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遠隔君のマッチング部分の再考-後編

2011-11-18      
 ちょっと頭を整理していきます。

 ◆ インピーダンス変換トランス

 インピーダンス変換トランスについては、巻き数比を1:2・・・インピーダンス比を1:4とします。ここにπマッチでSWR<2の調整機能を持たせてやると、1:8までの調整範囲となります。つまり、インピーダンスの調整範囲は「6.25~400Ω」です。結構広範囲ですね また、ステップアップトランスの巻き数比は、このトランスのようにある程度小刻みにもインピーダンス変換できますが、それじゃぁ何のためのπマッチだか分からなくなりますよね

 ◆ πマッチのまとめ

 πマッチに関しては「トロ活」以上のことは解りませんが、少なくとも「TRX側のインピーダンスは50Ω」ということは決まっています。共振器とLマッチの組み合わせ・・・といっても片側のインピーダンスありきですから、TRX側の可変容量は、バンド毎に決めていっても構わないことになります。最適定数の解法も「トロ活」頼り(覚書:改訂新版のP.337の表8.7)になりますが、TRX側の容量とコイルのインダクタンス量は、可変といっても連続的でなく「切り替える」というイメージで調整できそうです。
 ・・・ということで、πマッチ部分をまとめます。

素子インピーダンス
コイル0.707×50Ω
TRX側容量0.318×50Ω
ANT側容量0~0.707×50Ω

BANDコイル
(μH)
コンデンサ(pF)
RIG側ANT側
可変Max値
50Ω時
3.5MHz2.2728601286909.5
7MHz1.141430643454.7
10MHz0.801000450315.2
14MHz0.57715322227.4
18.1MHz0.44553249175.9
21MHz0.38477214151.2
24.9MHz0.32402181127.8
28MHz0.28357161113.7

 もし、コイルとTRX側のコンデンサを完全に連動させると、容量調整は要るものの切替はバンド毎・・・ということで8個です。空きポートを目一杯使ってANT側の容量の刻み・・・つまりコンデンサの組み合わせを細かくすれば、かなりSWRを追い込むことができそうです。
 また、TRX側容量を切り離し、ANT側容量をコイルのTRX側/ANT側に自由に接続できるようにすると「Lマッチ」の形になりますから、このバリエーションでも使えそう
 余談ですが、KX-1のバリコンのTRX側の方が容量が大きいという謎・・・これで解けました

 ◆ コンデンサの耐圧

 5WでもSWRが高ければ結構な電圧に・・・SWR=2で45V程度の高周波電圧になります。手持ちの小さいセラコンの多くが耐圧50V。 安全をみて、耐圧100/200Vのものを購入・・・売って無くはないけどちょっと値が張るなぁ

 ◆ コイルのQ

 これも拘るか否かですが、例えばT37-6とT50-6の最適巻き数の比較で、Qが100近く違います これも、上の方の周波数に使うT37-10vsT50-10だと巻き線の隙間が結構開くためそこまでの差は出ませんが、なんかちょっと考えないと・・・。

 ◆ Tマッチの罠

 ちょっと逸れますが、Tマッチは整合範囲が広く取れ、そういう意味では良い感じなんですが、アンテナハンドブック(ARRL)のTマッチに関する記事を紹介しているHPを見つけました。すると、以前に書いた記事で回路図までアップしたものはかなりロスが大きく、50Ω:5Ωの変換で22%余りがロスるそうです 過去の記事ですが、後で注釈しておきますかねぇ・・・。

遠隔君のマッチング部分の再考-前編

2011-11-18      
 そもそも遠隔君の当初のコンセプトは、「雨降りの日や寒い季節にベランダをウロウロするのは嫌だ」・・・要はバンド切替毎にベランダに出てあれこれ弄くり回してSWRを落とさなければならないところがウザい、これを解消しようではないか というのが発端に当たります。紆余曲折の挙げ句、超古いカップラを参考に回路定数を求めてひとまずコイルは巻いてみたものの、「トロ活」の記述や諸OMのユニークな記事を拝読するに、どうも話が本末転倒になってしまうのではないか・・・という疑念が、この間から少しずつ湧いてきました。PIC関連が落ち着いたんで、漸く他のところにも気が行くようになったというか・・・。

 勿論、これまでの実験全てが無駄ということではありません。現在使用中のマッチングボックス(こいつだけ愛称がないのも可哀想ではありますが、訳が分からなくなるんでひとまず後回し)でも案外行けていることや、カップラによる整合の仕方・・・Qが高いところでマッチングが取れても「熱になっちゃう無駄」といったQRPに大敵な話を考えると、今のπ型カップラの定数で本当に良いのか という不安、いや大いなる疑問になってきたという感じ。

 特に、これからチャレンジしたい80mバンドで使うであろうロングワイヤー(多分、かなり低いインピーダンス)や、ステルス君2号の40mのインピーダンス整合が「12.5Ω」で取れることなどを考慮すると、低い方に結構行ってしまうわけで、これは、

 ① トランスのステップアップで引き上げておいて・・・
 ② さらにSWRを追い込むべくπマッチを使う

といった二段構えが結構有効な気がしてきました。

 純抵抗成分だけで考えた場合、SWR値は抵抗の大きさの比になります。従って、例えば上記の「12.5Ωでマッチング」ということは50Ω:12.5Ω・・・SWR=4となり、それをマッチングボックスがSWR=1に落としたことになるわけです。まぁ、リアクタンス成分も含めて漸く普通のアンテナですから、なにもこのことだけで「よし遠隔君はマッチングトランスのみで」とまで思考はショートしませんが、このインピーダンス変換トランスとの組み合わせで考えると、案外πマッチの部分で調整してやらなければならない範囲は狭まり、極端な大容量コンデンサは不要になる・・・ここまで考えると、「トロ活」に載っている根拠ある値で再設計ができそうです
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どよよん無線技士

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アパマンというハンデにさらにQRPまで課し、失敗連続のヘッポコリグや周辺機器の製作・・・趣味というより「荒行」か!?

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