ロスは微小!・・・FTトランスのインピーダンス変換実験
2015-05-31
昨日から始まっているWW WPXには、少しだけ参戦しています。SSNが20程度で全然ダメかと思いきや、15mでEU数局とQSOできました。途中、「初英国
」と思ったら全く違っていたという大勘違いに一喜一憂したり、40mは定番の西海岸と普通~にナンバー交換でき、「我が設備も随分と円熟したわい・・・」などと自画自賛したり
・・・とは言え、マジ出場を端から諦めていたことから、「工作の傍ら」でながら参戦となりました。今宵もこんな調子で夜半まではちょいちょい顔を出したいと思います。
さて、工作の傍ら・・・なんて書いちまってますから、この記事は工作チックなものなること必至ですが、実はそんなに大したことはしてないんです
採れたデータがまずまず今後の参考になりそうなんで、ひとまずまとめようと思い立った次第。
このところの一連の記事は、全て釣竿アンテナのマッチングに関わる部分を冴えない頭なりにまとめてきたつもりなんですが、ちょっと「机上論」が続いて自分でも詰まらなくなってきたんで、釣竿アンテナの80mのマッチング部に使うべく検討中のトランスによるインピーダンス変換・・・FTシリーズの透磁率の高いコアを使ったトランスによるインピーダンス変換について、その減衰量を調べてみることにしました。
まずは、簡単な回路図から。

このトランスは使用したい周波数が3.5MHzなんで、透磁率が高い・・・といってもポピュラーな#43材でいけると踏んで、さらに巻き数はこの周波数でも十分に大きなインダクタンスになり、後続のマッチング回路にできるだけ影響を与えないように6回(このコアに6回巻きだと約20μH;440Ωくらい、最小巻き数はE点であり、この時のインダクタンス値は6回×3となり約180μH;3.9KΩくらい)としました。まぁ5回でもいけそうではありますが、ちょっと欲張ってみました
このコイルのロスの測定は、同じものを2つ作って一旦変換したインピーダンスを元に戻すように「逆さま」に接続して行います。そして、求められた減衰量の半分をコイル1つ分・・・即ち、このコイルのロスということにします。

まずは0.5φのUEWをよくよじって6回巻きにしたものを2つ作ります。そして、適当な大きさにカットしたユニバーサル基板にUEWを差し込んで、回路図通りになるよう基板の銅箔面で配線すれば出来上がりです。

左がインピーダンス変換用のトランス、右は全てのコイルに端子を立てたものです。今後の実験にも使えそうなんで、できるだけきちんとつくりました。

APB-3を繋いで測定します。浮遊容量が大きそうですが、3.5MHzではあまり問題にならないでしょう。
では、早速測定結果を。この測定に先立ち、コイルを通さずに入出力を直結して正規化しています。

このコイルの最もロスの少ない周波数は800KHz付近でした。コア材の透磁率と巻き数から考えると、HF帯のさらに下の方に最良点がズレてしまったのには頷けます
また、この時の正規化値(=0dB)からの減衰量は凡そ0.005dB、コイル1つに換算して0.0025dBという結果でした。トロイダルコアは、適正な周波数における「基本的な使い方」では、非常に優れた特性を示すという典型ですね。
その上で、3.5MHzにおける「50Ω⇒34.7Ω」「50Ω⇒28.1Ω」の変換についても、グラフ上は減衰量が判別できない程度です。この時の減衰量は凡そ0.03dB、0.06dBでしたので、コイルとしてのロスはこの半分・・・ここでも、非常に小さなロスに収まっています。
グラフ上に青い矢印で示したものが「50Ω⇒22.2Ω」の変換の様子です。3.5MHzにおける減衰量は0.09dB・・・この半分がロスということになります。やはり、変換比率が大きくなると、並行する線路が少なくなりますから、その分がロスして現れるのは仕方が無いところ。青い矢印で差している辺りでは、グラフ上も差異が見て取れます・・・というわけで、さらにこれを証明すべく、巻き線比が6:3になる組み合わせ(インピーダンス比で4:1)で測定したのが、赤い矢印で示したグラフ線です。0.186dBの減衰量の半分・・・0.09dBぐらいのロスになっていますね。やはり、変換比率を大きくするとロスが増えることは明白です。
何れにしても、80mのアンテナのマッチングに使う上では、上記の回路図の条件で巻いたトランスで上等
ということが判りました。また、40mで使うなら多分5回巻き、その上ではさらに少ない巻き数の方が有利であることも確認できました。釣竿アンテナのマッチングボックスには「前向き」に使いたいと思います


さて、工作の傍ら・・・なんて書いちまってますから、この記事は工作チックなものなること必至ですが、実はそんなに大したことはしてないんです

このところの一連の記事は、全て釣竿アンテナのマッチングに関わる部分を冴えない頭なりにまとめてきたつもりなんですが、ちょっと「机上論」が続いて自分でも詰まらなくなってきたんで、釣竿アンテナの80mのマッチング部に使うべく検討中のトランスによるインピーダンス変換・・・FTシリーズの透磁率の高いコアを使ったトランスによるインピーダンス変換について、その減衰量を調べてみることにしました。
まずは、簡単な回路図から。

このトランスは使用したい周波数が3.5MHzなんで、透磁率が高い・・・といってもポピュラーな#43材でいけると踏んで、さらに巻き数はこの周波数でも十分に大きなインダクタンスになり、後続のマッチング回路にできるだけ影響を与えないように6回(このコアに6回巻きだと約20μH;440Ωくらい、最小巻き数はE点であり、この時のインダクタンス値は6回×3となり約180μH;3.9KΩくらい)としました。まぁ5回でもいけそうではありますが、ちょっと欲張ってみました

このコイルのロスの測定は、同じものを2つ作って一旦変換したインピーダンスを元に戻すように「逆さま」に接続して行います。そして、求められた減衰量の半分をコイル1つ分・・・即ち、このコイルのロスということにします。

まずは0.5φのUEWをよくよじって6回巻きにしたものを2つ作ります。そして、適当な大きさにカットしたユニバーサル基板にUEWを差し込んで、回路図通りになるよう基板の銅箔面で配線すれば出来上がりです。

左がインピーダンス変換用のトランス、右は全てのコイルに端子を立てたものです。今後の実験にも使えそうなんで、できるだけきちんとつくりました。

APB-3を繋いで測定します。浮遊容量が大きそうですが、3.5MHzではあまり問題にならないでしょう。
では、早速測定結果を。この測定に先立ち、コイルを通さずに入出力を直結して正規化しています。

このコイルの最もロスの少ない周波数は800KHz付近でした。コア材の透磁率と巻き数から考えると、HF帯のさらに下の方に最良点がズレてしまったのには頷けます

その上で、3.5MHzにおける「50Ω⇒34.7Ω」「50Ω⇒28.1Ω」の変換についても、グラフ上は減衰量が判別できない程度です。この時の減衰量は凡そ0.03dB、0.06dBでしたので、コイルとしてのロスはこの半分・・・ここでも、非常に小さなロスに収まっています。
グラフ上に青い矢印で示したものが「50Ω⇒22.2Ω」の変換の様子です。3.5MHzにおける減衰量は0.09dB・・・この半分がロスということになります。やはり、変換比率が大きくなると、並行する線路が少なくなりますから、その分がロスして現れるのは仕方が無いところ。青い矢印で差している辺りでは、グラフ上も差異が見て取れます・・・というわけで、さらにこれを証明すべく、巻き線比が6:3になる組み合わせ(インピーダンス比で4:1)で測定したのが、赤い矢印で示したグラフ線です。0.186dBの減衰量の半分・・・0.09dBぐらいのロスになっていますね。やはり、変換比率を大きくするとロスが増えることは明白です。
何れにしても、80mのアンテナのマッチングに使う上では、上記の回路図の条件で巻いたトランスで上等


釣竿アンテナ用カップラのプチまとめ
2015-05-27
急なCM関連の「冷え込み」で、案外忙しく過ごしています。以前には考えられないような急激な暗転にも慣れっ子の部分があって、詰まるところ「営業活動の活性化」しかないため、異例の暑さとなった5月の都内をここ数日ウロウロしています。そんな中でもオツムの中は釣竿君用の新しいマッチングボックスのことで一杯・・・不良会社員丸出しでございます
少し前の記事で釣竿君に使うカップラの概要まとめをした後、Lマッチの検討にいきなり足を踏み入れてしまった嫌いがあって、実際の検討を進めるのにもう少し前提が要るなぁと思うようになりました。今日は、クールダウンの意味でこの部分をまとめておくことにしました。
◆ 80mは「トランス+Tマッチ」が良さそう
80mのアンテナの接続では、カップラと釣竿アンテナの間にローディングコイルを付加します。このコイルは手巻きで自作しますから、適当なボビン代わりの筒に必要な分の巻線を巻けば良いだけです。今いまは、この部分にどういうわけか馴染んでしまった緑コイル・・・化粧水などを入れるプラスチックのボトルにアルミ線を巻いたものを使っています。

