CMFのインピーダンスを測ってみよう
2012-10-18
秋月の「LF-102B」は、カタログスペック上のインピーダンスを見ると25MHzで144Ω、100MHzで240Ω・・・値段の割には優秀なCMFになりそうだと思い、「無銭家代表」として以前から愛用していました。
一方、コモンモードの抑止効果で考えた場合、ターゲットの周波数に対して数KΩのインピーダンスが必要となります。受け売りですが、ある程度改善が明確に期待できる減衰量の目安として「3KΩ」が使われているようです。無論、コモンモードの減衰だけに着目すれば、インピーダンスは高いほど良いわけです。
我が家では今のところ、15mバンド・・・即ち21MHzのオンエアでVDSL-I(※)が顕在化しており、過去においてそれ以下の周波数では起きていた記憶がないため、この周波数帯を例に考えてみました。
まず、LF-102Bの21MHzにおけるインピーダンスを仮に「100Ω」と見積もったら、3KΩを稼ぐためにはこのコアが何と30個も必要
当たり前の計算ですが、これではちょっと多すぎで不経済だし、ぶら下げておくにはちと重い・・・。そこで、「インピーダンスを簡単に増加させる方法」として、同一コアにケーブルを複数回巻き付けるという常套手段を考えました。
秋月の一番デカいコア・・・LF-190Bには、3D2Wが4回は余裕で、頑張れば5回巻けます。即ち、このコアに4回巻きするだけで理論上は「16倍のインピーダンス」になります(5回巻きなら25倍
)。25MHzのインピーダンスが公称90Ωと、LF-120Bにはちょい劣りますが、4回巻き効果で16倍・・・実際にはもう少し低い値になりそうですが、少なく見積もって10倍だったとしても900Ω程度になりますから、これを3つ用意すれば凡そ3KΩ近くにはなりそうですね。
しかし、カタログ値はやはりカタログ値・・・何か簡単な方法で実測できないかなぁ・・・とクラニシ君と睨めっこして、簡易的な測定ならできそうだ・・・と以下のように接続してみました。

フェライトコアを使った1ターンのコイルとバリコンを接続してクラニシ君で同調点を探し、その時のインピーダンスを調べようというインスタントな方法です。
理屈が正しければ(って、理屈は正しいんでしょうが)同調回路が共振した時のインピーダンスは、その周波数における最大値を示すはずであり、これを読み取っちゃえば良いんじゃないかなぁ・・・ということにし、同じ測定方法での「コアの違いによる比較」程度の答えは出るだろうという感じの実験です。勿論、接続用のリード線が構成する部分も「コイルの一部」となることから誤差も生じるでしょうが、ひとまず「同じ条件」と高を括ってしまいましょう。
430pF×2のエアバリコンでも7MHzまでは同調せず確認できませんでしたが、まぁ「推して知るべし」でしょう。
上の3つは秋月シリーズですが、一番下の奴・・・これは最初にネットで手に入れた「ノイズ除去用コア」です。愛用中のLF-102Bとあんまり変わりませんね。
実は、効果のほどをきちんと確かめる術が当時は思い浮かばなかったことと、その後の1年半ほどのブランクでしまい込んでいました。3D2Wがギリギリ入る程度の細い奴ですが、逆にリグ周りの細めの線には使えそうですね
さて、上のような結果になりましたが、案の定「カタログ値はカタログ値」といった様子です。RFC-6(KGS:北川工業製)については、手持ちの古い特性表に近い値になっており、製造元がどこであれ日本製はやはり日本製・・・ってなところでしょうか。諸OMが素性の解ったTDK製をチョイスするのも何となく解ります。ただ、自分で少し掘り下げて素性を知ってしまえば、その用途に必要十分な「安いデバイス」という選択もできそうです。
さぁ、ここからが本題ですが、LF-190Bに複数回巻きを実現することを前提に、2ターンにするとどうなるか・・・ということで「LF-190B@21.0MHz付近」で実験してみました。

ご覧の通り、凡そ200Ω程度と測定できました(って、見えませんね・・・)。理論的には4倍になるはずですが、測定精度や誤差を考えればまずまずの感じでしょう。この調子で巻き数を増やしていくと、多分3回巻きで8倍(理論値では9倍)、4回巻きで11,2倍(理論値では16倍)、5回巻きで20倍(理論値では25倍)程度となるでしょう。
このLF-190Bですが、実は作りの問題でコアが密着しないようです。ほんの少し・・・カッターの刃くらいの隙間が見られます。これ、結構な影響が実はあるんです。

何とこの隙間を密着させないと、21.1MHz付近のインピーダンスが30Ω程度に下がってしまいます
左側がその状態です。仕方なく、LF-190Bについては大きな洗濯バサミで密着させて測定しました。少し上にリンクを張ったノイズ除去用コアの記事で関連するヘッポコ実験していますが、これは結構見落としてしまいがちで難儀です。安物のパッチンコアの「要注意事項」ですね。
実際のCMFにする際、3D2W(或いは3D2V)を前提に思いっきりケチった方法としては以下の方法があります。上がLF-1302Bに3回巻き、下がLF-190Bに5回巻きした様子ですが、どちらも閉じこめるのにかなり窮屈でした。とりわけLF-1302Bの方は苦労しました・・・。ちなみに、3D2Vではどちらも余裕でした。

