AGC制御部の動き方
2017-12-23
年末が近づいてきましたが、気分的にはまだ”その気”にはなれずにいます。今年の仕事納めは通例より一日早い27日・・・なるべく”来年に丸投げ”みたいな残務を残さぬよう、ちょいと気合いを入れて今年一杯を勤め上げたいと思います。
AGC関連の検討が”机上”というか脳内思考から徐々に出て行きそうです。この辺りをまとめておきたいと思います。まずはグラフを。

前回の実験で、AGCアンプ出力のダイナミックレンジが凡そ「25dB」程度であることが判りました。そこでこのグラフでは、-127dBを最低レベルとして、25dB毎に分割したグラフを主軸として描いています。
まずは、ある時点でS4に満たない信号強度・・・-107dBの信号を受信したとします。この場合、まだAGCの制御範囲に満たないため、ゲインのコントロールはしません。つまり、①の範囲ではIFとしてのゲイン最大で動いている状態であり、言わば「放っておく」という感じ。
続いてS8に満たない信号強度・・・②の範囲で-87dBの信号を受信したとします。この場合、まずはAGCアンプのレンジ超え(①超え)がいきなり発生するため、即座に-25dBのAGCを掛けます。すると、AGC範囲で出力したい-13dBを下回ってしまいますから、掛け過ぎた10dB分を調整・・・-15dBのAGCを掛け直して完了。さらにこの信号が消失した場合、AGC時定数に従ってリリースしていきます。
S8以上の信号がいきなり入ってきた場合(③~⑤)も「-25dBのAGCを掛けてもレンジ超えが発生する」という事象が何回か続くだけで、レンジ超えしなくなったら正しい減衰量になるようAGCを掛けるという部分は変わりません。
さて、MC1350はお世辞にもローノイズとは言えないようです。

データシートから抜き出しました。HF帯の情報はありませんが、ひとまず45MHzのデータと同様としましょう。
今回のIF回路は2段で考えていますから、AGCをそれぞれ個別に制御することができます。これも、先のグラフに「二題」で示しています。
まず、黄緑の横縦矢印で示しているのが、前段と後段の制御範囲を同一の45dBにしたものです。こうすると、後段の制御が満了して前段に移るS9+15dBまでは、大凡前段のNFである6dBに近い値(データシートの抜き出しグラフ参照)に収まります。前段に制御が移るとNFは悪い方向に動いていきますが、既にかなりの信号強度で受信できている領域ですから、あまり気にならないでしょう。
一方、ピンクの横矢印の方は前段のゲインリダクションが-15dB程度・・・NFが13dB程度(これも抜き出しデータ参照)になっていますから、NF的には明らかに不利になります。
今回のMC1350x2の構成では、できるだけNFの良いフルゲインの状態を前段に任せられる「前段と後段の制御範囲を同一の45dBにする」というのが正解になります。これは、一般的な多段IFアンプにも適用できるセオリーになるでしょう。
自分用の頭の整理なんであまり上手く表現できていないんですが、今日のところはこの辺で切り上げたいと思います。
修正 2018/01/01>
我がブログのコメント主であるぶんきゅう先生よりグラフ表現のご指摘を頂きました。グラフを差し替え、ホンの一文字ですが記事も修正しました。ぶんきゅうさん、ありがとうごさいました。
AGC関連の検討が”机上”というか脳内思考から徐々に出て行きそうです。この辺りをまとめておきたいと思います。まずはグラフを。

前回の実験で、AGCアンプ出力のダイナミックレンジが凡そ「25dB」程度であることが判りました。そこでこのグラフでは、-127dBを最低レベルとして、25dB毎に分割したグラフを主軸として描いています。
まずは、ある時点でS4に満たない信号強度・・・-107dBの信号を受信したとします。この場合、まだAGCの制御範囲に満たないため、ゲインのコントロールはしません。つまり、①の範囲ではIFとしてのゲイン最大で動いている状態であり、言わば「放っておく」という感じ。
続いてS8に満たない信号強度・・・②の範囲で-87dBの信号を受信したとします。この場合、まずはAGCアンプのレンジ超え(①超え)がいきなり発生するため、即座に-25dBのAGCを掛けます。すると、AGC範囲で出力したい-13dBを下回ってしまいますから、掛け過ぎた10dB分を調整・・・-15dBのAGCを掛け直して完了。さらにこの信号が消失した場合、AGC時定数に従ってリリースしていきます。
S8以上の信号がいきなり入ってきた場合(③~⑤)も「-25dBのAGCを掛けてもレンジ超えが発生する」という事象が何回か続くだけで、レンジ超えしなくなったら正しい減衰量になるようAGCを掛けるという部分は変わりません。
さて、MC1350はお世辞にもローノイズとは言えないようです。

データシートから抜き出しました。HF帯の情報はありませんが、ひとまず45MHzのデータと同様としましょう。
今回のIF回路は2段で考えていますから、AGCをそれぞれ個別に制御することができます。これも、先のグラフに「二題」で示しています。
まず、黄緑の
一方、ピンクの横矢印の方は前段のゲインリダクションが-15dB程度・・・NFが13dB程度(これも抜き出しデータ参照)になっていますから、NF的には明らかに不利になります。
今回のMC1350x2の構成では、できるだけNFの良いフルゲインの状態を前段に任せられる「前段と後段の制御範囲を同一の45dBにする」というのが正解になります。これは、一般的な多段IFアンプにも適用できるセオリーになるでしょう。
自分用の頭の整理なんであまり上手く表現できていないんですが、今日のところはこの辺で切り上げたいと思います。
修正 2018/01/01>
我がブログのコメント主であるぶんきゅう先生よりグラフ表現のご指摘を頂きました。グラフを差し替え、ホンの一文字ですが記事も修正しました。ぶんきゅうさん、ありがとうごさいました。
AGCアンプとAD変換
2017-12-15
仕事の山がひと山越えました。暇になったとは言い難いんですが、ここ数日は比較的早めに帰宅できています。年末に向かって例年なら飲み会三昧なんですが、今春の”異動効果”で何やらペコペコしながらの無駄(
)な飲み会が減ったとは言えます。まさに良い傾向
勉強不足が露呈してなかなか進まなかったAGC関連の検討が漸く少し進み始めたと思ったら、AGCアンプの特性の取り直しに逆戻りしてしまいました。半年以上前の実験では最大出力のみに着目して悦に入ってしまいましたが、AGCアンプの後段に当たるダイオードによる倍波整流後の信号はそれほど「線形」にはなっていないのではないか・・・この辺りを再実験することにしました。