実は、今回のカップラ作りの序でにこのコイルとおサラバして、もう少しQの改善(ボビン径を太くする)+160mにも使えるようにするというコンセプトで作り直そうとしており、ボビン代わりの太い塩ビパイプを既に買ってある・・・にも拘らず実際の製作に入れないのは、ちょいと迷いがあるからなんですね
コイルを新たに巻くわけですから必要なインダクタンスが無難に実現できればいいわけですが、これをスズメッキ線で作ると、ワニ口を使った「自由なタップ」が使えるようになり、当日の「地面や建物の含水状態」に連れて変動するインピーダンスに最適な接続ができるようになります。
ところが、運用前または運用時点の天候によっては、雨上がりで乾いていく状態だったり、逆に急な雨で湿っていく状態だったりすると、運用中の再チューン・・・即ち「タップ切り替え」を逐次行わなければなりません。これを夜間運用主体の80mで行おうとすると、結構難儀なシチュエーション(暗いベランダで懐中電灯を頼りに・・・)であることは明白。少なくとも、現状はカップラのツマミをくるくる回してSWRを落とし込めば良いわけですから、この点から考えるとバリコンで調整できる今のスタイルが「作業の簡便さ」といった点では優っているでしょう。
さらによくよく考えてみると、Lマッチによるカップラを仮に作ったとしても、こちらもかなり細かいタップの切り替えは必要になりますから、実際に扱い易い(特に、コンテストの最中など限られた時間に簡単操作で調整できる)代物にはならないんじゃないか・・・と思い始めたんですね。そして、TYPE-Ⅲのまとめの時点で投げ出してある「損失の最小化」を狙ったトロイダルコアを使ったトランスによるインピーダンス変換と、これまた損失ができるだけ少なくなるような設計に基づく「Tマッチ」の組み合わせの方が、「夜間のベランダであっという間に調整できる」という点でも優れているんじゃないかなぁ・・・という結論に辿りついちゃったんですよね。ごめんね、Lマッチ
というわけで、釣竿アンテナ用マッチングボックスの80m部分は、「トランス+Tマッチ」に落ち着きそうです。そして、80m用の新コイルについては、タップが取れる・取れないは置いて「丈夫なものを作る」というのが第一のコンセプトになりそうです。
◆ 40mはまだ調査余地があるものの・・・
釣竿君の40mは、80mよりかなり扱い易い諸元。というのは、アンテナとしての純抵抗分が概ね50Ω後半から60Ω前半といった塩梅になりますので、高い方へのインピーダンス変換が必要ですが、80mのように50Ωより低い方へ一旦下げるという必要がありません。つまり、Lマッチだけでも十分にマッチングが取れる可能性が大きいです。
ただ、実際の運用においては80mと全く同じで、特にコンテスト参加時のシチュエーションでは、臨機な調整が必要な場面も考えられますから、ここは同じく「Tマッチ」の方が良さそう。というわけで、これで一件落着・・・となればよかったんですが、ちょっと懸念があります。
少し前に釣竿アンテナのデータ整理としてまとめた中に、「ひょっとしたら、50Ωを下回るインピーダンスの場合があるのではないか」と疑えるデータがあります(この記事の2013年11月2日のデータ参照)。このデータでは、運用周波数で辛うじて50Ωを上回っていますがギリギリの状態です。
TYPE-Ⅲでは、πC型の宿命である「一度下げてから上げる」というインピーダンス変換のからくりのため、設計・実測上は40Ω程度までマッチングできるようになっており、仮に多少50Ωを多少下回ったところで問題ないわけですが、今回はこの辺りを少し考えて設計しておかないと不味そうな雰囲気
その上、このインピーダンス値の決定要素には、相変わらずFIXしていないカウンターポイズちゃんが絡むわ、雨天時の測定データが多くないわ・・・といった塩梅であり、どの程度のマージンが必要なのか決められんのですよね。神経質になるつもりはないんですが、やはりできるだけ事前検討は濃いめにした上で「作っては壊し・・・」を減らしたいんです。とは言え、ここいら辺りの試行錯誤は、あまり遠回りにはならないんじゃないかなぁ・・・と高を括っています
少し具体的になったところで、そろそろ設計に入ろうかな・・・今週末の宿題ってところですね

少し前の記事で釣竿君に使うカップラの概要まとめをした後、Lマッチの検討にいきなり足を踏み入れてしまった嫌いがあって、実際の検討を進めるのにもう少し前提が要るなぁと思うようになりました。今日は、クールダウンの意味でこの部分をまとめておくことにしました。
◆ 80mは「トランス+Tマッチ」が良さそう
80mのアンテナの接続では、カップラと釣竿アンテナの間にローディングコイルを付加します。このコイルは手巻きで自作しますから、適当なボビン代わりの筒に必要な分の巻線を巻けば良いだけです。今いまは、この部分にどういうわけか馴染んでしまった緑コイル・・・化粧水などを入れるプラスチックのボトルにアルミ線を巻いたものを使っています。

実は、今回のカップラ作りの序でにこのコイルとおサラバして、もう少しQの改善(ボビン径を太くする)+160mにも使えるようにするというコンセプトで作り直そうとしており、ボビン代わりの太い塩ビパイプを既に買ってある・・・にも拘らず実際の製作に入れないのは、ちょいと迷いがあるからなんですね

コイルを新たに巻くわけですから必要なインダクタンスが無難に実現できればいいわけですが、これをスズメッキ線で作ると、ワニ口を使った「自由なタップ」が使えるようになり、当日の「地面や建物の含水状態」に連れて変動するインピーダンスに最適な接続ができるようになります。
ところが、運用前または運用時点の天候によっては、雨上がりで乾いていく状態だったり、逆に急な雨で湿っていく状態だったりすると、運用中の再チューン・・・即ち「タップ切り替え」を逐次行わなければなりません。これを夜間運用主体の80mで行おうとすると、結構難儀なシチュエーション(暗いベランダで懐中電灯を頼りに・・・)であることは明白。少なくとも、現状はカップラのツマミをくるくる回してSWRを落とし込めば良いわけですから、この点から考えるとバリコンで調整できる今のスタイルが「作業の簡便さ」といった点では優っているでしょう。
さらによくよく考えてみると、Lマッチによるカップラを仮に作ったとしても、こちらもかなり細かいタップの切り替えは必要になりますから、実際に扱い易い(特に、コンテストの最中など限られた時間に簡単操作で調整できる)代物にはならないんじゃないか・・・と思い始めたんですね。そして、TYPE-Ⅲのまとめの時点で投げ出してある「損失の最小化」を狙ったトロイダルコアを使ったトランスによるインピーダンス変換と、これまた損失ができるだけ少なくなるような設計に基づく「Tマッチ」の組み合わせの方が、「夜間のベランダであっという間に調整できる」という点でも優れているんじゃないかなぁ・・・という結論に辿りついちゃったんですよね。ごめんね、Lマッチ

というわけで、釣竿アンテナ用マッチングボックスの80m部分は、「トランス+Tマッチ」に落ち着きそうです。そして、80m用の新コイルについては、タップが取れる・取れないは置いて「丈夫なものを作る」というのが第一のコンセプトになりそうです。
◆ 40mはまだ調査余地があるものの・・・
釣竿君の40mは、80mよりかなり扱い易い諸元。というのは、アンテナとしての純抵抗分が概ね50Ω後半から60Ω前半といった塩梅になりますので、高い方へのインピーダンス変換が必要ですが、80mのように50Ωより低い方へ一旦下げるという必要がありません。つまり、Lマッチだけでも十分にマッチングが取れる可能性が大きいです。
ただ、実際の運用においては80mと全く同じで、特にコンテスト参加時のシチュエーションでは、臨機な調整が必要な場面も考えられますから、ここは同じく「Tマッチ」の方が良さそう。というわけで、これで一件落着・・・となればよかったんですが、ちょっと懸念があります。
少し前に釣竿アンテナのデータ整理としてまとめた中に、「ひょっとしたら、50Ωを下回るインピーダンスの場合があるのではないか」と疑えるデータがあります(この記事の2013年11月2日のデータ参照)。このデータでは、運用周波数で辛うじて50Ωを上回っていますがギリギリの状態です。
TYPE-Ⅲでは、πC型の宿命である「一度下げてから上げる」というインピーダンス変換のからくりのため、設計・実測上は40Ω程度までマッチングできるようになっており、仮に多少50Ωを多少下回ったところで問題ないわけですが、今回はこの辺りを少し考えて設計しておかないと不味そうな雰囲気

