HPFの特性と減衰極
2018-06-23
相変わらず”W杯中心”で予定を立てていたりします。直前記事でも触れたように波乱含みの展開で”強さ”の定義が大きく揺らいでいますが、だからこそ面白い・・・って話は置いといて、さっさとヘッポコ実験報告へ。
ノイズキャンセラに具備するノイズアンプの入力には広範な信号が加わりますが、数百KHz以下の”生活ノイズ”は簡単に遮断できても、中波ローカル局の強烈な信号についてはしっかり考慮しておかないと、このアンプが簡単に飽和してしまいます。
今回使用予定のノイズアンプは手持ちの多い古参IC”μPC1678G”ですが、このアンプのカタログスペックはそもそもUHF帯のものであり、大きなRFCを抱かせて中波帯まで引っ張るような使い方ではこれらカタログ値を鵜呑みにはできません。そこで、7MHzでIMDを実測するとOIPは”22dBm”となりました。ここからICの利得(実測で21.7dB)を引いた値がIIPとなりますので、丁度0dBmくらいがIIPになりました。
この「IIP=0dBm」をSメータ換算にすると”S9+77dB”ということになります。過去に何度か実験した”Mini Whip”で、我が家で一番強力なNHK東京第二をTS-590Dで受信してもそこまで強くなく、せいぜい”S9+50dB”といったところ。マージンが30dB近くありますからあまり神経質にならなくて良さそうなものの、まぁ適当なHPFを”精神的免罪符”として入れて軽く減衰させておいても良かろうと、ノイズアンプの前にHPFを入れることにしました。
まずはシミュレーションから。

HPFの計算サイトで5ポールのチェビシェフ(帯域内リプル0.05dB以内)として計算、入出力インピーダンスは50Ωです。
我が家で一番強力なNHK東京第二は693KHzですが、その辺りの減衰量は50dB程度と十分です。次に強力な文化放送は1134KHzで減衰量は26dB程度・・・この辺りは気休めになってしまいますが、まぁ良しとしましょう。では、実際に回路を組んで実測。ちなみに、コイルはT37-2に0.32φのUEWを28回巻きで凡そ3.4μHとなりました。

手前側の半分がグランドになるよう加工したこのブレッドボードは、水晶フィルタの自作で重宝した奴です。

シミュレーション結果と殆ど同じになりました
この場合、やはりLTSpiceが凄いんだということになりますね。
実験自体はここまでで良かったんですが、どうしてももう少し減衰させたい場合は”減衰極”を入れて対処することになる・・・というわけで追加実験。出力側のコンデンサ(C3)と並列に20μHのマイクロインダクタ(10μH×2)を入れてみました。

計算上は16μHくらいが良さそうなんですが、なかなかイカす結果でしょ
丁度文化放送の周波数辺りが60dB近く減衰しているのが判ります。160mバンドに少し暴れが現れましたが、一番ロスが大きいところ(2.1MHz付近)で2dB弱です。今回はここまでしなくても・・・とは思いつつも、ひょっとしたら入れてしまうかも
これでHPF関連実験も完了、実際の製作まであと少し・・・のはずですが、どうなることやら
ノイズキャンセラに具備するノイズアンプの入力には広範な信号が加わりますが、数百KHz以下の”生活ノイズ”は簡単に遮断できても、中波ローカル局の強烈な信号についてはしっかり考慮しておかないと、このアンプが簡単に飽和してしまいます。
今回使用予定のノイズアンプは手持ちの多い古参IC”μPC1678G”ですが、このアンプのカタログスペックはそもそもUHF帯のものであり、大きなRFCを抱かせて中波帯まで引っ張るような使い方ではこれらカタログ値を鵜呑みにはできません。そこで、7MHzでIMDを実測するとOIPは”22dBm”となりました。ここからICの利得(実測で21.7dB)を引いた値がIIPとなりますので、丁度0dBmくらいがIIPになりました。
この「IIP=0dBm」をSメータ換算にすると”S9+77dB”ということになります。過去に何度か実験した”Mini Whip”で、我が家で一番強力なNHK東京第二をTS-590Dで受信してもそこまで強くなく、せいぜい”S9+50dB”といったところ。マージンが30dB近くありますからあまり神経質にならなくて良さそうなものの、まぁ適当なHPFを”精神的免罪符”として入れて軽く減衰させておいても良かろうと、ノイズアンプの前にHPFを入れることにしました。
まずはシミュレーションから。