この回路は今年の3月に味見した回路構成通りに組んでいます。IF周波数は4MHzが前提。アンプの肝に当たるFETは、比較的手持ちの多い(というか、秋月で未だ入手できる)2SK192AのYランクを使っています。さらに整流用のダイオードは、V/UHFのデテクタ用途の安価(20円くらい)なダイオードを使っています。Vfが0.4V弱@1mAですから、1N60や古いショットキー(1SS43とか1SS97とか)とドッコイドッコイの特性です。要は、再現性が比較的高いであろうデバイス構成にしてみました。
入力のコンデンサ容量は、”3月末回路”では12pFというかなり小さな容量にしましたが、「並級ダイオード検波」で出力が下がってしまったため、27pFまで容量アップ。

検波回路への出力として-13dBm(50mV@50Ω)を仮定し、この出力を最大として入力を絞っていくと、上のグラフのような特性・・・ダイオード検波の特性がよく表れていて、予想通り”線形ではない”ということが解りました。
この特性の出力をAD変換で受けるとどうなるか・・・実はこれを想定した実験だったわけですが、グラフを流用することでこの様子が解ります。PIC内蔵のAD変換として、10ビットで見てみましょうか。

-13dBmを10ビットADCで表現できる最大値「1023」とすると、1dB刻みではあまり無理なく個々の「整数値」に変換されるはずです。つまり、今回の回路でも凡そ25dBの範囲はPICに無理なく取り込め、ソフト制御が可能になるというわけですね。
問題は、90dB程度のゲイン・・・AGCのダイナミックレンジとして100dB超を想定したIFアンプのダイナミックレンジをカバーする程には到底いかないわけで、さらに検討していく必要があります。この辺りが次の記事になりそうです。


勉強不足が露呈してなかなか進まなかったAGC関連の検討が漸く少し進み始めたと思ったら、AGCアンプの特性の取り直しに逆戻りしてしまいました。半年以上前の実験では最大出力のみに着目して悦に入ってしまいましたが、AGCアンプの後段に当たるダイオードによる倍波整流後の信号はそれほど「線形」にはなっていないのではないか・・・この辺りを再実験することにしました。

この回路は今年の3月に味見した回路構成通りに組んでいます。IF周波数は4MHzが前提。アンプの肝に当たるFETは、比較的手持ちの多い(というか、秋月で未だ入手できる)2SK192AのYランクを使っています。さらに整流用のダイオードは、V/UHFのデテクタ用途の安価(20円くらい)なダイオードを使っています。Vfが0.4V弱@1mAですから、1N60や古いショットキー(1SS43とか1SS97とか)とドッコイドッコイの特性です。要は、再現性が比較的高いであろうデバイス構成にしてみました。
入力のコンデンサ容量は、”3月末回路”では12pFというかなり小さな容量にしましたが、「並級ダイオード検波」で出力が下がってしまったため、27pFまで容量アップ。

検波回路への出力として-13dBm(50mV@50Ω)を仮定し、この出力を最大として入力を絞っていくと、上のグラフのような特性・・・ダイオード検波の特性がよく表れていて、予想通り”線形ではない”ということが解りました。
この特性の出力をAD変換で受けるとどうなるか・・・実はこれを想定した実験だったわけですが、グラフを流用することでこの様子が解ります。PIC内蔵のAD変換として、10ビットで見てみましょうか。

-13dBmを10ビットADCで表現できる最大値「1023」とすると、1dB刻みではあまり無理なく個々の「整数値」に変換されるはずです。つまり、今回の回路でも凡そ25dBの範囲はPICに無理なく取り込め、ソフト制御が可能になるというわけですね。
問題は、90dB程度のゲイン・・・AGCのダイナミックレンジとして100dB超を想定したIFアンプのダイナミックレンジをカバーする程には到底いかないわけで、さらに検討していく必要があります。この辺りが次の記事になりそうです。
AGC回路の検討
2017-11-15
11月も半ばとなりかなり寒くなってきました。千葉県北西部の風物詩である「早朝の霧」も何度か発生しましたが、今朝は一段と濃い霧で、ちょっと幻想的な風景での出社となりました。
今週末はまたしても孫娘の七五三などあってへっぽこ工作・実験時間が取れるか判らないため、少しでもその設計フェーズを進めるべく、この記事を認めておきましょう。
まずは、ブロックダイアグラム的な絵図を。

では先頭から。AGCアンプは、既に半年以上も前になりますが実験を済ませています。50mVくらいの入力で2V程度の出力が得られる回路ですが、IFアンプの最後段の出力を拾うだけですから、まずは入力インピーダンスが高いことが条件。出力は比較的インピーダンスの高いAD変換に直結しますから、まぁそんなに神経質にならなくてもいいでしょう。
AD変換部分はPICのAD変換・・・10ビットの分解能で受けることにします。IFアンプの総ゲインを凡そ100dBとすると、これを1024分割した値で受け取りますから、かなり細かい階調になるはずです。問題は変換速度。これが遅すぎるとAGCループとして遅延が生じてしまいますから、できるだけ高速な変換速度が必要ですね。まぁ、PICのクロックを数MHz以上にすればこの変換処理には数十μSしか掛かりませんから、そんなに神経質になる必要は無いでしょう。
AD変換の結果は、IFアンプのAGC曲線(でいいかな
)を考慮した電圧を出力するようにデータ変換し、その値をPIC外付けのDA変換に渡します。ここは、デバイスのチョイスによりSPIインタフェースで渡すことになりますが、シリアル通信で数十μSは必要になり、その後にDA変換にも数十μs・・・あまり問題にはならないでしょう。
AGC回路の最後尾は、IFアンプの制御電圧との整合を図る部分です。今回はMC1350が前提ですから、凡そ5Vから7Vくらいの出力にするために、いわゆる「ゲタを履かせる」ということになりますが、ここはオペアンプに任せてしまいます。
AD,DA変換とオペアンプの「ゲタ」には適切な電圧の供給が必要ですが、この辺りはボリュームでの調整となります。全部で4つの調整箇所が必要になりますからあまりスマートではありませんが、試案の段階ですから放っておきましょう
さぁ、この設計通りに実現できるのか・・・ちょっとワクワクしています
今週末はまたしても孫娘の七五三などあってへっぽこ工作・実験時間が取れるか判らないため、少しでもその設計フェーズを進めるべく、この記事を認めておきましょう。
まずは、ブロックダイアグラム的な絵図を。

