MC1350の出力回路(Single-Ended編)
2017-10-28
週末の雨が定着してしまったようですね。実はとある予定があるんですが、この雨でずっと延期しています。まぁその分、ノンビリと休日を過ごしています。
どうもタイトルが大袈裟になってしまいましたが、MC1350の出力回路をシングルエンド・・・単純なLC同調+インピーダンス変換として動作させてみました。まずは回路図から。

前回の実験同様、入力側はミスマッチ上等
と50Ωとしています。出力側は、ICの出力インピを1KΩと想定して、QLを12くらいのつもりで組んでいます。
タンク回路に並列接続している2.2KΩの抵抗は、かなり高いはずのICの出力インピを落ち着ける場合を想定していますが、入力側の測定の場合と同様、付けない場合のデータと比較してみました。

40dB弱の利得は取れるようですが、やはり”Differential”の場合より少しゲインが落ちてしまいます。コイルの作り方はこちらの方が圧倒的に簡単ですが、きちんと利得を取りたければ「中点タップ巻き」に軍配でしょう。そういう意味では、FCZコイルを利用した製作記事をよく見かけるのにも頷けます。
これで入出力の条件はハッキリしました。ひとまずこれらの条件で、このICのシングルアンプを組み立てたいと思います。亀の歩みは未だ続く・・・
どうもタイトルが大袈裟になってしまいましたが、MC1350の出力回路をシングルエンド・・・単純なLC同調+インピーダンス変換として動作させてみました。まずは回路図から。

前回の実験同様、入力側はミスマッチ上等

タンク回路に並列接続している2.2KΩの抵抗は、かなり高いはずのICの出力インピを落ち着ける場合を想定していますが、入力側の測定の場合と同様、付けない場合のデータと比較してみました。

40dB弱の利得は取れるようですが、やはり”Differential”の場合より少しゲインが落ちてしまいます。コイルの作り方はこちらの方が圧倒的に簡単ですが、きちんと利得を取りたければ「中点タップ巻き」に軍配でしょう。そういう意味では、FCZコイルを利用した製作記事をよく見かけるのにも頷けます。
これで入出力の条件はハッキリしました。ひとまずこれらの条件で、このICのシングルアンプを組み立てたいと思います。亀の歩みは未だ続く・・・

MC1350の出力回路(Differential編)
2017-10-24
台風一過となった今日は好天になるかと思いきやそれ程でもなく、帰宅時には小粒の雨粒が頬に当たるほど・・・何だかピーカン・デーが恋しくなります。「秋晴れ」という言葉を使える日はいつ来るんでしょうね・・・。
実験途上のMC1350の出力回路ですが、ひとまず手に付けてそこそこの結果が得られた”Differential"の出力回路についてまとめておきましょう。まずは回路図から。

APB-3を使った測定ですから入力側はミスマッチ必至ですが、出力側は中点タップのタンク回路として差動出力回路を形成していますから、内部回路との親和性はバッチリでしょう。問題は、ICから見たときの出力インピーダンスをどのくらいにするかという部分です。
前々回の記事で「出力インピは500Ω~数KΩとしてマッチング可能」と結論しましたが、IF周波数によって大きく変化していることも判っていますから、ひとまず「だいたい1KΩ」という設計仕様で考えました。即ち、タンク回路自体は中点タップの構成ですから、インピーダンスが250Ωくらいになるような同調定数にすればよい・・・というわけで、前提となる中心周波数である凡そ4MHzで「150pFと10μHくらいの組合せ」と導き出しました。
このくらいのインダクタンス値になると鉄ダスト系では巻数がかなり大きくなることから、今後の設計の幅を広げるために、いわゆる「フェライトコア」(FTシリーズ)の透磁率が低い方のもの・・・FT-37-61に巻いてみました。
FT37-61で10μHとなる巻数はAL値からの計算で13回巻き。ところがこの巻数でインダクタンス値を測ってみると、7.5μHくらいにしかなりませんでした。フェライトコアは透磁率の誤差が結構あり、±20%くらいは許容差とされています。まぁ、用途を考えればこの程度の誤差は確かに許容範囲であり、そういう意味ではギリギリ計算値内ではありますね
同調周波数は4.75MHz付近になってしまいますが、そのまま特性を取ることにしました。ただ、2次側のリンクコイルの巻数は1~3回巻きとしてデータを採ってみました。