これで、21.1MHzにおけるインピーダンスは、上が800Ωくらい、下が1.2KΩくらいとなるでしょう。コアの単価が上が200円、下が300円ですから・・・うーん、優劣がつかないね
ただ、下の方は「密着方法を考える」という宿題付きでもありますので、上の方が良いかなぁ
まぁ何れにせよ、秋月シリーズでコモンモードを抑え込む作戦で行こうと思います。
※ ひとまずこう呼んでいますが、VDSLの伝送路への飛び込みではなく、
モデムへの直接飛び込みによるインターフェアと判断しています。
一方、コモンモードの抑止効果で考えた場合、ターゲットの周波数に対して数KΩのインピーダンスが必要となります。受け売りですが、ある程度改善が明確に期待できる減衰量の目安として「3KΩ」が使われているようです。無論、コモンモードの減衰だけに着目すれば、インピーダンスは高いほど良いわけです。
我が家では今のところ、15mバンド・・・即ち21MHzのオンエアでVDSL-I(※)が顕在化しており、過去においてそれ以下の周波数では起きていた記憶がないため、この周波数帯を例に考えてみました。
まず、LF-102Bの21MHzにおけるインピーダンスを仮に「100Ω」と見積もったら、3KΩを稼ぐためにはこのコアが何と30個も必要

秋月の一番デカいコア・・・LF-190Bには、3D2Wが4回は余裕で、頑張れば5回巻けます。即ち、このコアに4回巻きするだけで理論上は「16倍のインピーダンス」になります(5回巻きなら25倍

しかし、カタログ値はやはりカタログ値・・・何か簡単な方法で実測できないかなぁ・・・とクラニシ君と睨めっこして、簡易的な測定ならできそうだ・・・と以下のように接続してみました。

フェライトコアを使った1ターンのコイルとバリコンを接続してクラニシ君で同調点を探し、その時のインピーダンスを調べようというインスタントな方法です。
理屈が正しければ(って、理屈は正しいんでしょうが)同調回路が共振した時のインピーダンスは、その周波数における最大値を示すはずであり、これを読み取っちゃえば良いんじゃないかなぁ・・・ということにし、同じ測定方法での「コアの違いによる比較」程度の答えは出るだろうという感じの実験です。勿論、接続用のリード線が構成する部分も「コイルの一部」となることから誤差も生じるでしょうが、ひとまず「同じ条件」と高を括ってしまいましょう。
コア | 周波数(MHz) | |||
10.1 | 21.0 | 28.0 | 50.0 | |
LF102B | 26Ω | 62Ω | 80Ω | 120Ω |
LF-1302B | 68Ω | 100Ω | 120Ω | 140Ω |
LF-190B | 32Ω | 60Ω | 70Ω | 91Ω |
RFC-6 | 30Ω | 60Ω | 80Ω | 120Ω |
430pF×2のエアバリコンでも7MHzまでは同調せず確認できませんでしたが、まぁ「推して知るべし」でしょう。
上の3つは秋月シリーズですが、一番下の奴・・・これは最初にネットで手に入れた「ノイズ除去用コア」です。愛用中のLF-102Bとあんまり変わりませんね。
実は、効果のほどをきちんと確かめる術が当時は思い浮かばなかったことと、その後の1年半ほどのブランクでしまい込んでいました。3D2Wがギリギリ入る程度の細い奴ですが、逆にリグ周りの細めの線には使えそうですね

さて、上のような結果になりましたが、案の定「カタログ値はカタログ値」といった様子です。RFC-6(KGS:北川工業製)については、手持ちの古い特性表に近い値になっており、製造元がどこであれ日本製はやはり日本製・・・ってなところでしょうか。諸OMが素性の解ったTDK製をチョイスするのも何となく解ります。ただ、自分で少し掘り下げて素性を知ってしまえば、その用途に必要十分な「安いデバイス」という選択もできそうです。
さぁ、ここからが本題ですが、LF-190Bに複数回巻きを実現することを前提に、2ターンにするとどうなるか・・・ということで「LF-190B@21.0MHz付近」で実験してみました。

ご覧の通り、凡そ200Ω程度と測定できました(って、見えませんね・・・)。理論的には4倍になるはずですが、測定精度や誤差を考えればまずまずの感じでしょう。この調子で巻き数を増やしていくと、多分3回巻きで8倍(理論値では9倍)、4回巻きで11,2倍(理論値では16倍)、5回巻きで20倍(理論値では25倍)程度となるでしょう。
このLF-190Bですが、実は作りの問題でコアが密着しないようです。ほんの少し・・・カッターの刃くらいの隙間が見られます。これ、結構な影響が実はあるんです。

何とこの隙間を密着させないと、21.1MHz付近のインピーダンスが30Ω程度に下がってしまいます

実際のCMFにする際、3D2W(或いは3D2V)を前提に思いっきりケチった方法としては以下の方法があります。上がLF-1302Bに3回巻き、下がLF-190Bに5回巻きした様子ですが、どちらも閉じこめるのにかなり窮屈でした。とりわけLF-1302Bの方は苦労しました・・・。ちなみに、3D2Vではどちらも余裕でした。

これで、21.1MHzにおけるインピーダンスは、上が800Ωくらい、下が1.2KΩくらいとなるでしょう。コアの単価が上が200円、下が300円ですから・・・うーん、優劣がつかないね


まぁ何れにせよ、秋月シリーズでコモンモードを抑え込む作戦で行こうと思います。
※ ひとまずこう呼んでいますが、VDSLの伝送路への飛び込みではなく、
モデムへの直接飛び込みによるインターフェアと判断しています。
- 関連記事
-
- パッチン密着CMFの特性・・・
- トロイダルCMFの特性も測ってみよう
- パッチンCMFの特性を測ってみよう
- フェライトコアの密着度再び・・・
- CMFのインピーダンスを測ってみよう