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πマッチ+Cによるカップラのまとめ(その3:了)

2012-08-13      
 いきなり午前中一杯の会議で疲れ気味だったのが、やはり今日からの休暇取得組が多かったことで、メールを一通り読んで片付けたらやることが無くなってしまいました 例年は何やら忙しい一日なんですが、ちょっと拍子抜けです。

 それにしても、この夏休みの宿題・・・2学期の始業式に間に合わなかった作文をこっそり帰ってからでっち上げ、次の日に「先生、昨日出すの忘れましたぁ・・・」と恍けていた懐かしい光景を思い出してしまいました

 余談はさておき、そろそろ最終まとめに突入したいと思います。

 ◆ 計算の前に

 今回のカップラ設計では、TYPE-Ⅱからの改造というバインドにより、「バリコン容量とトロイダルコアの種類が決まっていた」という点に加え、手持ちのマイカコンデンサを消費すべく容量を決めていった嫌いがありますので、必ずしも「最適値」にはなっていませんが、結果的には「設計諸元」を満足することができたようです。
 ちなみにこのマイカコンは大昔(多分、20年くらい前)に購入した「E6系」(1.0,1.5,2.2,3.3,4.7,6.8)のものです。個数も限定されていましたが、足のサビを落としたらそれなりに復活したため使うことにしました。足の太さから耐圧500Vのものだと思います。
 また、負荷Qについては、一般的に「この程度なら損失は気にならないぞ」という程度・・・ここが理屈にならない点ではありますが、このカップラには「フィルター特性」は求めないことから概ね「最終的なQは5程度」を目標にして、ここから大きく外れないようにしました。

 以下、直前記事の図面の順に説明を進めます。なお、数式上の数値は80m・・・3.5MHzを前提に計算しています。

 ◆ L型ステップダウンの考え方と計算値

 俗に「Lマッチ」ですが、この部分の設計については数式があちこちに散見されます(トロ活にも載ってます)。手持ちのコンデンサを使うこと、あまり無理なステップダウンは損失を招くのでNG・・・という部分で検討を進めました。
 まずは手持ちのコンデンサ容量で一番大きな680pFは2個・・・これを有効に使わないといけませんが、欲張って160mまでのカバレッジを考えたことから、ひとまず「680pF×2で160m、680pF×1で80m」と仮定。つまり、80mは680pFとしてLマッチでどこまでインピーダンスを落とすか決めなければなりません。
 そこで、「50Ω→25Ω」で丁度「Q=1」になることから、これを「最低インピーダンス」として考え、「Q=√(Zin/Zout-1)」の公式からコンデンサ容量を逆算し、「50Ω→32Ω」で大凡680pFになることが解りましたので、これを一先ずの目安としました。
 なお、この時のL1は「1.09μH」となります。

 ◆ Qを使わないT型ステップアップの設計

 このステップアップ回路では、設計諸元で決めた「500Ω」を上限とした「32Ω→500Ω」が実現できればいいわけですが、一般に知られている「Qを前提にした計算式」で導くとちょっと面倒・・・というか、解が無数にできてしまい、何が正しいのか良く解らなくなってしまいます。そこで、大変勉強になるホームページの式を使わせて貰いました。
 ところが、このページには「無断転載、複写を禁ず」と明記してあります さらに、リンクを張っていいんだか悪いんだかも判らず終い・・・。トロ活読者、或いは「Ham Journal No.90」をお持ちの方はピンと来るかも知れませんが、とりあえず、L型、T型ステッフ゜アップ、ステッフ゜タ゛ウン回路」で検索してください。
 この著者のページでは「Q」は全く出てきません。即ち、整合範囲の上限と下限を「Qの代わりの変数」に見立て、ここから逆算して必要な要素の値を求めるところが素晴らしいです。実は、トロ活もこの理屈でπマッチの最適解を求めています。

 ◆ T型ステップアップの計算値

 上記の記事を理解できれば、電卓でも表計算ソフトでも簡単に求められます。数値をあれこれ入れて試すのであれば、やはり表計算ソフトの方が断然楽でしょう。
 3.5MHzにおける「32Ω→500Ω」の計算値は凡そ以下のようになりました。

 L2=5.86μH
 500Ω:VC1=318.7pF、VC2=181.9pF
 32Ω :VC1≒0.0pF、VC2=128.9pF

 さて、この組み合わせでは、ピンク色の部分は問題になります。

 ・VC1の最小容量は0pFにはならない(自己最小容量+浮遊容量)

 そこで、前段のステップダウンの出力インピーダンスを「29Ω」(若干下げる)、整合範囲を「32Ω→500Ω」(最小整合値を若干上げる)として少し余裕を持たせると、以下のように算出できます。

 ☆ L2=5.86μH
   500Ω:VC1=318.7pF、VC2=181.9pF
   32Ω :VC1=31.8pF、VC2=128.9pF


 また、これによりLマッチのステップダウンの値が変わった(50→29Ω)ため、L1とC1が以下のようになりました。

 ☆ L1=1.12μH、C1=774pF(680pF+100pFで構成)

 ◆ 9:1ステップダウントランスによる整合範囲

 前段の出力インピーダンスから9:1の変換を行うわけですから、整合範囲は以下のようになります。

 ☆ 3.6Ω ~ 55.6Ω

 ここで重要なことは、前段の最小容量以下を完全にカバーできれば、切れ目のない整合範囲を(このトランスを使うことを含めて)確保できること・・・これを考慮して、前段のT型ステップダウンの最小出力インピーダンスを確認することがポイントになります。

 ◆ 最終的なQ値

 インピーダンス変換×2回路ですので、これら個々の値を合算すればいいでしょう。但し、以下の値はあくまで目安です。T型ステップアップの整合上限がもう少し上がれば、それに連れてQも高くなります。

 ☆ L型ステップダウン:0.85、T型ステップアップ:3.43 ∴4.28

 完全な数式を掲載できないのが残念ですが、前述のホームページを参考に「T型ステップアップ回路」を制覇できれば、お好みの条件で設計が可能かと思いますよ
 このまとめの最初の記事にも書いたように、もし間違い等にお気づきなら、ジャンジャンコメント下さい

補足>
 もし、物好きな方がいて「上記の理屈で他のバンドも」・・・とする場合は、コイルとコンデンサの値を「インピーダンス」に変換して計算し直してください。
 また、この記事の回路図では、手持ちの「フツ~のマイカコンデンサ」を組み合わせていますので、入手難はないと思います・・・念のため。

 ※ 2012/08/17 数式ミスを発見、計算違い部分を修正しました・・・が、どうも実測と離れていますので、何れ再考しようと思います。
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アパマンというハンデにさらにQRPまで課し、失敗連続のヘッポコリグや周辺機器の製作・・・趣味というより「荒行」か!?

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