では先頭から。AGCアンプは、既に半年以上も前になりますが実験を済ませています。50mVくらいの入力で2V程度の出力が得られる回路ですが、IFアンプの最後段の出力を拾うだけですから、まずは入力インピーダンスが高いことが条件。出力は比較的インピーダンスの高いAD変換に直結しますから、まぁそんなに神経質にならなくてもいいでしょう。
AD変換部分はPICのAD変換・・・10ビットの分解能で受けることにします。IFアンプの総ゲインを凡そ100dBとすると、これを1024分割した値で受け取りますから、かなり細かい階調になるはずです。問題は変換速度。これが遅すぎるとAGCループとして遅延が生じてしまいますから、できるだけ高速な変換速度が必要ですね。まぁ、PICのクロックを数MHz以上にすればこの変換処理には数十μSしか掛かりませんから、そんなに神経質になる必要は無いでしょう。
AD変換の結果は、IFアンプのAGC曲線(でいいかな

AGC回路の最後尾は、IFアンプの制御電圧との整合を図る部分です。今回はMC1350が前提ですから、凡そ5Vから7Vくらいの出力にするために、いわゆる「ゲタを履かせる」ということになりますが、ここはオペアンプに任せてしまいます。
AD,DA変換とオペアンプの「ゲタ」には適切な電圧の供給が必要ですが、この辺りはボリュームでの調整となります。全部で4つの調整箇所が必要になりますからあまりスマートではありませんが、試案の段階ですから放っておきましょう

さぁ、この設計通りに実現できるのか・・・ちょっとワクワクしています

MC1350のAGC特性
2017-11-01
三連休の初日には、我が愛する宇宙人一号の運動会が予定されています。当初予定は10/14だったんですが、当日は雨で順延。 翌週末は台風二十一号で雨、そして先週末も雨となり、流れに流れて11/3に予定がずれてきました。ところが、今晩の天気予報を見たらまたしてもあまり良い天気では無さそう・・・よっぽど強烈な雨男子か雨女子がいそうです。
今週は、ブレボに組んだMC1350アンプが工作机の真ん中に置いてありますから、帰宅後に少しだけ実験を進めています。そして、入出力に同調回路を背負った形の標準的な回路を組んで、利得の様子を見てみました。

”標準”なんて気取ってますが、言わば「カタログ通りで何の変哲も無い」ということです
RiとRoは必要に応じて入れても良いという意味で、入力側はインピーダンスの固定に、出力側は発振防止用にといったところ・・・今までの実験にも時々登場しましたね。
さぁ、この回路の利得の様子です。

特に説明は要らないでしょう。入出力の同調回路のQがあまり高くないためかなり広帯域に増幅してしまいますが、実験中は安定に動いていたことから再現性は良さそうです。
さて、ここまで組んだらやはりAGC特性は測っておくべきでしょう。
AGCの測定は出力をどの程度にして測定するかがポイントですが、ひとまず復調回路への入力として必要十分であろう”0dBm”としています。手探りですが、このアンプの1dBコンプレッションレベルは+10dBmくらいだったんで、0dBmはそこから10dBダウン・・・直線性は保たれているレベルでしょう。

AGCの制御電圧範囲は緑の両矢印で示した範囲くらい・・・この範囲の特性を見ると、-20dBから下に向かっては比較的リニアな特性のようですが、そこから上の方はお世辞にもリニアとは言えませんね。まぁ、この辺りを上手く制御できるAGC回路の完成が最終目的ですから、とやかく言うのは止めましょうかね
実際のIF回路ではこのICを2つシリーズ接続することになりますから、AGC特性はもっと違った感じになると思いますが、とりあえず基礎データとしては採れたと思っていいでしょう。そろそろ寝ましょうかね
今週は、ブレボに組んだMC1350アンプが工作机の真ん中に置いてありますから、帰宅後に少しだけ実験を進めています。そして、入出力に同調回路を背負った形の標準的な回路を組んで、利得の様子を見てみました。

”標準”なんて気取ってますが、言わば「カタログ通りで何の変哲も無い」ということです

さぁ、この回路の利得の様子です。

特に説明は要らないでしょう。入出力の同調回路のQがあまり高くないためかなり広帯域に増幅してしまいますが、実験中は安定に動いていたことから再現性は良さそうです。
さて、ここまで組んだらやはりAGC特性は測っておくべきでしょう。
AGCの測定は出力をどの程度にして測定するかがポイントですが、ひとまず復調回路への入力として必要十分であろう”0dBm”としています。手探りですが、このアンプの1dBコンプレッションレベルは+10dBmくらいだったんで、0dBmはそこから10dBダウン・・・直線性は保たれているレベルでしょう。

AGCの制御電圧範囲は緑の両矢印で示した範囲くらい・・・この範囲の特性を見ると、-20dBから下に向かっては比較的リニアな特性のようですが、そこから上の方はお世辞にもリニアとは言えませんね。まぁ、この辺りを上手く制御できるAGC回路の完成が最終目的ですから、とやかく言うのは止めましょうかね

実際のIF回路ではこのICを2つシリーズ接続することになりますから、AGC特性はもっと違った感じになると思いますが、とりあえず基礎データとしては採れたと思っていいでしょう。そろそろ寝ましょうかね

MC1350の出力回路(Single-Ended編)
2017-10-28
週末の雨が定着してしまったようですね。実はとある予定があるんですが、この雨でずっと延期しています。まぁその分、ノンビリと休日を過ごしています。
どうもタイトルが大袈裟になってしまいましたが、MC1350の出力回路をシングルエンド・・・単純なLC同調+インピーダンス変換として動作させてみました。まずは回路図から。

前回の実験同様、入力側はミスマッチ上等
と50Ωとしています。出力側は、ICの出力インピを1KΩと想定して、QLを12くらいのつもりで組んでいます。
タンク回路に並列接続している2.2KΩの抵抗は、かなり高いはずのICの出力インピを落ち着ける場合を想定していますが、入力側の測定の場合と同様、付けない場合のデータと比較してみました。

