ナロースペースの2m用3エレ設計メモ
2020-09-25
9月半ばを過ぎると一気に秋めいて、うるさかった蝉の声と秋の鳴き虫の声とがクロスオーバーしていきました。恐らく鳴き虫の類いで自分的に上位を争う”カネタタキ”の声を聞き、そう言えば今年は”ヒグラシ”は聞かなかったなぁ・・・なんて思い返したりして、いよいよ千葉県北西部も本格的な秋を迎えつつあるようです。我が納戸シャックもエアコン無しでも日中の最高で25,6度程度までしか上がらなくなり、あれこれとやる気の出るいい季節になってきました
とはいえ、家事雑事もそこそこやることが多くなり、まだ無線関係やガラクタ工作関係になかなか時間が割けません。まぁ、本格的な夜長の秋はまだ先・・・ノンビリ行きまっしょい
今日はずらして取得している夏季休暇の内の1日・・・生憎の冷たい雨降りでモビホ固定用の金具取り付けなどのアンテナ弄りは諦めましたが、その代わりにアンテナ設計の覚書をしておきたいと思います。
IC-705を入手した8月中頃より、自宅からのコンテスト参戦向けに2mのビームアンテナが欲しくなりました。コンテスト向けに予てから狙っていたベランダ用V/UHF帯の自作アンテナとしては、最後の周波数帯用になります。
6mは真っ先に作成したロッドアンテナを使ったダイポールです。これは、2015年のALL JA直前に完成形となり、その後も何度か使用しています。まぁ、既にベランダからの運用の限界は見えたものの、天井付きベランダではフルサイズのダイポールが最大級・・・ということで、これ以上のグレードアップはしていません。
70cm用としては5エレ八木はひとまず完成したものの、その実力を確認できたのは2014年の全市全郡であり、その翌年はMコネのトラブルでNG
その後はこのアンテナでオンエアしていませんが、まぁそこそこの健闘結果(2014年参戦で48局)を記録していますから、70cmのベランダ用アンテナとしては充分と思っています。
さて、2mのビームとしてベランダに上げて少しは回せるものと考えると、エレメント数の少ない八木かHB9CVが選択し易く、自分のスキルで十分に(どう動いているのかが)理解できて再現性も良さそうなもの・・・となると、3エレ程度の八木に軍配が上がりました。
八木アンテナを設計した経験がある方はご存じのように、このアンテナは個々のエレメント長やその間隔によって利得(フロントゲイン)、ビームパターン、(共振点の)インピーダンスなどの最適値が異なるため、重視したいパラメータをどれにするかを考えなければなりません。例えば移動用に作る場合、沢山の局が入感してくることを考慮すると”ビームパターン重視”(サイドやバックを切って混信に強くする)になりますが、遠距離通信に特化すれば”利得重視”になります。これは少ないエレメント数のものでより顕著な特性になりますから、設計時点で悩ましい部分です。
一方、我が家のようにベランダ内に配置するようなものであると、ビームパターンに重きを置く必要はあまりなく専ら”利得重視”で設計して良くなりますが、利得を稼ぐために有効な「長いブーム長」(多エレメント八木だと”Long John”と呼ばれますね)にすると、簡単に回すことができなくなります。こうなると、先にブーム長を決めてベランダ内でも必要なだけ無理なく回せるようなブーム長を決め、その長さで設計していくのが現実的です。そこで、縦幅が90cmのベランダでも簡単に回転できるよう、ブーム長をとして50cmに収まるようにしました。
もう一つのパラメータであるインピーダンスも、その設計値をどの辺りに置くかが重要です。利得の大きさを追求していくと、良好なインピーダンス値は簡単に10Ω以下となり、マッチング部分での損失面で不利になります。老舗C社のVHF帯の”Long John”では、給電エレメントにフォールデットダイポールを使ってこの問題を解決しており、おまけに上手くインピーダンス設計値を設定してその後にQマッチを用いて50Ω給電にしています。まぁ、ここまでやるかは製作者次第でしょうが、自分はそこまではやりませんよ・・・悪しからず
普通のガンママッチを用いる場合、極端なショートバーの形態にならないようにインピーダンスを選んだ方が工作面で楽になります。そこで今回は10Ω以上・・・ひとまず、50Ωの1/4に当たる”12.5Ω”としました。
上記の設計条件でMMANAで基礎設計したものが、以下のデータとパターンです。


