TYPE-Ⅲは無罪!・・・ただ課題あり
2013-10-08
勝手に「ロスの多いカップラ」のレッテルを貼り、勢いで「ハカイ」したものの、原因がよく解らないために再組み立て・・・というこの活動自体「愚行」というべきものかも知れんが、身を以て知ることを臆するべきでない
などと、高ビーに言い放つつもりはありません。逆に、今回は本当に「アホチャウン、ジブン」を痛感しました
今日は急な外出となり、熟考スペースとして活用している「近距離グリーン車」で、カップラのインピーダンス変換の「素」となるLCマッチについて考えようと、様々なインピーダンス比へのLC変換表(無論、Excelで手作り)をスマホで眺めている内に、漸く問題点が見えてきました。自分の頭の整理と備忘録を兼ね、項に分けて記録しておきます。
◆ 「π型」カップラのインピーダンス変換比は小さいほど有利
π型のインピーダンス変換は「50Ω ⇒ 50Ω未満へ変換 ⇒ それを元に戻す」という営みになります。ここ一連の実験は、「50Ω入力-50Ω出力」というπ型には不得意な組み合わせでロスを論じていますが、コイルやコンデンサの値を自由に選べれば、「50Ω ⇒ 25Ω ⇒ 50Ω」でも良いし、「50Ω ⇒ 49Ω ⇒ 50Ω」でもOK。
しかし、ここであまり大きなインピーダンス変換比にすると損失が大きくなります。例えば上の「25Ω」の方はQが1.0、「49Ω」の方は0.14と、損失の側面で見れば「49Ω」の方が断然優れています。即ち、インピーダンス変換比ができるだけ小さい方がよい・・・と言えます。
◆ 「πC型」の難点・・・インピーダンス変換比が大きくなってしまう
TYPE-Ⅲも一応「π型の亜種」と見立てることができますが、入力側のコンデンサが固定であることから、一旦下がるインピーダンス値は「設計値」として決まってしまい可変できません(ってか、そういう風に作るとですけどね・・・)。ここが、πC型の欠点です。
設計上の「一旦下がるインピーダンス値」を仮に25Ωと決めると、πC型の前段のコンデンサ容量と必要なインダクタンスは自ずと決まります。そして、出力に向かってこのインピーダンス値を基準に調整する必要があるため、接続されるアンテナのインピーダンスが高め・・・例えば75Ωの場合、「25Ω ⇒ 75Ω」という変換が必要・・・折角、入力インピーダンスが50Ωなのに、敢えてロスを上乗せする必要があるわけですね。
◆ 「π型」の自由度
一方、π型の場合はバンド切り換えスイッチの位置を「無視」(←これ、重要
)すれば、かなり小さなインピーダンス変換を行うことができます。
例えば、HF帯のカップラであれば「28MHz帯」のスイッチ位置が最もインダクタンスが小さくなりますが、これでローバンドを上手く整合できれば、殆どロスのない給電が可能です。これは至極当たり前で、無線機とアンテナの間に「高周波は通さねぇぜ
」と頑張る直列接続のインダクタンスが小さければ、自ずとロスも小さくなるということ。言い換えれば、変換比率が小さくなればQも下がりロスが減るというわけです。
◆ 「ロスの多いTYPE-Ⅲ」は濡れ衣だった
さて、今回の「大バカ大賞」は正に直ぐ上の項に書いた「SWRが落ちたときの出力測定」・・・28MHz帯のバンドスイッチでローバンドの整合をKX-1で取ってしまい、これを基準に論じたために恰も「ロスの多いTYPE-Ⅲ」となったわけです。
KX-1で改めてローバンドで測定しようとすると、「50Ω入力-50Ω出力」の整合を当該バンドにスイッチを合わせてもできたのは28MHzだけで、他のバンドは全て上手く整合が取れませんでした
28MHzで整合が取れたのは、それこそ「そろそろVHF帯」であるこのバンド故にカップラ内部の様々な「虚数成分」があったお陰で整合しただけの話。やはり、普通のやり方では「50Ω入力-50Ω出力」という風な芸当はできない・・・勿論、そういう風に設計して各定数を決めてやればできるんでしょうが、そもそもこんな無意味なカップラは作らずに「アンテナと直結」すれば(虚数分云々を除けば)良いわけですよね
◆ 「πC型」の良い点も書いておこう
πC型の良い点は、少なくとも「当該バンドで設計した通りにインピーダンス変換してくれる」というところです。特に意図して設計されたアンテナのインピーダンスは、50Ωからかけ離れた値を取りません(ローバンドに超短いワイヤーとかは別ですよ・・・念のため)から、この辺りが「バンドスイッチ通り」にバッチリ整合できるのは非常に有り難い特長だと思います。メーカー製にもこの回路が採用され易いのは、この辺りが一役買っている気がします。
文章でダラダラ書いてきましたが、詰まるところここ一連の「TYPE-Ⅲのロス疑惑」はひとまず解消され、再組み立てで一皮剥けた「TYPE-ⅢS」(Sって何だ
)も準備できて大、団、円、となれば良かったんですが・・・
◆ 次なる課題は「最適値の見直し」
TYPE-Ⅲは当初、我が設備におけるワイヤー系アンテナの素性が解らなかったため、とにかく「広整合範囲」を重視して設計してしまった嫌いがあります。そこで、釣り竿君のデータ取り直し結果などを踏まえながら、幾ら何でも広範囲過ぎるが故にインダクタンスが大き過ぎのコイルと付随する固定コンデンサ値の見直しが課題です。インダクタンスの最適化は、それこそ「ロスを減らす対策」として有効な気がします。未だ深く検討していませんが、どうやらインダクタンスは半分くらいまで持って行けそうですから、是非とも早く手を染めて・・・ACAGに間に合うのか


