにもう一つ・・・このところのお遊びの相棒である中華SGと青い電力計も仲間に入れ、これらも検証対象に加えてみました。

狭い机には丁度いい測定系でしょう


-15dBm付近から始まっている測定結果がAPB-3出力を測定したものです。APB-3のスペアナ表示値と自作パワー計の表示値をプロットしています。
5MHz付近までは先に示した「-14.6dBm」近辺の値を示しており、何れの測定結果も「良く一致している」と言っていいでしょう。また、APB-3の電力表示と自作パワー計の電力表示の差は20MHzまで0.5dB差以内であり、どちらで測定しても「大体同じ」と見て取れます。これは、今後の実験や調整でも有力な武器になりそう

-8dBm付近から始まるのが中華SGの出力を測定したものです。これも概ね同様な結果となりました。測定差0.5dBに収まっているのが30MHz手前までのようです。
APB-3出力の測定と中華SG出力の測定に共通して言えるのは、APB-3で測定した場合より自作パワー計で測定した場合の方が電力が「多め」に測定される点です。これは大いに「自作パワー計の調整如何」の部分が大きく、再確認の必要がありそうですが、ひょっとすると周波数選択性を持たない自作パワー計の方が余計な信号を拾い易く、DDSやDAC出力の特徴である「周波数が上がるとスプリアスが増える」という部分をトレースできているのかも知れません。まぁ、そうは言ってもこの二台の測定差は大きくても1dB・・・目くじらを立てるようなものではありませんね

当面はこの結果を基に考察していくことになりそうですが、自分程度のヘッポコ自作フリークにはこれらの測定系が「十分以上である

遅まきながらAPB-3入手!
2014-11-16
昨日は、ピアノの発表会を観に家族総出で都内に繰り出す行きしなに秋葉原に寄って、一昨日に到着したAPB-3の周辺環境を整えるためのBNCケーブル、コネクタの類いを購入してきました。そう、実はAPB-3を購入してしまったんですね
自分でスペアナもどきを作るまでは購入を我慢しようと思っていたんですが、このことでいろいろと止まってしまっている実験工作をきちんと進めたくなり、ひとまずスペアナもどきの工作の方を棚上げしようと思い立ったんです。
APB-3の組み立てについては丁寧な解説をされている諸OMのサイトが既にあるのと、組み立て説明書に沿って作業したら完成まで持って行けたんで、ここでとやかく言うことはしませんが、封入されているDVDの中のソフトの類いが初期のものであるため、既に改版されているソフト群を先におじさん工房のサイトから落としておくとよい・・・まぁざっと、この辺りが追加ノウハウでしょうか。
また、入手前にはかなり頭でっかちになってしまい、やれUSB側のノイズ対策が要るだろう、5Vの定電圧シリーズ電源(トランス式の電源)が必要かも・・・などとあれこれ考えましたが、結局USBケーブルにパッチンコアを取り付けた程度(これも、ノイズフロアの観測では殆ど効果が見えない)で、電源はスイッチング電源で様子見。ちなみに、消費電流は実測で凡そ650mA・・・これは、本体の背面パネルに表示のある「5V 800mA」を信用すればよく、ネットから落とせる説明書にある「2A程度」というのはかなり余裕のある表現のようです。
まだ「味見」しかしていませんが、APB-3の「信号出力」を見てみました。

APB-3のファンクション「信号発生器」で10MHzの信号を出力、それを「スペクトラムアナライザ」で測定。dBm換算で「-14.94dBm」と表示されていますね。その上、かなり綺麗な信号です。内部で作った信号をそのまま測定していますから余計な劣化要素はなく、そういう意味では綺麗なのは当たり前ですが、信号源としては十分でしょう
この信号の出力を、数少ない「実用作品」である青い電力計で測定してみました。

