今更ながら、CW用オーディオフィルタ製作(その製造と試運転)
2019-05-27
「散々シミュレートしたんだし、まぁそれほど複雑な回路でもないし・・・」と自分に言い聞かせて部品を集め、漸く製作に漕ぎ着けたCW用のオーディオフィルタですが、"WW WPX CW”で試運転できるように焦り気味でバラック完成となりました。コンテストでの使用感を含め、この辺りを今回記事にしましょう。
まずは、お決まりの回路図のご披露から。

またしても”万能基板”に組むべく、オペアンプの”足”を意識した実体配線っぽい回路図にしました。原本は、シミュレートし尽くした感のあるLTspiceの回路・・・どこも弄らずそのままの定数で組んでいます。
BPFを構成する抵抗は”金皮”の1%誤差を頼りにしつつも2本購入し、我がラボ(って、そんなに立派だっけ
)の”抵抗値測定装置”である岩通のレトロテスターで値を測り、より公称値(表示値)に近いものをチョイス。その他の部位の抵抗は、手持ちのカーボン抵抗です。
コンデンサについては先のブログで詳説したように、公称0.033μFのものを2つ選んで容量を足して2倍の容量”0.066μF”になるよう10個購入したコンデンサを組み合わせて容量を測り、結果的に0.066μF ± 0.001μFになるように合わせました。今回使用したコンデンサの容量の精度は一般的な”J”ランクで「±5%の精度」を保証していますが、実際にはもう少し精度が高く(10個とも±2%以内)、かなり上手い具合に選び出すことができました。
中心周波数を合わせ込むためのボリュームには500Ωの10回転ポテンショメータ(Bカーブ)を使い、中心周波数の調整が楽になるようにしました。減速比が大きいと中心周波数の合わせ込みに難儀するだろうとも思いましたが、ひとまずはこれでチャレンジ。
電源用のオペアンプは手持ちで消費電流が小さい”LM358”を選びましたが、最終的には回路図にある”NJM062”に交換しています。
さて、基板に組んだら直ぐにチェックしたいのは当たり前・・・とばかりに、WPXコンテスト参戦直前にバラックで完成したこのCWフィルタを、適当に調整してコンテストの初日の夜から使ってみたんですが、何やらあまりインパクトのあるような結果にならずションボリ
それでも消費電流を測ってみたら4.3mA程・・・目標である「200mAHの006P風充電電池」で24Hどころか48Hのコンテストにも”付けっぱなし”でイケそうな値であることに満足し、WPX初日の夜間参戦終了と共にこのフィルタもQRT
翌日起きたら即、消費電流のさらなる低減に向けてLM358をNJM062に換装。ところが、音が割れてしまうんです。おかしいなぁと見直すと、何と換装したのが全然関係の無い8本足。NJM062を購入した際に”序で”に購入したシリアルメモリでした。幾らシルバーアイ(老眼)とは言え、こんなエラーは初めてじゃないかな
NJM062にちゃんと換装して消費電流を測ったら3.9mAになり、この点は想定以上の結果が出て満足、満足
電池式の回路では、たった0.4mAの削減でも結構嬉しいわけですよ
続いてAPB-3を持ち出し、個々のBPFをきちんと調整しましたが、やはりあまりいい感じ(想像していた感じ)にならず
ただ、先頭のBPFの調整がかなりブロードであることに違和感を感じ、基板の接続パターンを確認したら、先頭のBPFの接続に不具合を発見
これを直したら、シミュレーション通りの特性が得られるようになりました。
さぁ、驚きの周波数特性は・・・

シミュレーション結果がほぼそのままに再現できています。それも、3つのBPFの中心周波数でそれぞれ一番出力が大きくなるように調整しただけですから、本当におっ魂消ましたよ。先にCW用のクリスタルフィルタの試作を行い、その時もLTspiceの実力に脱帽でしたが、今回も脱帽しきり・・・本当に凄いなぁ
さて、WPXコンテストの2日目はこのフィルタを使って参戦。
まず、入力のボリューム(済みません、上の回路図には無いです)で入力をかなり大きくして「五月蠅いと感じる音量」にしてみましたが、音の歪み等は皆無。フィルタ独特の変な音の劣化も無し。
ノイズのある状態では流石にノイズが変調された音がバックグランドで聞こえるものの、主戦力機のTS-590の250Hz程度の絞り込みより了解度はよくなりました。ただ、TS-590のフィルタのBWを500Hz以下にしないと、TS-590のルーフィングフィルタが広くなってしまい(6KHz)、この範囲の強い局でAGCが動くために上手くありません。
一方、DXコンテストでEUをS&Pする際の「TS-590のATTをオン」にしての運用(これは、過去のコンテスト参戦記のあちこちに書いてあります)ではノイズフロアが下がるため、このフィルタの本領発揮。上記のAGCの邪魔も殆どされなくなり、目的信号だけを聴いているような感じになりました。これが、このフィルタ製作の最大の収穫
また、隣接局をどの程度フィルタリングしてくれるかは、500Hzのクリスタルフィルタよりいい感じ・・・かなり実用的なものができたんじゃないかなと自負しています。
闇雲に高QのBPFをこしらえてピーキーなCWトーンを聴くより、ちょっとしたシミュレーションで大凡の特性を知ってから製作する・・・今のご時世の製作モノはこれが王道かも知れません。勿論、行き当たりばったりの「調整ありきのアナログ回路」も相変わらず興味が湧きますがね
最後に、実験風景をスナップショット

