VXO実験-3 水晶の組み合わせと可変範囲
2012-09-01
何もVXOの製作に燃えなくても、DDSやら何やらの登場で手軽に正確・安定な高周波源を得られる時代ですが、やはり基本は抑えておきたいなぁ・・・というのがここ一連の実験です。淡い記憶の中、数少ない自作成功リグでもVXO部分は苦労したわけですが、当時のデータとしては回路図しか残っておらず・・・っていうか、克明な記録なんて採れるほどの設備もなかったわけで、さらに20年くらい前のこと故、具体的なことは何にも覚えていません。これは無理からぬことでしょう・・・と整理
・・・ということで、漸く発振部分の実験は終え、周波数を動かすところにスコープを当てました。これまでの実験結果より、回路的には「実験-1」のものが良さそうで、後はコレクタ電流の調整だけ行えばよい所まで追い込んだため、早速この部分の実験に移りました。

主な部品の定数は変えていません。VXOにすべく、10μHのインダクタ(秋月で購入)とポリバリコンを水晶に直列接続しました。この実験は、Aの先・・・即ち水晶の接続の仕方に対して、どんな挙動になるのかという「じゃぁ、見てみよう
」的な子供実験です
前々から、VXOの上を行く「スーパーVXO」の存在は知っていました。同一周波数の水晶発振子を2個並列接続することで可変範囲を広げる技・・・しかし、それ以上の個数についての記述があまり見つからず、せめて「3こ並列」までは確かめてみようというお遊びです。手持ちの10.738635MHzの水晶を用いた簡単な実験ですから結果のみ・・・。
実際、上限周波数辺りはQRHが酷く、10.75MHz辺りから実用範囲となりましたが、概ね2つより3つ・・・という結果です。今回の狙いはここにないためこれ以上の追求はしませんでしたが、手持ちで同じ周波数の水晶が沢山あれば、ここを突っついていくのも有りだなぁ・・・と思った次第。
さて、今回のVXOの要求仕様は「10.7MHz±30KHz」の安定した信号源が欲しい・・・というものです。勿論、普通にVXOを構成しても可変範囲的には難しいかなぁ・・・と思っていたわけですが、「ちょい周波数のずれた水晶発振子の組み合わせではどうなるんだろう
」という疑問を自己解決しようと思い立ったのが、今日の実験のメインテーマです。
10.7MHz近辺の水晶は、上記の他に10.7MHzのクリスタルフィルタ用の局発(USB/LSB用)と10.7MHz丁度の水晶の3個。本当は、上記実験の水晶で下の方に50KHz位動かせたら使おう・・・とも思っていたのですが、流石に難しかったためにこの実験に及んだという部分もあります
四の五の言わず、直ぐに実験・・・結果は以下の通りです。
上記に加えて10.6985MHzの並列もやってみましたが、結局同一周波数の個数増量以上の変化は認められず・・・。発表事例が少ないのは、少しずれた周波数の水晶入手が難しい・・・という原因の他にも「そもそもメリットがない」ということも一因なのかも知れません。勿論、QRH等の改善に寄与するなど別の効果があるのかも知れませんが、今回の要求仕様は結局満たせないことからここで実験は終えました。
直列のLCの値の見直しなども考えられそうですが、今の測定系では小容量のコンデンサを介した「50Ω終端」という形にしかならないため、この後に置くバッファの効果を先に探っておく方がよいと判断しています・・・ということで、一種の備忘録でこの実験は幕引きですが、以下のことは解ったことにします。
◆ 10MHz辺りでも0.2%くらいの可変範囲ならどうにかなる
◆ スーパーVXOについては結構効果があり、3個以上の並列接続でもその効果が見られる
さぁ、バッファだバッファ

・・・ということで、漸く発振部分の実験は終え、周波数を動かすところにスコープを当てました。これまでの実験結果より、回路的には「実験-1」のものが良さそうで、後はコレクタ電流の調整だけ行えばよい所まで追い込んだため、早速この部分の実験に移りました。

主な部品の定数は変えていません。VXOにすべく、10μHのインダクタ(秋月で購入)とポリバリコンを水晶に直列接続しました。この実験は、Aの先・・・即ち水晶の接続の仕方に対して、どんな挙動になるのかという「じゃぁ、見てみよう


