さよなら、TYPE-Ⅲ・・・
2013-10-03
まぁた、ここのブログ主は、コンテスト前の土壇場に何かをやらかすわけです・・・。
今日は午前中ギリギリまでの用事があり、結局「ええぃ、面倒だ」と休暇にしてしまいました。予想より若干時間が押して13時半過ぎから手が空いたため、TYPE-Ⅲの改良を始めました。何が気に入らなかったかというと、このカップラ自身の「挿入ロス」が案外大きいこと。これは、ひょっとすると「コイルのQが思ったほど高く取れていないんだな」と思ったのが始まりです。
このロスの検証は、例によってクラニシ君@SGの-3dBm程(50Ω終端で0.077V0.074V)の出力がどのくらい減衰して出てくるのかを測定することで行いました。
※25Ωは、ミニ・パワー計に51Ωの抵抗パラ接続⇒参考計測
背面SWは、低インピになり易いローバンドのLWを意識して付けた「TYPE-Ⅲのオマケ機能」です(Rがその設定)。まずまず快調に動いていたんでこれはこれで良かったわけですが、上表のように50Ω終端時の減衰量が案外バカになりません。このカップラのメイン作業である「80/40/20mのマッチング」について、-1dB程ロスっていることになります。まぁ、針2本分くらい(
)ではありますが、QRP5W運用が「3.9W」の実効出力になってしまう・・・このことがみすみす解っているのが気持ち悪く、もう一つのカップラであるKX-1(MIZUHOの古いカップラ)で同じことをしてみたら・・・表にはしませんが160mを除いて0.071~0.074V程度と、Mコネ接続分くらいのロスに収まっているんです
そこで、あまり深く考えずに「コイルのコアを替えてみよう」と思いついて、超大型の「T-200-6」を手に入れ、早速元のT106-2と換装・・・ところが、全然数値が変わらずガッカリ
こうなると、MIZUHOのカップラでも十分行けていることが判っていますから、自作カップラはさらなる進化を遂げるべき時が来た
ということにし、コンセプトの再設定をすることに。流石に、同じタイプの「π型」では意味無いんで、夕方1Hほど考えました。
カップラの役割は、「インピーダンス変換」と「虚数部分の打ち消し」に分けて考えることができます。これまで、前者の方は「なるべく整合範囲を広くすると優れもの」みたいに思っていましたが、アンアナ54号君の登場で「ベランダアンテナ群の挙動」が解ってくるにつけ、何もそんなに広範な整合範囲は要らない・・・と思えてきました。これは当たり前のことで、「闇雲にぶら下げたワイヤーに何とか電波を乗せたい」というニーズに応えるものではなく、「波長や周辺物の影響を考慮し、単体でもある程度共振しているワイヤーに電波を乗せたい」というのが正解。ということは、カップラに要求されるコンセプトも「SWR2,3くらいの範囲」・・・15Ωから150Ω程度のインピーダンスが50Ωにマッチングするようなもので十分なわけです。
後者においては流石に見切れない部分はあるものの、電気的に長めのワイヤーを準備することでインダクティブな方に持っていき、虚数分をコンデンサで打ち消すというのが簡単に調整できる手段でしょう。
つまり、「ベランダが全て・・・時々、釣り竿ニョキリ」の運用形態では、TYPE-Ⅲの極端な整合範囲は無意味なこと、逆に「SWR2~3以内インピーダンス変換+リアクタンス打ち消し」という格好で、あまりコイルのQが高くならないような設計・・・これが答えになるんじゃないかな
・・・という結論です。MIZUHOのカップラが動いてくれるお陰で、もし万一、この改造がACAGに間に合わなくてもあまり困りそうにないため、ここは「いつ作るの
今でしょ
」のノリで、またしてもブログネタになりそうなカップラ製作に取り掛かることにしました

既にぶっ壊しちゃったTYPE-Ⅲ・・・お役目ご苦労さん。っていうか、最近ちょっと「ハカイダー」って、わ~っ古
修正 2013/10/05
クラニシ君@SGの最大出力が記入ミス・・・修正しました。ちなみに、HFの下の方が0.74V、上の方が0.71Vであり、KX-1はそれがほぼそのまま出てくる感じ。上表は、同じ測定方法での差異ですから、やはり1dB程度の減衰が見て取れます。
今日は午前中ギリギリまでの用事があり、結局「ええぃ、面倒だ」と休暇にしてしまいました。予想より若干時間が押して13時半過ぎから手が空いたため、TYPE-Ⅲの改良を始めました。何が気に入らなかったかというと、このカップラ自身の「挿入ロス」が案外大きいこと。これは、ひょっとすると「コイルのQが思ったほど高く取れていないんだな」と思ったのが始まりです。
このロスの検証は、例によってクラニシ君@SGの-3dBm程(50Ω終端で
MHz | 50Ω | 25Ω | 背面SW | 備考 |
14.0 | 0.057 | 0.024 | R | |
10.1 | 0.066 | 0.029 | R | |
7.0 | 0.064 | 0.026 | R | |
3.5 | 0.064 | 0.026 | R/N | |
1.8 | 0.066 | 0.020 | N | SWR:1.7 |
背面SWは、低インピになり易いローバンドのLWを意識して付けた「TYPE-Ⅲのオマケ機能」です(Rがその設定)。まずまず快調に動いていたんでこれはこれで良かったわけですが、上表のように50Ω終端時の減衰量が案外バカになりません。このカップラのメイン作業である「80/40/20mのマッチング」について、-1dB程ロスっていることになります。まぁ、針2本分くらい(