その上、このインピーダンス値の決定要素には、相変わらずFIXしていないカウンターポイズちゃんが絡むわ、雨天時の測定データが多くないわ・・・といった塩梅であり、どの程度のマージンが必要なのか決められんのですよね。神経質になるつもりはないんですが、やはりできるだけ事前検討は濃いめにした上で「作っては壊し・・・」を減らしたいんです。とは言え、ここいら辺りの試行錯誤は、あまり遠回りにはならないんじゃないかなぁ・・・と高を括っています

少し具体的になったところで、そろそろ設計に入ろうかな・・・今週末の宿題ってところですね

早々と・・・エアコンフル稼働準備
2015-05-23
今年は、GWが明けたら比較的暑い日が多かったように思っていたら、どうやら5月の中旬以降の高温連続日数は記録的らしいことがニュース記事から読み取れた。まぁ、朝晩はかなり気温が下がることもあって、同僚の中には寝しなの窓の開け閉めに失敗して体調を崩している奴もいるが、自分はもうとっくに出してきた扇風機フル回転で凌いでいるような状況(18時現在の室温が27.4℃)であり、この先の梅雨の時期、はたまたその先の「夏」の高温を想像して戦々恐々だ。
こうなると、昨年まで「掃除不行き届きによる不具合」に翻弄されてきたエアコンに早くから気が行き、今日は天気もまずまずだったことから、昨年実施して大変効果のあった「霧吹き掃除」を行った。方法などは昨年の記事に覚え書きした通り、養生用の「ビニールの大きなほっかむり」をエアコンに被せ、重曹を適当に溶かした液を「手動」の霧吹きでシュッシュと吹きかけながら、主にエアコンの風を送り出す横長のファンを念入りに掃除するのだ。
午後からは案外気温が高かったこともあって、折角の養生の外側に大量の汗をボタボタ垂らしながら、1時間ちょっとの作業でまずまず綺麗になった。仕上げに除菌用の専用スプレーをかけて、後は送風でぶん回して乾かせば完了である。
この程度の掃除でも明らかにエアコンの効きは違い、電気代にも跳ね返ってくるのが判ったりするのだ。昨年の夏の電気代は、例年の夏の同時期に比べて毎月二千円ほど安かったから、あまり馬鹿にできない。
さて、一頻り家族に「廃液」を自慢したが、飽き足らずにスナップに納めた。

これでも3年振りの掃除だった昨年よりはマシなんだが、相変わらずスンゲィことになっている。ブログに貼り付けるのもどうかと思うが、来年また比べるための「資料」である。
ここまでやったんだから、多少暑い夏でも許してやろうか・・・とも思ってしまうが、やはり「ほどほどの夏」に期待したい。
こうなると、昨年まで「掃除不行き届きによる不具合」に翻弄されてきたエアコンに早くから気が行き、今日は天気もまずまずだったことから、昨年実施して大変効果のあった「霧吹き掃除」を行った。方法などは昨年の記事に覚え書きした通り、養生用の「ビニールの大きなほっかむり」をエアコンに被せ、重曹を適当に溶かした液を「手動」の霧吹きでシュッシュと吹きかけながら、主にエアコンの風を送り出す横長のファンを念入りに掃除するのだ。
午後からは案外気温が高かったこともあって、折角の養生の外側に大量の汗をボタボタ垂らしながら、1時間ちょっとの作業でまずまず綺麗になった。仕上げに除菌用の専用スプレーをかけて、後は送風でぶん回して乾かせば完了である。
この程度の掃除でも明らかにエアコンの効きは違い、電気代にも跳ね返ってくるのが判ったりするのだ。昨年の夏の電気代は、例年の夏の同時期に比べて毎月二千円ほど安かったから、あまり馬鹿にできない。
さて、一頻り家族に「廃液」を自慢したが、飽き足らずにスナップに納めた。

これでも3年振りの掃除だった昨年よりはマシなんだが、相変わらずスンゲィことになっている。ブログに貼り付けるのもどうかと思うが、来年また比べるための「資料」である。
ここまでやったんだから、多少暑い夏でも許してやろうか・・・とも思ってしまうが、やはり「ほどほどの夏」に期待したい。
やっぱりね・・・コンテスト中の移動ルールの落とし穴
2015-05-21
暫くこの忙しさの中で時間を作り、プチ自作やらプチ実験やらプチQSOやらが続くと思いますが、明後日からの土日はゆっくりできるかも・・・
実は、メジャーなコンテストではALL JAから採用されたコンテスト中の移動ルールに疑問がありました。質問しようか躊躇していたら、いつの間にかQ&Aに答えが書いてあったんでコピーしてきました・・・いいのかなぁ
> Q-24 :コンテスト中に運用場所を変更することは出来ますか?
> A-24 :新ルールから、ALL ASIAN DXコンテストを除く全コンテストで、コンテスト開始時とマルチプライヤー
> が変わらない運用場所の変更は、移動局(コンテストに参加する目的で移動している局またはSWL)かつ
> シングルオペに限り可能とします。
> 但し、この場合、常置場所からの運用は禁止とします。(例:JN2QRZがJN2QRZ/2で運用した後、常置
> 場所へ移動し、JN2QRZで運用することは禁止とします。)
※原本の確認はこちら。このページの中央辺りにあります。
これ、少し考えれば解ることです。「コンテストに参加する目的で移動している局」というところにピンと来れば解ること(常置場所とは、免許に記載されている「移動していない場所」のことですよ)・・・ではあるんですが、きちんとアナウンスしないと誤解する局が出てくるんじゃないかなぁと思っていました。現に、今年のALL JA参加模様を記したブログの中に、このエラーに気付かずに移動してしまった局長さん(コンテストのために移動して、時間内に帰宅して「常置場所」から運用してしまった局長さん)が記事を書いているのを幾つか見かけましたから、この辺りどうするのかなぁ・・・と思っていましたが、広告効果としてはQ&Aに記載するだけでは生温い
メールマガジンでの周知なども必要だと、個人的には思います。
一方、アパマンハムの端くれとしては、帰宅後や出発前のコンテスト運用を「常置場所でも認めてくれる」という方が、実は歓迎なんですよね。例えば、アンテナ設置の制約から満足に運用できないHF帯を移動で満喫し、帰宅したらGPでV/UHF帯へオンエアする・・・こういうスタイルでの運用が可能だったら、もっと参加者も増えるんじゃないかなぁと思うんです。「自宅からの/1運用」は認められない(法規上は移動局に「/」を付けろ
などとは謳っていない、つまり付けなくっても問題ないが、実勢上これに背いてもあまり意味は無い)ならコンテストナンバーを工夫してカテゴリーを分けるなどルールを上手く作ればできると思うし、特に住宅事情の厳しい「日本ならではのルール」ということで、国内コンテストでは成立すると思うんですよね。同県内という制約はあっても、移動を絡めた「フルタイム運用者」が増加し、きっと楽しさも増すと思うんですが如何でしょう
何れにせよ、今回のフライングめいたこのルール実施は「ちょっと宣伝が足りなかった」と、運営側には反省して欲しいなぁと思いました

実は、メジャーなコンテストではALL JAから採用されたコンテスト中の移動ルールに疑問がありました。質問しようか躊躇していたら、いつの間にかQ&Aに答えが書いてあったんでコピーしてきました・・・いいのかなぁ

> Q-24 :コンテスト中に運用場所を変更することは出来ますか?
> A-24 :新ルールから、ALL ASIAN DXコンテストを除く全コンテストで、コンテスト開始時とマルチプライヤー
> が変わらない運用場所の変更は、移動局(コンテストに参加する目的で移動している局またはSWL)かつ
> シングルオペに限り可能とします。
> 但し、この場合、常置場所からの運用は禁止とします。(例:JN2QRZがJN2QRZ/2で運用した後、常置
> 場所へ移動し、JN2QRZで運用することは禁止とします。)
※原本の確認はこちら。このページの中央辺りにあります。
これ、少し考えれば解ることです。「コンテストに参加する目的で移動している局」というところにピンと来れば解ること(常置場所とは、免許に記載されている「移動していない場所」のことですよ)・・・ではあるんですが、きちんとアナウンスしないと誤解する局が出てくるんじゃないかなぁと思っていました。現に、今年のALL JA参加模様を記したブログの中に、このエラーに気付かずに移動してしまった局長さん(コンテストのために移動して、時間内に帰宅して「常置場所」から運用してしまった局長さん)が記事を書いているのを幾つか見かけましたから、この辺りどうするのかなぁ・・・と思っていましたが、広告効果としてはQ&Aに記載するだけでは生温い

一方、アパマンハムの端くれとしては、帰宅後や出発前のコンテスト運用を「常置場所でも認めてくれる」という方が、実は歓迎なんですよね。例えば、アンテナ設置の制約から満足に運用できないHF帯を移動で満喫し、帰宅したらGPでV/UHF帯へオンエアする・・・こういうスタイルでの運用が可能だったら、もっと参加者も増えるんじゃないかなぁと思うんです。「自宅からの/1運用」は認められない(法規上は移動局に「/」を付けろ


