古いパワー計の「下の方」の謎を解明
2017-02-23
直前の記事を書いた翌日、家人が入院することになり、今週月曜日に退院してきました。大事には至らずホッとしたものの昨日辺りまでは生活パターンがままならず、今日は漸くPCに向かってあれこれできる時間が取れました。何といっても家族が健康に過ごせなければ、自分の余暇もへったくれもありませんね。
とは言え、この間に何もしなかったわけではないのです
実は、直前の記事で纏めた通り、入手した古いパワー計(ML-8304A)の-25dBm以下の測定値が何やら不可思議なものとなるところが気になり、あれこれデータを採ったり接続を変えたりしながら探っている内に原因が判ってきました。今日はこの辺りを纏めて・・・おっと、その前に。
今回お世話になった中古販売店の方にケーブルを見つけてくれたお礼のメールをした際、「マニュアルがなくて不便だけど、何とか測定できるようになって大感謝
」といった意の文面で締め括ったところ、何と日本語マニュアルのコピーを送ってきてくれました
そして、装置のリセットを改めて行いデータを採り直したんですが、やはり-25dBm以下の測定値が怪しげ・・・校正されていない装置ですから、こうしたことは想定内ではあるもののどうしても腑に落ちず、どよよん無線技士得意の「超試行錯誤」(何だ、これ・・・)で探り当てた感じです。
このパワー計には「ZERO ADJ」というスイッチが付いています。これは、測定する前にこの装置の「0点」を決めるためのもので、パワーセンサーを被測定器から外した状態で押すようにマニュアルに書いてありますが、これを被測定器に接続して「無出力」の状態で押してから測定すると、ほぼ正確に測れることが判りました。
このスイッチ機能が目指すところは、ノイズフロアをきちんと測って測定値にノイズの影響が出ないようにするためのものです。要は、小さな電力であればある程ノイズとの分離が重要になるというわけで、この装置の測定下限にあたる-25dBmから-30dBmの測定では、「被測定器を接続した状態でのノイズフロアが0点」になるようにしてやらないと、それが測定誤差として跳ね返るよう・・・考えてみれば、当たり前ですね。
改めて測定した結果は以下の如くなりました。

前回の測定結果も併せてグラフ化しています。明らかに-25dBm以下の部分が、「こんなもんだろう」という値に収まっていることがハッキリ判りますね。ただ、-20dBm以下の測定値は結構変動するため、「AVERAGE」というスイッチで数秒間の測定値平均を求める機能を使っていますが、それでも結構な変動が見られます。そういう意味では、やはり-20dBm以下の測定結果は誤差含みであると理解しておいた方が良さそうです。
また、今回の被測定器は「HP8648B」ですが、電源オンから1時間程経たないと出力電力が安定しないこと(と言っても、ホンの0.xdBmですが・・・)、パワー計自体も10分以上は待ってやらないと測定値がズレること(これとて、ホンの0.xdBmですが・・・)も判りました。
これで漸く、古いパワー計こと「ML-4803A+MA-4601A」の測定結果が腑に落ちました
今週末辺りから、またしてもヘッポコ実験に精を出せればと思っています。
とは言え、この間に何もしなかったわけではないのです

今回お世話になった中古販売店の方にケーブルを見つけてくれたお礼のメールをした際、「マニュアルがなくて不便だけど、何とか測定できるようになって大感謝


このパワー計には「ZERO ADJ」というスイッチが付いています。これは、測定する前にこの装置の「0点」を決めるためのもので、パワーセンサーを被測定器から外した状態で押すようにマニュアルに書いてありますが、これを被測定器に接続して「無出力」の状態で押してから測定すると、ほぼ正確に測れることが判りました。
このスイッチ機能が目指すところは、ノイズフロアをきちんと測って測定値にノイズの影響が出ないようにするためのものです。要は、小さな電力であればある程ノイズとの分離が重要になるというわけで、この装置の測定下限にあたる-25dBmから-30dBmの測定では、「被測定器を接続した状態でのノイズフロアが0点」になるようにしてやらないと、それが測定誤差として跳ね返るよう・・・考えてみれば、当たり前ですね。
改めて測定した結果は以下の如くなりました。

前回の測定結果も併せてグラフ化しています。明らかに-25dBm以下の部分が、「こんなもんだろう」という値に収まっていることがハッキリ判りますね。ただ、-20dBm以下の測定値は結構変動するため、「AVERAGE」というスイッチで数秒間の測定値平均を求める機能を使っていますが、それでも結構な変動が見られます。そういう意味では、やはり-20dBm以下の測定結果は誤差含みであると理解しておいた方が良さそうです。
また、今回の被測定器は「HP8648B」ですが、電源オンから1時間程経たないと出力電力が安定しないこと(と言っても、ホンの0.xdBmですが・・・)、パワー計自体も10分以上は待ってやらないと測定値がズレること(これとて、ホンの0.xdBmですが・・・)も判りました。
これで漸く、古いパワー計こと「ML-4803A+MA-4601A」の測定結果が腑に落ちました

