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πマッチ+Cによるカップラのまとめ(その1)

2012-08-12      
 この夏休みは、結果的にカップラ作りがメインになりました。本当は、最終日の今日にでも大掃除を・・・と思っていたのですが、「生憎の好天」に恵まれ気温が上昇。「大掃除=窓を開けてのイベント」が億劫になり、机周りの「小掃除」に終わってしまいました

 さて、この夏休みの成果である「TYPE-Ⅲ」・・・πマッチにバリコンを一つ追加した形(以下、πC型とします)の基本部分にローインピーダンス整合を加味したこのカップラについて、その設計要素をまとめて一旦閉めたいと思います。まさに「夏休みの宿題を最終日に・・・」といったノリですね 実際には、次回のコンテスト(ローバンド用なんで、多分全市全郡でしょう)での使用感が最終判断材料になるのですが、まぁMIZUHOカップラに比して大きな遜色がなければ、ひとまずこの形のカップラとしては完成形かと思っています。

 ◆ 始めにオコトワリ

 市販の技術書を読み下すのがやっと・・・といった単なる「理科が好きなオッサン」ですから、下記の記事内容はあくまで「自分のための備忘録」の範疇です。従って間違いがあるかも知れませんし、逆にもしお手隙の奇特なOM様がそれに気づいて、「おめぇ、ここ違うべさ・・・」などとコメントを頂けると有り難いです・・・っていきなり他力本願

 ◆ πC型カップラの魅力と罠

 このタイプのカップラに関する自作例は結構ネット上に散見されますが、一様に「手軽さ」「マッチングの取り易さ」が謳われていますね。SWRを下げるという目的においては、どんなアンテナでもマッチングが取り易いという部分は大変魅力的です ラフに作っても「まぁまぁ動くじゃん」という部分は歓迎すべきであり、敢えて理屈をこねくり回さなくても良い部分だと思います。
 その一方で、本来は「効率よくアンテナに送信波を流し込む」という機能を果たす筈が、マッチングの取り易さ故、そのマッチングポイントでは単にコイルを暖めているだけだぞ・・・ということもあり得ます。SWR自体は下がっていることから、使用者がそれに気づかないという罠に引っかかる可能性があることが、「アンテナカップラの二面性」と言えるでしょう。ですから、どんな風に働いているのかをある程度知っておくこと(間違った調整に気づけるようになること)は重要だと思います。

 ◆ 設計諸元を明確にすること

 πC型に限った話ではありませんが、特殊なアンテナを「わざと使う」とか「良く解って使う」という場合には、そのアンテナの持つ「電波が出ていく理屈」を実現するために「超ハイ or ローインピ」を許さざるを得ない場合がありますが、カップラの一般的な用途としては、ベランダやフィールドで使うLWやホイップ・・・いわゆる接地型アンテナ全般のインピーダンス整合や、移動したはいいけどどうしても少しSWRが高いアンテナを使わざるを得ない・・・といった事情が殆どかと思います。従って、カップラを使う場面をある程度想定し、「この範囲でいいや」という諸元を決めてやる必要があります。
 例えば、今回作ったカップラのコンセプトは「80mに出たい」というポイントで我が家のベランダの挙動を考慮しました。

 ① どうも経験上、我が家のベランダではインピーダンスが
   ロー側に傾き易いことから、5Ω程度までを調整範囲とする
 ② ①より、ハイ側も同じ比率・・・500Ω程度までを調整範囲
   とする

 ∴ 整合範囲:入力50Ωに対して5Ω~500Ω

 π型系に限らず、カップラによるあまりに極端な整合は「コイル暖め装置」に帰す部分がありますから、もし上記の範囲にアンテナのインピーダンスが収まらなければ、アンテナ側に工夫をすればよい・・・といった風に考えたわけです。特にワイヤー系のアンテナは若干長めにしてやれば50Ω以上の整合の取り易いところに引き上げられますし、それこそローディングコイルで結構いじれます。
 80mの前提となったステルス君2号エレメント流用の「ナンチャッテLW」のインピーダンスは、どういう訳か同調点が3.5MHzより下にあったことからリアクティブになり、結果的に数百Ωだった(ローディングコイルが不要だった)・・・というオチもありましたが、20m用の釣り竿アンテナやら30m/160mへのオンエアを考えた場合、きっと「ローインピ万歳」という時もあるでしょう

 ◆ π型は「上」が扱い易い

 この性質も忘れてはいけないのですが、π型でローインピーダンスに整合を取ろうとすると、必要となるコンデンサの容量がとんでもなく大きな値になります。そもそも数百pF程度しか調整できないバリコンと並列に大容量コンデンサを並べて実現しても、結果的に整合範囲が狭くなってしまいますから、入力インピーダンスより低めのインピーダンスへの整合には何らかの工夫が必要です。
 コンデンサとコイルを組み合わせた回路(T型マッチング)でインピーダンスのステップアップとステップダウンはどちらも可能ですが、「TYPE-Ⅲ」を作るに当たっては、50Ωよりロー側のカバレッジを狭めて考え(これで、でかい値のコンデンサは不要となる)、比較的ロスの小さいフェライトタイプのトロイダルコアを使った9:1のマッチングトランスで解決しています。
 これにより、例えばアンテナ側のインピーダンスが5Ωの場合、カップラの整合は50Ω→45Ωでよいことになります。勿論、マッチングトランスを通さない方がロスは減りますから、許容できる大きさのコンデンサ容量で「できるだけ下まで・・・」といった案配に考えました。

 ここまでが、設計に至る過程で考えた部分です。次の記事では、πC型+9:1トランスで構成した「TYPE-Ⅲ」を解剖してみましょう。
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No title

やはりLWとはいっても適切なローディングコイルを入れるなど、基本はアンテナ本体で共振させるということですよね。多少のリアクタンス分はカップラーで吸収させるにしても。

仰るとおりですね・・・

ぶんさん、こんばんは。
いやぁ、ナイスコメント、ありがとうございます(^^)b
多分、王道は精々SWR=2(25Ω-100Ω)か、欲張ってもSWR=3(16.6Ω-150Ω)程度を狙うのが良いと思います。これで整合が取れなきゃ「アンテナ側をいじる」というのが良いでしょう。これなら、カップラを構成する部品も電力的(耐圧的?)にも楽ちんですからね。
「TYPE-Ⅲ」の用途は、多分80m専用になると思います。20mは1/4のLWで行けそうなんで、固定コイルとコンデンサで大丈夫そう、160mは「LW的なもので行けるの?」みたいな部分が未知数なんで、違った意味での工夫がさらに必要な気もしています(^^;
ただ、今回のカップラ作りはある意味での「集大成的な要素」もあって、計算値と実測の差異や考慮すべき点をほじくり出す教材・・・という位置づけ、唯一「80m@Contest」の部分は譲れなかった・・・ってな感じです。
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