オーバートーンVXO実験-3
2012-11-09
予測は当たった方が勿論嬉しいんですが、当たらなかったにせよ「何だ、逆か・・・」という結果なら、まぁ納得できます。
今日は詰めの実験です。オーバートーンVXOの周波数安定度をさらに高めるため、トランジスタに流す電流に着目しました。小さい身体とはいえ、発振パラメータとなる水晶やL,C,TCの直ぐ横で多分暖かくなる方向に動くであろうトランジスタの発熱がQRH低減の最後の砦と踏んだわけです。
さらに、昨日の実験はスーパーVXO用コンデンサ(これ、何かニックネームを付けたいね。可変幅拡大コンデンサ・・・う~ん、固いな
)の容量が小さいほど安定度が増すことが判ったため、1pFの普通の(NP=0でない)セラコンに換えて実験開始です。勿論、Lのインダクタンスを増やさないと発振しませんから、ポットコアを被せてインダクタンス稼ぎ。
予測は、発振できるギリギリまでエミッタ抵抗を大きくすると電流が減り、その分発熱量が減って安定度が上がる・・・という風なものでしたが、さてどうなったかというと・・・またしてもグラフまとめです。

まずはオリジナルの430Ω。これも、スーパーVXO用コンデンサ容量を1pFに下げた恩恵で、初動から300秒程度で安定し始め、緩やかに下降して戻っていこうとしています。
そして2番目が今日の目玉であるはずだった電流減らし・・・エミッタ抵抗を930Ωとしたのですが、おやおや初動からずっと下がり続けていますね・・・。予測は外れたわけです。勿論、もっと長時間放っておけば安定するかも知れませんが、明らかに430Ωに負けていますからねぇ
こうなれば、逆に電流を増やしたら・・・と普通に考えて試したのが、エミッタ抵抗220Ωのものです。何と初動から8分程度経つと、その後は殆ど動きません
予測は外れたものの、要は「しっかり電流を流して安定に発振させる」というある意味での「定石」に軍配が上がったわけです。
ちなみに、この後も30分ほど放っておいて、周波数カウンタをチラ見していたのですが、変位自体は±100Hz以内に収まっていましたので、これなら使いものになると判断しました。
忘れてはならない高調波の様子ですが、これもエミッタ抵抗220Ωのもので測定しました。

215MHzの少し上のピークは、スペアナアダプタ固有のスプリアスです。発振出力が0dBmを突き抜けていますので目安にしかなりませんが、第二高調波との間で-30dBm弱は取れていそうです。
上記を踏まえ、この実験の最終的な回路定数を回路図に書き込みました。

まだ、幾つか課題はあります。
◆ LとTCがそれぞれ可変の必要はないのでは
>特にTCは固定コンデンサでもいけるのでは
◆ タンクコイルにも周波数決定要素があるとすると、
この温度係数は
>トロイダルコアにしたらどうなるのかなぁ
◆ Lは結果的に7Kボビンに巻き、おまけにコア・
ポットコアとも使っているが・・・
>空芯コアの方がやはり安定なのでは
◆ 電源供給ラインのデカップリングが十分でない
>ここは、実際の回路にはマイクロインダクタを
入れれば処置できる
ともあれ、ひとまずの決着は見たものと判断しています。DDSの原発ですから安定している方が良いに決まっていますが、DDSの実用限界である「発振周波数の1/3」を仮定すると周波数変動も1/3になりますから、実用上は「数十Hzの変動との戦い」となり、QRP機への適用などであれば十分だと考えられます。
また、きちんと基板に抑え込んだ形でどの程度安定度が増すのか(或いは落ちるのか)は、実際に組み立ててみないと判りませんから、DDS周りの回路と共にきちんと組み上げたいと思います。
※ 2012/11/10 タンク回路のコンデンサ容量が間違っていました(33pF⇒27pF)。
今日は詰めの実験です。オーバートーンVXOの周波数安定度をさらに高めるため、トランジスタに流す電流に着目しました。小さい身体とはいえ、発振パラメータとなる水晶やL,C,TCの直ぐ横で多分暖かくなる方向に動くであろうトランジスタの発熱がQRH低減の最後の砦と踏んだわけです。
さらに、昨日の実験はスーパーVXO用コンデンサ(これ、何かニックネームを付けたいね。可変幅拡大コンデンサ・・・う~ん、固いな

予測は、発振できるギリギリまでエミッタ抵抗を大きくすると電流が減り、その分発熱量が減って安定度が上がる・・・という風なものでしたが、さてどうなったかというと・・・またしてもグラフまとめです。

まずはオリジナルの430Ω。これも、スーパーVXO用コンデンサ容量を1pFに下げた恩恵で、初動から300秒程度で安定し始め、緩やかに下降して戻っていこうとしています。
そして2番目が今日の目玉であるはずだった電流減らし・・・エミッタ抵抗を930Ωとしたのですが、おやおや初動からずっと下がり続けていますね・・・。予測は外れたわけです。勿論、もっと長時間放っておけば安定するかも知れませんが、明らかに430Ωに負けていますからねぇ

こうなれば、逆に電流を増やしたら・・・と普通に考えて試したのが、エミッタ抵抗220Ωのものです。何と初動から8分程度経つと、その後は殆ど動きません

ちなみに、この後も30分ほど放っておいて、周波数カウンタをチラ見していたのですが、変位自体は±100Hz以内に収まっていましたので、これなら使いものになると判断しました。
忘れてはならない高調波の様子ですが、これもエミッタ抵抗220Ωのもので測定しました。

215MHzの少し上のピークは、スペアナアダプタ固有のスプリアスです。発振出力が0dBmを突き抜けていますので目安にしかなりませんが、第二高調波との間で-30dBm弱は取れていそうです。
上記を踏まえ、この実験の最終的な回路定数を回路図に書き込みました。

まだ、幾つか課題はあります。
◆ LとTCがそれぞれ可変の必要はないのでは

>特にTCは固定コンデンサでもいけるのでは

◆ タンクコイルにも周波数決定要素があるとすると、
この温度係数は

>トロイダルコアにしたらどうなるのかなぁ

◆ Lは結果的に7Kボビンに巻き、おまけにコア・
ポットコアとも使っているが・・・

>空芯コアの方がやはり安定なのでは

◆ 電源供給ラインのデカップリングが十分でない

>ここは、実際の回路にはマイクロインダクタを
入れれば処置できる
ともあれ、ひとまずの決着は見たものと判断しています。DDSの原発ですから安定している方が良いに決まっていますが、DDSの実用限界である「発振周波数の1/3」を仮定すると周波数変動も1/3になりますから、実用上は「数十Hzの変動との戦い」となり、QRP機への適用などであれば十分だと考えられます。
また、きちんと基板に抑え込んだ形でどの程度安定度が増すのか(或いは落ちるのか)は、実際に組み立ててみないと判りませんから、DDS周りの回路と共にきちんと組み上げたいと思います。
※ 2012/11/10 タンク回路のコンデンサ容量が間違っていました(33pF⇒27pF)。
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