10MHzのBPF・バッファのシミュレーションとプチ実験
2018-08-19
長かった休暇も最終日。一昨日より涼しい日が続いて身体的にはかなり安らいだ気がしますが、この涼しさも今日、明日辺りまでのよう。明後日からは30℃超の夏日がぶり返し、週の後半は台風20号の影響が出てくるかも知れず・・・と、まだまだ天気の変化に右往左往させられそうです
GPSDOの出力部の設計とシミュレーションを手掛けていますが、漸くこの辺りに目処が立ちました。回路的には「10MHzのフィルタ」と「後続のバッファ」に分けられますが、何と言っても今回の周波数標準としての肝は「ジッタを伴う10MHzの方形波を綺麗な正弦波にする」という部分です。
当初は”定K型LPFx2段”で高調波を取り除いた信号をバッファに放り込むように考えましたが、ブレボにLPFを組んで実測してみると、10MHzより低い周波数成分が思いの外多く上手くありません。そこで、”7Kボビン”に適当なタンクコイルを巻いたBPFを作ろうと考えましたが、大昔に1個26円で購入してなかなか捌けない”T37-6”を消費すべく「帯域の狭い2ポールのBPF」(3dB帯域が±30KHzで設計)をでっち上げることにしました。
この記事が夏休みの集大成になりますから(
)、少し順を追ってこの辺りを図解。

このフィルタへの入力はインバータ2つを並列にしたバッファで、個々のインバータに240Ωの抵抗をシリーズ接続して使用・・・インピーダンスを120Ωと見立て、これをBPFの入力インピーダンスとします。
一方、出力インピーダンスは後続のバッファアンプの入力インピーダンスになるため、先にこのバッファアンプをどう作るかを想定しておく必要があります。GPSDOとして”3出力”を具備したいため、ここでは3分配を簡単に済ますべく入力インピーダンスの高いバッファアンプを前提にFET採用・・・こうなると、これまた在庫豊富な”J310”がベストと判断、ゲート抵抗に100KΩを置いて3つを並列接続して33KΩ程度になることを前提にしました。
このように、このBPFの入出力インピーダンスは大きく異なりますが、特に33KΩという高インピーダンスではLマッチを構成する”CE2”は不要となる一方、同調容量”C2”を大きくして補正する必要があります(補正の仕方は”トロ活”に詳説されていますからそちらを参照して下さい)。この辺りは、自作のBPF設計ツールで暫しカット&トライ・・・と設計を進めました。
さぁ、ここまで来れば回路として定数を入れ、シミュレートしてみましょう。まずは回路図。

これはシミュレートを終えた完成版です。BPF出力時点での電圧が高いため、アンプ自体はソースフォロワで済ましても良かったんですが、あれこれ調整しても出力電力として前提にしていた10dBm@50Ωに満たなかったため、軽く増幅することにしました。その結果、今度は逆に若干過大入力になるため、ゲートに直列に抵抗(3.9KΩ)を入れました。
また、アンプの負荷となるタンク回路のインピーダンスを高くするとこれまたゲインが大きくなり過ぎるため、設計仕様として200Ω程度にしています。Qも3.0と低くしていますから、この同調回路によるフィルタ効果は「刺身のつま」程度
シミュレーション結果は以下の通りです。

回路図上の”CLK”と”TP”、”OUT1”から”OUT3”の波形を見ています。”OUTx”の波形は全て重なって最後に描画した”OUT3”(赤)が表示されています。
”TP”の波形はBPFの特性を見ていることになりますが、綺麗な正弦波になっていることが解ります。また、”OUTx”の波形が±1Vなっており、凡そ10dBmの出力が確保されていることが解ります。”OUTx”にはそれぞれ-6dBのATTを通していますから、個々のFETは50Ωに対して40mW程度の信号を出力していることになります。
BPF部分については、ブレボ実験もしてみました。その様子がこちら。