巻数が少ないほど利得は高くなっています・・・って当たり前ですね
ただ、1回巻きではかなりQが高くなってしまい、ちょっと扱いずらそう・・・っていうか発振しそう。3回巻きでは利得が少し心許なくなってしまいますから、ズバリ2回巻きが良さそうです。
こんな感じで”Differential”の様子は判りました。次は無論”Single-Ended”でしょうね
実験途上のMC1350の出力回路ですが、ひとまず手に付けてそこそこの結果が得られた”Differential"の出力回路についてまとめておきましょう。まずは回路図から。

APB-3を使った測定ですから入力側はミスマッチ必至ですが、出力側は中点タップのタンク回路として差動出力回路を形成していますから、内部回路との親和性はバッチリでしょう。問題は、ICから見たときの出力インピーダンスをどのくらいにするかという部分です。
前々回の記事で「出力インピは500Ω~数KΩとしてマッチング可能」と結論しましたが、IF周波数によって大きく変化していることも判っていますから、ひとまず「だいたい1KΩ」という設計仕様で考えました。即ち、タンク回路自体は中点タップの構成ですから、インピーダンスが250Ωくらいになるような同調定数にすればよい・・・というわけで、前提となる中心周波数である凡そ4MHzで「150pFと10μHくらいの組合せ」と導き出しました。
このくらいのインダクタンス値になると鉄ダスト系では巻数がかなり大きくなることから、今後の設計の幅を広げるために、いわゆる「フェライトコア」(FTシリーズ)の透磁率が低い方のもの・・・FT-37-61に巻いてみました。
FT37-61で10μHとなる巻数はAL値からの計算で13回巻き。ところがこの巻数でインダクタンス値を測ってみると、7.5μHくらいにしかなりませんでした。フェライトコアは透磁率の誤差が結構あり、±20%くらいは許容差とされています。まぁ、用途を考えればこの程度の誤差は確かに許容範囲であり、そういう意味ではギリギリ計算値内ではありますね

同調周波数は4.75MHz付近になってしまいますが、そのまま特性を取ることにしました。ただ、2次側のリンクコイルの巻数は1~3回巻きとしてデータを採ってみました。

巻数が少ないほど利得は高くなっています・・・って当たり前ですね

こんな感じで”Differential”の様子は判りました。次は無論”Single-Ended”でしょうね

MC1350の入力回路
2017-10-22
かなり大きな台風接近・・・昨日からの買い出しの成果で今晩は”鍋”と決め、幾本かのアルコール
も買い込みましたから一安心。アンテナもモビホと細いワイヤーしかありませんから、仮にワイヤーがぶっ千切れて飛んでいっても大丈夫でしょう。風はこれから強まりそうですが、明日朝の通勤時間まで影響が残るかどうかが今のところの注目点です。
さて、漸く仕事の方も一段落したんでもう少し”工作系”を加速しようと思います・・・が、まぁ焦っても仕方がありませんから、週末中心の作業をジワジワと進めたいと思います。
MC1350の味見実験は前回記事にしましたが、入力側の挙動はほぼ掌握できたということにして、同調回路を付けてみました。

今回の実験では、先に製作した4.095MHzの水晶フィルタに合わせるため周波数は大凡4.0MHzくらい、入力インピーダンスは200Ωの水晶フィルタが直結できるよう、当初は1:4のインピーダンス変換・・・FB801-43にバイファイラ巻きでと考えましたが、このICを2段接続した場合も考慮してLCマッチにしてみました。Rinを820Ωにした場合の入力インピーダンスは720Ω程度と実測されたため、これに合うように定数設計してあります(実験であるため、入力は50Ωとしてあります)。

出力側は27μHのRFC(FB801-43x4T)でこんな特性になりました。1つのタンク回路としては結構イイ感じの特性になっています
Rinを外した場合の方が3dBほど利得がありますが入力インピーダンスも上昇してしまうため、水晶フィルタの出力につながるアンプとしてはこの抵抗を取り外してしまわない方が無難でしょう。この辺りは実際に組み上げた際に確認したいと思います。
実は出力側も実験したんですが、まだ上手くまとまっておらず追試が必要そう・・・これを次回のネタにしようと思います。