何れにせよ、今回のフライングめいたこのルール実施は「ちょっと宣伝が足りなかった」と、運営側には反省して欲しいなぁと思いました

短縮コンデンサの初歩的な実験
2015-05-10
既にステルス君のマッチングボックス内にも具備している短縮コンデンサですが、釣竿君のマッチングにも使用する可能性があるんで、「きちんと理解するためのプチ実験」をしました。簡単な実験ですから、逆にやったことがない方も多いかも知れませんので、一応披露致しましょう
我がステルス君は、その昔、80mにオンエアするための接続点を持っていました。ダイポールアンテナの左右のエレメントをショートさせるスイッチがマッチングボックス内に具備されており、これをショートさせた上で片側のエレメントにある接続点にローディングコイルとアンテナカップラをシリーズに接続してオンエアするようなスタイル・・・これは、その後の釣竿君の台頭で廃れてしまいましたが、80m初の関東以遠の交信記録を樹立した記念すべきエントリーポイントだったんです。そして、現用のステルス君にも、そのエントリーは残されています。
ここにローディングコイルを接続しないと、4~5MHz辺りに同調点のあるロングワイヤーになります。今日は、このエントリーポイントを使って、短縮コンデンサを接続した場合の同調点の動きをトレースしてみようと思い立ったわけです。
まずは、アンアナ54号君を直接、上記エントリーポイントに接続(勿論グランド側にはカウンターポイズを接続)して同調周波数を測ると、こんな風になりました。

リアクタンス成分が-j1.8Ω分ありますから、厳密に言うと数KHz上が同調点になりますが、ひとまずこれは無視して5.152MHzとしましょう。
さぁ、コンデンサを接続してみましょう。用意したコンデンサはこれ。

Max200pFのタイトバリコン・・・実測では約215pFとなりましたが、これを使って実験です。アンテナとアンアナの間に直列に接続し、恰も「短縮コンデンサを入れた状態」にしました。

なるほど、凡そ260KHz動いた勘定になります。では、この状態で、コンデンサを接続していない時の同調周波数である5.152MHzはどうなっているのか・・・。

凡そ137Ω程度のリアクタンス値となっていますね。同調周波数である5.412MHzにおけるリアクタンス値としてこれをコンデンサの容量に換算すると、何と「214.7pF」と計算できるんです
様々に誤差含みの部分が今回の実験では上手く相殺されていい値になったことは否めませんが、適当に張ったアンテナ相手でもきちんと「理論通りに再現できる」というところが味噌・・・リアクタンス成分の測定ができれば、実際のマッチングに必要な計算が机上である程度の精度でできるということになります。これは、偶然上手くいった⇒ある程度アタリが付いてきちんと作れたという成長に繋がること・・・素晴らしいことだと思います
どうも、アンテナ回りというのは「SWRありき」で語られ、実際の調整シーンでも闇雲にSWRが下がったらそれでヨシ・・・ということが多いと思います。その上、この記事のような初歩的な実験は、アンテナ弄りの好きな諸OMには「何を当たり前のことで騒いでおる
」と一喝頂く程度のものなんでしょうが、こうした基礎的な部分は、時折振り返って自分の理解度や納得度を高める(深める)ことも、結構大切だと思っています
GW明け最初の週末は、まずまずの首尾で完了のようですね

我がステルス君は、その昔、80mにオンエアするための接続点を持っていました。ダイポールアンテナの左右のエレメントをショートさせるスイッチがマッチングボックス内に具備されており、これをショートさせた上で片側のエレメントにある接続点にローディングコイルとアンテナカップラをシリーズに接続してオンエアするようなスタイル・・・これは、その後の釣竿君の台頭で廃れてしまいましたが、80m初の関東以遠の交信記録を樹立した記念すべきエントリーポイントだったんです。そして、現用のステルス君にも、そのエントリーは残されています。
ここにローディングコイルを接続しないと、4~5MHz辺りに同調点のあるロングワイヤーになります。今日は、このエントリーポイントを使って、短縮コンデンサを接続した場合の同調点の動きをトレースしてみようと思い立ったわけです。
まずは、アンアナ54号君を直接、上記エントリーポイントに接続(勿論グランド側にはカウンターポイズを接続)して同調周波数を測ると、こんな風になりました。

リアクタンス成分が-j1.8Ω分ありますから、厳密に言うと数KHz上が同調点になりますが、ひとまずこれは無視して5.152MHzとしましょう。
さぁ、コンデンサを接続してみましょう。用意したコンデンサはこれ。

Max200pFのタイトバリコン・・・実測では約215pFとなりましたが、これを使って実験です。アンテナとアンアナの間に直列に接続し、恰も「短縮コンデンサを入れた状態」にしました。

なるほど、凡そ260KHz動いた勘定になります。では、この状態で、コンデンサを接続していない時の同調周波数である5.152MHzはどうなっているのか・・・。

凡そ137Ω程度のリアクタンス値となっていますね。同調周波数である5.412MHzにおけるリアクタンス値としてこれをコンデンサの容量に換算すると、何と「214.7pF」と計算できるんです


どうも、アンテナ回りというのは「SWRありき」で語られ、実際の調整シーンでも闇雲にSWRが下がったらそれでヨシ・・・ということが多いと思います。その上、この記事のような初歩的な実験は、アンテナ弄りの好きな諸OMには「何を当たり前のことで騒いでおる



整合範囲の狭いアンテナカップラの可能性
2015-05-09
ALL JAが終わって以来「Lマッチ」に取り憑かれたようになっていますが、こういう「凝っている状態」は逃さずに思いのまま思考を巡らすのが楽しくもあり、稚拙なデータと駄文であってもまとめておくと、後々活用できることが多いものです。実際のもの作りは全く進みませんが、楽しい週末を過ごしています
Lマッチへの拘りは、損失の少ないインピーダンス変換の模索に他なりませんが、πマッチやTマッチ、はたまたその他のマッチング回路でも、極端な整合を行わなければ数%程度のロスで変換できるものと思っています。この辺り、先人たる諸OMが実験されていますのでそちらを参考にして頂きたいんですが、πマッチは単純に考えて「二対のLマッチ」という構成ですから、ロスが少なそうなことは他のマッチング回路よりも容易に想像できますよね(Tマッチも二対のLマッチなんですが、こちらは共振回路としての性質もより考えなければなりません)。
では、πマッチで可能な限り整合範囲を狭めたものを考察しておこう・・・というわけで、ここではGW中にまとめておいた我が釣竿君の純抵抗分に着目して整合範囲を決め、πマッチの様子を図にしてみました。

釣竿君の純抵抗のデータでは80mの「29.8Ω」が最も低かったことから、整合範囲はSWR≦1.7でよかったんですが、実際に作る場合を考慮してSWRにして0.1だけ広げた形で考えました。SWR≦1.8の整合範囲は、58.9Ωを中心とした半径が31.1Ωの円で表現できます(図の青い部分)。最も高かったのが40mの67.2Ωですが、十分に整合範囲に入っていることが判ります。
この様子を今の釣竿君に当てはめてみると、40mの純抵抗成分は50Ω後半から80Ω付近であり、この定数のπマッチで扱うのに非常に適していると言うことができます。
このようにπマッチの整合範囲は、一般的な無線機のアンテナ端子の入出力インピーダンスである50Ωより少し上の方に中心点のある円を描きます(ちなみにSWR≦3の設計では、83Ωが中心点となる±66.6Ω程度の円)。勿論、整合範囲が上記のように円にならなくてよければ、整合範囲を低め、或いは高めにシフトすることは可能です。また、Lマッチと共通して言えることは、インピーダンスの変換比率が大きくなると、必要なQ値が上がってしまうことから損失が大きくなるということです。
リアクタンス分の調整についてはどうでしょうか。ここではリアクタンス成分の整合モデルとして、「+20Ωj」を仮に置いてみます。詳説は不要かと思いますが、整合円と+20Ωjの直線が交わる点から垂線を下ろし、純抵抗の座標軸(y軸)と交わるところの読みが「+20Ωjのリアクタンス成分を持つアンテナを接続しても整合が取れる純抵抗値」となりますね。即ち、凡そ37Ωから82Ωまでが使用できる範囲と読み取れます。さらに、この範囲はマイナス側まで拡大して考えることができますから、「±20Ωjのリアクタンス成分」まで広げて考えることができます。
それではこの「±20Ωj」とは、どの程度の同調周波数のズレに当たるのかを求めてみましょう。これは、折角持っている測定器・・・アンアナ54号君の実測値で考えてみたいと思います。