前々から、VXOの上を行く「スーパーVXO」の存在は知っていました。同一周波数の水晶発振子を2個並列接続することで可変範囲を広げる技・・・しかし、それ以上の個数についての記述があまり見つからず、せめて「3こ並列」までは確かめてみようというお遊びです。手持ちの10.738635MHzの水晶を用いた簡単な実験ですから結果のみ・・・。
水晶個数 | 上限周波数 | 下限周波数 | 変化 |
1 | 10.7600 | 10.7310 | 0.27% |
2 | 同上 | 10.7257 | 0.32% |
3 | 同上 | 10.7178 | 0.39% |
実際、上限周波数辺りはQRHが酷く、10.75MHz辺りから実用範囲となりましたが、概ね2つより3つ・・・という結果です。今回の狙いはここにないためこれ以上の追求はしませんでしたが、手持ちで同じ周波数の水晶が沢山あれば、ここを突っついていくのも有りだなぁ・・・と思った次第。
さて、今回のVXOの要求仕様は「10.7MHz±30KHz」の安定した信号源が欲しい・・・というものです。勿論、普通にVXOを構成しても可変範囲的には難しいかなぁ・・・と思っていたわけですが、「ちょい周波数のずれた水晶発振子の組み合わせではどうなるんだろう

10.7MHz近辺の水晶は、上記の他に10.7MHzのクリスタルフィルタ用の局発(USB/LSB用)と10.7MHz丁度の水晶の3個。本当は、上記実験の水晶で下の方に50KHz位動かせたら使おう・・・とも思っていたのですが、流石に難しかったためにこの実験に及んだという部分もあります

水晶組み合わせ | 上限周波数 | 下限周波数 | 変化 |
10.7MHz単独 | 10.7200 | 10.6919 | 0.26% |
10.7+10.7015MHz | 10.7200 | 10.6869 | 0.31% |
上記に加えて10.6985MHzの並列もやってみましたが、結局同一周波数の個数増量以上の変化は認められず・・・。発表事例が少ないのは、少しずれた周波数の水晶入手が難しい・・・という原因の他にも「そもそもメリットがない」ということも一因なのかも知れません。勿論、QRH等の改善に寄与するなど別の効果があるのかも知れませんが、今回の要求仕様は結局満たせないことからここで実験は終えました。
直列のLCの値の見直しなども考えられそうですが、今の測定系では小容量のコンデンサを介した「50Ω終端」という形にしかならないため、この後に置くバッファの効果を先に探っておく方がよいと判断しています・・・ということで、一種の備忘録でこの実験は幕引きですが、以下のことは解ったことにします。
◆ 10MHz辺りでも0.2%くらいの可変範囲ならどうにかなる
◆ スーパーVXOについては結構効果があり、3個以上の並列接続でもその効果が見られる
さぁ、バッファだバッファ

- 関連記事
-
- VXO実験-5 バッファは結局・・・
- VXO実験-4 バッファの小手調べ
- VXO実験-3 水晶の組み合わせと可変範囲
- VXO実験-2 まだ綺麗な正弦波を作る
- VXO実験-1 綺麗な正弦波を作る
コメントの投稿
ゴムのような水晶(笑)
すでにご存知かもしれませんが、VXOといえばかの有名なJH1FCZ大久保OMが5年位前のオンライン誌CirQに書いた記事の中で、『FCZ VXO』という可変範囲の広いVXO実験を発表しています。いわゆる水晶2個パラレルではなくて小容量のCを付加するだけのシンプルな回路です。
そうか、CirQだったのね・・・
ぶんさん、こんばんは。
この情報は知ってはいたのですが、どこでどう勘違いしたのか「水晶に並列にコンデンサを付加するもの」だと思いこんでいました(^^; 今回ちょっとやってみて、「なんだ、あんまり変わらんなぁ・・・」と思い、出典が何だったのかも忘れたために突っ込まずにいたのですが、そうか・・・CirQとはねぇ。
No.19、21~23辺りに記事が載っていました。早速追試ネタができましたので、実験してみたいと思います。情報(^ー^)v アリガトォ~♪
この情報は知ってはいたのですが、どこでどう勘違いしたのか「水晶に並列にコンデンサを付加するもの」だと思いこんでいました(^^; 今回ちょっとやってみて、「なんだ、あんまり変わらんなぁ・・・」と思い、出典が何だったのかも忘れたために突っ込まずにいたのですが、そうか・・・CirQとはねぇ。
No.19、21~23辺りに記事が載っていました。早速追試ネタができましたので、実験してみたいと思います。情報(^ー^)v アリガトォ~♪