回路図上の”CLK”と”TP”をそれぞれ見ています。”CLK”の波形では、オーバーシュート・アンダーシュートが結構あり、上下のピークを拾うと6.6V程になります。これをシミュレーションのクロックとして反映させると、”TP”の大きさが実測よりかなり大きくなります。そこで、上下の平均値(2.64V)を2倍した5.3Vでシミュレートしたら、”TP”の値が実測とほぼ合いました。
もう一つ・・・BPF用に巻いたL1,2(T37-6に0.32φのUEWを20回巻き)は、必要なインダクタンス値を机上計算で求めた後、実際に巻いてから実測した二値を平均して反映させています。
できればこの休暇中にJ310のバッファアンプ部もブレボ実験に持って行きたかったんですが、どうやら時間切れのよう・・・というのは、この休暇中ビール
や酎ハイ
などのアルコールを一切控え、完全なる”休肝週間”としたため、流石に今晩はこれから一杯やろうと計画しているからでした
長かった夏休み・・・自分的にはそこそこヘッポコ実験にも興じられた良い休暇だったと思います。明日から暫く、忙しい日々が・・・と思ったら火曜日は都内の研修会から直帰できそうなんで、秋葉原でも回ってこようと思います

GPSDOの出力部の設計とシミュレーションを手掛けていますが、漸くこの辺りに目処が立ちました。回路的には「10MHzのフィルタ」と「後続のバッファ」に分けられますが、何と言っても今回の周波数標準としての肝は「ジッタを伴う10MHzの方形波を綺麗な正弦波にする」という部分です。
当初は”定K型LPFx2段”で高調波を取り除いた信号をバッファに放り込むように考えましたが、ブレボにLPFを組んで実測してみると、10MHzより低い周波数成分が思いの外多く上手くありません。そこで、”7Kボビン”に適当なタンクコイルを巻いたBPFを作ろうと考えましたが、大昔に1個26円で購入してなかなか捌けない”T37-6”を消費すべく「帯域の狭い2ポールのBPF」(3dB帯域が±30KHzで設計)をでっち上げることにしました。
この記事が夏休みの集大成になりますから(


このフィルタへの入力はインバータ2つを並列にしたバッファで、個々のインバータに240Ωの抵抗をシリーズ接続して使用・・・インピーダンスを120Ωと見立て、これをBPFの入力インピーダンスとします。
一方、出力インピーダンスは後続のバッファアンプの入力インピーダンスになるため、先にこのバッファアンプをどう作るかを想定しておく必要があります。GPSDOとして”3出力”を具備したいため、ここでは3分配を簡単に済ますべく入力インピーダンスの高いバッファアンプを前提にFET採用・・・こうなると、これまた在庫豊富な”J310”がベストと判断、ゲート抵抗に100KΩを置いて3つを並列接続して33KΩ程度になることを前提にしました。
このように、このBPFの入出力インピーダンスは大きく異なりますが、特に33KΩという高インピーダンスではLマッチを構成する”CE2”は不要となる一方、同調容量”C2”を大きくして補正する必要があります(補正の仕方は”トロ活”に詳説されていますからそちらを参照して下さい)。この辺りは、自作のBPF設計ツールで暫しカット&トライ・・・と設計を進めました。
さぁ、ここまで来れば回路として定数を入れ、シミュレートしてみましょう。まずは回路図。

これはシミュレートを終えた完成版です。BPF出力時点での電圧が高いため、アンプ自体はソースフォロワで済ましても良かったんですが、あれこれ調整しても出力電力として前提にしていた10dBm@50Ωに満たなかったため、軽く増幅することにしました。その結果、今度は逆に若干過大入力になるため、ゲートに直列に抵抗(3.9KΩ)を入れました。
また、アンプの負荷となるタンク回路のインピーダンスを高くするとこれまたゲインが大きくなり過ぎるため、設計仕様として200Ω程度にしています。Qも3.0と低くしていますから、この同調回路によるフィルタ効果は「刺身のつま」程度