ほぼ想定内ではありますが、少し違っていますね。この電力計には周波数選択性はありませんから、強めに出るのはある意味正解でしょうか・・・。まぁ、半固定ボリュームで「合わせたつもり」の調整で1dB未満の誤差ですから、まずまずでしょう
この電力計で、各周波数の出力電力をざっと測定してみました。20MHz辺りから徐々に下降していきます。
APB-3の大凡の測定範囲は40MHzまでとなっていますので、40MHz出力時のスペクトルを取ってみました。

DDSらしい結果ですね。一番大きなスプリアスとの差は64dBほどありますから、確かにこの辺りまでは使えそう。勿論、これ以下の周波数では良くなる方向、逆に45MHzを超えるとさらに多くの子供達が現れます。何れにしろ、HF帯は問題なく使えそうですね。
少し気になったのは、HFの下の方・・・1MHzから3MHzのスプリアス群は、発振周波数に関係なく表れます。内部のスプリアスを拾っているんだと思いますが、測定の際に「誤認」しないように気をつけないと・・・。
入手した喜びのあまり、あまり役に立たないデータを取ってしまって・・・と、自己満足の記事でした

APB-3の組み立てについては丁寧な解説をされている諸OMのサイトが既にあるのと、組み立て説明書に沿って作業したら完成まで持って行けたんで、ここでとやかく言うことはしませんが、封入されているDVDの中のソフトの類いが初期のものであるため、既に改版されているソフト群を先におじさん工房のサイトから落としておくとよい・・・まぁざっと、この辺りが追加ノウハウでしょうか。
また、入手前にはかなり頭でっかちになってしまい、やれUSB側のノイズ対策が要るだろう、5Vの定電圧シリーズ電源(トランス式の電源)が必要かも・・・などとあれこれ考えましたが、結局USBケーブルにパッチンコアを取り付けた程度(これも、ノイズフロアの観測では殆ど効果が見えない)で、電源はスイッチング電源で様子見。ちなみに、消費電流は実測で凡そ650mA・・・これは、本体の背面パネルに表示のある「5V 800mA」を信用すればよく、ネットから落とせる説明書にある「2A程度」というのはかなり余裕のある表現のようです。
まだ「味見」しかしていませんが、APB-3の「信号出力」を見てみました。

APB-3のファンクション「信号発生器」で10MHzの信号を出力、それを「スペクトラムアナライザ」で測定。dBm換算で「-14.94dBm」と表示されていますね。その上、かなり綺麗な信号です。内部で作った信号をそのまま測定していますから余計な劣化要素はなく、そういう意味では綺麗なのは当たり前ですが、信号源としては十分でしょう

この信号の出力を、数少ない「実用作品」である青い電力計で測定してみました。

ほぼ想定内ではありますが、少し違っていますね。この電力計には周波数選択性はありませんから、強めに出るのはある意味正解でしょうか・・・。まぁ、半固定ボリュームで「合わせたつもり」の調整で1dB未満の誤差ですから、まずまずでしょう

この電力計で、各周波数の出力電力をざっと測定してみました。20MHz辺りから徐々に下降していきます。
周波数 | 電力(dBm) |
100KHz | -14.1 |
1MHz | -13.9 |
5MHz | -14.0 |
10MHz | -14.3 |
20MHz | -14.7 |
30MHz | -15.8 |
40MHz | -17.4 |
49MHz | -19.9 |
APB-3の大凡の測定範囲は40MHzまでとなっていますので、40MHz出力時のスペクトルを取ってみました。

DDSらしい結果ですね。一番大きなスプリアスとの差は64dBほどありますから、確かにこの辺りまでは使えそう。勿論、これ以下の周波数では良くなる方向、逆に45MHzを超えるとさらに多くの子供達が現れます。何れにしろ、HF帯は問題なく使えそうですね。
少し気になったのは、HFの下の方・・・1MHzから3MHzのスプリアス群は、発振周波数に関係なく表れます。内部のスプリアスを拾っているんだと思いますが、測定の際に「誤認」しないように気をつけないと・・・。
入手した喜びのあまり、あまり役に立たないデータを取ってしまって・・・と、自己満足の記事でした