40dB弱の利得は取れるようですが、やはり”Differential”の場合より少しゲインが落ちてしまいます。コイルの作り方はこちらの方が圧倒的に簡単ですが、きちんと利得を取りたければ「中点タップ巻き」に軍配でしょう。そういう意味では、FCZコイルを利用した製作記事をよく見かけるのにも頷けます。
これで入出力の条件はハッキリしました。ひとまずこれらの条件で、このICのシングルアンプを組み立てたいと思います。亀の歩みは未だ続く・・・
どうもタイトルが大袈裟になってしまいましたが、MC1350の出力回路をシングルエンド・・・単純なLC同調+インピーダンス変換として動作させてみました。まずは回路図から。

前回の実験同様、入力側はミスマッチ上等

タンク回路に並列接続している2.2KΩの抵抗は、かなり高いはずのICの出力インピを落ち着ける場合を想定していますが、入力側の測定の場合と同様、付けない場合のデータと比較してみました。

40dB弱の利得は取れるようですが、やはり”Differential”の場合より少しゲインが落ちてしまいます。コイルの作り方はこちらの方が圧倒的に簡単ですが、きちんと利得を取りたければ「中点タップ巻き」に軍配でしょう。そういう意味では、FCZコイルを利用した製作記事をよく見かけるのにも頷けます。
これで入出力の条件はハッキリしました。ひとまずこれらの条件で、このICのシングルアンプを組み立てたいと思います。亀の歩みは未だ続く・・・

MC1350の出力回路(Differential編)
2017-10-24
台風一過となった今日は好天になるかと思いきやそれ程でもなく、帰宅時には小粒の雨粒が頬に当たるほど・・・何だかピーカン・デーが恋しくなります。「秋晴れ」という言葉を使える日はいつ来るんでしょうね・・・。
実験途上のMC1350の出力回路ですが、ひとまず手に付けてそこそこの結果が得られた”Differential"の出力回路についてまとめておきましょう。まずは回路図から。

APB-3を使った測定ですから入力側はミスマッチ必至ですが、出力側は中点タップのタンク回路として差動出力回路を形成していますから、内部回路との親和性はバッチリでしょう。問題は、ICから見たときの出力インピーダンスをどのくらいにするかという部分です。
前々回の記事で「出力インピは500Ω~数KΩとしてマッチング可能」と結論しましたが、IF周波数によって大きく変化していることも判っていますから、ひとまず「だいたい1KΩ」という設計仕様で考えました。即ち、タンク回路自体は中点タップの構成ですから、インピーダンスが250Ωくらいになるような同調定数にすればよい・・・というわけで、前提となる中心周波数である凡そ4MHzで「150pFと10μHくらいの組合せ」と導き出しました。
このくらいのインダクタンス値になると鉄ダスト系では巻数がかなり大きくなることから、今後の設計の幅を広げるために、いわゆる「フェライトコア」(FTシリーズ)の透磁率が低い方のもの・・・FT-37-61に巻いてみました。
FT37-61で10μHとなる巻数はAL値からの計算で13回巻き。ところがこの巻数でインダクタンス値を測ってみると、7.5μHくらいにしかなりませんでした。フェライトコアは透磁率の誤差が結構あり、±20%くらいは許容差とされています。まぁ、用途を考えればこの程度の誤差は確かに許容範囲であり、そういう意味ではギリギリ計算値内ではありますね
同調周波数は4.75MHz付近になってしまいますが、そのまま特性を取ることにしました。ただ、2次側のリンクコイルの巻数は1~3回巻きとしてデータを採ってみました。

巻数が少ないほど利得は高くなっています・・・って当たり前ですね
ただ、1回巻きではかなりQが高くなってしまい、ちょっと扱いずらそう・・・っていうか発振しそう。3回巻きでは利得が少し心許なくなってしまいますから、ズバリ2回巻きが良さそうです。
こんな感じで”Differential”の様子は判りました。次は無論”Single-Ended”でしょうね
実験途上のMC1350の出力回路ですが、ひとまず手に付けてそこそこの結果が得られた”Differential"の出力回路についてまとめておきましょう。まずは回路図から。

APB-3を使った測定ですから入力側はミスマッチ必至ですが、出力側は中点タップのタンク回路として差動出力回路を形成していますから、内部回路との親和性はバッチリでしょう。問題は、ICから見たときの出力インピーダンスをどのくらいにするかという部分です。
前々回の記事で「出力インピは500Ω~数KΩとしてマッチング可能」と結論しましたが、IF周波数によって大きく変化していることも判っていますから、ひとまず「だいたい1KΩ」という設計仕様で考えました。即ち、タンク回路自体は中点タップの構成ですから、インピーダンスが250Ωくらいになるような同調定数にすればよい・・・というわけで、前提となる中心周波数である凡そ4MHzで「150pFと10μHくらいの組合せ」と導き出しました。
このくらいのインダクタンス値になると鉄ダスト系では巻数がかなり大きくなることから、今後の設計の幅を広げるために、いわゆる「フェライトコア」(FTシリーズ)の透磁率が低い方のもの・・・FT-37-61に巻いてみました。
FT37-61で10μHとなる巻数はAL値からの計算で13回巻き。ところがこの巻数でインダクタンス値を測ってみると、7.5μHくらいにしかなりませんでした。フェライトコアは透磁率の誤差が結構あり、±20%くらいは許容差とされています。まぁ、用途を考えればこの程度の誤差は確かに許容範囲であり、そういう意味ではギリギリ計算値内ではありますね

同調周波数は4.75MHz付近になってしまいますが、そのまま特性を取ることにしました。ただ、2次側のリンクコイルの巻数は1~3回巻きとしてデータを採ってみました。

巻数が少ないほど利得は高くなっています・・・って当たり前ですね

こんな感じで”Differential”の様子は判りました。次は無論”Single-Ended”でしょうね

MC1350の入力回路
2017-10-22
かなり大きな台風接近・・・昨日からの買い出しの成果で今晩は”鍋”と決め、幾本かのアルコール
も買い込みましたから一安心。アンテナもモビホと細いワイヤーしかありませんから、仮にワイヤーがぶっ千切れて飛んでいっても大丈夫でしょう。風はこれから強まりそうですが、明日朝の通勤時間まで影響が残るかどうかが今のところの注目点です。
さて、漸く仕事の方も一段落したんでもう少し”工作系”を加速しようと思います・・・が、まぁ焦っても仕方がありませんから、週末中心の作業をジワジワと進めたいと思います。
MC1350の味見実験は前回記事にしましたが、入力側の挙動はほぼ掌握できたということにして、同調回路を付けてみました。