アンアナ54号君ことAA-54は、左のスナップのようなグラフが表示できるほか、CSVファイルを吐き出してくれます。これを使って、先日取った釣竿君の80mのデータからリアクタンス成分・・・緑色の線の傾きを求めると「0.786Ωj/KHz」が求まりました。実際には純抵抗成分も1Ω程度動くため誤差を含みますが、このアンテナにおける「20Ωj」の周波数差は「±15.72KHz」と計算できます。調整範囲としては、このアンテナ自体の実用帯域幅を含めても若干窮屈ですね。その上、パッと仮設したアンテナの「ズレ具合」や当日の天候・当日までの天候によっては「建物や地面の湿り気」に伴う同調周波数低下が顕在化しますから、これらを追いかけるには、もう少し大きな余裕が欲しいところです。
同様に40mを見てみるとリアクタンス成分の傾きは「2.95Ωj/KHz」であり、調整範囲は特に窮屈ではありません。またしても、このπマッチ回路でイケそうな結果となり、改めて「ローバンドになればなるほど難しいわい」と思った次第。
リアクタンス分の整合については、ここまで理詰めで考えたわけではありませんが、現用のTYPE-ⅢことπC型カップラの整合範囲はかなり広く取ってあるため、40mは無論、80mでも特段の問題も無く動いているんだと思います。
以上、「Lマッチ検討推進中」である身としてはちょっと脇道ですが、次なる検討の材料となる要素のまとめでした。

Lマッチへの拘りは、損失の少ないインピーダンス変換の模索に他なりませんが、πマッチやTマッチ、はたまたその他のマッチング回路でも、極端な整合を行わなければ数%程度のロスで変換できるものと思っています。この辺り、先人たる諸OMが実験されていますのでそちらを参考にして頂きたいんですが、πマッチは単純に考えて「二対のLマッチ」という構成ですから、ロスが少なそうなことは他のマッチング回路よりも容易に想像できますよね(Tマッチも二対のLマッチなんですが、こちらは共振回路としての性質もより考えなければなりません)。
では、πマッチで可能な限り整合範囲を狭めたものを考察しておこう・・・というわけで、ここではGW中にまとめておいた我が釣竿君の純抵抗分に着目して整合範囲を決め、πマッチの様子を図にしてみました。

釣竿君の純抵抗のデータでは80mの「29.8Ω」が最も低かったことから、整合範囲はSWR≦1.7でよかったんですが、実際に作る場合を考慮してSWRにして0.1だけ広げた形で考えました。SWR≦1.8の整合範囲は、58.9Ωを中心とした半径が31.1Ωの円で表現できます(図の青い部分)。最も高かったのが40mの67.2Ωですが、十分に整合範囲に入っていることが判ります。
この様子を今の釣竿君に当てはめてみると、40mの純抵抗成分は50Ω後半から80Ω付近であり、この定数のπマッチで扱うのに非常に適していると言うことができます。
このようにπマッチの整合範囲は、一般的な無線機のアンテナ端子の入出力インピーダンスである50Ωより少し上の方に中心点のある円を描きます(ちなみにSWR≦3の設計では、83Ωが中心点となる±66.6Ω程度の円)。勿論、整合範囲が上記のように円にならなくてよければ、整合範囲を低め、或いは高めにシフトすることは可能です。また、Lマッチと共通して言えることは、インピーダンスの変換比率が大きくなると、必要なQ値が上がってしまうことから損失が大きくなるということです。
リアクタンス分の調整についてはどうでしょうか。ここではリアクタンス成分の整合モデルとして、「+20Ωj」を仮に置いてみます。詳説は不要かと思いますが、整合円と+20Ωjの直線が交わる点から垂線を下ろし、純抵抗の座標軸(y軸)と交わるところの読みが「+20Ωjのリアクタンス成分を持つアンテナを接続しても整合が取れる純抵抗値」となりますね。即ち、凡そ37Ωから82Ωまでが使用できる範囲と読み取れます。さらに、この範囲はマイナス側まで拡大して考えることができますから、「±20Ωjのリアクタンス成分」まで広げて考えることができます。
それではこの「±20Ωj」とは、どの程度の同調周波数のズレに当たるのかを求めてみましょう。これは、折角持っている測定器・・・アンアナ54号君の実測値で考えてみたいと思います。

アンアナ54号君ことAA-54は、左のスナップのようなグラフが表示できるほか、CSVファイルを吐き出してくれます。これを使って、先日取った釣竿君の80mのデータからリアクタンス成分・・・緑色の線の傾きを求めると「0.786Ωj/KHz」が求まりました。実際には純抵抗成分も1Ω程度動くため誤差を含みますが、このアンテナにおける「20Ωj」の周波数差は「±15.72KHz」と計算できます。調整範囲としては、このアンテナ自体の実用帯域幅を含めても若干窮屈ですね。その上、パッと仮設したアンテナの「ズレ具合」や当日の天候・当日までの天候によっては「建物や地面の湿り気」に伴う同調周波数低下が顕在化しますから、これらを追いかけるには、もう少し大きな余裕が欲しいところです。
同様に40mを見てみるとリアクタンス成分の傾きは「2.95Ωj/KHz」であり、調整範囲は特に窮屈ではありません。またしても、このπマッチ回路でイケそうな結果となり、改めて「ローバンドになればなるほど難しいわい」と思った次第。
リアクタンス分の整合については、ここまで理詰めで考えたわけではありませんが、現用のTYPE-ⅢことπC型カップラの整合範囲はかなり広く取ってあるため、40mは無論、80mでも特段の問題も無く動いているんだと思います。
以上、「Lマッチ検討推進中」である身としてはちょっと脇道ですが、次なる検討の材料となる要素のまとめでした。
正解は「長め」のアンテナだった!
2015-05-07
今日は明らかに「GW惚け」の頭で午前中の仕事をこなし、悠々と昼食を取りつつ自分のブログを閲覧していました。って、物好きな・・・って思うでしょ
いえいえ、このためにブログにいろいろなデータをアップしているわけですやね
今の旬は「Lマッチの研究」なんですが、直前記事の等価回路モドキを見ていたら全然イケてないことが解り、午後休を取らんばかりに早く帰りたくなりました
流石にそういうわけにもいかず(って、当たり前ぢゃ
)、やっと今、等価回路を書き換えました。

どうやら、マッチング部ありきで考えが固着してしまったようで5番以降が無かったわけですが、これで全部揃ったと思います。
5番は、アンテナ側のインダクタンス成分までの全て(XL1+XL2+XL3)を「LマッチのL」と見立て、その変換比率がZi(50Ω)とRの比率になればマッチングします。6番も同様に、リアクタンス成分打ち消し用のXC2とアンテナのリアクタンス成分XC3の合成で、結果的にリアクタンス成分が小さくなれば、(完全で無いまでも)マッチングは取れるでしょう。
7番は、Tマッチのような形で考えると整理できます。即ち、XC1の一部とXL1の組み合わせによるステップアップと、残りのXC1とXL2,XL3の和で構成されるステップダウンを経て変換されたインピーダンスとRが等しくなれば整合が取れたことになります。同様に、8番もXC2とXC3の合成容量(XC2∥XC3)とXC1の一部との組み合わせのインピーダンス変換と、残りのXC1とXL1によるインピーダンス変換の合成値がRと一致すれば、整合が取れたことになります。
言葉を連ねても判り難いんで、ここで図解しみようかと思ったんですが、実はそんな必要が無いことに気付いたんで、結論だけ等価回路にしましょうか(結局、図は書くんジャン・・・)。

接続されるアンテナの方で細工ができると、「必ず(電気的に)長めのアンテナにする」といった作り方ができます。こうなると、整合したい周波数より少し長めのアンテナが必ず接続される前提でマッチングするような回路構成にすれば良い・・・というわけで、結果的に上図の通りまとまりました。
この「長めのアンテナ前提」とする場合、アパマンハムで顕在化し易い降雨による同調周波数低下(アンテナの見かけの長さが長くなる)という部分にも上手く追随できるため、「晴れの日が続いて最も同調周波数が高い日」という条件で少しインダクティブなアンテナになるように、アンテナ側のコイル等を調整すればよいことになります。
さぁ、残る課題はコイルの可変・・・普通にタップを取ってもいいんですが、何か良いアイディアは無いかもう少し拘ってみます。
修正 2015/06/12>
上の図の(6)の題名が間違っていましたので差し替えました。


