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πC型カップラの誤解

2013-10-16      
 少し落ち着いたらまとめたいと思っているTYPE-Ⅲの最適化について、実はまだ「未完」なことを含めて、これも覚書しておきます。

 以前TYPE-Ⅱを設計している際には「L型ステップダウンとT型ステップアップ」に分解して考えていきましたが、どうやらこれが間違いの素だったようです。結論から述べてしまうと、このπC型カップラでは「π型カップラ+ステップアップ用コンデンサ」という風に設計しないと上手く行かなそうだということです。

 ローバンドのマッチングで必要となる比較的低いアンテナ・インピーダンス(これ以降に登場するアンテナ側のインピーダンスは、ひとまず虚数成分を無視します)に整合させる場合、πマッチのC+L(リグから送信された高周波が最初に出会うVC+L)でステップダウンされ、これでアンテナ・インピーダンスとマッチングしてしまえば、後続のC(アンテナ側のL+VC)は実は不要・・・というか邪魔であり、バリコンとしては「一番抜けた状態」、即ち0pFが望ましいわけです。これは正に「LCマッチ」そのものですね。
 ところが、普通のバリコン(受信用の数百pFのエアバリ)でローターが抜けきった状態でも、十数pF程度の容量はどうしても残ってしまうため、L型にはならずに回路設計通りに「π型」になるわけです。

 すると、0pFになりきらないバリコンと少量のLで「ちょっとステップアップしてしまう」ということになりますが、これと「πCのC」・・・つまり、πマッチの出力に直列接続されたバリコンと、0pFになりきらないバリコン容量との組み合わせでインピーダンス変換が起きてしまうということが判りました。

 上記の様子を、備忘図面として貼り付けておきます。



 ① VC1が抜けた状態で残留する浮遊容量と図面上「黄色」の
   部分のLで構成されるインピーダンス変換により、微小な
   インピーダンスのステップアップ発生

 ② これにより若干高めのインピーダンス(Lo Z⇒Lo Z+α)と
   なったZiに対し、今度はVC1とVC2の容量比によるステップ
   アップが生じる

 ③ ここで、低いインピーダンスのアンテナに整合するためには、
   VC2がかなり大きな値を取る必要がある

 実はACAG用に再設計したLの値はこの辺を考慮したつもりだったんですが、机上で「虚数成分のないソリッド抵抗」で実測した場合と、実際に虚数成分を持つであろう「釣り竿君」では差が出てしまうこと、前段の「50Ω⇒Lo Z」で決められたインピーダンスより下げることはできないこと・・・というか、逆にVC1にある浮遊容量のせいで勝手に結構ステップアップしてしまうことから、30Ω程度以上のマッチングが精一杯だということが判ってきました。

 落ち着いたらもう少しメスを入れようと思ってはいますが、そもそも初っ端のLCによるステップダウン・・・この部分は、トロイダルコアによる変換の方が(損失の点で)良さそうにも思えてきました。こうなると「TYPE-Ⅳ」への移行も十分に考えられますが、ひとまず今日はこの辺で・・・。
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アパマンというハンデにさらにQRPまで課し、失敗連続のヘッポコリグや周辺機器の製作・・・趣味というより「荒行」か!?

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