今回の実験では、先に製作した4.095MHzの水晶フィルタに合わせるため周波数は大凡4.0MHzくらい、入力インピーダンスは200Ωの水晶フィルタが直結できるよう、当初は1:4のインピーダンス変換・・・FB801-43にバイファイラ巻きでと考えましたが、このICを2段接続した場合も考慮してLCマッチにしてみました。Rinを820Ωにした場合の入力インピーダンスは720Ω程度と実測されたため、これに合うように定数設計してあります(実験であるため、入力は50Ωとしてあります)。

出力側は27μHのRFC(FB801-43x4T)でこんな特性になりました。1つのタンク回路としては結構イイ感じの特性になっています
Rinを外した場合の方が3dBほど利得がありますが入力インピーダンスも上昇してしまうため、水晶フィルタの出力につながるアンプとしてはこの抵抗を取り外してしまわない方が無難でしょう。この辺りは実際に組み上げた際に確認したいと思います。
実は出力側も実験したんですが、まだ上手くまとまっておらず追試が必要そう・・・これを次回のネタにしようと思います。

さて、漸く仕事の方も一段落したんでもう少し”工作系”を加速しようと思います・・・が、まぁ焦っても仕方がありませんから、週末中心の作業をジワジワと進めたいと思います。
MC1350の味見実験は前回記事にしましたが、入力側の挙動はほぼ掌握できたということにして、同調回路を付けてみました。

今回の実験では、先に製作した4.095MHzの水晶フィルタに合わせるため周波数は大凡4.0MHzくらい、入力インピーダンスは200Ωの水晶フィルタが直結できるよう、当初は1:4のインピーダンス変換・・・FB801-43にバイファイラ巻きでと考えましたが、このICを2段接続した場合も考慮してLCマッチにしてみました。Rinを820Ωにした場合の入力インピーダンスは720Ω程度と実測されたため、これに合うように定数設計してあります(実験であるため、入力は50Ωとしてあります)。

出力側は27μHのRFC(FB801-43x4T)でこんな特性になりました。1つのタンク回路としては結構イイ感じの特性になっています

実は出力側も実験したんですが、まだ上手くまとまっておらず追試が必要そう・・・これを次回のネタにしようと思います。
MC1350アンプの味見
2017-10-13
前回記事から3週間・・・私的には多分今週末一杯、仕事的には来週一杯までは忙しい状態が続きそうです。この3週間の間に季節はすっかり秋に変わったと言ってよさそうですが、ホンの数日前までは夏日を記録していたわけで、今年はやはりちょっと変わった秋の迎え方になりました。果たして、我が家の前のケヤキ通りはきちんと色付くんでしょうかねぇ
IFアンプの製作を進めるべく、まずはMC1350単体の味見を・・・とその前に、このアンプ単体で得られる利得を打ち消して、APB-3等で測定するのに取り回しが楽になるよう、50dBのアッテネータを作りました。

入出力にそれぞれ6dBのπ型アッテネータを配し、その間を7.5KΩ(15KΩを2本並列)で接続した簡易なものです。特性はご覧の通りです。

500KHzから15MHzくらいまでの間は凡そ-50dBをキープしていますが、その上のHF帯+α(40MHzくらい)までは0.5dB以内の誤差には収まっています。普通のカーボン抵抗で作りっぱなしですから、こんなもんでしょう
さて、MC1350単体の味見は、以下のような回路をちょっと高周波的に良さげな"改良ブレッドボード"に組みました。

AGCはグランドに落とすとこのICの最大利得になります。以下、AGCはグランドに落として測定しました。
測定結果の前に・・・データシートから算出した入出力インピーダンスの様子を再掲載。

それでは、入力インピーダンスから。上の回路図のRinには何も接続せず、このICの入力インピーダンスを直接測りました。

データシート計算値と比較的近い傾向です。HF帯の低い方・・・10.7MHz以下は数KΩ~5KΩと考えていいでしょう。これなら”FETアンプ程度”と考えれば良いわけで、そんなに苦労なくマッチングできそうです。
一方、出力インピーダンスはというと・・・。

これは、出力インピーダンスを測定する際に終端するインダクタンスに引っ張られる形でしか上手く測定できませんでした。このグラフの赤線は4mHのインダクタ、青線がFB801-43に0.26ΦのUEWを8回巻きした100μHのコイル使用時の特性です。その他、幾つかのマイクロインダクタで測定しましたが、そのコイルの自己共振周波数のインピーダンスを測定しているような格好になるだけで特性の見極めができませんでした。
まぁ出力側は、実際のアンプとしての動作をさせながら考慮した方が良かろうと、ゲインの測定を行いました。この時の入力インピーダンスはRinを無接続、820Ω、51Ω、出力インピーダンスはFB801-43に0.26ΦのUEWを4回・・・凡そ27μHのコイルを接続した状態でやってみました。

上がRin無接続、下が51Ωの時です。Rin無接続と820Ωでは殆ど差が無かったこと、逆に51Ωとすると全体ゲインが7,8dBほど落ちてしまいますから、このICの入力については、接続する回路の出力インピーダンスを数百Ωから数KΩ程度に上げてやることが肝要なようです。
出力インピーダンスは上記の結果からだけではきちんと導き出せませんが、3MHzで27μH・・・500Ω程度のインピーダンスでしっかり利得が稼げるようですから、”どよよんラボ”としては一つの指標として「出力インピーダンスは500Ω以上で整合」という結果にしようと思います。
ちなみに、出力コイルと並列に51Ωの抵抗を接続すると、ゲインが20dB少々でフラットになります。この辺り、広帯域アンプの挙動と似ています。
上記をまとめると、以下のような感じでしょうか。
◆前提:HFの下の方(数MHz~10.7MHz)
◆入力インピーダンス:数百~数KΩとしてマッチング
Rinを適当に置いてやる
◆出力インピーダンス:500Ω~数KΩとしてマッチング可能
数十Ωでは利得低下
◆上記を守ればゲインは40dB以上取れそう
漸く実験結果がブログに掲載できました。次回はこのIC単体で、先に作ったクリスタルフィルタ(入出力インピーダンス200Ω)を前提に、入出力の整合を含めたブレボ実験を続けたいと思います
が、ここ来週一杯くらいまでは手が付くかどうか