さて、漸く仕事の方も一段落したんでもう少し”工作系”を加速しようと思います・・・が、まぁ焦っても仕方がありませんから、週末中心の作業をジワジワと進めたいと思います。
MC1350の味見実験は前回記事にしましたが、入力側の挙動はほぼ掌握できたということにして、同調回路を付けてみました。

今回の実験では、先に製作した4.095MHzの水晶フィルタに合わせるため周波数は大凡4.0MHzくらい、入力インピーダンスは200Ωの水晶フィルタが直結できるよう、当初は1:4のインピーダンス変換・・・FB801-43にバイファイラ巻きでと考えましたが、このICを2段接続した場合も考慮してLCマッチにしてみました。Rinを820Ωにした場合の入力インピーダンスは720Ω程度と実測されたため、これに合うように定数設計してあります(実験であるため、入力は50Ωとしてあります)。

出力側は27μHのRFC(FB801-43x4T)でこんな特性になりました。1つのタンク回路としては結構イイ感じの特性になっています

実は出力側も実験したんですが、まだ上手くまとまっておらず追試が必要そう・・・これを次回のネタにしようと思います。
MC1350アンプの味見
2017-10-13
前回記事から3週間・・・私的には多分今週末一杯、仕事的には来週一杯までは忙しい状態が続きそうです。この3週間の間に季節はすっかり秋に変わったと言ってよさそうですが、ホンの数日前までは夏日を記録していたわけで、今年はやはりちょっと変わった秋の迎え方になりました。果たして、我が家の前のケヤキ通りはきちんと色付くんでしょうかねぇ
IFアンプの製作を進めるべく、まずはMC1350単体の味見を・・・とその前に、このアンプ単体で得られる利得を打ち消して、APB-3等で測定するのに取り回しが楽になるよう、50dBのアッテネータを作りました。

入出力にそれぞれ6dBのπ型アッテネータを配し、その間を7.5KΩ(15KΩを2本並列)で接続した簡易なものです。特性はご覧の通りです。

500KHzから15MHzくらいまでの間は凡そ-50dBをキープしていますが、その上のHF帯+α(40MHzくらい)までは0.5dB以内の誤差には収まっています。普通のカーボン抵抗で作りっぱなしですから、こんなもんでしょう
さて、MC1350単体の味見は、以下のような回路をちょっと高周波的に良さげな"改良ブレッドボード"に組みました。

AGCはグランドに落とすとこのICの最大利得になります。以下、AGCはグランドに落として測定しました。
測定結果の前に・・・データシートから算出した入出力インピーダンスの様子を再掲載。

それでは、入力インピーダンスから。上の回路図のRinには何も接続せず、このICの入力インピーダンスを直接測りました。

データシート計算値と比較的近い傾向です。HF帯の低い方・・・10.7MHz以下は数KΩ~5KΩと考えていいでしょう。これなら”FETアンプ程度”と考えれば良いわけで、そんなに苦労なくマッチングできそうです。
一方、出力インピーダンスはというと・・・。

これは、出力インピーダンスを測定する際に終端するインダクタンスに引っ張られる形でしか上手く測定できませんでした。このグラフの赤線は4mHのインダクタ、青線がFB801-43に0.26ΦのUEWを8回巻きした100μHのコイル使用時の特性です。その他、幾つかのマイクロインダクタで測定しましたが、そのコイルの自己共振周波数のインピーダンスを測定しているような格好になるだけで特性の見極めができませんでした。
まぁ出力側は、実際のアンプとしての動作をさせながら考慮した方が良かろうと、ゲインの測定を行いました。この時の入力インピーダンスはRinを無接続、820Ω、51Ω、出力インピーダンスはFB801-43に0.26ΦのUEWを4回・・・凡そ27μHのコイルを接続した状態でやってみました。

