失敗LOを復活させよう
2015-08-30
何やら急に気温が下がって、うっかりすると風邪を引くような肌寒いほどの気候になりました。何といってもまだ8月ですから、9月の残暑を含めて考えればもう一山、二山の暑さは覚悟していますが、それにしても涼しく過ごし易い週末。昨日はちょっと別のことに没頭していたんですが、夜が更けてふっと「失敗LO」の件に終止符を打とうと、中華DDSには少々オーバクロック気味である「190MHz」のLOの実験を行いました。
実験と言っても、36MHzの5逓倍で作った実験用のLOの水晶を換装する(38MHzに載せ替える)だけなんですが、これがどういう訳か上手く動きません。例によって「aitendo」で10個150円の代物なんで気兼ねなく換装を繰り返しましたが、3逓倍と妙な寄生発振を繰り返すのみで5逓倍動作確認できません。ちょっとくたびれてしまい、工作机の上でいじけている「失敗LO」・・・出力電力が少々足りなかった発振回路を眺め回しながら、「涼しいし、そろそろ寝ようかなぁ・・・」などと呆けていたんですが、どうせ「お取り潰し」になるこの回路のバッファ部分のゲインが実際どのくらいまで高められるのか・・・という部分に着目してちょっと見直してみることにしました。

直前の記事にも書いた通り、上図のバッファアンプのゲインは2SC3776のfT(=3GHz)から考えて171MHz付近でも10数dBはあるだろうと思ったら10dB程度しかなく、タンク回路のリンクの結合度合い(実は7Kボビン内のリンクコイルがタンクコイルと最も離れるように巻いている)を含めた「インピーダンス変換度合い」を疑って、矢印部分に小容量コンデンサを接続して出力電力を測定してみたら「-8dBm程度」が確認できたところで放り出したんですが、この部分の「最適化」を施したらどうなるか・・・寝しなに軽くのつもりでやってみました。
まずは、矢印の部分に接続するコンデンサの値。トリマを接続して探っていくと、かなり小さな容量で最大出力が得られることが判りました。同調との兼ね合いがありますから、この状態でボビンのコアを回して同調点を探るとコアが抜け切ってしまいました
そこで、同調容量も可変として追い込んでいくと、矢印部分へ接続するコンデンサが4pF、同調容量が1pFほどで最大出力-4dBmを得ました。早速、基板にきちんと直付けして測定すると、-3dBmを若干上回る程度まで出力アップ
これなら、実験的にDDSにつないで実験できるレベルです。
時計を見ると午前0時過ぎ・・・それでも、DDSにつないで試したくて実験継続。10MHz/30MHzの発振テスト用に準備してある環境のLOとして換装すると、見事に発振を確認できました。0.04Hz刻みで発信できる周波数を選んで作ったLOですから、PICのプログラムを書き換えてトリマを調整すると、10MHzピッタリに合わせ込むことが出来ました。そのまま通電しっぱなしで朝まで放っておくと、4Hzほどズレていましたがまずまず安定動作・・・やはり、LOとしての資質は高いなぁと自画自賛
朝からはスプリアスをある程度観測しようとAPB-3で味見・・・後々の比較データとして、画面イメージを貼り付けておきましょう。最初は10MHz発振時の高調波の様子。

実験用の5逓倍LOを使った場合と比較すると、第三高調波が非常に小さくなっています。この辺りは実験環境依存で随分様子が変わるんで、とりあえずノイズフロアで「互角」とでもしておきましょう。次に、30MHz発振時の近接スプリアスです。

これは、5逓倍LO使用時の同条件の測定データと比較すると一目瞭然で、ノイズフロアが軒並み-120dBを下回っています。逆に、思いっきり「スプリアス」と見て取れる信号が現れました(青いマーカのところ)が、これも大凡-100dB程度・・・総じて綺麗になったと言えますね。では、若干広めの様子を見てましょう。

ちょっと嫌な感じですね
これは、5逓倍LO使用時の同条件の測定データと比較しても劣化しているように感じます。この辺りが今後の改善課題になるということですね。
序でに、比較のために10MHz近傍の様子をアップしておきます。
<10MHz近接スプリアス:10KHzスパン、RBW:30Hz>

