信号を合成する回路のシミュレーション
2018-05-24
梅雨入りにはまだ少し時間がある千葉県北西部は、この季節に時折登場する「寒気の張り出しと下界の暖かさ」というシチュエーションとなり、今日は真夏に負けないほどの積乱雲が見られました。東京都下では、雹が降った様子がニュースになっていました。ただ、地べたを彷徨く我らリーマン軍団にはやはり少々暑い一日・・・活動し難い季節の足音を聞いたように思いました。
電源を作るぞ
と息巻いていたヘッポコ工作ですが少々飽きてしまい(スンマヘン・・・)、RFCの味見などに浮気をしてしまいましたが、まぁ愛人が2,3人居ても良かろうと(
)突き進んでいます。即ち、この記事のネタは”信号合成”です。
我が運用環境の命題は、狭っこいベランダに如何に効率の良いアンテナを上げるかということと、建て込んだ周辺住宅からのノイズ攻撃を如何に蹴散らすかということに集約します。QRPと言えど、やはりクリーンな受信環境の構築は重要です
実は、こっそりと実験を進めてきた中でノイズ信号の増幅と位相シフトについては目処が立ち、漸く最終段階の”受信信号とノイズ信号の合成”(ノイズ成分は180°捻ってある前提での信号合成)について考え始めました。無論、いきなり回路を組んで大失敗しないよう、まずはシミュレータで遊んでみることに。
信号合成回路の原典は、MFJ1025/1026の当該部分を模倣しました。コイルを上手く巻いて作ることも出来なくはないんですが、ちょっと合成ゲインも欲しかったんで、コイルで組むのを嫌ってまずはシミュレーション

回路構成はJ310を2個対向させて使った単純なもので、これにエミフォロで出力を補強しています。
上のシミュレーション波形の下段が入力で、2信号与えていることを判り易くしようという狙いで0.1V@10MHzの信号をほんの少しずらして与えていますが、あまり効果はなかったようですね・・・。
上段は出力です。IN/OUTで反転出力になりますが、ひとまず良し。合成した信号は(2入力を加算した電圧の)凡そ3倍に増幅されていることが解ります。
これを基本に、180°捻った信号を与えて信号の打ち消し(=ノイズの打ち消し)をシミュレーションしてみました。

入力信号のタイミングを弄って180°の反転信号を入れているんで、先頭部分は無視して下さい。上段の出力波形がかなり小さくなり、互いの信号が打ち消し合っている様子が判りますね。
最後はお遊び

10MHzと2MHzの信号を合成してみました。なかなか味のある曲線が描けました。勿論、ノイズ信号はもっと複雑ですが、キチンとレベル合わせをして(反転信号と)合成させれば、結構イイ線いきそうです
近いうちに小基板に組んで、実測ベースのデータ採りをしたいと思います。
電源を作るぞ


我が運用環境の命題は、狭っこいベランダに如何に効率の良いアンテナを上げるかということと、建て込んだ周辺住宅からのノイズ攻撃を如何に蹴散らすかということに集約します。QRPと言えど、やはりクリーンな受信環境の構築は重要です

実は、こっそりと実験を進めてきた中でノイズ信号の増幅と位相シフトについては目処が立ち、漸く最終段階の”受信信号とノイズ信号の合成”(ノイズ成分は180°捻ってある前提での信号合成)について考え始めました。無論、いきなり回路を組んで大失敗しないよう、まずはシミュレータで遊んでみることに。
信号合成回路の原典は、MFJ1025/1026の当該部分を模倣しました。コイルを上手く巻いて作ることも出来なくはないんですが、ちょっと合成ゲインも欲しかったんで、コイルで組むのを嫌ってまずはシミュレーション


回路構成はJ310を2個対向させて使った単純なもので、これにエミフォロで出力を補強しています。
上のシミュレーション波形の下段が入力で、2信号与えていることを判り易くしようという狙いで0.1V@10MHzの信号をほんの少しずらして与えていますが、あまり効果はなかったようですね・・・。
上段は出力です。IN/OUTで反転出力になりますが、ひとまず良し。合成した信号は(2入力を加算した電圧の)凡そ3倍に増幅されていることが解ります。
これを基本に、180°捻った信号を与えて信号の打ち消し(=ノイズの打ち消し)をシミュレーションしてみました。

入力信号のタイミングを弄って180°の反転信号を入れているんで、先頭部分は無視して下さい。上段の出力波形がかなり小さくなり、互いの信号が打ち消し合っている様子が判りますね。
最後はお遊び


10MHzと2MHzの信号を合成してみました。なかなか味のある曲線が描けました。勿論、ノイズ信号はもっと複雑ですが、キチンとレベル合わせをして(反転信号と)合成させれば、結構イイ線いきそうです