そこで、あまり深く考えずに「コイルのコアを替えてみよう」と思いついて、超大型の「T-200-6」を手に入れ、早速元のT106-2と換装・・・ところが、全然数値が変わらずガッカリ

こうなると、MIZUHOのカップラでも十分行けていることが判っていますから、自作カップラはさらなる進化を遂げるべき時が来た

カップラの役割は、「インピーダンス変換」と「虚数部分の打ち消し」に分けて考えることができます。これまで、前者の方は「なるべく整合範囲を広くすると優れもの」みたいに思っていましたが、アンアナ54号君の登場で「ベランダアンテナ群の挙動」が解ってくるにつけ、何もそんなに広範な整合範囲は要らない・・・と思えてきました。これは当たり前のことで、「闇雲にぶら下げたワイヤーに何とか電波を乗せたい」というニーズに応えるものではなく、「波長や周辺物の影響を考慮し、単体でもある程度共振しているワイヤーに電波を乗せたい」というのが正解。ということは、カップラに要求されるコンセプトも「SWR2,3くらいの範囲」・・・15Ωから150Ω程度のインピーダンスが50Ωにマッチングするようなもので十分なわけです。
後者においては流石に見切れない部分はあるものの、電気的に長めのワイヤーを準備することでインダクティブな方に持っていき、虚数分をコンデンサで打ち消すというのが簡単に調整できる手段でしょう。
つまり、「ベランダが全て・・・時々、釣り竿ニョキリ」の運用形態では、TYPE-Ⅲの極端な整合範囲は無意味なこと、逆に「SWR2~3以内インピーダンス変換+リアクタンス打ち消し」という格好で、あまりコイルのQが高くならないような設計・・・これが答えになるんじゃないかな





既にぶっ壊しちゃったTYPE-Ⅲ・・・お役目ご苦労さん。っていうか、最近ちょっと「ハカイダー」って、わ~っ古

修正 2013/10/05
クラニシ君@SGの最大出力が記入ミス・・・修正しました。ちなみに、HFの下の方が0.74V、上の方が0.71Vであり、KX-1はそれがほぼそのまま出てくる感じ。上表は、同じ測定方法での差異ですから、やはり1dB程度の減衰が見て取れます。
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コメントの投稿
黄色い指輪
こんにちは。
主なロスの原因ってトロイダルコイルなのでしょうか?
カップラがアンテナ側で共振の一部として働いているものとすると、コイルのQが低いとロスるのかなぁと思っていましたが、単なる抵抗つけても減衰してますよねぇ...
ACAGは知り合い各局への援助交信参加にとどまると思いますが、つながりましたらよろしくです^^
主なロスの原因ってトロイダルコイルなのでしょうか?
カップラがアンテナ側で共振の一部として働いているものとすると、コイルのQが低いとロスるのかなぁと思っていましたが、単なる抵抗つけても減衰してますよねぇ...
ACAGは知り合い各局への援助交信参加にとどまると思いますが、つながりましたらよろしくです^^
次の製作で解るかも・・・
ぶんさん、こんばんは。
実験結果から考えると、多分コアが減衰の犯人では無いでしょう。ただ、「一旦、ある程度インピーダンスが下がる」「そこから上がる」というバリコンを2つ使うオーソドックスなπ型の「CL+LC整合」の仕掛けに対して、片方のコンデンサが固定であることから(ほぼ絶対的に)無理な部分が出てくるはずで、この辺りに原因があるんじゃないかなぁ・・・と思っています。或いは、固定コンデンサのQの問題(まぁ、それなりのマイカコンを使ったつもりなんですが・・・)とも考えられるかな??
何れにせよ、次はLCマッチ+リアクタンス分を相殺するコンデンサ・・・という低ロスの代表例で組んでみて、その差が如実に表れれば、上記何れかの問題なんじゃないか・・・と思っています。その前に、アンテナの挙動・・・特に最近「夜の主役」たる釣り竿ANTの挙動をもう少し明確にしてから・・・。さっき改めてデータを取ったんで、この辺りの情報を参考にしながら進めようかと思います。
実験結果から考えると、多分コアが減衰の犯人では無いでしょう。ただ、「一旦、ある程度インピーダンスが下がる」「そこから上がる」というバリコンを2つ使うオーソドックスなπ型の「CL+LC整合」の仕掛けに対して、片方のコンデンサが固定であることから(ほぼ絶対的に)無理な部分が出てくるはずで、この辺りに原因があるんじゃないかなぁ・・・と思っています。或いは、固定コンデンサのQの問題(まぁ、それなりのマイカコンを使ったつもりなんですが・・・)とも考えられるかな??
何れにせよ、次はLCマッチ+リアクタンス分を相殺するコンデンサ・・・という低ロスの代表例で組んでみて、その差が如実に表れれば、上記何れかの問題なんじゃないか・・・と思っています。その前に、アンテナの挙動・・・特に最近「夜の主役」たる釣り竿ANTの挙動をもう少し明確にしてから・・・。さっき改めてデータを取ったんで、この辺りの情報を参考にしながら進めようかと思います。