シミュレーション結果は以下の通りです。

回路図上の”CLK”と”TP”、”OUT1”から”OUT3”の波形を見ています。”OUTx”の波形は全て重なって最後に描画した”OUT3”(赤)が表示されています。
”TP”の波形はBPFの特性を見ていることになりますが、綺麗な正弦波になっていることが解ります。また、”OUTx”の波形が±1Vなっており、凡そ10dBmの出力が確保されていることが解ります。”OUTx”にはそれぞれ-6dBのATTを通していますから、個々のFETは50Ωに対して40mW程度の信号を出力していることになります。
BPF部分については、ブレボ実験もしてみました。その様子がこちら。

回路図上の”CLK”と”TP”をそれぞれ見ています。”CLK”の波形では、オーバーシュート・アンダーシュートが結構あり、上下のピークを拾うと6.6V程になります。これをシミュレーションのクロックとして反映させると、”TP”の大きさが実測よりかなり大きくなります。そこで、上下の平均値(2.64V)を2倍した5.3Vでシミュレートしたら、”TP”の値が実測とほぼ合いました。
もう一つ・・・BPF用に巻いたL1,2(T37-6に0.32φのUEWを20回巻き)は、必要なインダクタンス値を机上計算で求めた後、実際に巻いてから実測した二値を平均して反映させています。
できればこの休暇中にJ310のバッファアンプ部もブレボ実験に持って行きたかったんですが、どうやら時間切れのよう・・・というのは、この休暇中ビール



長かった夏休み・・・自分的にはそこそこヘッポコ実験にも興じられた良い休暇だったと思います。明日から暫く、忙しい日々が・・・と思ったら火曜日は都内の研修会から直帰できそうなんで、秋葉原でも回ってこようと思います

インバータによるバッファの出力電力
2018-08-16
昨夕からGPSDOの回路図を引き始めたんですが、先に2つの部分の実験&シミュレーションが必要となり、夜更かししてその作業に取り掛かりました。夜更かしの分、暑い時間はバッチリ昼寝・・・これも長期休暇の醍醐味なのか
今回の記事では、その一つの実験結果をご披露・・・って、そんなに大それたもんじゃないか
前回の記事に記したように、今回使用するGPSモジュールのPPS出力は方形波でかつかなりのジッタを伴っており、これを整形して綺麗な正弦波に持って行く必要があります。そのためにはそこそこのフィルタ(LPF or BPF)を通してやる必要があり、ひとまずPPS出力をバッファに入れて落ち着かせてからフィルタを通す回路構成にします。バッファ自体はトランジスタ等で作ってもいいんですが、今回はインバータでひとまず受けて、ある程度安定した方形波に整形してからフィルタに通す形で考えました。
使用するインバータは定番中の定番"74HC04”とし、アンバッファタイプの”74HCU04”も含めてブレボ実験を敢行、その結果を以下に。

回路自体はよく見かけるものですね。
まず、PPS出力をインバータで受けてそのまま出力しているのが”Pin2”です。240Ωの抵抗をシリーズに接続して電流を制限(74HCシリーズの通常ポートは、概ね1ポートあたり20mA)しています。出力は50Ωで終端された電力計で計測。
その後は、残りのインバータを並列接続して出力電力(=電流)を稼いだ場合です。実際、インバータ1つでは波形が反転しますから、「受け用バッファに数個並列のバッファをシリーズ接続」という使い方(つまり、上図中の”OUT”を出力にする)にして、入力波形と同相になるようにしておく方がいいでしょう。
また、電流制限用の抵抗値がこのバッファの出力インピーダンスとすると、5個並列の”48Ω”の場合以外はミスマッチということになります。
”74HC04”と”74HCU04”の比較では、”74HC04”の方が高出力のようです。何となく、アンバッファタイプの方がこうした用途には有利なように思いましたが・・・。
何れにせよ、インバータ数個の組み合わせで10dBm以上の出力が得られることが解りました。まぁ、電源電圧と電流から考えれば当たり前ですが、こうしたDA変換に近い動きの部分はDDS等のデジタル発振を用いたQRP送信機にも応用できますから、このヘッポコ実験結果も”どよよんTips”としておきましょう