IFアンプの製作を進めるべく、まずはMC1350単体の味見を・・・とその前に、このアンプ単体で得られる利得を打ち消して、APB-3等で測定するのに取り回しが楽になるよう、50dBのアッテネータを作りました。

入出力にそれぞれ6dBのπ型アッテネータを配し、その間を7.5KΩ(15KΩを2本並列)で接続した簡易なものです。特性はご覧の通りです。

500KHzから15MHzくらいまでの間は凡そ-50dBをキープしていますが、その上のHF帯+α(40MHzくらい)までは0.5dB以内の誤差には収まっています。普通のカーボン抵抗で作りっぱなしですから、こんなもんでしょう

さて、MC1350単体の味見は、以下のような回路をちょっと高周波的に良さげな"改良ブレッドボード"に組みました。

AGCはグランドに落とすとこのICの最大利得になります。以下、AGCはグランドに落として測定しました。
測定結果の前に・・・データシートから算出した入出力インピーダンスの様子を再掲載。

それでは、入力インピーダンスから。上の回路図のRinには何も接続せず、このICの入力インピーダンスを直接測りました。

データシート計算値と比較的近い傾向です。HF帯の低い方・・・10.7MHz以下は数KΩ~5KΩと考えていいでしょう。これなら”FETアンプ程度”と考えれば良いわけで、そんなに苦労なくマッチングできそうです。
一方、出力インピーダンスはというと・・・。

これは、出力インピーダンスを測定する際に終端するインダクタンスに引っ張られる形でしか上手く測定できませんでした。このグラフの赤線は4mHのインダクタ、青線がFB801-43に0.26ΦのUEWを8回巻きした100μHのコイル使用時の特性です。その他、幾つかのマイクロインダクタで測定しましたが、そのコイルの自己共振周波数のインピーダンスを測定しているような格好になるだけで特性の見極めができませんでした。
まぁ出力側は、実際のアンプとしての動作をさせながら考慮した方が良かろうと、ゲインの測定を行いました。この時の入力インピーダンスはRinを無接続、820Ω、51Ω、出力インピーダンスはFB801-43に0.26ΦのUEWを4回・・・凡そ27μHのコイルを接続した状態でやってみました。

上がRin無接続、下が51Ωの時です。Rin無接続と820Ωでは殆ど差が無かったこと、逆に51Ωとすると全体ゲインが7,8dBほど落ちてしまいますから、このICの入力については、接続する回路の出力インピーダンスを数百Ωから数KΩ程度に上げてやることが肝要なようです。
出力インピーダンスは上記の結果からだけではきちんと導き出せませんが、3MHzで27μH・・・500Ω程度のインピーダンスでしっかり利得が稼げるようですから、”どよよんラボ”としては一つの指標として「出力インピーダンスは500Ω以上で整合」という結果にしようと思います。
ちなみに、出力コイルと並列に51Ωの抵抗を接続すると、ゲインが20dB少々でフラットになります。この辺り、広帯域アンプの挙動と似ています。
上記をまとめると、以下のような感じでしょうか。
◆前提:HFの下の方(数MHz~10.7MHz)
◆入力インピーダンス:数百~数KΩとしてマッチング
Rinを適当に置いてやる
◆出力インピーダンス:500Ω~数KΩとしてマッチング可能
数十Ωでは利得低下
◆上記を守ればゲインは40dB以上取れそう
漸く実験結果がブログに掲載できました。次回はこのIC単体で、先に作ったクリスタルフィルタ(入出力インピーダンス200Ω)を前提に、入出力の整合を含めたブレボ実験を続けたいと思います


IFアンプ作りの準備開始
2017-09-02
今週末はハムフェア
・・・ですが、ここのブログ主は既に今年は参戦しないことにし、何やら怪しげな設計作業を進めようと思っています。この怪しげな設計作業を含めた今後のヘッポコ製作は五月雨式の記事になりそうな予感がしますが、 自分の頭の整理を行うためにもつらつらと書いていこうと思います。
ずっと前から計画していた「IF-AGCのソフト制御」 については、今年の3月の記事で既にそちらの方向に向けて「書き出し」をしていましたが、 実際にはIF回路の実験をするために必要な"周辺回路"を順に仕上げていくことになり、とりわけクリスタルフィルタの試作に手間取ってしまいました
そろそろ試作基板を作ろうと思いひとまず回路図は引けたんです(って、大したもんじゃないです)が、それを発表する前に設計条件などをまとめておきます。
まず、IFアンプのゲインとAGCの利得調整範囲についての考え方は、これまた今年の3月の別記事でまとめていますが、何れも大凡90dB程度あれば良さそうです。勿論、RF部のゲインや必要な復調入力電力なども考慮する必要はありますが、この程度のゲインと調整範囲が取れれば、まずまずの受信システムになるでしょう。
今回のIFアンプの試作では、ゆくゆくそのAGC部分をソフト制御でできるか試すのが主目的ですから、90dB程度のゲインが取れればどんなデバイスで組んでもいいんですが、「MC1350」というちょいとレガシーなICの2段構成で実現することにします。このICのチョイスは、IFアンプとしてICを使ったことがないという"自分の興味"と、随分前に中華から安価にロット購入し”10個も持っている”という在庫数が決め手になりました。
MC1350は、単体で50dB程度のゲインが取れる広帯域アンプです。まず最初に、AGC特性を掲載しておきます。

5Vから7V程度のフォワードAGCとして扱うことができそうです。まぁ、こいつを2段にするとどんな風に変化するかは試してみないと・・・というかかなり高ゲインになるんで、発振しないよう相応の注意が要りそうです

これは、データシートの情報(アドミッタンスで表にまとめられているもの)から入出力インピーダンスを算出したものです。何れもかなり高めなことが判ります。今回は、先に試作したクリスタルフィルタの中心周波数(4.095MHz付近:グラフ上の緑線辺り)でIFアンプを設計しますが、入力が2KΩ程度、出力が20KΩ程度のようです。付帯するLC同調回路・・・特に出力側は発振しないようかなりQダンプして作成している例が多いものの、あまり極端に低インピにするとゲインが下がってしまうのではないかなど、この辺りも確認する必要があるかも知れません。
また、AGCでゲインを落としていくに連れNFがかなり悪化します。このICを使った製作記事の幾つかには「ノイジー」と謳っているものも見受けられ、もっとローノイズなIC(例えばAD603など)をチョイスした方が良さそうですが、この辺りも同調回路のQで変わってくるようにも思うんで、できれば検証してみたいと思います。
今日の涼しさに代わって明日日曜は暑くなりそう・・・まぁ例によってノンビリ進めたいと思います。