近いうちに小基板に組んで、実測ベースのデータ採りをしたいと思います。
秋月コアのRFC化をやや真面目に・・・
2018-05-13
直前記事に記した”親指負傷”の影響が、意に反して長引いてしまいました。鋭利な刃物で切ったのと違って傷口が塞がりにくかったことに加え、丁度物を掴むときに当たる場所だったことも要因だと思うんですが、何より”老化”によって治り難くなっていることが一番の要因のような気が
とは言え、漸く使えるようになりました。
昨日は、午後からホムセンに行って釣り竿君周りの部材を購入したり、夕餉のメインとして麻婆豆腐をこしらえたりで一日が終わってしまいましたが、今日は、ちょっと先になるであろう作り物に必須となる「広帯域なRFC」の実験をしたんで、今回の記事はこれをネタに。
帯域の広いRFC・・・カバー範囲内に共振点が少なくてそこそこ”チョーク”として機能するコイル探しはなかなか難しいものです。特に、HF帯全域(180m~10m、欲張れば6m)を十分にカバーできるものとなると、HF帯全体に渡って3KΩ以上のインピーダンスが欲しいところ。その上、帯域内に共振がないとなると、市販で手に入り易いマイクロインダクタ等では難しくなります。自分が知る限りではEPCOS社の”VHF向けRFC”と銘打ったものが優秀ですが、こいつが結構でかいんです。

そもそもコイルという代物はそこそこ大きくても仕方が無いんですが、トロイド状になっていたら取り付けの自由度がもう少し増しますよね。そこで、手巻きの手間は覚悟して適当なコアに巻いてみて、特性を実測しちゃおうと思い立った次第。
これまでの経験と"トロ活先生”の情報から、#61材では透磁率不足でかなりの巻数が必要でコアが大きくなるため本末転倒、#43材のFB-801-43に巻くのも一考なんですが、透磁率が一足飛びに大きい上に真ん中の穴が小さ過ぎて必要なインダクタンスを得るのが難しくなりますからこれも除外。となると、以前の実験結果で結構イケそうな感触の”秋月コア”をチョイス・・・”TR-10-5-5ED”が今回のターゲットです。
このコア、径が同じ程度の#43材よりは透磁率は高そうですが、13回巻きで100μH程度ということが判っていて、0.32φのUEWであれば30回程度は巻けそうですから、HFの下端で3KΩのインピーダンスとなる300μH以上にはなるでしょう。そこで、上のスナップの”芋虫”と同じインダクタンスである470μHを中心に巻き数を加減してデータ取り。まずは、25回巻きで凡そ470μHになることが判ったんでインピーダンス特性を採ってみました。

下の方から見ていくと、2MHz辺りから3KΩを超えてからはHF帯全域に渡ってそれ以上の値になっています。ピークは15MHz辺りであり、ある意味ドンピシャな感じ
では、このコアに0.32φのUEWを20,25,28回巻き(密巻きで目一杯)とした場合の減衰量を”芋虫”と比べてみました。

少々見辛いですが、470μH同士の比較では1,2dB差で2MHz辺りまで追随した後、秋月コアの方は減衰がなだらかになります。一方の”芋虫”は流石に優秀で、減衰のピークである15.3MHzに向かってさらに減衰量が大きくなります。そして、秋月コアとしてはどうやら密巻きの限界である28回巻き(608μH)の時が、HF帯全域に渡ってバランスの取れた減衰量になるようです。

大きさの比較です。基板への実装を想像すると、やはり秋月コアの方が”専有面積”が小さくなるのは明白で、巻き線部分の線材が太いため”芋虫”より大きい電流を流せます(”芋虫”は最大300mAです)から、小さな電力のアンプのRFCとしても使い易いでしょう。
また、この秋月コアは1個30円、一方の芋虫は200~300円くらいですから、やはり巻き線の手間を覚悟すれば安価にそこそこのRFCが実現できそうです。

昨日は、午後からホムセンに行って釣り竿君周りの部材を購入したり、夕餉のメインとして麻婆豆腐をこしらえたりで一日が終わってしまいましたが、今日は、ちょっと先になるであろう作り物に必須となる「広帯域なRFC」の実験をしたんで、今回の記事はこれをネタに。
帯域の広いRFC・・・カバー範囲内に共振点が少なくてそこそこ”チョーク”として機能するコイル探しはなかなか難しいものです。特に、HF帯全域(180m~10m、欲張れば6m)を十分にカバーできるものとなると、HF帯全体に渡って3KΩ以上のインピーダンスが欲しいところ。その上、帯域内に共振がないとなると、市販で手に入り易いマイクロインダクタ等では難しくなります。自分が知る限りではEPCOS社の”VHF向けRFC”と銘打ったものが優秀ですが、こいつが結構でかいんです。

