LM380Nアンプの特性をシミュレートしてみた
2019-12-21
小型のオーディオアンプはケース加工を終え、残るは配線するだけの状態になりました。とっとと完成させればいいんですが、またしても”シミュレーションしたい病”を発症してしまい、ネットからLM380Nのspiceデータを拾ってきてモデル化し、このICの”ノーマル使い”と”NFB使い”の差を検証しました。
そもそも今回の小型アンプに採用するICは、かれこれ40年近く前にLM380Nモドキとして安く売られていた”ULN2280B”というものを使ってひとまず形にしました。あまりに古い部品箱の死蔵品だったため放熱的にはあまり好ましくないICソケットを採用して、いざ「ウントモスントモ」の場合に本家を使うように備えましたが、試運転ではゴキゲンな音を聞かせてくれました。
まぁ、今更本家のシミュレーションをしても仕方が無いんですが、そこはそれ、誰も咎めることのできない「シュミの世界」ですから、堂々とシミュレーションを楽しみましょう
まずは、シミュレートした回路です。回路の定数は、既に組み立て済みのアンプのものと合わせています。

LM380Nのモデルは、本当はオペアンプ記号のような横向き三角形にしたかったんですが、拾ってきたデータをモデル化したらこの形になったんでそのまま使ってます
回路の肝は、C3,R2,R3で構成されるフィードバック回路。フィードバック量はR3の増減で簡単にできます。即ち、””ノーマル使い”の場合はこれらの部品を外して”inn”をグランドに落とします。
それでは早速、シミュレートされた特性を見てみましょう。これは、LTspiceのシミュレーション結果をテキストで吐き出し、そのデータをExcelの散布図で描いています。1000Hz以下をグラフ化していますが、1000Hz以上の可聴周波数域はずっと同じ特性が続きます。

最初はゲイン。グラフの注釈では”GA”としていますが、”ノーマル使い”を赤線、”NFB使い”を青線で描いています。1000Hzから下の方に辿っていくと、”ノーマル使い”では100Hz付近から下に向かってゲインがなだらかに落ちていきますが、”NFB使い”の方は10Hz辺りまでほぼ利得が一定になっています。その代わり、”NFB使い”の方は凡そ10dB程ゲインが低くなっていますね。まぁ、いちいち解説も要りませんが、NFBを掛けたときのポピュラーな特性(利得が一定の帯域が広がる)になっています。
グラフの真ん中やや上に注釈していますが、10Hzから40Hz位の所に若干ゲインが高い帯域がありますね。これは、フィードバック量が若干大きいために起きています。シミュレーション上、R3を減らして(3.3KΩ程度)もう少し調整することが可能なことは確認しましたが、あまり気にすることもないでしょう。
逆に、フィードバック量を極端に増やして・・・例えばR3を33KΩくらいまで持って行くと、10Hz以下までゲインが平坦の領域は広がる一方、その下に極端なゲインの山が現れます。その上、平坦域のゲインもどんどん減っていきます(十数dB程度になってしまう)から丁度いい頃合いがある・・・というわけで、R3の値は4.7KΩで良さそうです。
このゲインに関する吟味は、実は100Hz以下を云々しているわけです。LM380Nの出力は精々1,2Wですから、この電力で駆動できるスピーカーはあまり大きな口径のものにはなりません。当然低音域の再生は苦しくなりますから、このゲインの平坦化は実はあまり意味が無いものと思います。ただ、ヘッドホン試聴する場合、或いはお耳の敏感な御仁にはその差がわかるかも知れません。自分には判らないかも
このグラフの下の方にノイズの様子もシミュレートしています。グラフの注釈は雑音としていますが、”ノーマル使い”を橙線、”NFB使い”を水色線で描いています。こちらも、フィードバックの有り無しで凡そ10dBの差が描かれていますが、これはひょっとするとゲインの差がそのまま現れているような気がします。勿論、NFBの効用の1つに低ノイズ化があることは判っていますが、やや怪しい結果となりました
歪みについてもシミュレートしてみました。こちらは、LTspiceで描かれたグラフを画像でセーブして作っています。