HPFの計算サイトで5ポールのチェビシェフ(帯域内リプル0.05dB以内)として計算、入出力インピーダンスは50Ωです。
我が家で一番強力なNHK東京第二は693KHzですが、その辺りの減衰量は50dB程度と十分です。次に強力な文化放送は1134KHzで減衰量は26dB程度・・・この辺りは気休めになってしまいますが、まぁ良しとしましょう。では、実際に回路を組んで実測。ちなみに、コイルはT37-2に0.32φのUEWを28回巻きで凡そ3.4μHとなりました。

手前側の半分がグランドになるよう加工したこのブレッドボードは、水晶フィルタの自作で重宝した奴です。

シミュレーション結果と殆ど同じになりました

実験自体はここまでで良かったんですが、どうしてももう少し減衰させたい場合は”減衰極”を入れて対処することになる・・・というわけで追加実験。出力側のコンデンサ(C3)と並列に20μHのマイクロインダクタ(10μH×2)を入れてみました。

計算上は16μHくらいが良さそうなんですが、なかなかイカす結果でしょ


これでHPF関連実験も完了、実際の製作まであと少し・・・のはずですが、どうなることやら

ノイズキャンセラの概要設計
2018-06-18
ここ最近のヘッポコ実験でそこそこの手応え・・・なんですが、遂に開催を迎えたW杯をライブで見ようと、結局土日の”AA TEST”はそっちのけになってしまいました。列強たるPY,DL,LUが苦戦し、EA vs CTがドロー・・・などなど、今回のW杯は結構な混線になっています。我が”SAMURAI BLUE”の初戦は明日・・・お誂え向きに夕刻の会議が終われば直帰できますから、HKとの対戦はライブ観戦ができそうです
ノイズキャンセラの部分毎の実験がほぼ終わりました。ここら辺りで機能的なまとめをしておきたいと思います。

機能と言っても、メインアンテナからの信号とノイズ信号を合成する回路に対し、ノイズ信号については広帯域アンテナで受信することを前提にプリアンプを置き、180°信号を捻るフェーズシフト回路があるだけです。これらの主要な機能部分は、それぞれ以下のようにまとめています。
・信号合成回路はこちら
・ノイズアンプはこちら
・フェーズシフトはこちら
その他、”ノイズキャンセル装置”として仕上げるための”覚書”を以下にまとめておきます。
◆ ノイズアンテナへの直流供給
ノイズアンテナは様々な形状のものを試してみるのが良さそうですが、ベランダ設置でそこそこの成果を上げるためにはアクティブアンテナが良さそう・・・ということで、アンテナへの直流の供給回路を具備したいと思います。
この部分の肝は、直流供給に必要となるRFC部分を「如何に広帯域にインピーダンスを高く保てるか」が課題ですが、この辺りは既にヘッポコ実験済みです。
◆ コントロール回路の様子
このノイズキャンセラを接続するRIGとしては”TS-590D一択”ですから、インタフェースはこの条件(送信時に12V10mAを出力)で検討していきますが、念のためフォトカプラで(ノイズ的に)分離したいと思います。また、ノイズキャンセル回路には受信時に通電したいため、論理を逆転させます。
電源は外部からの12V供給になりますが、ここにはLCによる簡易なノイズフィルタを入れて”免罪符”にしたいと思います
◆ ダイオードクランプで入出力を保護
まぁ、QRP運用なんでそんなに神経質になる必要はありませんが、ノイズキャンセル回路の入出力にはダイオードクランプを付けておきましょう。HF帯では、普通のスイッチングダイオードで十分でしょう。
◆ 機能部分に隠れた付加回路
ノイズアンプには広帯域な信号が入力されることから、中波放送部分はカットしたいところ・・・そこで、ノイズアンプの手前に中波帯をカットするHPFを付加します。ただ、我が運用環境では文化放送とNHK東京第二が強力ではあるものの、S9+60dBを振り切るまでにはいきませんので、5ポールくらいのものをひとまず付けておこうと思います。
それから、フェーズシフトは2段構えにして、180°捻り辺りの調整が楽にできるように工夫したいと思います。
とりあえず上のブロック構成を見ながらもう少し検討を深めて、この夏の間には形にしたいなぁ・・・