今日は急な外出となり、熟考スペースとして活用している「近距離グリーン車」で、カップラのインピーダンス変換の「素」となるLCマッチについて考えようと、様々なインピーダンス比へのLC変換表(無論、Excelで手作り)をスマホで眺めている内に、漸く問題点が見えてきました。自分の頭の整理と備忘録を兼ね、項に分けて記録しておきます。
◆ 「π型」カップラのインピーダンス変換比は小さいほど有利
π型のインピーダンス変換は「50Ω ⇒ 50Ω未満へ変換 ⇒ それを元に戻す」という営みになります。ここ一連の実験は、「50Ω入力-50Ω出力」というπ型には不得意な組み合わせでロスを論じていますが、コイルやコンデンサの値を自由に選べれば、「50Ω ⇒ 25Ω ⇒ 50Ω」でも良いし、「50Ω ⇒ 49Ω ⇒ 50Ω」でもOK。
しかし、ここであまり大きなインピーダンス変換比にすると損失が大きくなります。例えば上の「25Ω」の方はQが1.0、「49Ω」の方は0.14と、損失の側面で見れば「49Ω」の方が断然優れています。即ち、インピーダンス変換比ができるだけ小さい方がよい・・・と言えます。
◆ 「πC型」の難点・・・インピーダンス変換比が大きくなってしまう
TYPE-Ⅲも一応「π型の亜種」と見立てることができますが、入力側のコンデンサが固定であることから、一旦下がるインピーダンス値は「設計値」として決まってしまい可変できません(ってか、そういう風に作るとですけどね・・・)。ここが、πC型の欠点です。
設計上の「一旦下がるインピーダンス値」を仮に25Ωと決めると、πC型の前段のコンデンサ容量と必要なインダクタンスは自ずと決まります。そして、出力に向かってこのインピーダンス値を基準に調整する必要があるため、接続されるアンテナのインピーダンスが高め・・・例えば75Ωの場合、「25Ω ⇒ 75Ω」という変換が必要・・・折角、入力インピーダンスが50Ωなのに、敢えてロスを上乗せする必要があるわけですね。
◆ 「π型」の自由度
一方、π型の場合はバンド切り換えスイッチの位置を「無視」(←これ、重要

例えば、HF帯のカップラであれば「28MHz帯」のスイッチ位置が最もインダクタンスが小さくなりますが、これでローバンドを上手く整合できれば、殆どロスのない給電が可能です。これは至極当たり前で、無線機とアンテナの間に「高周波は通さねぇぜ

◆ 「ロスの多いTYPE-Ⅲ」は濡れ衣だった

さて、今回の「大バカ大賞」は正に直ぐ上の項に書いた「SWRが落ちたときの出力測定」・・・28MHz帯のバンドスイッチでローバンドの整合をKX-1で取ってしまい、これを基準に論じたために恰も「ロスの多いTYPE-Ⅲ」となったわけです。
KX-1で改めてローバンドで測定しようとすると、「50Ω入力-50Ω出力」の整合を当該バンドにスイッチを合わせてもできたのは28MHzだけで、他のバンドは全て上手く整合が取れませんでした

28MHzで整合が取れたのは、それこそ「そろそろVHF帯」であるこのバンド故にカップラ内部の様々な「虚数成分」があったお陰で整合しただけの話。やはり、普通のやり方では「50Ω入力-50Ω出力」という風な芸当はできない・・・勿論、そういう風に設計して各定数を決めてやればできるんでしょうが、そもそもこんな無意味なカップラは作らずに「アンテナと直結」すれば(虚数分云々を除けば)良いわけですよね