これは、”ノーマル使い”と”NFB使い”共に出力が1W(0dB)になるように入力を加減して描いています。信号として1KHzの正弦波を与えて、そのハーモニクスを見ている感じです。
この2つのグラフを比較してみると、第二高調波である2KHzで既に10dBの差があるように読み取れ、それ以上の高調波も10dB以上低くなっています。10dBの差ということでゲイン差と符合してしまっていますが、少なくとも出力は同じにしていますから、同じ音量で視聴する場合の歪みは”NFB使い”の方が有利そうです。これが、LM380Nの”非革命アンプ”の優れた点ということなんでしょうね。
これで漸く”シミュレーションしたい病”から解放されました
そもそも今回の小型アンプに採用するICは、かれこれ40年近く前にLM380Nモドキとして安く売られていた”ULN2280B”というものを使ってひとまず形にしました。あまりに古い部品箱の死蔵品だったため放熱的にはあまり好ましくないICソケットを採用して、いざ「ウントモスントモ」の場合に本家を使うように備えましたが、試運転ではゴキゲンな音を聞かせてくれました。
まぁ、今更本家のシミュレーションをしても仕方が無いんですが、そこはそれ、誰も咎めることのできない「シュミの世界」ですから、堂々とシミュレーションを楽しみましょう

まずは、シミュレートした回路です。回路の定数は、既に組み立て済みのアンプのものと合わせています。

LM380Nのモデルは、本当はオペアンプ記号のような横向き三角形にしたかったんですが、拾ってきたデータをモデル化したらこの形になったんでそのまま使ってます

回路の肝は、C3,R2,R3で構成されるフィードバック回路。フィードバック量はR3の増減で簡単にできます。即ち、””ノーマル使い”の場合はこれらの部品を外して”inn”をグランドに落とします。
それでは早速、シミュレートされた特性を見てみましょう。これは、LTspiceのシミュレーション結果をテキストで吐き出し、そのデータをExcelの散布図で描いています。1000Hz以下をグラフ化していますが、1000Hz以上の可聴周波数域はずっと同じ特性が続きます。

最初はゲイン。グラフの注釈では”GA”としていますが、”ノーマル使い”を赤線、”NFB使い”を青線で描いています。1000Hzから下の方に辿っていくと、”ノーマル使い”では100Hz付近から下に向かってゲインがなだらかに落ちていきますが、”NFB使い”の方は10Hz辺りまでほぼ利得が一定になっています。その代わり、”NFB使い”の方は凡そ10dB程ゲインが低くなっていますね。まぁ、いちいち解説も要りませんが、NFBを掛けたときのポピュラーな特性(利得が一定の帯域が広がる)になっています。
グラフの真ん中やや上に注釈していますが、10Hzから40Hz位の所に若干ゲインが高い帯域がありますね。これは、フィードバック量が若干大きいために起きています。シミュレーション上、R3を減らして(3.3KΩ程度)もう少し調整することが可能なことは確認しましたが、あまり気にすることもないでしょう。
逆に、フィードバック量を極端に増やして・・・例えばR3を33KΩくらいまで持って行くと、10Hz以下までゲインが平坦の領域は広がる一方、その下に極端なゲインの山が現れます。その上、平坦域のゲインもどんどん減っていきます(十数dB程度になってしまう)から丁度いい頃合いがある・・・というわけで、R3の値は4.7KΩで良さそうです。
このゲインに関する吟味は、実は100Hz以下を云々しているわけです。LM380Nの出力は精々1,2Wですから、この電力で駆動できるスピーカーはあまり大きな口径のものにはなりません。当然低音域の再生は苦しくなりますから、このゲインの平坦化は実はあまり意味が無いものと思います。ただ、ヘッドホン試聴する場合、或いはお耳の敏感な御仁にはその差がわかるかも知れません。自分には判らないかも

このグラフの下の方にノイズの様子もシミュレートしています。グラフの注釈は雑音としていますが、”ノーマル使い”を橙線、”NFB使い”を水色線で描いています。こちらも、フィードバックの有り無しで凡そ10dBの差が描かれていますが、これはひょっとするとゲインの差がそのまま現れているような気がします。勿論、NFBの効用の1つに低ノイズ化があることは判っていますが、やや怪しい結果となりました

歪みについてもシミュレートしてみました。こちらは、LTspiceで描かれたグラフを画像でセーブして作っています。

これは、”ノーマル使い”と”NFB使い”共に出力が1W(0dB)になるように入力を加減して描いています。信号として1KHzの正弦波を与えて、そのハーモニクスを見ている感じです。
この2つのグラフを比較してみると、第二高調波である2KHzで既に10dBの差があるように読み取れ、それ以上の高調波も10dB以上低くなっています。10dBの差ということでゲイン差と符合してしまっていますが、少なくとも出力は同じにしていますから、同じ音量で視聴する場合の歪みは”NFB使い”の方が有利そうです。これが、LM380Nの”非革命アンプ”の優れた点ということなんでしょうね。
これで漸く”シミュレーションしたい病”から解放されました

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