格安でも十分・・・古いパワー計の導入
2017-02-06
またしても間が悪く例のミキサー実験に水を差される格好で、かなり年代物のパワー計のジャン測を手に入れてしまいました。
このパワー計「ML-4803A」はパワーセンサーと本体がセパレートのもので、少し前にパワーセンサーをオークションで落札しました。コネクタ部分が少々痛んでいるものの校正実施が5年程前ということでまぁまぁの代物と判断し、その後本体を落札するに至りました。この本体こそ「不動品」ということで本当に格安に入手しましたが、実はこの本体はセンサーを接続しないと「Err」と表示される代物で、どうやらこの辺りで不動と判断されたよう。
その後はセンサーと本体の接続ケーブル探しをしました。そして、中古売買の大変親切な業者さんに見つけて貰い、これが3日前に届いた次第。一昨日からこのパワー計の動作確認と、我が実験の信号標準たるSG・・・HP8648Bの出力電力の正確さを確認しました。
まずは何といっても手に入れたパワー計がまともに動くかの確認。

すんなりとはいきませんでしたが、何とか動作確認できるようになりました。取説がないため、内部にプリセットされていたデータの消去をどうしたらいいのか判りませんでしたが、データを呼び出しながら「CLEAR」を押していくと、上手く動き出しました。上のスナップは、センサーのREF値をセットして、50MHzの0dBmをSGから出力しそれを測定している様子・・・+0.02dBmという表示です。
センサーはMA-4601Aです。これは100KHzから5.5GHzの周波数範囲、そして-30dBmから+20Bmまでの電力測定ができますから、普段の自作で使う頻度の高そうな部分は網羅しています。さて、他の周波数は上手く測定できるかな

とりあえず0.1MHzから1000MHzまでSGから1dBm刻みで出力し、それをパワー計で測定した結果との偏差としてグラフにまとめました。薄緑でハッチングした部分は、出力値と測定値の偏差が±0.2dBに収まっている部分であり、+20dBmから-25dBmまではこの範囲のよう。また、横軸の出力電力の下に記入した▲はSGの中のリレーが切り替わるところであり、ここで段差ができていることがよく判ります。それでも、全ての周波数においてこの程度の偏差に収まっているのは流石はメーカー品ですね。
さて、この測定は「パワー計を信用して測定したもの」ということができると思いますが、何れも古い装置・・・校正がいつだったのかハッキリしているパワーセンサーでさえも既に5年前となると、もう少し違った角度で考えてみる必要があります。

以前にダイオード検波の自作ローレベルパワー計でSGの出力測定をしたときの結果と、ML-4803Aでの測定結果を比較してみました。すると、各周波数の測定値の動きが0.4MHz以下と200MHz以上を除いて殆ど同じようになりました。ローレベルパワー計は、このSGの10MHzの出力を使って0dBmの校正を行っていますが、ここまで近似するとなると、ML-4803Aの測定でもSGの出力を正確に検出していることが判ります。逆に、本体の標準出力(50MHz、1mW)でAdjustして測定しているML-4803Aの方を信じるとすると、ローレベルパワー計の校正値を全体に0.04dB乃至0.05dB上げてやれば、上記の周波数範囲でかなり正確な測定ができそうです。
さらに、普段の電力測定で活躍しているAD8307パワー計の欠点である「周波数が上がるに連れて測定値が小さくなる」という部分について、測定電力範囲は狭まる(概ね-30dBmから+20dBmになる)ものの、0.4MHzから200MHzまでの間で安心して使えるパワー計が作れそうです。これは、今後の製作ネタとしましょう
もう一度、始めのグラフに着目してみましょう。気になるのは、-25dBm以下の測定偏差がプラス方向にずれていくところ。これは、ある周波数の一定出力を外部のATTで変化させてやり、これにどのように追随するかを見てやることで確かめてみることにしました。

なるほど、-25dBm以下では偏差が+0.2dBを超えてどんどん上昇します。この辺りが校正品でない悲しさで、如何ともし難い部分です。ただ、どうやら緑の両矢印の範囲(-22dBm~+16dBm)ではそこそこの精度で測定できそうですね。
今回のデータ採りによって判ったことを以下にまとめます。
◆ 今回入手したパワー計(ML-4803A+MA-4601A)は、-22dBmから
+16dBm辺りであれば、±0.1dB程度の精度での測定ができそう。
◆ SGとして使用しているHP8648Bの出力電力の精度(表示される
電力値の正確さ)は、概ね1GHzまでは「±0.数dBの範囲」で信用
できそう(但し、-25dBm以下は追試の必要あり)。
◆ ダイオード検波で作る簡易なパワー計でもHFから2mはカバー
でき、かつ比較的精度の良いものが作れる。
昨年、APB-3の周波数特性を補正した辺りから、dBmに関する測定精度が上がった気がしていましたが、ML-4803A入手により、電力測定でも±0.1dBを云々することができるようになりました。まぁ、こんなに小さい差をどうこうすることはないと思いますが、測定値に自信を持てるという意味では一歩進んだ気がします・・・とは言っても、所詮は自己満足の世界ですけどね
このパワー計「ML-4803A」はパワーセンサーと本体がセパレートのもので、少し前にパワーセンサーをオークションで落札しました。コネクタ部分が少々痛んでいるものの校正実施が5年程前ということでまぁまぁの代物と判断し、その後本体を落札するに至りました。この本体こそ「不動品」ということで本当に格安に入手しましたが、実はこの本体はセンサーを接続しないと「Err」と表示される代物で、どうやらこの辺りで不動と判断されたよう。
その後はセンサーと本体の接続ケーブル探しをしました。そして、中古売買の大変親切な業者さんに見つけて貰い、これが3日前に届いた次第。一昨日からこのパワー計の動作確認と、我が実験の信号標準たるSG・・・HP8648Bの出力電力の正確さを確認しました。
まずは何といっても手に入れたパワー計がまともに動くかの確認。