ずっと前から計画していた「IF-AGCのソフト制御」 については、今年の3月の記事で既にそちらの方向に向けて「書き出し」をしていましたが、 実際にはIF回路の実験をするために必要な"周辺回路"を順に仕上げていくことになり、とりわけクリスタルフィルタの試作に手間取ってしまいました

まず、IFアンプのゲインとAGCの利得調整範囲についての考え方は、これまた今年の3月の別記事でまとめていますが、何れも大凡90dB程度あれば良さそうです。勿論、RF部のゲインや必要な復調入力電力なども考慮する必要はありますが、この程度のゲインと調整範囲が取れれば、まずまずの受信システムになるでしょう。
今回のIFアンプの試作では、ゆくゆくそのAGC部分をソフト制御でできるか試すのが主目的ですから、90dB程度のゲインが取れればどんなデバイスで組んでもいいんですが、「MC1350」というちょいとレガシーなICの2段構成で実現することにします。このICのチョイスは、IFアンプとしてICを使ったことがないという"自分の興味"と、随分前に中華から安価にロット購入し”10個も持っている”という在庫数が決め手になりました。
MC1350は、単体で50dB程度のゲインが取れる広帯域アンプです。まず最初に、AGC特性を掲載しておきます。

5Vから7V程度のフォワードAGCとして扱うことができそうです。まぁ、こいつを2段にするとどんな風に変化するかは試してみないと・・・というかかなり高ゲインになるんで、発振しないよう相応の注意が要りそうです


これは、データシートの情報(アドミッタンスで表にまとめられているもの)から入出力インピーダンスを算出したものです。何れもかなり高めなことが判ります。今回は、先に試作したクリスタルフィルタの中心周波数(4.095MHz付近:グラフ上の緑線辺り)でIFアンプを設計しますが、入力が2KΩ程度、出力が20KΩ程度のようです。付帯するLC同調回路・・・特に出力側は発振しないようかなりQダンプして作成している例が多いものの、あまり極端に低インピにするとゲインが下がってしまうのではないかなど、この辺りも確認する必要があるかも知れません。
また、AGCでゲインを落としていくに連れNFがかなり悪化します。このICを使った製作記事の幾つかには「ノイジー」と謳っているものも見受けられ、もっとローノイズなIC(例えばAD603など)をチョイスした方が良さそうですが、この辺りも同調回路のQで変わってくるようにも思うんで、できれば検証してみたいと思います。
今日の涼しさに代わって明日日曜は暑くなりそう・・・まぁ例によってノンビリ進めたいと思います。
AGC回路の初段の決定版・・・かな!?
2017-03-18
この三連休の初っ端は、久々に公私共予定のない穏やかな一日です。4月からコマーシャル上の担務が大きく変わることから、来週辺りから引き継ぎで忙しくなりそうですから、その前に十分英気を養っておこうと少し寝坊をしました。そして昼食前から、AGC回路の初段に置くアンプ部分の様子を調べてみました。
実はこの実験自体は、数日前の帰宅後に実験回路をブレッドボードに組んで味見しており、これをそのまま使ってのデータ整理が中心。それでは、実験で求めた各部品の値を記入した回路図を披露。

まず、入力はIFアンプ出力の目安として-13dBmを前提とし、入力コンデンサには4MHzで3KΩ程度のインピーダンスとなる12pF、ご本尊のFETには手持ち在庫数の関係からひとまず2SK192AのGRランクを選びました。
今更書く必要もありませんが、FETはIDSSのバラツキが激しく、無作為に選んだ4本のGRランクのIDSSは7mAから12mAまでとなっており、終端抵抗を1.8KΩに固定して探ってみましたが、ソース抵抗値をかなりキチンと選んでやらないと出力電圧に影響が出ていました。
結果的には-13dBmの入力に対し770mV程度のDC出力が得られました。後続にADコンバータを直接接続する場合、1V以上になると扱い易いんですが、ちょっと足りません。ただ、これは入力コンデンサのインピーダンスを高くしようとするあまり、この部分で入力信号がかなり小さくなっていることが原因です。試しに入力コンデンサを22pF(4MHzのインピーダンス換算で1.8KΩ)に換装すると、出力電圧は1Vを超えてきます。
さらに追加実験。IFアンプの出力には通常「復調回路」が接続されます。ここにダイオードを用いたDBMやSBMが直結されると、かなり低いインピーダンスで終端されることになります。そこで、このアンプの先頭に「仮想終端」を置いて、低インピーダンスの復調回路が接続された状況を作り出してみました。すると、出力電圧は約半分(770mV⇒340mV)になりました。この辺り、実際の受信機に仕立てる場合の設計要素になりそうです。ICの復調回路ではもう少し高いインピーダンスで受けられそうですから、「復調回路はICで簡素に・・・」というのも選択肢に入れられそうですね。
そして、さらに追加実験。これは、アンプの負荷抵抗(ドレイン抵抗)をインダクタに換えたらどうなるか・・・という実験です。