今の旬は「Lマッチの研究」なんですが、直前記事の等価回路モドキを見ていたら全然イケてないことが解り、午後休を取らんばかりに早く帰りたくなりました



どうやら、マッチング部ありきで考えが固着してしまったようで5番以降が無かったわけですが、これで全部揃ったと思います。
5番は、アンテナ側のインダクタンス成分までの全て(XL1+XL2+XL3)を「LマッチのL」と見立て、その変換比率がZi(50Ω)とRの比率になればマッチングします。6番も同様に、リアクタンス成分打ち消し用のXC2とアンテナのリアクタンス成分XC3の合成で、結果的にリアクタンス成分が小さくなれば、(完全で無いまでも)マッチングは取れるでしょう。
7番は、Tマッチのような形で考えると整理できます。即ち、XC1の一部とXL1の組み合わせによるステップアップと、残りのXC1とXL2,XL3の和で構成されるステップダウンを経て変換されたインピーダンスとRが等しくなれば整合が取れたことになります。同様に、8番もXC2とXC3の合成容量(XC2∥XC3)とXC1の一部との組み合わせのインピーダンス変換と、残りのXC1とXL1によるインピーダンス変換の合成値がRと一致すれば、整合が取れたことになります。
言葉を連ねても判り難いんで、ここで図解しみようかと思ったんですが、実はそんな必要が無いことに気付いたんで、結論だけ等価回路にしましょうか(結局、図は書くんジャン・・・)。

接続されるアンテナの方で細工ができると、「必ず(電気的に)長めのアンテナにする」といった作り方ができます。こうなると、整合したい周波数より少し長めのアンテナが必ず接続される前提でマッチングするような回路構成にすれば良い・・・というわけで、結果的に上図の通りまとまりました。
この「長めのアンテナ前提」とする場合、アパマンハムで顕在化し易い降雨による同調周波数低下(アンテナの見かけの長さが長くなる)という部分にも上手く追随できるため、「晴れの日が続いて最も同調周波数が高い日」という条件で少しインダクティブなアンテナになるように、アンテナ側のコイル等を調整すればよいことになります。
さぁ、残る課題はコイルの可変・・・普通にタップを取ってもいいんですが、何か良いアイディアは無いかもう少し拘ってみます。
修正 2015/06/12>
上の図の(6)の題名が間違っていましたので差し替えました。
釣竿アンテナ用マッチング回路の検討Tips
2015-05-05
折角セッティングした新しい部品入れへの収納が億劫で、相変わらずコンテストで釣竿君を扱うのに好適なマッチングボックスを検討しています。落ち着いてデータ取得してみたところで幾つか気付いたこともあるんで、つらつらとまとめておきたいと思います。
釣竿君の80m運用では、40m用に最適化してあるセンターローディングの短縮アンテナにエンドローディングとしてコイルを挿入して使います。

上の絵は、丁度80mの運用中の様子になるわけですが、この状態から40mの運用に切り替える場合、ワニ口-2をカップラから外してワニ口-1をコイルからカップラに付け替え、その上で「チューニングを取り直す」という作業を伴います。このチューニング作業に手こずれば、その分は運用時間のロスになることから安易にバンド切り替えを行うことはできず、新しいマルチの獲得には不利になっています。
そこで、この2バンド個々に独立したマッチングセクションを設けて事前にチューニングしておき、運用中のバンド切り替えをスイッチ操作などの簡単なものとすることで、煩わしいチューニング作業を一掃しようというのが今回の製作テーマです。

またしても稚拙な絵図でお恥ずかしい
でも、案外こうしたイメージ図は重要・・・何度も眺めてはさらにイメージを膨らませたり、逆にディテールを想像したりと、無いよりは有った方がいい場合が多く、時間のあるときには書くようにしています。
80mのローディングコイルは、今後の改良の可能性を考慮して「外付け」にすることにしたいんで、アンテナの切替操作としては、今の釣竿君の仕様に依存して「切替スイッチの操作とアンテナの『ワニ口』の付け替え」という手作業を前提にしています。上の絵図の状態で、TRXの代わりとしてクラニシ君かアンアナ54号君を繋いでマッチングを取れば80mのチューニングは完了。40mも同様で、事前にチューニングを取っておけば、あとは運用したいバンドに合わせて切替スイッチとワニ口の付け替えを行えば良いわけです。
多分、これだけのちょっとした造作で、特に国内コンテストの夜中の運用は飛躍的に楽になるはず・・・もっと早く実現しておけば良かったなぁとちょっと後悔しています
さて、肝心のマッチング部に着目してみます。
まず、アンテナのマッチング回路のポイントは、「1.設計した範囲では確実に」「2.如何に減衰なく」整合が取れるかということです。特にアパマンの悩みである「雨が降ると同調点が大きく変化する」といった場合を含めて、設計時点で想定される整合範囲はきちんと考慮しておく必要があります。
現用のアンテナカップラであるTYPE-Ⅲの設計時点では、この「整合範囲の検討」において実は考え違いをしています。というのは、整合範囲を広めに取っ ておくことで如何なる状況にも対応できるという、言わば「大は小を兼ねる」的な発想で検討したため、整合範囲が非常に広くなってしまっています。また、π型の亜種である「πC型」としたため、(定量的には測定していませんが)余計な変換をして不必要にロスっている可能性が高く、QRPが主体の運用スタイルとしてはちょっと好ましからず・・・。
一方、アンアナ54号君を購入して以来、アンテナの抵抗分と虚数成分の理解が深まったお陰で、抵抗分として支配項になり易い「カウンターポイズ」の部分と、短縮型アンテナの宿命でもある虚数成分を分けて検討できるようになり、おまけに虚数成分の「殺し方」・・・というか、対処の仕方が解ってきたことで、マッチング部に対する「要件」が変わってきました。そして、釣竿君の80mと40m使用時に必要な整合範囲も、アンアナ54号君のお陰で既にデータまとめができたわけですね。
そこで、ここではマッチング部とアンテナの等価回路図モドキをこしらえてみました。

「単一型アンテナ」というところが粋ざんしょ
少なくとも我が釣竿君は「垂直」では御座らんし、無線工学の教科書に立ち返ったわけですな
まぁ、そんなことは兎も角、ここからが「Tips」というより「気付いた点のメモ書き」になります。
この4つのバリエーションの大本の作りは「Lマッチ」であり、π型よりロスは少ないものと思います。この内、最も製作し易いのが1番のものです。これは、アンテナのリアクタンス成分を打ち消すためのコイル「XL2」を、インピーダンス変換を行うLマッチの「XL1」の一部として取り込んでしまうことができ、ハード的な要素として「コンデンサとコイルが1つずつ」で済む形になるためです。全体としてLマッチそのものですから、かなりロスの少ないマッチングが期待できます。
ここで、昨日のデータ・・・80mと40mの釣竿君の諸元データを思い出すと、50Ωよりインピーダンスが低い方(30~50Ω)でマッチングが取れるのは80mであり、自動的に1番か2番かのチョイスになりますが、もし接続するアンテナがキャパシティブ・・・その波長に対して電気的に少し短いアンテナであれば1番でOKということになりますね。勿論、このリアクタンス成分は小さいほど必要となるインダクタンス「XL2」も小さくなりますから、ここら辺りにローディングコイルを含めた80mのアンテナとしての「同調点の落としどころ」がありそうです。
一方、40mの場合は50Ωよりインピーダンスが高い方(50~65Ω)でマッチングすることが、昨日まとめたデータから解っています。即ち、3番か4番のチョイスになりますが、3番の方は「コイルを2つ用意する」か「1つのコイルとしてタップを取る」かしかなく、製作が面倒になります。こうなると、4番をチョイスした上でアンテナを(電気的に)少し長めにすればよいというのが1つの結論なんですが、実はここに注意すべき点があります。それは、4番のマッチング回路で数Ω程度のアンテナのリアクタンス成分を打ち消そうとすると、XC2の容量が非常に大きくなってしまうということ。7.000MHzで試算してみると・・・
1Ω : 22736.4pF
5Ω : 4547.4pF
10Ω : 2273.6pF
20Ω : 1136.8pF
30Ω : 757.9pF
勿論、数Ω台のマッチングによる改善は、SWRの小数点第一位が変わるか変わらないか程度ですから、現実的には2連のエアバリコン・・・430pF×2の可変範囲、さらに820pF程度のコンデンサをパラに接続できるような仕掛けを作り、数十Ω程度の範囲が調整できればいいでしょう。
なんだ、考えれば動きそうジャンと思うのは素人の浅はかさ・・・実はもう一つ大きな難題があります。それは、Lマッチのインピーダンス変換では、コンデンサとコイルの両方の値を変換比率に応じて変えてやらなければならないことです。コンデンサはバリコンで難なく実現できますが、問題はコイルの方。実際にはアンテナ側のリアクタンス成分との関係や必ずしも無線機側のインピーダンスが50Ωピッタリで無くても良い(寧ろ、ピッタリだと思っても意味が無い)といったことから、その時点でまずまずの状態にはチューニングできそうですが、流石に「最良」にはならないでしょう。この辺り、コイルの作り方やタップの取り方など考えるべき点はまだまだありますから、今後のプチ実験を含めて、もう少し検討したいと思います。
修正 15/05/07
整合の等価回路・・・キャパシティブとしたいところがコンダクティブという「造語」になっていました。何だ、コンダクティブって・・・。図を入れ替えました。
釣竿君の80m運用では、40m用に最適化してあるセンターローディングの短縮アンテナにエンドローディングとしてコイルを挿入して使います。