すんなりとはいきませんでしたが、何とか動作確認できるようになりました。取説がないため、内部にプリセットされていたデータの消去をどうしたらいいのか判りませんでしたが、データを呼び出しながら「CLEAR」を押していくと、上手く動き出しました。上のスナップは、センサーのREF値をセットして、50MHzの0dBmをSGから出力しそれを測定している様子・・・+0.02dBmという表示です。
センサーはMA-4601Aです。これは100KHzから5.5GHzの周波数範囲、そして-30dBmから+20Bmまでの電力測定ができますから、普段の自作で使う頻度の高そうな部分は網羅しています。さて、他の周波数は上手く測定できるかな


とりあえず0.1MHzから1000MHzまでSGから1dBm刻みで出力し、それをパワー計で測定した結果との偏差としてグラフにまとめました。薄緑でハッチングした部分は、出力値と測定値の偏差が±0.2dBに収まっている部分であり、+20dBmから-25dBmまではこの範囲のよう。また、横軸の出力電力の下に記入した▲はSGの中のリレーが切り替わるところであり、ここで段差ができていることがよく判ります。それでも、全ての周波数においてこの程度の偏差に収まっているのは流石はメーカー品ですね。
さて、この測定は「パワー計を信用して測定したもの」ということができると思いますが、何れも古い装置・・・校正がいつだったのかハッキリしているパワーセンサーでさえも既に5年前となると、もう少し違った角度で考えてみる必要があります。

以前にダイオード検波の自作ローレベルパワー計でSGの出力測定をしたときの結果と、ML-4803Aでの測定結果を比較してみました。すると、各周波数の測定値の動きが0.4MHz以下と200MHz以上を除いて殆ど同じようになりました。ローレベルパワー計は、このSGの10MHzの出力を使って0dBmの校正を行っていますが、ここまで近似するとなると、ML-4803Aの測定でもSGの出力を正確に検出していることが判ります。逆に、本体の標準出力(50MHz、1mW)でAdjustして測定しているML-4803Aの方を信じるとすると、ローレベルパワー計の校正値を全体に0.04dB乃至0.05dB上げてやれば、上記の周波数範囲でかなり正確な測定ができそうです。
さらに、普段の電力測定で活躍しているAD8307パワー計の欠点である「周波数が上がるに連れて測定値が小さくなる」という部分について、測定電力範囲は狭まる(概ね-30dBmから+20dBmになる)ものの、0.4MHzから200MHzまでの間で安心して使えるパワー計が作れそうです。これは、今後の製作ネタとしましょう

もう一度、始めのグラフに着目してみましょう。気になるのは、-25dBm以下の測定偏差がプラス方向にずれていくところ。これは、ある周波数の一定出力を外部のATTで変化させてやり、これにどのように追随するかを見てやることで確かめてみることにしました。

なるほど、-25dBm以下では偏差が+0.2dBを超えてどんどん上昇します。この辺りが校正品でない悲しさで、如何ともし難い部分です。ただ、どうやら緑の両矢印の範囲(-22dBm~+16dBm)ではそこそこの精度で測定できそうですね。
今回のデータ採りによって判ったことを以下にまとめます。
◆ 今回入手したパワー計(ML-4803A+MA-4601A)は、-22dBmから
+16dBm辺りであれば、±0.1dB程度の精度での測定ができそう。
◆ SGとして使用しているHP8648Bの出力電力の精度(表示される
電力値の正確さ)は、概ね1GHzまでは「±0.数dBの範囲」で信用
できそう(但し、-25dBm以下は追試の必要あり)。
◆ ダイオード検波で作る簡易なパワー計でもHFから2mはカバー
でき、かつ比較的精度の良いものが作れる。
昨年、APB-3の周波数特性を補正した辺りから、dBmに関する測定精度が上がった気がしていましたが、ML-4803A入手により、電力測定でも±0.1dBを云々することができるようになりました。まぁ、こんなに小さい差をどうこうすることはないと思いますが、測定値に自信を持てるという意味では一歩進んだ気がします・・・とは言っても、所詮は自己満足の世界ですけどね