◆ 「πC型」の良い点も書いておこう
πC型の良い点は、少なくとも「当該バンドで設計した通りにインピーダンス変換してくれる」というところです。特に意図して設計されたアンテナのインピーダンスは、50Ωからかけ離れた値を取りません(ローバンドに超短いワイヤーとかは別ですよ・・・念のため)から、この辺りが「バンドスイッチ通り」にバッチリ整合できるのは非常に有り難い特長だと思います。メーカー製にもこの回路が採用され易いのは、この辺りが一役買っている気がします。
文章でダラダラ書いてきましたが、詰まるところここ一連の「TYPE-Ⅲのロス疑惑」はひとまず解消され、再組み立てで一皮剥けた「TYPE-ⅢS」(Sって何だ


◆ 次なる課題は「最適値の見直し」
TYPE-Ⅲは当初、我が設備におけるワイヤー系アンテナの素性が解らなかったため、とにかく「広整合範囲」を重視して設計してしまった嫌いがあります。そこで、釣り竿君のデータ取り直し結果などを踏まえながら、幾ら何でも広範囲過ぎるが故にインダクタンスが大き過ぎのコイルと付随する固定コンデンサ値の見直しが課題です。インダクタンスの最適化は、それこそ「ロスを減らす対策」として有効な気がします。未だ深く検討していませんが、どうやらインダクタンスは半分くらいまで持って行けそうですから、是非とも早く手を染めて・・・ACAGに間に合うのか

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CB TESTどする?
おはようございます!
がんばっていますね。カップラは奥が深くて当局もなかなか理解できていません^^;
短縮型のアンテナ(モノポールなど)の場合アンテナエレメントとローディングコイルで共振を取ってから純抵抗を50Ωにあわせるため必要に応じてインピーダンス変換トランス(いわゆるマルチアンアン)を使うというスタイルがシンプルでやり易いし放射効率も良いのかなと思います。アンテナアナライザは必要ですが。そうするとまたいろんなものが見えてきます。例えば接地抵抗の問題とか。
がんばっていますね。カップラは奥が深くて当局もなかなか理解できていません^^;
短縮型のアンテナ(モノポールなど)の場合アンテナエレメントとローディングコイルで共振を取ってから純抵抗を50Ωにあわせるため必要に応じてインピーダンス変換トランス(いわゆるマルチアンアン)を使うというスタイルがシンプルでやり易いし放射効率も良いのかなと思います。アンテナアナライザは必要ですが。そうするとまたいろんなものが見えてきます。例えば接地抵抗の問題とか。
CB 行きたいっす!
ぶんさん、こんにちは。昼休みです。
コメありです。いやぁ、カップラって、機械的な構造を含めて「工作モノ」としてはちょうど良く、そして試せる!・・・ハマるわぁ・・・(^o^)
マルチアンアンについては、仰る通りですね。我がステルス君もこの恩恵に預かりしもの故、結構誘われるんです。効率もよさそうだし。でも、自分としては「最終形は半自動LCマッチ」かなぁ・・・と思ってます。とにかく、ちょっとでも雨・雪が降ると、見事に同調点が落っこちるんでね(ToT)
「接地」については、ちょっと迷っている部分なんですが、果たしてアパマン・ベランダのモノポールアンテナ(モビホとか釣竿とか)は全部「変形ダイポール」のような気がするんですけど・・・。これも何れ理解せにゃならん課題かと思います。
ただ、何かと比較しようとした場合、パイロットになるような安定した電波を「HF」で探すのが至難の業。至近距離にないと電離層反射になるし、打ち上げ角も全然解らんし、家のように「屋根よ~り~ひ~く~い」場合に建物全体がグランドになると、却ってダメな気もしています。てっぺん(屋上)なら、また話が違うとは思うんですが・・・。
とはいえ、空間的には「間近」で結合しているんだから・・・とも思うんですがねぇ・・・。
コメありです。いやぁ、カップラって、機械的な構造を含めて「工作モノ」としてはちょうど良く、そして試せる!・・・ハマるわぁ・・・(^o^)
マルチアンアンについては、仰る通りですね。我がステルス君もこの恩恵に預かりしもの故、結構誘われるんです。効率もよさそうだし。でも、自分としては「最終形は半自動LCマッチ」かなぁ・・・と思ってます。とにかく、ちょっとでも雨・雪が降ると、見事に同調点が落っこちるんでね(ToT)
「接地」については、ちょっと迷っている部分なんですが、果たしてアパマン・ベランダのモノポールアンテナ(モビホとか釣竿とか)は全部「変形ダイポール」のような気がするんですけど・・・。これも何れ理解せにゃならん課題かと思います。
ただ、何かと比較しようとした場合、パイロットになるような安定した電波を「HF」で探すのが至難の業。至近距離にないと電離層反射になるし、打ち上げ角も全然解らんし、家のように「屋根よ~り~ひ~く~い」場合に建物全体がグランドになると、却ってダメな気もしています。てっぺん(屋上)なら、また話が違うとは思うんですが・・・。
とはいえ、空間的には「間近」で結合しているんだから・・・とも思うんですがねぇ・・・。