ノイズキャンセラの部分毎の実験がほぼ終わりました。ここら辺りで機能的なまとめをしておきたいと思います。

機能と言っても、メインアンテナからの信号とノイズ信号を合成する回路に対し、ノイズ信号については広帯域アンテナで受信することを前提にプリアンプを置き、180°信号を捻るフェーズシフト回路があるだけです。これらの主要な機能部分は、それぞれ以下のようにまとめています。
・信号合成回路はこちら
・ノイズアンプはこちら
・フェーズシフトはこちら
その他、”ノイズキャンセル装置”として仕上げるための”覚書”を以下にまとめておきます。
◆ ノイズアンテナへの直流供給
ノイズアンテナは様々な形状のものを試してみるのが良さそうですが、ベランダ設置でそこそこの成果を上げるためにはアクティブアンテナが良さそう・・・ということで、アンテナへの直流の供給回路を具備したいと思います。
この部分の肝は、直流供給に必要となるRFC部分を「如何に広帯域にインピーダンスを高く保てるか」が課題ですが、この辺りは既にヘッポコ実験済みです。
◆ コントロール回路の様子
このノイズキャンセラを接続するRIGとしては”TS-590D一択”ですから、インタフェースはこの条件(送信時に12V10mAを出力)で検討していきますが、念のためフォトカプラで(ノイズ的に)分離したいと思います。また、ノイズキャンセル回路には受信時に通電したいため、論理を逆転させます。
電源は外部からの12V供給になりますが、ここにはLCによる簡易なノイズフィルタを入れて”免罪符”にしたいと思います

◆ ダイオードクランプで入出力を保護
まぁ、QRP運用なんでそんなに神経質になる必要はありませんが、ノイズキャンセル回路の入出力にはダイオードクランプを付けておきましょう。HF帯では、普通のスイッチングダイオードで十分でしょう。
◆ 機能部分に隠れた付加回路
ノイズアンプには広帯域な信号が入力されることから、中波放送部分はカットしたいところ・・・そこで、ノイズアンプの手前に中波帯をカットするHPFを付加します。ただ、我が運用環境では文化放送とNHK東京第二が強力ではあるものの、S9+60dBを振り切るまでにはいきませんので、5ポールくらいのものをひとまず付けておこうと思います。
それから、フェーズシフトは2段構えにして、180°捻り辺りの調整が楽にできるように工夫したいと思います。
とりあえず上のブロック構成を見ながらもう少し検討を深めて、この夏の間には形にしたいなぁ・・・

信号を合成する回路の実験
2018-06-10
今日は昼過ぎから雨・・・絶好の引き籠もり日和となりました
遅めの昼食を平らげた後一杯やりながら、シミュレーションのみで過ごしてしまっている信号の合成回路を実際に組み立てて実験してみることにしました。
回路図は以下の通り。

シミュレーションでは、エミフォロ用のトランジスタを適当に選んでいましたが、広帯域特性が必要なこと(=fTが高いこと)と手持ち数の関係から”2SC3355”にしました。また、J310のソース抵抗は180Ωでシミュレートしましたが、丁度手持ちが切れており200Ωで代用。回路図にはありませんが、出力は51Ωの抵抗で終端しています。
では、この回路に信号を与えて増幅の様子を見てみましょう。まずは、IN2をショートしてIN1から21MHzの信号を入れてみました。

ほぼシミュレーション通りの結果です。たまたまフェーズシフトのデータ採取時の測定項目が残っていて、位相差が測定されています。この回路では180°が理論値になりますが、若干ズレていますね。ま、これはノイズキャンセルには関係ないんですが、FETやトランジスタの立ち上がり特性と各所の時定数でこんな風に見えるわけです。
次に、IN1とIN2に同じ信号を入れてみましょう。

こちらもシミュレーション結果と大差なく、両入力を加算した値の3倍・・・即ちほぼ6倍となっています。この時の出力波形をもう少しクローズアップ。

特に異常は見られないと判断しました。この状態で入力信号のレベルを上げていくと、出力1.9Vくらいから下端がクリップしてきます。これはエミフォロの抵抗値を弄るともう少し追い込めますが、幾ら何でもオーバースペックの領域ですから、今回実験した回路定数で問題ないでしょう。
上記のように、信号の合成回路はシミュレーションと同等の結果を得ることができました。周波数特性も調べる必要がありますが、これはノイズキャンセラとして完成させる際に吟味すればいいでしょう。「日曜午後の引き籠もり」の様子はこの辺でお開きに