小型ケースに入れれば完成・・・ケース加工の模様はまたの機会として、CW用オーディオフィルタの製作はここまでとしておきます。
まずは、お決まりの回路図のご披露から。

またしても”万能基板”に組むべく、オペアンプの”足”を意識した実体配線っぽい回路図にしました。原本は、シミュレートし尽くした感のあるLTspiceの回路・・・どこも弄らずそのままの定数で組んでいます。
BPFを構成する抵抗は”金皮”の1%誤差を頼りにしつつも2本購入し、我がラボ(って、そんなに立派だっけ

コンデンサについては先のブログで詳説したように、公称0.033μFのものを2つ選んで容量を足して2倍の容量”0.066μF”になるよう10個購入したコンデンサを組み合わせて容量を測り、結果的に0.066μF ± 0.001μFになるように合わせました。今回使用したコンデンサの容量の精度は一般的な”J”ランクで「±5%の精度」を保証していますが、実際にはもう少し精度が高く(10個とも±2%以内)、かなり上手い具合に選び出すことができました。
中心周波数を合わせ込むためのボリュームには500Ωの10回転ポテンショメータ(Bカーブ)を使い、中心周波数の調整が楽になるようにしました。減速比が大きいと中心周波数の合わせ込みに難儀するだろうとも思いましたが、ひとまずはこれでチャレンジ。
電源用のオペアンプは手持ちで消費電流が小さい”LM358”を選びましたが、最終的には回路図にある”NJM062”に交換しています。
さて、基板に組んだら直ぐにチェックしたいのは当たり前・・・とばかりに、WPXコンテスト参戦直前にバラックで完成したこのCWフィルタを、適当に調整してコンテストの初日の夜から使ってみたんですが、何やらあまりインパクトのあるような結果にならずションボリ


翌日起きたら即、消費電流のさらなる低減に向けてLM358をNJM062に換装。ところが、音が割れてしまうんです。おかしいなぁと見直すと、何と換装したのが全然関係の無い8本足。NJM062を購入した際に”序で”に購入したシリアルメモリでした。幾らシルバーアイ(老眼)とは言え、こんなエラーは初めてじゃないかな



続いてAPB-3を持ち出し、個々のBPFをきちんと調整しましたが、やはりあまりいい感じ(想像していた感じ)にならず


さぁ、驚きの周波数特性は・・・


シミュレーション結果がほぼそのままに再現できています。それも、3つのBPFの中心周波数でそれぞれ一番出力が大きくなるように調整しただけですから、本当におっ魂消ましたよ。先にCW用のクリスタルフィルタの試作を行い、その時もLTspiceの実力に脱帽でしたが、今回も脱帽しきり・・・本当に凄いなぁ

さて、WPXコンテストの2日目はこのフィルタを使って参戦。
まず、入力のボリューム(済みません、上の回路図には無いです)で入力をかなり大きくして「五月蠅いと感じる音量」にしてみましたが、音の歪み等は皆無。フィルタ独特の変な音の劣化も無し。
ノイズのある状態では流石にノイズが変調された音がバックグランドで聞こえるものの、主戦力機のTS-590の250Hz程度の絞り込みより了解度はよくなりました。ただ、TS-590のフィルタのBWを500Hz以下にしないと、TS-590のルーフィングフィルタが広くなってしまい(6KHz)、この範囲の強い局でAGCが動くために上手くありません。
一方、DXコンテストでEUをS&Pする際の「TS-590のATTをオン」にしての運用(これは、過去のコンテスト参戦記のあちこちに書いてあります)ではノイズフロアが下がるため、このフィルタの本領発揮。上記のAGCの邪魔も殆どされなくなり、目的信号だけを聴いているような感じになりました。これが、このフィルタ製作の最大の収穫

また、隣接局をどの程度フィルタリングしてくれるかは、500Hzのクリスタルフィルタよりいい感じ・・・かなり実用的なものができたんじゃないかなと自負しています。
闇雲に高QのBPFをこしらえてピーキーなCWトーンを聴くより、ちょっとしたシミュレーションで大凡の特性を知ってから製作する・・・今のご時世の製作モノはこれが王道かも知れません。勿論、行き当たりばったりの「調整ありきのアナログ回路」も相変わらず興味が湧きますがね

最後に、実験風景をスナップショット


小型ケースに入れれば完成・・・ケース加工の模様はまたの機会として、CW用オーディオフィルタの製作はここまでとしておきます。
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