前回の記事に記したように、今回使用するGPSモジュールのPPS出力は方形波でかつかなりのジッタを伴っており、これを整形して綺麗な正弦波に持って行く必要があります。そのためにはそこそこのフィルタ(LPF or BPF)を通してやる必要があり、ひとまずPPS出力をバッファに入れて落ち着かせてからフィルタを通す回路構成にします。バッファ自体はトランジスタ等で作ってもいいんですが、今回はインバータでひとまず受けて、ある程度安定した方形波に整形してからフィルタに通す形で考えました。
使用するインバータは定番中の定番"74HC04”とし、アンバッファタイプの”74HCU04”も含めてブレボ実験を敢行、その結果を以下に。

回路自体はよく見かけるものですね。
まず、PPS出力をインバータで受けてそのまま出力しているのが”Pin2”です。240Ωの抵抗をシリーズに接続して電流を制限(74HCシリーズの通常ポートは、概ね1ポートあたり20mA)しています。出力は50Ωで終端された電力計で計測。
その後は、残りのインバータを並列接続して出力電力(=電流)を稼いだ場合です。実際、インバータ1つでは波形が反転しますから、「受け用バッファに数個並列のバッファをシリーズ接続」という使い方(つまり、上図中の”OUT”を出力にする)にして、入力波形と同相になるようにしておく方がいいでしょう。
また、電流制限用の抵抗値がこのバッファの出力インピーダンスとすると、5個並列の”48Ω”の場合以外はミスマッチということになります。
”74HC04”と”74HCU04”の比較では、”74HC04”の方が高出力のようです。何となく、アンバッファタイプの方がこうした用途には有利なように思いましたが・・・。
何れにせよ、インバータ数個の組み合わせで10dBm以上の出力が得られることが解りました。まぁ、電源電圧と電流から考えれば当たり前ですが、こうしたDA変換に近い動きの部分はDDS等のデジタル発振を用いたQRP送信機にも応用できますから、このヘッポコ実験結果も”どよよんTips”としておきましょう

GPSモジュール再び
2018-08-14
予定通り、先週末より夏季休暇を取ることができました。初っ端に当たる土曜は毎年恒例の「一族の寄り合い」があって終日酔っ払いでしたが、翌日曜からは原則「休息日」として過ごしています。無論、ここのブログ主の休息日は原則「ヘッポコ実験・工作日」ですが、アニメ視聴やゲームにやや気を取られつつも何やら怪しいヘッポコ実験をウダウダ進めています。
我が家周辺の日中温度はここ数日35℃は超えないものの、我が納戸シャックは30℃近くに上がってしまう時間帯である14時から2,3Hは工作や実験にはNGですが、それ以外の時間帯は何とか活動できます。とは言え、ちょっと重めの工作は置いて、ノンビリしながらできそうなことに取り掛かりました。
今から4,5年前に”高周波工作マニア”の間で俄にブームに火が付いたGPSによる周波数標準・・・当初は1秒刻みの正確なパルスを取り出して、それを周波数カウンタのゲートにして安定度の高い発振源(オーブン式のTCXOなど)を校正する方法がポピュラーでしたが、今ではGPSモジュール内のコンフィグデータを弄ることで、直接的に正確な高い周波数パルスを得る方法が定番となりつつあります。
コンフィグデータを弄れるモジュールは限られていますが、特にU-Blox社の新しいモジュールでは、同社のソフトツール”u-center”を使うことで簡単に各種諸元を調整できます。
実は、GPSによる周波数標準ブームが本格化し始めた2014年の中頃に1PPSパルス出力付きのGPSモジュールを手に入れ、シリアル通信で味見をしていました。そして、かなり安定度の高そうなOCXOとの組み合わせでGPSDOモドキ(GPSDO:GPS Disciplined Oscillator)を作ろうと考えていたら、その直後に周波数カウンタのジャン測を手に入れ、その心臓部の基準発振を比較的高安定なものに換装したらそこで満足してしまいまして・・・
じゃぁ、なんで今更GPSDOに工作意欲が傾いたかというと、2016年の中頃に手に入れたSGのジャン測と上記の周波数カウンタがそれぞれ「10MHzの外部基準で動作する仕様」になっており、SGを手に入れてからずっと10MHzの周波数基準が欲しかったんですね。この周波数基準の出力を二つに分けてぶち込めば、この2装置の周波数精度が一気に上がるわけです。
そこで、この夏季休暇中はアンテナの立て替え待ちのノイズキャンセラをペンディングして、さらにAGCのデジタル処理や安定化電源の製作・・・等々を差し置いて(宿題は一杯あるのよね
)「GPSDOの製作」に手を染めることにしました。
この工作に先立っては手持ちのGPSモジュールを引っ張り出してきて、以前の味見の通りブレボにRS232のレベル変換を置いて配線し、PCでひとまず衛星の様子を見てみることにしました。これ自体は何の問題も無く上手く行ったんですが、数時間放っておいた後にふっとモジュールに触ってみると結構な発熱
確認のため消費電流を測ってみると、何と350mAほどになっています。同等なモジュールの消費電流をネットで調べると、大食らいなものでも70mAほど・・・これはちょっと異常です。その上、どうせGPSDOを作るなら、できるだけ新しいGPSモジュールの方が良いかと思い、U-Bloxのチップを積んだ安いものを”Aliナンチャラ”で適当にチョイスして注文、休暇に入る直前に届きました。