回路図は以下の通り。

シミュレーションでは、エミフォロ用のトランジスタを適当に選んでいましたが、広帯域特性が必要なこと(=fTが高いこと)と手持ち数の関係から”2SC3355”にしました。また、J310のソース抵抗は180Ωでシミュレートしましたが、丁度手持ちが切れており200Ωで代用。回路図にはありませんが、出力は51Ωの抵抗で終端しています。
では、この回路に信号を与えて増幅の様子を見てみましょう。まずは、IN2をショートしてIN1から21MHzの信号を入れてみました。

ほぼシミュレーション通りの結果です。たまたまフェーズシフトのデータ採取時の測定項目が残っていて、位相差が測定されています。この回路では180°が理論値になりますが、若干ズレていますね。ま、これはノイズキャンセルには関係ないんですが、FETやトランジスタの立ち上がり特性と各所の時定数でこんな風に見えるわけです。
次に、IN1とIN2に同じ信号を入れてみましょう。

こちらもシミュレーション結果と大差なく、両入力を加算した値の3倍・・・即ちほぼ6倍となっています。この時の出力波形をもう少しクローズアップ。

特に異常は見られないと判断しました。この状態で入力信号のレベルを上げていくと、出力1.9Vくらいから下端がクリップしてきます。これはエミフォロの抵抗値を弄るともう少し追い込めますが、幾ら何でもオーバースペックの領域ですから、今回実験した回路定数で問題ないでしょう。
上記のように、信号の合成回路はシミュレーションと同等の結果を得ることができました。周波数特性も調べる必要がありますが、これはノイズキャンセラとして完成させる際に吟味すればいいでしょう。「日曜午後の引き籠もり」の様子はこの辺でお開きに

フェーズシフトの再試
2018-06-06
今は昔・・・ってそんなに古くはないんですが、5年ほど前のヘッポコ実験(結構古いか
)でノイズ撃退の肝になるフェーズシフト回路(この辺りから辿ってください)を味見していました。まだ古いアナログオシロを使っての実験でしたが、この時に動作原理は理解して「さぁ、次のステップ
」というところで頓挫・・・というか、興味の対象が移ってしまいそのまま放置してある「ひねる回路」に満を持して(
)戻って参りました
”集合住宅&住宅密集地&変電所近傍”という過酷な運用環境でも、酷いノイズ源があって邪魔されるようなことなく過ごしてきたつもりだったんですが、「コンテストでしか波を出さない弱小無線局」(←あぁ、当局ね・・・)がジワジワと感じていたノイズの圧迫感を、そろそろ本格的に撃退せんと思い立ったのが今年のALL JAでした。やはりS7前後のノイズの中での運用は、ATTで信号を絞っても気になるもんは気になるわけです
・・・という講釈は置いといて、実際のノイズ撃退についてはMFJ1025を原本としてあれこれやった結果、いろいろと欠点を見つけた上で「こりゃ、自分で撃退装置をこしらえた方が良い結果が得られるかも・・・」と自惚れ
またしても「ノイズのないクリーンな運用環境を目指す」という難題に改めてチャレンジすることにしました。
幾記事か前に先んじて180°捻った信号を合成する部分のシミュレーションは終えており、この部分は多分実回路での再現性も高いと踏んで、フェーズシフト回路の改良・・・「減衰の少ない&周波数特性が平坦」という部分に突っ込んでみました。
CRで構成するフェーズシフト回路は、その回路構成故に位相を調整する際に入出力インピーダンスが大きく動くため、後段を受け持つバッファアンプを”ハイ・インピ”に仕立てる必要があります。そこで、以前の実験では”FET受け”(ソースフロワ)で凌ごうとしましたが、随分と減衰があることが判りゲンナリ・・・。そこで、”高インピなトランジスタ受け”(エミッタフォロワ)ではどないじゃろ・・・要は、バッファのさらに後段に対してロス無く信号を受け渡すとなったら、エミフォロの方が上手くいくんじゃないかと思ってヘッポコ実験を挙行
まずは、FETバッファの場合の特性です。周波数は21MHz、バッファを受け持つFETはJ310。

凡そ90°捻った状態・・・270°0付近の様子です。775mVの入力(0dBm:Vppでは748mVと表示されている)に対して、出力は88mVと18dB程減衰しています。
お待ちかねのトランジスタバッファの場合の特性です。周波数は上記と同じ、バッファ担当は2SC3355。

