リプルフィルタの検証
2019-12-15
オーディオ用のミニアンプを製作中ですが、電源にスイッチング式のACアダプタを採用すべく考えています。スイッチング電源はノイズ源として有名(
)ですが、スイッチング周波数である数十KHz以上が酷いことになってはいるものの、それ以下の周波数は比較的大人しいと言われています。ただ、電源としての平滑コンの容量不足(小型化のため、大きな容量のコンデンサが出力に入っていない)から推察すると、やはりノイジーなのでは・・・と考え、今日はこの辺りを検証することにしました。
まずは実験回路図から・・・LTspiceでシミュレートすべく描いたものです。

非常に簡単な回路です。”P”が電源の直接出力で、その後方にリプルフィルタを配しました。
サンプルに採用したトランジスタは、Ic=1A程度のものから適当にチョイスしています。この回路の肝はR1とC1で構成されるLPFで、R1,C1共に大きいほど低い周波数までフィルタリングできますが、R1が大きいと出力の電圧降下が大きくなり過ぎるし、C1もあまり大きいと突入電流が大きくなりますから、言わば”頃合い”があるわけです。シミュレーションをあれこれ行って、そこそこの結果になったのがこの回路定数です。
出力の負荷は適当に選んであります。これで75mA程度流れている状態をシミュレートしていますが、今回作るアンプの”普段使い”の状態ではこんなモンかなぁという正に適当です
これで、出力電圧は0.8V程度降下・・・11.2Vくらいになるようです。

フィルタリングの特性はこんな感じになりました。電源ハムで問題となる100Hz(@東日本)でも-40dB以上稼げるようで、それ以上の周波数はさらにフィルタリングが利くようです。因みに、通過電流が大きくなるとフィルタの特性は悪い方向に動きます。シミュレーションでは、電流を10倍にすると100KHzで10dBくらい落ちるようです。
早速ブレボ&APB-3でお試し。最初は、ACアダプタの出力を直接測定・・・回路図上の”P”の位置で測定しました。

APB-3の入力には直流遮断用に0.1μFのセラコンをつなぎ、1MΩの入力インピで測定。スイッチング電源特有のノイズの出方がよく判ります。35KHz辺りがスイッチング周波数、その高調波も見えています。このノイズが中波帯を超えて数MHzまで広がっているわけですね。
次に、”P”の位置に470μFのケミコンを接続・・・平滑コンの増量です。

少し効果がありそう・・・総じて-5dBから-10dB程度でしょうか。もう少し大きな容量のコンデンサの方が良さそうですが、やはり効果はあるというわけです。ACアダプタを使う小物製作の際には”馬鹿避け”に採用しても良さそうです。
それではお待ちかねのリプルフィルタの登場・・・トランジスタには、2SC3422を使いました。平滑コン増量は無し。

如何ですか
かなり低減できていますね
出力電圧は、シミュレーションと同等の11.2Vとなりました。
今回はこのリプルフィルタをオーディオアンプで使おうとしていますから、下の方の周波数をクローズアップしてみましょう。まずは、電源出力を3KHzまでのスパンで観測。

これが、リプルフィルタを通すと以下のようになります。平滑コンの増量は無し。

可聴周波数付近でも、かなり効果がありますね。ブレボのバラックで測定してるんで、電源ハムに纏わる50Hzの高調波が直接飛び込んでしまう部分は、実際のフィルタリング特性より悪く出てしまっていると思いますから、ケースに入れた状態ならもう少し良い結果になると思います。無論、電源出力そのままの測定にも同じことが言えますよ。
それにしても、トランジスタ1石でこれだけ効果的なフィルタが作れるところが良いですね。三端子レギュレータの追加より熱的に有利ですし、自作測定器のノイズに対してクリチカルな部分にはどんどん採用したいと思います。
このリプルフィルタは、製作中オーディオアンプに採用することにしました。来週末には完成に持って行きたいと思います。

まずは実験回路図から・・・LTspiceでシミュレートすべく描いたものです。

非常に簡単な回路です。”P”が電源の直接出力で、その後方にリプルフィルタを配しました。
サンプルに採用したトランジスタは、Ic=1A程度のものから適当にチョイスしています。この回路の肝はR1とC1で構成されるLPFで、R1,C1共に大きいほど低い周波数までフィルタリングできますが、R1が大きいと出力の電圧降下が大きくなり過ぎるし、C1もあまり大きいと突入電流が大きくなりますから、言わば”頃合い”があるわけです。シミュレーションをあれこれ行って、そこそこの結果になったのがこの回路定数です。
出力の負荷は適当に選んであります。これで75mA程度流れている状態をシミュレートしていますが、今回作るアンプの”普段使い”の状態ではこんなモンかなぁという正に適当です