上の絵は、丁度80mの運用中の様子になるわけですが、この状態から40mの運用に切り替える場合、ワニ口-2をカップラから外してワニ口-1をコイルからカップラに付け替え、その上で「チューニングを取り直す」という作業を伴います。このチューニング作業に手こずれば、その分は運用時間のロスになることから安易にバンド切り替えを行うことはできず、新しいマルチの獲得には不利になっています。
そこで、この2バンド個々に独立したマッチングセクションを設けて事前にチューニングしておき、運用中のバンド切り替えをスイッチ操作などの簡単なものとすることで、煩わしいチューニング作業を一掃しようというのが今回の製作テーマです。

またしても稚拙な絵図でお恥ずかしい

80mのローディングコイルは、今後の改良の可能性を考慮して「外付け」にすることにしたいんで、アンテナの切替操作としては、今の釣竿君の仕様に依存して「切替スイッチの操作とアンテナの『ワニ口』の付け替え」という手作業を前提にしています。上の絵図の状態で、TRXの代わりとしてクラニシ君かアンアナ54号君を繋いでマッチングを取れば80mのチューニングは完了。40mも同様で、事前にチューニングを取っておけば、あとは運用したいバンドに合わせて切替スイッチとワニ口の付け替えを行えば良いわけです。
多分、これだけのちょっとした造作で、特に国内コンテストの夜中の運用は飛躍的に楽になるはず・・・もっと早く実現しておけば良かったなぁとちょっと後悔しています

さて、肝心のマッチング部に着目してみます。
まず、アンテナのマッチング回路のポイントは、「1.設計した範囲では確実に」「2.如何に減衰なく」整合が取れるかということです。特にアパマンの悩みである「雨が降ると同調点が大きく変化する」といった場合を含めて、設計時点で想定される整合範囲はきちんと考慮しておく必要があります。
現用のアンテナカップラであるTYPE-Ⅲの設計時点では、この「整合範囲の検討」において実は考え違いをしています。というのは、整合範囲を広めに取っ ておくことで如何なる状況にも対応できるという、言わば「大は小を兼ねる」的な発想で検討したため、整合範囲が非常に広くなってしまっています。また、π型の亜種である「πC型」としたため、(定量的には測定していませんが)余計な変換をして不必要にロスっている可能性が高く、QRPが主体の運用スタイルとしてはちょっと好ましからず・・・。
一方、アンアナ54号君を購入して以来、アンテナの抵抗分と虚数成分の理解が深まったお陰で、抵抗分として支配項になり易い「カウンターポイズ」の部分と、短縮型アンテナの宿命でもある虚数成分を分けて検討できるようになり、おまけに虚数成分の「殺し方」・・・というか、対処の仕方が解ってきたことで、マッチング部に対する「要件」が変わってきました。そして、釣竿君の80mと40m使用時に必要な整合範囲も、アンアナ54号君のお陰で既にデータまとめができたわけですね。
そこで、ここではマッチング部とアンテナの等価回路図モドキをこしらえてみました。

「単一型アンテナ」というところが粋ざんしょ


この4つのバリエーションの大本の作りは「Lマッチ」であり、π型よりロスは少ないものと思います。この内、最も製作し易いのが1番のものです。これは、アンテナのリアクタンス成分を打ち消すためのコイル「XL2」を、インピーダンス変換を行うLマッチの「XL1」の一部として取り込んでしまうことができ、ハード的な要素として「コンデンサとコイルが1つずつ」で済む形になるためです。全体としてLマッチそのものですから、かなりロスの少ないマッチングが期待できます。
ここで、昨日のデータ・・・80mと40mの釣竿君の諸元データを思い出すと、50Ωよりインピーダンスが低い方(30~50Ω)でマッチングが取れるのは80mであり、自動的に1番か2番かのチョイスになりますが、もし接続するアンテナがキャパシティブ・・・その波長に対して電気的に少し短いアンテナであれば1番でOKということになりますね。勿論、このリアクタンス成分は小さいほど必要となるインダクタンス「XL2」も小さくなりますから、ここら辺りにローディングコイルを含めた80mのアンテナとしての「同調点の落としどころ」がありそうです。
一方、40mの場合は50Ωよりインピーダンスが高い方(50~65Ω)でマッチングすることが、昨日まとめたデータから解っています。即ち、3番か4番のチョイスになりますが、3番の方は「コイルを2つ用意する」か「1つのコイルとしてタップを取る」かしかなく、製作が面倒になります。こうなると、4番をチョイスした上でアンテナを(電気的に)少し長めにすればよいというのが1つの結論なんですが、実はここに注意すべき点があります。それは、4番のマッチング回路で数Ω程度のアンテナのリアクタンス成分を打ち消そうとすると、XC2の容量が非常に大きくなってしまうということ。7.000MHzで試算してみると・・・
1Ω : 22736.4pF
5Ω : 4547.4pF
10Ω : 2273.6pF
20Ω : 1136.8pF
30Ω : 757.9pF
勿論、数Ω台のマッチングによる改善は、SWRの小数点第一位が変わるか変わらないか程度ですから、現実的には2連のエアバリコン・・・430pF×2の可変範囲、さらに820pF程度のコンデンサをパラに接続できるような仕掛けを作り、数十Ω程度の範囲が調整できればいいでしょう。
なんだ、考えれば動きそうジャンと思うのは素人の浅はかさ・・・実はもう一つ大きな難題があります。それは、Lマッチのインピーダンス変換では、コンデンサとコイルの両方の値を変換比率に応じて変えてやらなければならないことです。コンデンサはバリコンで難なく実現できますが、問題はコイルの方。実際にはアンテナ側のリアクタンス成分との関係や必ずしも無線機側のインピーダンスが50Ωピッタリで無くても良い(寧ろ、ピッタリだと思っても意味が無い)といったことから、その時点でまずまずの状態にはチューニングできそうですが、流石に「最良」にはならないでしょう。この辺り、コイルの作り方やタップの取り方など考えるべき点はまだまだありますから、今後のプチ実験を含めて、もう少し検討したいと思います。
修正 15/05/07
整合の等価回路・・・キャパシティブとしたいところがコンダクティブという「造語」になっていました。何だ、コンダクティブって・・・。図を入れ替えました。
釣竿アンテナのデータ整理
2015-05-04
自分にとってはGWの「中日」を通過中。金曜はホームセンタに部品入れの買い出し、土曜は家族的なイベントで楽しい一日を過ごし、昨日は天気が良かったんで布団を干したり、工作スペースに部品入れを仮レイアウトしたりで、ややマッタリと過ぎてしまいました。
このGW期間中にどうしてもやっておきたかったのは、先日のALL JAでも活躍した「釣竿君」こと、80m/40m用の釣竿アンテナの諸元データの採取。実は昨秋のオール千葉コンテストの撤収時、暗がりの中でこのアンテナの心臓部であるコイルをものの見事に踏んづけてしまい、何とか成形し直したいびつなものを使っていたため、この状態で同調周波数がどうなっているのか知りたかったんです。
まぁ、このいびつになってしまったコイルをもう一度同じような方法で再作することは造作も無く、あわよくば同じぐらいのインダクタンス値でさらなる高Qを狙ったローディングコイルを製作すること(単にコイルの直径を少し大きくするという感じでの再作)も、実はこの「ローバンドさっさとスイッチ計画」の『ついで作業』に入っています
・・・と、この記事自体は「どよよん無線技士用リマインダ」丸出しになりますから、貴重なGW真っ最中の皆様はこの辺で離脱されるが吉かと思いますよ
過去のデータは、このカテゴリにペタペタ貼り付けてきましたが、釣竿君の同調点とコンテスト運用(@CW)の中心周波数における諸元を今日採取したものを含めて表にまとめます。
<80m>
コイル新調:80m用ローディングコイル巻き直し
コイル新調後:巻き直したコイルで同調周波数持ち上げ
<40m>
全く自分にしか解らないデータで申し訳ないんですが、上の表には、今後の参考となる「データ取得時の様子・条件」を記入しています。昨日取ったデータでは、80m/40m共にほぼ同調点が使用周波数付近にあります。つまり、踏んづけたせいで歪んでいる今のコイルは「イケてる」ってことですね
冗談は兎も角、これらのデータから解ることをまとめておきます。
◆ 同調点をどの辺りに置くか
まず、同調点のインピーダンスは、80mが30Ω台、40mが50Ω台と大括りで読み取れます。その上で、使用周波数から離れた所に同調点のあるもの(薄ピンクでハッチング)は、残念ながらデータ未取得(@80m)か、或いはかなり無茶なマッチングが必要(@40m)なデータに見えます。このことから、無理ないマッチングを前提に80mでは3.3MHz以上、40mでは6.85MHz以上の周波数に同調点があるのが良いようです。
これはちょっと当たり前の結論ですが、「カップラで落とせるからいいや」といった方向に走りがちな自分への警鐘にしましょうか・・・って、ちょっと大袈裟かな
◆ カウンターポイズの影響(仮)
カウンターポイズは相変わらずショボいアルミ線のまま運用していますが、現状はパターンとして3種類のバリエーションがあります。
CP-0:ベランダの外寄りのアルミ線(約6m)
CP-1:CP-0+コンテスト用に仮設できる5m×2本のビニールコード
CP-2:CP-1+ベランダの部屋寄りのアルミ線(約9m)
特に切り替えて使っているものではなくCP-2の状態で運用するのが普通なんですが、昨晩はこの「カウンターポイズの違いによる挙動」についてもデータを取りました。このデータ取得は80mから始めたんですが、それほど変化が無かったためにCP-1までで止めてしまい、さて40mはどうかいな・・・とやってみてもあまり変わらない様子。ところが、「どうせならCP-2も取るか」とやってみたら10Ω近くインピーダンスが上昇しました。80mも取っておけばよかったと後悔しましたが、継ぎ接ぎのアルミ線に無造作に投げ出したビニールコードでは、多分測る度にデータが違ってしまうように思い、「結構変化する」という曖昧な結論で棚上げしてあります
◆必要なインピーダンスの「変換具合」
アンテナの同調点を上記の通り調整すれば、結果的には(jXを除いて考えれば)概ね黄色のハッチングで示した範囲でインピーダンスの「変換」ができればよいということになります。即ち、80mは30Ω~50Ω、40mは50Ω~65Ωの変換が必要ですが、何れも50Ωから大きくかけ離れていません。これなら、簡単なLマッチやトランスによる細かなステップのインピーダンス変換などで賄えそうですし、仮にπマッチにしても極端なインピーダンス変換を求められない「低損失な範囲」で設計でき、専用マッチング回路のメリットにちょっぴり期待できそうです
◆2つのバンドを個別に調整できれば・・・
そして、「2つのバンド別々に準備する」ということで、「ローバンドさっさとスイッチ計画」を実現しようというのが最終的な狙いになります。即ち・・・