同じ入力条件に対して出力は264mV・・・2.9dB程度の減衰にまで改善
この差は大きい
シミュレーション結果もお見せしましょうか。

2SC3355の兄弟分、2SC3357のモデルを使っていますが、実波形と同様の結果が得られているのが判りますね。
こんな風にフェーズシフトは手中に収めた感じなんですが、実はこの回路一発で真逆となる180°を得るのは難しく、今いまのアイディアでは、この回路を2段重ねて”半捻り⇒全捻り”を実現しようとしています。即ち「90°捻り回路の2段重ね」という構成・・・そのためには、1段あたりの減衰量を小さくするのが命題だったというわけです。
上記の結果より、トランジスタバッファを従えたフェーズシフト回路で何とか「ノイズ撃退の心臓部」を作り上げたいと思います。




”集合住宅&住宅密集地&変電所近傍”という過酷な運用環境でも、酷いノイズ源があって邪魔されるようなことなく過ごしてきたつもりだったんですが、「コンテストでしか波を出さない弱小無線局」(←あぁ、当局ね・・・)がジワジワと感じていたノイズの圧迫感を、そろそろ本格的に撃退せんと思い立ったのが今年のALL JAでした。やはりS7前後のノイズの中での運用は、ATTで信号を絞っても気になるもんは気になるわけです


幾記事か前に先んじて180°捻った信号を合成する部分のシミュレーションは終えており、この部分は多分実回路での再現性も高いと踏んで、フェーズシフト回路の改良・・・「減衰の少ない&周波数特性が平坦」という部分に突っ込んでみました。
CRで構成するフェーズシフト回路は、その回路構成故に位相を調整する際に入出力インピーダンスが大きく動くため、後段を受け持つバッファアンプを”ハイ・インピ”に仕立てる必要があります。そこで、以前の実験では”FET受け”(ソースフロワ)で凌ごうとしましたが、随分と減衰があることが判りゲンナリ・・・。そこで、”高インピなトランジスタ受け”(エミッタフォロワ)ではどないじゃろ・・・要は、バッファのさらに後段に対してロス無く信号を受け渡すとなったら、エミフォロの方が上手くいくんじゃないかと思ってヘッポコ実験を挙行

まずは、FETバッファの場合の特性です。周波数は21MHz、バッファを受け持つFETはJ310。

凡そ90°捻った状態・・・270°0付近の様子です。775mVの入力(0dBm:Vppでは748mVと表示されている)に対して、出力は88mVと18dB程減衰しています。
お待ちかねのトランジスタバッファの場合の特性です。周波数は上記と同じ、バッファ担当は2SC3355。

同じ入力条件に対して出力は264mV・・・2.9dB程度の減衰にまで改善



2SC3355の兄弟分、2SC3357のモデルを使っていますが、実波形と同様の結果が得られているのが判りますね。
こんな風にフェーズシフトは手中に収めた感じなんですが、実はこの回路一発で真逆となる180°を得るのは難しく、今いまのアイディアでは、この回路を2段重ねて”半捻り⇒全捻り”を実現しようとしています。即ち「90°捻り回路の2段重ね」という構成・・・そのためには、1段あたりの減衰量を小さくするのが命題だったというわけです。
上記の結果より、トランジスタバッファを従えたフェーズシフト回路で何とか「ノイズ撃退の心臓部」を作り上げたいと思います。
WPXコンテスト中のアンテナヘッポコ実験の覚え書き
2018-06-03
6月になりました。気温が徐々に上がってきてちょっと過ごし難くなってきましたが、例によってエアコンはバッチリ掃除してスタンバっています
件名の通り、先週末は40mに最適化したロングワイヤーでWW-WPXコンテスト(CW)に参戦・・・と言っても、1/4λになっているだけなんですが、これでどないやねん
ってな案配で挑んだんです。が、当初の予想通り「CONDXがどうだったのか」がよく解らず、ほぼ夏のCONDXになっているであろう40mで試しても駄目なような気がしました。
ただ、TI(Costa Rica)のビッグガンに拾って貰えたり、ZONE16の応答率がちょっぴり上がったり(これは、大いに感覚的です)した感じでしたんで、秋のWW-DXコンテストで再度試してみることにしました。
さて、WW-WPXコンテストの合間に、上述のロングワイヤー関連のヘッポコ実験をしたんで、この辺りをまとめておきます。自分以外にはきっと何の役にも立ちませんので悪しからず
まず、このロングワイヤーの長さですが、ALL JA参戦の際には横方向が少々長過ぎてたるんでいたのと、同調点がかなり低かったため(この辺りは、こちらの記事にまとめています)、横方向を5.5mに切って同調点を測定しました。縦方向が5.2m程度ですから合わせて10.7m・・・これでも40mには長いことになりますが、長めの方がカップラでの同調が楽になるためひとまずこれで。