”GB-1803”・・・あまり詳細な情報がネットに上がっていませんが、現状で二番目に新しいU-Bloxの”m8シリーズ”のチップが搭載されています。価格も700円ほどでPPS出力も具備。こんなにちっこくてまともに動くのか心配でしたが、無事に”u-center”に接続できました。
まずは衛星の様子。GPSモジュールはある程度の時間、衛星の位置を記憶していますが、長時間通電されないと何もない状態から位置情報を作り始めます。これにはある程度時間が掛かります。我が納戸シャック(3F建てマンションの奥の部屋)では、最初の衛星の捕捉に数分、位置情報が確定する「4つの衛星捕捉」には20分から30分掛かるようです。通電から2時間後の衛星の様子は以下の通り。

いわゆるGPS衛星はアメリカが打ち上げた衛星で、Gxxというのがそれ。その他、ロシアのRxxとSBAS(測位誤差を補正する静止衛星:Sxxx)が見えています。測位に使われているのが緑色のもので、この状態で8つの衛星で測位されています。
衛星の位置はほんの少しずつ動きます。そして、衛星の位置や信号の強弱で測位に使われる衛星数が変化します。我が納戸シャックで多めに衛星の信号を拾っている時の様子を以下に。

全部で14機が緑色ですね(S128の後ろにも1機います)。この図では、衛星に国旗を追加してみましたが、とりわけ目立つのがQxの番号で示される日本の衛星”みちびき”です。この衛星は、このGPSモジュールのディフォルトでは見えませんが、"QZSS"という衛星側のプロトコルを生かしてやると見られるようになります。この辺りもコンフィグを弄ることで可能。ただ、今回NMEAの通信仕様で使用するGNxxxには、”みちびき”の測位情報は反映されず、この状態で12機で測位されていることになります。ま、何れにせよ十分ですね
”u-center”ではこうした衛星の情報以外にも多彩なアプリケーションが組み込まれていますが、自分の目的には不要・・・それでも、あれこれ見ていると飽きませんよ
さて、今回はGPSモジュールのコンフィグを弄って10MHzの信号を取り出せるかが課題です。まずは、自分の備忘録用にコンフィグの調整画面を掲載(クリックすると別窓で大きく表示されます)。