そもそもコイルという代物はそこそこ大きくても仕方が無いんですが、トロイド状になっていたら取り付けの自由度がもう少し増しますよね。そこで、手巻きの手間は覚悟して適当なコアに巻いてみて、特性を実測しちゃおうと思い立った次第。
これまでの経験と"トロ活先生”の情報から、#61材では透磁率不足でかなりの巻数が必要でコアが大きくなるため本末転倒、#43材のFB-801-43に巻くのも一考なんですが、透磁率が一足飛びに大きい上に真ん中の穴が小さ過ぎて必要なインダクタンスを得るのが難しくなりますからこれも除外。となると、以前の実験結果で結構イケそうな感触の”秋月コア”をチョイス・・・”TR-10-5-5ED”が今回のターゲットです。
このコア、径が同じ程度の#43材よりは透磁率は高そうですが、13回巻きで100μH程度ということが判っていて、0.32φのUEWであれば30回程度は巻けそうですから、HFの下端で3KΩのインピーダンスとなる300μH以上にはなるでしょう。そこで、上のスナップの”芋虫”と同じインダクタンスである470μHを中心に巻き数を加減してデータ取り。まずは、25回巻きで凡そ470μHになることが判ったんでインピーダンス特性を採ってみました。

下の方から見ていくと、2MHz辺りから3KΩを超えてからはHF帯全域に渡ってそれ以上の値になっています。ピークは15MHz辺りであり、ある意味ドンピシャな感じ

では、このコアに0.32φのUEWを20,25,28回巻き(密巻きで目一杯)とした場合の減衰量を”芋虫”と比べてみました。

少々見辛いですが、470μH同士の比較では1,2dB差で2MHz辺りまで追随した後、秋月コアの方は減衰がなだらかになります。一方の”芋虫”は流石に優秀で、減衰のピークである15.3MHzに向かってさらに減衰量が大きくなります。そして、秋月コアとしてはどうやら密巻きの限界である28回巻き(608μH)の時が、HF帯全域に渡ってバランスの取れた減衰量になるようです。

大きさの比較です。基板への実装を想像すると、やはり秋月コアの方が”専有面積”が小さくなるのは明白で、巻き線部分の線材が太いため”芋虫”より大きい電流を流せます(”芋虫”は最大300mAです)から、小さな電力のアンプのRFCとしても使い易いでしょう。
また、この秋月コアは1個30円、一方の芋虫は200~300円くらいですから、やはり巻き線の手間を覚悟すれば安価にそこそこのRFCが実現できそうです。
急造釣り竿君の様子
2018-05-02
昨日は出勤、そして今日からGWの後半突入です。午後からは、とっておきのヘッポコ工作に取り掛かろうと、ケース加工の合わせ込みに両面テープで貼り付けてあった放熱板を外そうとしたらこれがなかなか剥がせず、ちょいと力を入れたはずみで、フィンのエッジで利き手である右手の親指を切ってしまいました。直ぐに手当てしたため大事には至りませんでしたが、流石に続きの作業はできず・・・折角の工作休暇(
)をロスしてしまいました。そこで、先日のコンテストににわか参戦となった釣り竿君・・・逆Lアンテナの様子などをまとめておきましょう。
まずは、いきなり全体図を。

ちと気が早いですが、既に釣り竿君の”Ver2”と銘打ちました。我が家のベランダに張れるアンテナとしては最大級になると思います。
今回の改良は、元々の垂直エレメント(長さ5.4m)である青線の先端から、新調した竿(6.3m)の先端に向け水色のエレメントを張ったものです。青と水色を足したエレメント全体の長さは10mを超えますから、40mにオンエアする際にはコイルが不要、80mの場合はコイル1で必要なインダクタンスを装荷するだけで良くなります。
水色の部分の長さは、40mを意識して長さを求めました。MMANAでベランダの構造物(鉄筋)を加味したモデルで計算したら6.4mと算出されたため、これをひとまず採用してコンテストに出場。エントリは80mに絞ったため、コイル1とカップラの合わせ技で上手く運用することができました。
さぁ、このエレメント延長によるロスの削減(コイルを取っ払う効果)や打上角の様子などについて、MMANAの算出結果を2発。まずは、40mの方から。