5.88MHzでバッチリ同調が取れていますが、それにしても同調点が低過ぎ・・・そこで、バランを突っ込んでみました。

秋月のLF-102Bに平行線を7回巻きしました。これで75μH程度となり、ソーターバランとして3KΩ@7MHzを保証できそう。
このバランを入れて同調点の変化を確認しました。狙ったのはロングワイヤー部分とカウンターポイズ部分の分離で、同調点がどの程度動くかを確かめましたが、これが殆ど変化なし
ということは、これまでワイヤー部分とカンターポイズを「エレメントが非対称なダイポール」と見立てて検討してきたのが、カウンターポイズがある程度”グランド”として動作する「不平衡型のアンテナ」であると解釈した方がよいのかも知れないと、逆に謎が一段深まってしまいました
コンテストの最中でしたから、上記はあまり深入りせずに次のヘッポコ実験・・・アンテナ絶縁トランスによるノイズの低減です。これは、このバラン用に巻いたトランスを”ガルバニック・アイソレーション・トランス”に見立てて接続、入れなかった場合と比較してみました。
これは、コンテスト参加局が聞こえないバンドエッジで比較・・・Sにして半分行くか行かないかの差でしたが、確かにノイズレベルは下がりました。まぁ、0.2,3dB程度の接続ロスは想定されますが少しは意味がありそう。本格的な導入には、再度詳細のデータ取りをしてからということで。
その他、回路図のシミュレーションなどいろいろと手を染めました。結構収穫があったんで、実回路を組んでの実験へ。この辺りはきっと今後の記事になりますから、少々お待ちください・・・って、誰か待ってるんじゃろか

件名の通り、先週末は40mに最適化したロングワイヤーでWW-WPXコンテスト(CW)に参戦・・・と言っても、1/4λになっているだけなんですが、これでどないやねん

ただ、TI(Costa Rica)のビッグガンに拾って貰えたり、ZONE16の応答率がちょっぴり上がったり(これは、大いに感覚的です)した感じでしたんで、秋のWW-DXコンテストで再度試してみることにしました。
さて、WW-WPXコンテストの合間に、上述のロングワイヤー関連のヘッポコ実験をしたんで、この辺りをまとめておきます。自分以外にはきっと何の役にも立ちませんので悪しからず

まず、このロングワイヤーの長さですが、ALL JA参戦の際には横方向が少々長過ぎてたるんでいたのと、同調点がかなり低かったため(この辺りは、こちらの記事にまとめています)、横方向を5.5mに切って同調点を測定しました。縦方向が5.2m程度ですから合わせて10.7m・・・これでも40mには長いことになりますが、長めの方がカップラでの同調が楽になるためひとまずこれで。

5.88MHzでバッチリ同調が取れていますが、それにしても同調点が低過ぎ・・・そこで、バランを突っ込んでみました。

秋月のLF-102Bに平行線を7回巻きしました。これで75μH程度となり、ソーターバランとして3KΩ@7MHzを保証できそう。
このバランを入れて同調点の変化を確認しました。狙ったのはロングワイヤー部分とカウンターポイズ部分の分離で、同調点がどの程度動くかを確かめましたが、これが殆ど変化なし


コンテストの最中でしたから、上記はあまり深入りせずに次のヘッポコ実験・・・アンテナ絶縁トランスによるノイズの低減です。これは、このバラン用に巻いたトランスを”ガルバニック・アイソレーション・トランス”に見立てて接続、入れなかった場合と比較してみました。
これは、コンテスト参加局が聞こえないバンドエッジで比較・・・Sにして半分行くか行かないかの差でしたが、確かにノイズレベルは下がりました。まぁ、0.2,3dB程度の接続ロスは想定されますが少しは意味がありそう。本格的な導入には、再度詳細のデータ取りをしてからということで。
その他、回路図のシミュレーションなどいろいろと手を染めました。結構収穫があったんで、実回路を組んでの実験へ。この辺りはきっと今後の記事になりますから、少々お待ちください・・・って、誰か待ってるんじゃろか