この画面は、”u-center”の上部のタブ”View”⇒”Configuration View”を押下し左側のメニューの”TP5”を押すと現れます。赤い部分が測位が確立していない状態でのクロック出力(=周波数があまり高確度でない状態)、青い部分が測位が確立した後のクロック出力(=周波数が高確度な状態)です。ここを適宜設定して画面下部の”Send”を押します。この状態ではGPSモジュールのメモリ上の設定しか変更されていませんので、電源を切ると消えてしまいます。そこで、上記の”Send”を押したらメニューから”CFG”を押し、ラジオボタン”Save Current Configuration”を選択して画面下部の”Send”を押すと、GPSモジュールのセーブデータが更新されます。
また、GPSモジュールとのシリアル通信速度(ディフォルトは9600bps)もこのメニューの”PRT”を押して現れる画面上で設定し直すことができますから、必要に応じて変更します。勿論、これも”CFG”の操作を忘れずに。
上記の設定変更で1秒周期のパルス出力が「10MHzのデューティー比50%のパルス出力」になりました。波形を見てみましょう。

同期が取れないためデジカメで撮影しましたが、こんな感じでOKです。この出力信号を適当なフィルタに通せば、10MHzの綺麗なサイン波になるでしょう。この辺りは、先駆の諸OMが既に試されていますから、今回の我が測定システムに必要な2出力・・・折角作るんですから、さらにもう1つ追加して3出力が十分な電力で得られるように回路設計したいと思います。
夏季休暇はまだ半ばですが、他にもやりたいことがあったりするんでノンビリながらもテキパキと・・・って、そんなことできるんかいな
我が家周辺の日中温度はここ数日35℃は超えないものの、我が納戸シャックは30℃近くに上がってしまう時間帯である14時から2,3Hは工作や実験にはNGですが、それ以外の時間帯は何とか活動できます。とは言え、ちょっと重めの工作は置いて、ノンビリしながらできそうなことに取り掛かりました。
今から4,5年前に”高周波工作マニア”の間で俄にブームに火が付いたGPSによる周波数標準・・・当初は1秒刻みの正確なパルスを取り出して、それを周波数カウンタのゲートにして安定度の高い発振源(オーブン式のTCXOなど)を校正する方法がポピュラーでしたが、今ではGPSモジュール内のコンフィグデータを弄ることで、直接的に正確な高い周波数パルスを得る方法が定番となりつつあります。
コンフィグデータを弄れるモジュールは限られていますが、特にU-Blox社の新しいモジュールでは、同社のソフトツール”u-center”を使うことで簡単に各種諸元を調整できます。
実は、GPSによる周波数標準ブームが本格化し始めた2014年の中頃に1PPSパルス出力付きのGPSモジュールを手に入れ、シリアル通信で味見をしていました。そして、かなり安定度の高そうなOCXOとの組み合わせでGPSDOモドキ(GPSDO:GPS Disciplined Oscillator)を作ろうと考えていたら、その直後に周波数カウンタのジャン測を手に入れ、その心臓部の基準発振を比較的高安定なものに換装したらそこで満足してしまいまして・・・

じゃぁ、なんで今更GPSDOに工作意欲が傾いたかというと、2016年の中頃に手に入れたSGのジャン測と上記の周波数カウンタがそれぞれ「10MHzの外部基準で動作する仕様」になっており、SGを手に入れてからずっと10MHzの周波数基準が欲しかったんですね。この周波数基準の出力を二つに分けてぶち込めば、この2装置の周波数精度が一気に上がるわけです。
そこで、この夏季休暇中はアンテナの立て替え待ちのノイズキャンセラをペンディングして、さらにAGCのデジタル処理や安定化電源の製作・・・等々を差し置いて(宿題は一杯あるのよね

この工作に先立っては手持ちのGPSモジュールを引っ張り出してきて、以前の味見の通りブレボにRS232のレベル変換を置いて配線し、PCでひとまず衛星の様子を見てみることにしました。これ自体は何の問題も無く上手く行ったんですが、数時間放っておいた後にふっとモジュールに触ってみると結構な発熱