SWRは50Ω基準になっているんで無視するとして、虚数成分が一番小さくなるようにエレメント長を最適化しました。赤が元々の釣り竿くんの特性、青が今回の改良後のものです。
40mの場合、元々の釣り竿君で凡そ50%の短縮率でしたが、フルサイズ(ちょっとオーバーですが・・・)になったことで0.6dBほどゲインが上がっています。また、水平偏波の成分がグッと小さくなったことが判りますね。
メインローブの打上角も3度ほど下がるようで、これが本当なら(
)、よりDX向きになったと言えますね。この辺りは、やはりDXコンテストで確認・・・とは思いますが、毎度CONDXが違うからなぁ
では、80mはというと・・・

こちらはゲイン上昇が顕著で、2.8dBほどアップ・・・Sとしては0.5程度の上昇ですが、5WのQRPを10W運用にした程度の改善は見込めます。また、水平成分はスマートになりましたが、打上角は改善なしということのようです。
それ以外にも、建物の上にエレメントが突出した効果も見込めそうです。いわゆるアンテナに電波が乗った状態で、電流・電圧の”腹"の部分がどこにあるかでいわゆる”飛び”が変わってくるわけですが、これは40m/80m何れも改善が見込めると思います。
さて、聡明なOM諸氏は”エレメント長”に違和感を感じているかも知れません。垂直・水平エレメントの合計が11.8mということは、(短縮率を加味して)計算上は6.1MHz付近が同調点になりますね。そこで、アンアナで同調周波数を探してみました。

計算値よりさらに下に同調点がありました。ワイヤーアンテナですから、カップラで整合を取ることを前提に考えれば”長め”の方が扱い易いんですが、どうもカウンターポイズとの分離の悪さに引っ張られている部分もあるようです。次は、バランでも仕込んでみようかな
ALL JA参戦の際は、新調した竿が仮設だったことや、後半に竿が引っ込んでいたことが後から判った(水平エレメントがキチンと張られていなかった)ことなど、まだ不確定要素がありますから、この辺りをユルユルと改善しながら少し長い目で見ていきたいと思います。

まずは、いきなり全体図を。

ちと気が早いですが、既に釣り竿君の”Ver2”と銘打ちました。我が家のベランダに張れるアンテナとしては最大級になると思います。
今回の改良は、元々の垂直エレメント(長さ5.4m)である青線の先端から、新調した竿(6.3m)の先端に向け水色のエレメントを張ったものです。青と水色を足したエレメント全体の長さは10mを超えますから、40mにオンエアする際にはコイルが不要、80mの場合はコイル1で必要なインダクタンスを装荷するだけで良くなります。
水色の部分の長さは、40mを意識して長さを求めました。MMANAでベランダの構造物(鉄筋)を加味したモデルで計算したら6.4mと算出されたため、これをひとまず採用してコンテストに出場。エントリは80mに絞ったため、コイル1とカップラの合わせ技で上手く運用することができました。
さぁ、このエレメント延長によるロスの削減(コイルを取っ払う効果)や打上角の様子などについて、MMANAの算出結果を2発。まずは、40mの方から。

SWRは50Ω基準になっているんで無視するとして、虚数成分が一番小さくなるようにエレメント長を最適化しました。赤が元々の釣り竿くんの特性、青が今回の改良後のものです。
40mの場合、元々の釣り竿君で凡そ50%の短縮率でしたが、フルサイズ(ちょっとオーバーですが・・・)になったことで0.6dBほどゲインが上がっています。また、水平偏波の成分がグッと小さくなったことが判りますね。
メインローブの打上角も3度ほど下がるようで、これが本当なら(


では、80mはというと・・・

こちらはゲイン上昇が顕著で、2.8dBほどアップ・・・Sとしては0.5程度の上昇ですが、5WのQRPを10W運用にした程度の改善は見込めます。また、水平成分はスマートになりましたが、打上角は改善なしということのようです。
それ以外にも、建物の上にエレメントが突出した効果も見込めそうです。いわゆるアンテナに電波が乗った状態で、電流・電圧の”腹"の部分がどこにあるかでいわゆる”飛び”が変わってくるわけですが、これは40m/80m何れも改善が見込めると思います。
さて、聡明なOM諸氏は”エレメント長”に違和感を感じているかも知れません。垂直・水平エレメントの合計が11.8mということは、(短縮率を加味して)計算上は6.1MHz付近が同調点になりますね。そこで、アンアナで同調周波数を探してみました。

計算値よりさらに下に同調点がありました。ワイヤーアンテナですから、カップラで整合を取ることを前提に考えれば”長め”の方が扱い易いんですが、どうもカウンターポイズとの分離の悪さに引っ張られている部分もあるようです。次は、バランでも仕込んでみようかな

ALL JA参戦の際は、新調した竿が仮設だったことや、後半に竿が引っ込んでいたことが後から判った(水平エレメントがキチンと張られていなかった)ことなど、まだ不確定要素がありますから、この辺りをユルユルと改善しながら少し長い目で見ていきたいと思います。