上がRin無接続、下が51Ωの時です。Rin無接続と820Ωでは殆ど差が無かったこと、逆に51Ωとすると全体ゲインが7,8dBほど落ちてしまいますから、このICの入力については、接続する回路の出力インピーダンスを数百Ωから数KΩ程度に上げてやることが肝要なようです。
出力インピーダンスは上記の結果からだけではきちんと導き出せませんが、3MHzで27μH・・・500Ω程度のインピーダンスでしっかり利得が稼げるようですから、”どよよんラボ”としては一つの指標として「出力インピーダンスは500Ω以上で整合」という結果にしようと思います。
ちなみに、出力コイルと並列に51Ωの抵抗を接続すると、ゲインが20dB少々でフラットになります。この辺り、広帯域アンプの挙動と似ています。
上記をまとめると、以下のような感じでしょうか。
◆前提:HFの下の方(数MHz~10.7MHz)
◆入力インピーダンス:数百~数KΩとしてマッチング
Rinを適当に置いてやる
◆出力インピーダンス:500Ω~数KΩとしてマッチング可能
数十Ωでは利得低下
◆上記を守ればゲインは40dB以上取れそう
漸く実験結果がブログに掲載できました。次回はこのIC単体で、先に作ったクリスタルフィルタ(入出力インピーダンス200Ω)を前提に、入出力の整合を含めたブレボ実験を続けたいと思います
が、ここ来週一杯くらいまでは手が付くかどうか

IFアンプの製作を進めるべく、まずはMC1350単体の味見を・・・とその前に、このアンプ単体で得られる利得を打ち消して、APB-3等で測定するのに取り回しが楽になるよう、50dBのアッテネータを作りました。

入出力にそれぞれ6dBのπ型アッテネータを配し、その間を7.5KΩ(15KΩを2本並列)で接続した簡易なものです。特性はご覧の通りです。

500KHzから15MHzくらいまでの間は凡そ-50dBをキープしていますが、その上のHF帯+α(40MHzくらい)までは0.5dB以内の誤差には収まっています。普通のカーボン抵抗で作りっぱなしですから、こんなもんでしょう

さて、MC1350単体の味見は、以下のような回路をちょっと高周波的に良さげな"改良ブレッドボード"に組みました。

AGCはグランドに落とすとこのICの最大利得になります。以下、AGCはグランドに落として測定しました。
測定結果の前に・・・データシートから算出した入出力インピーダンスの様子を再掲載。

それでは、入力インピーダンスから。上の回路図のRinには何も接続せず、このICの入力インピーダンスを直接測りました。

データシート計算値と比較的近い傾向です。HF帯の低い方・・・10.7MHz以下は数KΩ~5KΩと考えていいでしょう。これなら”FETアンプ程度”と考えれば良いわけで、そんなに苦労なくマッチングできそうです。
一方、出力インピーダンスはというと・・・。

これは、出力インピーダンスを測定する際に終端するインダクタンスに引っ張られる形でしか上手く測定できませんでした。このグラフの赤線は4mHのインダクタ、青線がFB801-43に0.26ΦのUEWを8回巻きした100μHのコイル使用時の特性です。その他、幾つかのマイクロインダクタで測定しましたが、そのコイルの自己共振周波数のインピーダンスを測定しているような格好になるだけで特性の見極めができませんでした。
まぁ出力側は、実際のアンプとしての動作をさせながら考慮した方が良かろうと、ゲインの測定を行いました。この時の入力インピーダンスはRinを無接続、820Ω、51Ω、出力インピーダンスはFB801-43に0.26ΦのUEWを4回・・・凡そ27μHのコイルを接続した状態でやってみました。

上がRin無接続、下が51Ωの時です。Rin無接続と820Ωでは殆ど差が無かったこと、逆に51Ωとすると全体ゲインが7,8dBほど落ちてしまいますから、このICの入力については、接続する回路の出力インピーダンスを数百Ωから数KΩ程度に上げてやることが肝要なようです。
出力インピーダンスは上記の結果からだけではきちんと導き出せませんが、3MHzで27μH・・・500Ω程度のインピーダンスでしっかり利得が稼げるようですから、”どよよんラボ”としては一つの指標として「出力インピーダンスは500Ω以上で整合」という結果にしようと思います。
ちなみに、出力コイルと並列に51Ωの抵抗を接続すると、ゲインが20dB少々でフラットになります。この辺り、広帯域アンプの挙動と似ています。
上記をまとめると、以下のような感じでしょうか。
◆前提:HFの下の方(数MHz~10.7MHz)
◆入力インピーダンス:数百~数KΩとしてマッチング
Rinを適当に置いてやる
◆出力インピーダンス:500Ω~数KΩとしてマッチング可能
数十Ωでは利得低下
◆上記を守ればゲインは40dB以上取れそう
漸く実験結果がブログに掲載できました。次回はこのIC単体で、先に作ったクリスタルフィルタ(入出力インピーダンス200Ω)を前提に、入出力の整合を含めたブレボ実験を続けたいと思います