負荷には手持ちのマイクロインダクタから、ひとまず4MHzでインピーダンスが2KΩ程度になる「100μH」(インピーダンス換算で2.5KΩ)を選んで動かしてみました。また、バイアス回路はそのまま(0バイアス)とするため、ソース抵抗は取っ払っています。
この状態で、出力電圧は2.1Vとなりました。勿論、ドレイン電流はほぼIDSS値となるため消費電流的には抵抗負荷より少し不利ですがまぁ数mAの差ですから、これを我慢してあくまで「1V以上のAGC電圧抽出」に拘ってもいいかも・・・。
ただ、この回路には2点の問題があります。それは、このコイルがIF周波数の出力源となることとコイルの誘導です。このインダクタにはIFからの信号が入力された上に増幅していますから、受信機の中に組み込んだらこの信号がインダクタから不要に輻射されてIF入力側に戻っていくと不味く(これは抵抗負荷でも考えられるが、インダクタ負荷ほどではない)、かつこのコイルが誘導で受信機内部の不要な信号を拾う可能性がある(IF信号と関係ない信号でAGCが動作してしまう:手を近付けると、出力電力が少し変化することから類推)という芳しからぬ事柄であり、少なくとも漫然と受信機内に配置するのは御法度と言えそうです。
さて、AGCアンプとしての実験自体はこれで終了にしていいんですが、その他に手持ちのFETでどんな感じになるかをざっと探ってみました。以下、抵抗負荷での確認事項です。
◆ 2SK241
電力利得が2SK192Aより高いことから、上記の回路でソース抵抗を上手く調整すると(というか、ランクによっては取っ払っても)もう少しゲインが稼げます。12pFの入力コンデンサでも1V出力は可能であり、在庫の問題が無ければこちらをチョイスした方がよさそうです。
◆ 2SK246
今回の実験ではIF周波数が低いことから、汎用の(高周波用でない)FETの可能性も見てみました。ドレイン抵抗とソース抵抗をそれぞれ探って最適値を探したところ、230mVくらいの出力電圧が出てきました。が、電圧利得換算で10dBほど小さくなってしまうことから、この選択は難しいでしょう。
◆ J310とJ211
在庫豊富なJ310に加え、J211についても最適値化して見てみました。特にJ310は「住む世界が違う石」といった感じで、ソース抵抗をかなり大きく(数KΩ)してバイアスを深くしないと、電流が・・・。その上、何れも2SK192A/2SK241より利得が稼げず、出力電圧も500mVから600mV程度・・・無理をして使う程でもないと思いました。
インダクタ負荷のコイル部分を同調回路にするのも「アリ」ですが、とりあえずこのセクションの実験は終了にします。次は制御対象となるIFアンプ本体かな
修正 17/12/10>
抵抗負荷の回路図で、抵抗に関する注釈が間違っていました。別記事で引用するため差し替えました。
実はこの実験自体は、数日前の帰宅後に実験回路をブレッドボードに組んで味見しており、これをそのまま使ってのデータ整理が中心。それでは、実験で求めた各部品の値を記入した回路図を披露。

まず、入力はIFアンプ出力の目安として-13dBmを前提とし、入力コンデンサには4MHzで3KΩ程度のインピーダンスとなる12pF、ご本尊のFETには手持ち在庫数の関係からひとまず2SK192AのGRランクを選びました。
今更書く必要もありませんが、FETはIDSSのバラツキが激しく、無作為に選んだ4本のGRランクのIDSSは7mAから12mAまでとなっており、終端抵抗を1.8KΩに固定して探ってみましたが、ソース抵抗値をかなりキチンと選んでやらないと出力電圧に影響が出ていました。
結果的には-13dBmの入力に対し770mV程度のDC出力が得られました。後続にADコンバータを直接接続する場合、1V以上になると扱い易いんですが、ちょっと足りません。ただ、これは入力コンデンサのインピーダンスを高くしようとするあまり、この部分で入力信号がかなり小さくなっていることが原因です。試しに入力コンデンサを22pF(4MHzのインピーダンス換算で1.8KΩ)に換装すると、出力電圧は1Vを超えてきます。
さらに追加実験。IFアンプの出力には通常「復調回路」が接続されます。ここにダイオードを用いたDBMやSBMが直結されると、かなり低いインピーダンスで終端されることになります。そこで、このアンプの先頭に「仮想終端」を置いて、低インピーダンスの復調回路が接続された状況を作り出してみました。すると、出力電圧は約半分(770mV⇒340mV)になりました。この辺り、実際の受信機に仕立てる場合の設計要素になりそうです。ICの復調回路ではもう少し高いインピーダンスで受けられそうですから、「復調回路はICで簡素に・・・」というのも選択肢に入れられそうですね。
そして、さらに追加実験。これは、アンプの負荷抵抗(ドレイン抵抗)をインダクタに換えたらどうなるか・・・という実験です。

負荷には手持ちのマイクロインダクタから、ひとまず4MHzでインピーダンスが2KΩ程度になる「100μH」(インピーダンス換算で2.5KΩ)を選んで動かしてみました。また、バイアス回路はそのまま(0バイアス)とするため、ソース抵抗は取っ払っています。
この状態で、出力電圧は2.1Vとなりました。勿論、ドレイン電流はほぼIDSS値となるため消費電流的には抵抗負荷より少し不利ですがまぁ数mAの差ですから、これを我慢してあくまで「1V以上のAGC電圧抽出」に拘ってもいいかも・・・。
ただ、この回路には2点の問題があります。それは、このコイルがIF周波数の出力源となることとコイルの誘導です。このインダクタにはIFからの信号が入力された上に増幅していますから、受信機の中に組み込んだらこの信号がインダクタから不要に輻射されてIF入力側に戻っていくと不味く(これは抵抗負荷でも考えられるが、インダクタ負荷ほどではない)、かつこのコイルが誘導で受信機内部の不要な信号を拾う可能性がある(IF信号と関係ない信号でAGCが動作してしまう:手を近付けると、出力電力が少し変化することから類推)という芳しからぬ事柄であり、少なくとも漫然と受信機内に配置するのは御法度と言えそうです。
さて、AGCアンプとしての実験自体はこれで終了にしていいんですが、その他に手持ちのFETでどんな感じになるかをざっと探ってみました。以下、抵抗負荷での確認事項です。
◆ 2SK241
電力利得が2SK192Aより高いことから、上記の回路でソース抵抗を上手く調整すると(というか、ランクによっては取っ払っても)もう少しゲインが稼げます。12pFの入力コンデンサでも1V出力は可能であり、在庫の問題が無ければこちらをチョイスした方がよさそうです。
◆ 2SK246
今回の実験ではIF周波数が低いことから、汎用の(高周波用でない)FETの可能性も見てみました。ドレイン抵抗とソース抵抗をそれぞれ探って最適値を探したところ、230mVくらいの出力電圧が出てきました。が、電圧利得換算で10dBほど小さくなってしまうことから、この選択は難しいでしょう。
◆ J310とJ211
在庫豊富なJ310に加え、J211についても最適値化して見てみました。特にJ310は「住む世界が違う石」といった感じで、ソース抵抗をかなり大きく(数KΩ)してバイアスを深くしないと、電流が・・・。その上、何れも2SK192A/2SK241より利得が稼げず、出力電圧も500mVから600mV程度・・・無理をして使う程でもないと思いました。
インダクタ負荷のコイル部分を同調回路にするのも「アリ」ですが、とりあえずこのセクションの実験は終了にします。次は制御対象となるIFアンプ本体かな

修正 17/12/10>
抵抗負荷の回路図で、抵抗に関する注釈が間違っていました。別記事で引用するため差し替えました。