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πマッチ+Cによるカップラのまとめ(その2)

2012-08-13      
 明日からの「定常状態」に備えて週間天気予報を見たら、週後半はこの夏休みよりも「俄然暑くなる」とのこと・・・今年は、二部制に分かれての休暇取得で、8/6からと8/13からの2パターンから選択できたのにどうやら失敗のようです 気を取り直して、「夏休みの宿題まとめ」を続けたいと思います。

 ◆ TYPE-Ⅲの分解

 まずは図面にしてみました(画面をクリックすると、大きな図面が別窓で開きます)。



説明
リグを「IN」に接続、無論インピーダンスは50Ωを想定するA
最初にC+Lの「ステップダウン」に遭遇、これによって50Ωより少し低いインピーダンスに変換されるB
次にT型の「ステップアップ」により、インピーダンスは上がるC
最後に9:1のステップダウンはスルーすれば無視されるが、図のようにトランス側に接続した場合は、ほぼ正確に「9:1」の比率でインピーダンスが下がるD

 ◆ L型ステップダウンの設計要素

 上記のそれぞれの組み合わせにおいて、A→BのステップダウンはC1が普通の固定コンデンサであることから、あまり自由な値を取ることはできません。また、変換比率が大きいとコンデンサの容量が増大しQが高くなる(損失が大きくなる)ため、あまり欲張って低い値への変換を前提にしない方が無難です。

 ◆ T型ステップアップの設計要素

 L型ステップダウンで50Ωよりある程度低くなったインピーダンスを「持ち上げる」という動きになりますが、VC1・VC2共にバリコンを用いて可変するため、容量変化の「幅」をどう考えるかによって様子が違ってきます。また、L型ステップダウンの際に必要となるインダクタンスを加味(単純には足し算)した形に持って行く必要があります。

 ◆ 9:1ステップダウントランスの設計要素

 この部分の設計要素は、使用周波数と通過電力に見合うコアを用意するという意味で、小さな電力(数十W以下)では#43材が使えます(#67,#61材より巻き数も少なくできて有利)。「トロ活」のバランの章など読めば必要な大きさは解りますし、5W以下のQRPなら「FB801-43」なども候補になります 肝は一番低い周波数での耐圧(っていうか、磁気飽和)ですから、もしTYPE-Ⅲと同様にFT82-43を用いると160mで50Wくらいまではいけると思います(80mなど上の周波数はもっと高耐圧になります)。

 ◆ 準備できるバリコンの最大容量

 重要なのが、VC1・VC2にどれくらいの「可変容量」を持ってこられるか・・・ということになります。前の記事にも明記しましたが、あまり大きな容量にしようとすると固定コンデンサを並列に入れるという方法となり、こうなると可変範囲が狭まって満足なマッチング範囲を確保できないというジレンマに陥ります。従って、最後に確認するファクターとして「設計諸元」が重要になってくるわけです。
 今回作成したTYPE-Ⅲでは、作りかけたTYPE-Ⅱの流れで「VC1max =860pF,VC2max =350pF」となり、結果的に「こうしかできない」という範囲が決まってしまいましたが、逆に「こういう諸元(調整範囲)なら満足できる」という風にも捉えることができたわけです。

 ◆ バリコンの最小容量と浮遊容量

 バリコンの作りに依存しますが、やはり最小容量は10pF前後に落ち着くのが普通でしょう。同様に、配線(カップラの中の引き回し)による浮遊容量も10pF程度は覚悟すべき・・・合計で20pF程度はどうしても付いて回ります。この辺りは微妙な部分ですが、実際の設計諸元より「容量が大きい方に少しだけフカされる」ということを意識していればいいと思います。

 ◆ コイルのQu

 何も気にせずに巻いた空芯コイルでも余程のことがない限り、Quは150程度以上には収まるでしょう(TYPE-Ⅱは、ケースに対して大きすぎるコイルを作って見事に失敗しましたが・・・)。
 トロイダルコイルの場合も、推奨周波数帯で使う限りはQuは結構高くなります(数百程度)が、HF帯をフルカバーするようなことはできないでしょう。特にタップを取った場合、巻き線部分がコア全体に行き渡らないため漏れ磁束が多くなって、Quが結構低下してしまいそうですので、ここも「妥協」が必要になるでしょう。勿論、バンド毎に別々のコアを用意すればこの点は大いに改善するでしょうが・・・。

 続いて、最終的な数値計算を「その3」にまとめます・・・の筈が既に13日、夏休みが終わってしまいました 寝ないと不味いな・・・。
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アパマンというハンデにさらにQRPまで課し、失敗連続のヘッポコリグや周辺機器の製作・・・趣味というより「荒行」か!?

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