こんなブロック図にする必要は無いか
・・・要するに、アンテナ側とリグ側(図では右側)にスイッチを用意して切り替えられるようにして、個々のバンドで最適となるようなマッチング部を設けておこうという単純明快な絡繰りなんですが、今回のデータまとめは「あまり広範なマッチング範囲で設計されたマッチングボックスは不要なはず」・・・という部分に当たりを付けたかったんですね。
以上、ちょっと中途半端なまとめですが、ひとまず目安となるデータをまとめることができました。今日を含めてあと3日となった連休・・・次は何をしようかな
このGW期間中にどうしてもやっておきたかったのは、先日のALL JAでも活躍した「釣竿君」こと、80m/40m用の釣竿アンテナの諸元データの採取。実は昨秋のオール千葉コンテストの撤収時、暗がりの中でこのアンテナの心臓部であるコイルをものの見事に踏んづけてしまい、何とか成形し直したいびつなものを使っていたため、この状態で同調周波数がどうなっているのか知りたかったんです。
まぁ、このいびつになってしまったコイルをもう一度同じような方法で再作することは造作も無く、あわよくば同じぐらいのインダクタンス値でさらなる高Qを狙ったローディングコイルを製作すること(単にコイルの直径を少し大きくするという感じでの再作)も、実はこの「ローバンドさっさとスイッチ計画」の『ついで作業』に入っています


過去のデータは、このカテゴリにペタペタ貼り付けてきましたが、釣竿君の同調点とコンテスト運用(@CW)の中心周波数における諸元を今日採取したものを含めて表にまとめます。
<80m>
Date | F0 | @3.520MHz | Remarks | ||||
Freq | R | jX | R | jX | |||
2013.04.29 | 3.320 | 31.3 | +0.7 | 41.3 | +167.8 | ||
2013.10.04 | 3.180 | 29.8 | +1.1 | - | - | データ未取得 | |
2013.10.13 | 3.420 | 39.9 | +1.4 | 41.8 | +71.4 | ||
2013.11.02 | 3.080 | 23.0 | +1.5 | - | - | コイル新調 | |
2014.10.07 | 3.330 | 41.6 | +1.0 | 50.5 | +139.9 | コイル調整後 | |
2015.05.03 | 3.510 | 32.8 | -2.5 | 33.2 | +5.5 | CP-0 | |
〃 | 3.500 | 34.0 | -3.3 | 34.5 | +12.6 | CP-1 |
コイル新調後:巻き直したコイルで同調周波数持ち上げ
<40m>
Date | F0 | @7.020MHz | Remarks | |||
Freq | R | jX | R | jX | ||
2013.04.29 | 6.826 | 59.7 | -1.9 | 70.0 | +64.1 | |
2013.10.04 | 6.724 | 59.3 | +0.6 | - | - | データ未取得 |
2013.11.02 | 6.880 | 48.9 | +0.4 | 51.0 | +47.9 | |
2014.10.07 | 6.754 | 67.2 | -2.9 | 80.9 | +82.3 | |
2015.05.03 | 6.994 | 56.1 | +1.1 | 56.3 | +7.6 | CP-0 |
〃 | 7.006 | 55.9 | +3.6 | 56.6 | +6.0 | CP-1 |
〃 | 7.018 | 63.6 | +2.1 | 63.6 | +2.1 | CP-2 |
全く自分にしか解らないデータで申し訳ないんですが、上の表には、今後の参考となる「データ取得時の様子・条件」を記入しています。昨日取ったデータでは、80m/40m共にほぼ同調点が使用周波数付近にあります。つまり、踏んづけたせいで歪んでいる今のコイルは「イケてる」ってことですね

冗談は兎も角、これらのデータから解ることをまとめておきます。
◆ 同調点をどの辺りに置くか
まず、同調点のインピーダンスは、80mが30Ω台、40mが50Ω台と大括りで読み取れます。その上で、使用周波数から離れた所に同調点のあるもの(薄ピンクでハッチング)は、残念ながらデータ未取得(@80m)か、或いはかなり無茶なマッチングが必要(@40m)なデータに見えます。このことから、無理ないマッチングを前提に80mでは3.3MHz以上、40mでは6.85MHz以上の周波数に同調点があるのが良いようです。
これはちょっと当たり前の結論ですが、「カップラで落とせるからいいや」といった方向に走りがちな自分への警鐘にしましょうか・・・って、ちょっと大袈裟かな

◆ カウンターポイズの影響(仮)
カウンターポイズは相変わらずショボいアルミ線のまま運用していますが、現状はパターンとして3種類のバリエーションがあります。
CP-0:ベランダの外寄りのアルミ線(約6m)
CP-1:CP-0+コンテスト用に仮設できる5m×2本のビニールコード
CP-2:CP-1+ベランダの部屋寄りのアルミ線(約9m)
特に切り替えて使っているものではなくCP-2の状態で運用するのが普通なんですが、昨晩はこの「カウンターポイズの違いによる挙動」についてもデータを取りました。このデータ取得は80mから始めたんですが、それほど変化が無かったためにCP-1までで止めてしまい、さて40mはどうかいな・・・とやってみてもあまり変わらない様子。ところが、「どうせならCP-2も取るか」とやってみたら10Ω近くインピーダンスが上昇しました。80mも取っておけばよかったと後悔しましたが、継ぎ接ぎのアルミ線に無造作に投げ出したビニールコードでは、多分測る度にデータが違ってしまうように思い、「結構変化する」という曖昧な結論で棚上げしてあります

◆必要なインピーダンスの「変換具合」
アンテナの同調点を上記の通り調整すれば、結果的には(jXを除いて考えれば)概ね黄色のハッチングで示した範囲でインピーダンスの「変換」ができればよいということになります。即ち、80mは30Ω~50Ω、40mは50Ω~65Ωの変換が必要ですが、何れも50Ωから大きくかけ離れていません。これなら、簡単なLマッチやトランスによる細かなステップのインピーダンス変換などで賄えそうですし、仮にπマッチにしても極端なインピーダンス変換を求められない「低損失な範囲」で設計でき、専用マッチング回路のメリットにちょっぴり期待できそうです

◆2つのバンドを個別に調整できれば・・・
そして、「2つのバンド別々に準備する」ということで、「ローバンドさっさとスイッチ計画」を実現しようというのが最終的な狙いになります。即ち・・・

こんなブロック図にする必要は無いか

以上、ちょっと中途半端なまとめですが、ひとまず目安となるデータをまとめることができました。今日を含めてあと3日となった連休・・・次は何をしようかな