”GB-1803”・・・あまり詳細な情報がネットに上がっていませんが、現状で二番目に新しいU-Bloxの”m8シリーズ”のチップが搭載されています。価格も700円ほどでPPS出力も具備。こんなにちっこくてまともに動くのか心配でしたが、無事に”u-center”に接続できました。
まずは衛星の様子。GPSモジュールはある程度の時間、衛星の位置を記憶していますが、長時間通電されないと何もない状態から位置情報を作り始めます。これにはある程度時間が掛かります。我が納戸シャック(3F建てマンションの奥の部屋)では、最初の衛星の捕捉に数分、位置情報が確定する「4つの衛星捕捉」には20分から30分掛かるようです。通電から2時間後の衛星の様子は以下の通り。

いわゆるGPS衛星はアメリカが打ち上げた衛星で、Gxxというのがそれ。その他、ロシアのRxxとSBAS(測位誤差を補正する静止衛星:Sxxx)が見えています。測位に使われているのが緑色のもので、この状態で8つの衛星で測位されています。
衛星の位置はほんの少しずつ動きます。そして、衛星の位置や信号の強弱で測位に使われる衛星数が変化します。我が納戸シャックで多めに衛星の信号を拾っている時の様子を以下に。

全部で14機が緑色ですね(S128の後ろにも1機います)。この図では、衛星に国旗を追加してみましたが、とりわけ目立つのがQxの番号で示される日本の衛星”みちびき”です。この衛星は、このGPSモジュールのディフォルトでは見えませんが、"QZSS"という衛星側のプロトコルを生かしてやると見られるようになります。この辺りもコンフィグを弄ることで可能。ただ、今回NMEAの通信仕様で使用するGNxxxには、”みちびき”の測位情報は反映されず、この状態で12機で測位されていることになります。ま、何れにせよ十分ですね

”u-center”ではこうした衛星の情報以外にも多彩なアプリケーションが組み込まれていますが、自分の目的には不要・・・それでも、あれこれ見ていると飽きませんよ

さて、今回はGPSモジュールのコンフィグを弄って10MHzの信号を取り出せるかが課題です。まずは、自分の備忘録用にコンフィグの調整画面を掲載(クリックすると別窓で大きく表示されます)。

この画面は、”u-center”の上部のタブ”View”⇒”Configuration View”を押下し左側のメニューの”TP5”を押すと現れます。赤い部分が測位が確立していない状態でのクロック出力(=周波数があまり高確度でない状態)、青い部分が測位が確立した後のクロック出力(=周波数が高確度な状態)です。ここを適宜設定して画面下部の”Send”を押します。この状態ではGPSモジュールのメモリ上の設定しか変更されていませんので、電源を切ると消えてしまいます。そこで、上記の”Send”を押したらメニューから”CFG”を押し、ラジオボタン”Save Current Configuration”を選択して画面下部の”Send”を押すと、GPSモジュールのセーブデータが更新されます。
また、GPSモジュールとのシリアル通信速度(ディフォルトは9600bps)もこのメニューの”PRT”を押して現れる画面上で設定し直すことができますから、必要に応じて変更します。勿論、これも”CFG”の操作を忘れずに。
上記の設定変更で1秒周期のパルス出力が「10MHzのデューティー比50%のパルス出力」になりました。波形を見てみましょう。

同期が取れないためデジカメで撮影しましたが、こんな感じでOKです。この出力信号を適当なフィルタに通せば、10MHzの綺麗なサイン波になるでしょう。この辺りは、先駆の諸OMが既に試されていますから、今回の我が測定システムに必要な2出力・・・折角作るんですから、さらにもう1つ追加して3出力が十分な電力で得られるように回路設計したいと思います。
夏季休暇はまだ半ばですが、他にもやりたいことがあったりするんでノンビリながらもテキパキと・・・って、そんなことできるんかいな