フィルタリングの特性はこんな感じになりました。電源ハムで問題となる100Hz(@東日本)でも-40dB以上稼げるようで、それ以上の周波数はさらにフィルタリングが利くようです。因みに、通過電流が大きくなるとフィルタの特性は悪い方向に動きます。シミュレーションでは、電流を10倍にすると100KHzで10dBくらい落ちるようです。
早速ブレボ&APB-3でお試し。最初は、ACアダプタの出力を直接測定・・・回路図上の”P”の位置で測定しました。

APB-3の入力には直流遮断用に0.1μFのセラコンをつなぎ、1MΩの入力インピで測定。スイッチング電源特有のノイズの出方がよく判ります。35KHz辺りがスイッチング周波数、その高調波も見えています。このノイズが中波帯を超えて数MHzまで広がっているわけですね。
次に、”P”の位置に470μFのケミコンを接続・・・平滑コンの増量です。

少し効果がありそう・・・総じて-5dBから-10dB程度でしょうか。もう少し大きな容量のコンデンサの方が良さそうですが、やはり効果はあるというわけです。ACアダプタを使う小物製作の際には”馬鹿避け”に採用しても良さそうです。
それではお待ちかねのリプルフィルタの登場・・・トランジスタには、2SC3422を使いました。平滑コン増量は無し。

如何ですか


今回はこのリプルフィルタをオーディオアンプで使おうとしていますから、下の方の周波数をクローズアップしてみましょう。まずは、電源出力を3KHzまでのスパンで観測。

これが、リプルフィルタを通すと以下のようになります。平滑コンの増量は無し。

可聴周波数付近でも、かなり効果がありますね。ブレボのバラックで測定してるんで、電源ハムに纏わる50Hzの高調波が直接飛び込んでしまう部分は、実際のフィルタリング特性より悪く出てしまっていると思いますから、ケースに入れた状態ならもう少し良い結果になると思います。無論、電源出力そのままの測定にも同じことが言えますよ。
それにしても、トランジスタ1石でこれだけ効果的なフィルタが作れるところが良いですね。三端子レギュレータの追加より熱的に有利ですし、自作測定器のノイズに対してクリチカルな部分にはどんどん採用したいと思います。
このリプルフィルタは、製作中オーディオアンプに採用することにしました。来週末には完成に持って行きたいと思います。
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No title
何時も楽しく拝見させていただいています。
ケミコンは、逆に掛けると一瞬ですね。(笑)
試したことは無いのですが、スイッチング電源のノイズ除去には高周波特性の良いセラミックと少々のコイルを併用したフィルタをリップルフィルタの前に入れると効果が期待できるかもしれません。
ケミコンは、逆に掛けると一瞬ですね。(笑)
試したことは無いのですが、スイッチング電源のノイズ除去には高周波特性の良いセラミックと少々のコイルを併用したフィルタをリップルフィルタの前に入れると効果が期待できるかもしれません。
ケミコンの逆接の弱さに唖然・・・
bachさん、コメントありがとうございます。
今までこの逆接不祥事に出会したことが100%無かったとは言い切れませんが、兎に角今回は、それを目の当たりにして本当に驚きました。まぁ、40円で学べたんで、「お得!」と言っても良いかも知れません(^^;
今回のフィルタはオーディオアンプ用…可聴周波数領域に着目してるんで、セラコン+コイルの対策はしない予定ですが、確かにもう少し高周波の…例えばラジオや無線時の受信部を動かすには、いわゆるパッシブ型のLCフィルタが良さそうですね。
毎度の駄文ですが、末永くご贔屓に(^o^)v
今までこの逆接不祥事に出会したことが100%無かったとは言い切れませんが、兎に角今回は、それを目の当たりにして本当に驚きました。まぁ、40円で学べたんで、「お得!」と言っても良いかも知れません(^^;
今回のフィルタはオーディオアンプ用…可聴周波数領域に着目してるんで、セラコン+コイルの対策はしない予定ですが、確かにもう少し高周波の…例えばラジオや無線時の受信部を動かすには、いわゆるパッシブ型のLCフィルタが良さそうですね。
毎度の駄文ですが、末永くご贔屓に(^o^)v