<10MHz近接スプリアス:10MHzスパン、RBW:3KHz>

上記の通りデータ取りは終了。これらのデータを見返しながら「失敗LOはひょっとすると使えるんじゃないか」・・・ということで、少し改善を施しました。

・出力タンクコイル周辺の改善(前述)
・局発用の水晶の発振周波数微調用コンデンサを40pF⇒20pFに変更
(調整が楽になる)
・ダイオードダブラの直流逃がし用のRFCをマイクロインダクタに変更
(FT225で171MHz付近のインピーダンスを稼いでみたが、
インダクタに変更しても変化がないため安価なインダクタ採用)
・バッファまでの電源ラインが若干長いためパスコン追加
今回のSG構想では、信号源を2つ持つこと・・・即ち中華DDSを2つ同時に動かすことから、個々のDDSに対してカタログスペックとして明示されている「DDS供給電力として確実に1VP-P を超える電圧供給」を前提にしたく、この辺りを考えながら「軽いアンプ+デバイダ」の部分を用意すれば、この「一旦は没」となったLOを使えそうです。
また、残り15本程ある2SC3776については、周波数高めのLOやバッファアンプには気軽に使える扱い易いデバイスであることが判りました。今回の回路でも、171MHzで凡そ20dBのゲインを持つバッファアンプが完成・・・これが確認できただけでも自分にとっては大きな収穫、まずまず充実した「工作の週末」でした
実験と言っても、36MHzの5逓倍で作った実験用のLOの水晶を換装する(38MHzに載せ替える)だけなんですが、これがどういう訳か上手く動きません。例によって「aitendo」で10個150円の代物なんで気兼ねなく換装を繰り返しましたが、3逓倍と妙な寄生発振を繰り返すのみで5逓倍動作確認できません。ちょっとくたびれてしまい、工作机の上でいじけている「失敗LO」・・・出力電力が少々足りなかった発振回路を眺め回しながら、「涼しいし、そろそろ寝ようかなぁ・・・」などと呆けていたんですが、どうせ「お取り潰し」になるこの回路のバッファ部分のゲインが実際どのくらいまで高められるのか・・・という部分に着目してちょっと見直してみることにしました。

直前の記事にも書いた通り、上図のバッファアンプのゲインは2SC3776のfT(=3GHz)から考えて171MHz付近でも10数dBはあるだろうと思ったら10dB程度しかなく、タンク回路のリンクの結合度合い(実は7Kボビン内のリンクコイルがタンクコイルと最も離れるように巻いている)を含めた「インピーダンス変換度合い」を疑って、矢印部分に小容量コンデンサを接続して出力電力を測定してみたら「-8dBm程度」が確認できたところで放り出したんですが、この部分の「最適化」を施したらどうなるか・・・寝しなに軽くのつもりでやってみました。
まずは、矢印の部分に接続するコンデンサの値。トリマを接続して探っていくと、かなり小さな容量で最大出力が得られることが判りました。同調との兼ね合いがありますから、この状態でボビンのコアを回して同調点を探るとコアが抜け切ってしまいました


時計を見ると午前0時過ぎ・・・それでも、DDSにつないで試したくて実験継続。10MHz/30MHzの発振テスト用に準備してある環境のLOとして換装すると、見事に発振を確認できました。0.04Hz刻みで発信できる周波数を選んで作ったLOですから、PICのプログラムを書き換えてトリマを調整すると、10MHzピッタリに合わせ込むことが出来ました。そのまま通電しっぱなしで朝まで放っておくと、4Hzほどズレていましたがまずまず安定動作・・・やはり、LOとしての資質は高いなぁと自画自賛

朝からはスプリアスをある程度観測しようとAPB-3で味見・・・後々の比較データとして、画面イメージを貼り付けておきましょう。最初は10MHz発振時の高調波の様子。

実験用の5逓倍LOを使った場合と比較すると、第三高調波が非常に小さくなっています。この辺りは実験環境依存で随分様子が変わるんで、とりあえずノイズフロアで「互角」とでもしておきましょう。次に、30MHz発振時の近接スプリアスです。

これは、5逓倍LO使用時の同条件の測定データと比較すると一目瞭然で、ノイズフロアが軒並み-120dBを下回っています。逆に、思いっきり「スプリアス」と見て取れる信号が現れました(青いマーカのところ)が、これも大凡-100dB程度・・・総じて綺麗になったと言えますね。では、若干広めの様子を見てましょう。

ちょっと嫌な感じですね

序でに、比較のために10MHz近傍の様子をアップしておきます。
<10MHz近接スプリアス:10KHzスパン、RBW:30Hz>

<10MHz近接スプリアス:10MHzスパン、RBW:3KHz>

上記の通りデータ取りは終了。これらのデータを見返しながら「失敗LOはひょっとすると使えるんじゃないか」・・・ということで、少し改善を施しました。

・出力タンクコイル周辺の改善(前述)
・局発用の水晶の発振周波数微調用コンデンサを40pF⇒20pFに変更
(調整が楽になる)
・ダイオードダブラの直流逃がし用のRFCをマイクロインダクタに変更
(FT225で171MHz付近のインピーダンスを稼いでみたが、
インダクタに変更しても変化がないため安価なインダクタ採用)
・バッファまでの電源ラインが若干長いためパスコン追加
今回のSG構想では、信号源を2つ持つこと・・・即ち中華DDSを2つ同時に動かすことから、個々のDDSに対してカタログスペックとして明示されている「DDS供給電力として確実に1VP-P を超える電圧供給」を前提にしたく、この辺りを考えながら「軽いアンプ+デバイダ」の部分を用意すれば、この「一旦は没」となったLOを使えそうです。
また、残り15本程ある2SC3776については、周波数高めのLOやバッファアンプには気軽に使える扱い易いデバイスであることが判りました。今回の回路でも、171MHzで凡そ20dBのゲインを持つバッファアンプが完成・・・これが確認できただけでも自分にとっては大きな収穫、まずまず充実した「工作の週末」でした