ナロースペースの3エレかつ垂直偏波ですから、いわゆる「サイドの切れ」は殆ど期待できません。逆に”利得重視”としたことから、ダイポール比で6dB近くありそうです
この後は、上記のデータを基礎データとしてマッチングを考慮した設計に変えて行くことになります。恐らく、作り易さとSWR整合の取り易さからガンママッチに落ち着くと思いますが、トロイダルコアを使った1:4のバランで直接給電というのも面白いかも知れませんね。もう暫くは、MMANAと戯れてみましょうかね


今日はずらして取得している夏季休暇の内の1日・・・生憎の冷たい雨降りでモビホ固定用の金具取り付けなどのアンテナ弄りは諦めましたが、その代わりにアンテナ設計の覚書をしておきたいと思います。
IC-705を入手した8月中頃より、自宅からのコンテスト参戦向けに2mのビームアンテナが欲しくなりました。コンテスト向けに予てから狙っていたベランダ用V/UHF帯の自作アンテナとしては、最後の周波数帯用になります。
6mは真っ先に作成したロッドアンテナを使ったダイポールです。これは、2015年のALL JA直前に完成形となり、その後も何度か使用しています。まぁ、既にベランダからの運用の限界は見えたものの、天井付きベランダではフルサイズのダイポールが最大級・・・ということで、これ以上のグレードアップはしていません。
70cm用としては5エレ八木はひとまず完成したものの、その実力を確認できたのは2014年の全市全郡であり、その翌年はMコネのトラブルでNG

さて、2mのビームとしてベランダに上げて少しは回せるものと考えると、エレメント数の少ない八木かHB9CVが選択し易く、自分のスキルで十分に(どう動いているのかが)理解できて再現性も良さそうなもの・・・となると、3エレ程度の八木に軍配が上がりました。
八木アンテナを設計した経験がある方はご存じのように、このアンテナは個々のエレメント長やその間隔によって利得(フロントゲイン)、ビームパターン、(共振点の)インピーダンスなどの最適値が異なるため、重視したいパラメータをどれにするかを考えなければなりません。例えば移動用に作る場合、沢山の局が入感してくることを考慮すると”ビームパターン重視”(サイドやバックを切って混信に強くする)になりますが、遠距離通信に特化すれば”利得重視”になります。これは少ないエレメント数のものでより顕著な特性になりますから、設計時点で悩ましい部分です。
一方、我が家のようにベランダ内に配置するようなものであると、ビームパターンに重きを置く必要はあまりなく専ら”利得重視”で設計して良くなりますが、利得を稼ぐために有効な「長いブーム長」(多エレメント八木だと”Long John”と呼ばれますね)にすると、簡単に回すことができなくなります。こうなると、先にブーム長を決めてベランダ内でも必要なだけ無理なく回せるようなブーム長を決め、その長さで設計していくのが現実的です。そこで、縦幅が90cmのベランダでも簡単に回転できるよう、ブーム長をとして50cmに収まるようにしました。
もう一つのパラメータであるインピーダンスも、その設計値をどの辺りに置くかが重要です。利得の大きさを追求していくと、良好なインピーダンス値は簡単に10Ω以下となり、マッチング部分での損失面で不利になります。老舗C社のVHF帯の”Long John”では、給電エレメントにフォールデットダイポールを使ってこの問題を解決しており、おまけに上手くインピーダンス設計値を設定してその後にQマッチを用いて50Ω給電にしています。まぁ、ここまでやるかは製作者次第でしょうが、自分はそこまではやりませんよ・・・悪しからず

普通のガンママッチを用いる場合、極端なショートバーの形態にならないようにインピーダンスを選んだ方が工作面で楽になります。そこで今回は10Ω以上・・・ひとまず、50Ωの1/4に当たる”12.5Ω”としました。
上記の設計条件でMMANAで基礎設計したものが、以下のデータとパターンです。


ナロースペースの3エレかつ垂直偏波ですから、いわゆる「サイドの切れ」は殆ど期待できません。逆に”利得重視”としたことから、ダイポール比で6dB近くありそうです

この後は、上記のデータを基礎データとしてマッチングを考慮した設計に変えて行くことになります。恐らく、作り易さとSWR整合の取り易さからガンママッチに落ち着くと思いますが、トロイダルコアを使った1:4のバランで直接給電というのも面白いかも知れませんね。もう暫くは、MMANAと戯れてみましょうかね

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