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LCメータの精度まとめ

2014-12-31      
 今年は暦の妙で、長い休みを過ごすことができます。この休みの初日たる12月27日こそ、前日の納会⇒飲み会での深酒(ちなみに、これって予定調和だったり・・・)で轟沈していましたが、実は日曜から昨日までは、暇をみてはLCメータの検証をしていました。いやぁ、こんな細やかな作りものでも楽しめちゃう性格は、未だに「FFⅤ」を十分遊べるどよよん無線技士さんの特技・・・というわけで、ここからあまり役に立たない、またしても「自分的備忘録」を記しておきたいと思います。

 このLCメータへの拘りは、時折発生する不安定発振が原因。どういうわけか時々、発振周波数が飛んでしまう接触不良のような挙動に陥るため、デジオ君をつないで波形を観たりソフトバグを疑ってソースプログラムを見返したり・・・。お陰でちょっとしたソフトバグを見つけましたが、この不安定発振の原因はケースへのグランドの取り方(アルミケースは表面塗装の塩梅で上手くグランドとして導通しない場合があります)とトグルスイッチの接触不良だったという顛末
 このLCメータの発振部分はかなり広範囲の影響を受けます。例えば、剥き出しの状態では20cmくらいの範囲にある金属、或いは「手」の影響をモロに受けますから、ケーシングは基本的に金属ケースが吉。ただ、グランドの取り方には注意が必要で、発振回路に近い部分から最短で筐体アースする(例えば、LM311のグランドピン辺りから引っ張り出し、短い距離でケースと接続する)のがよさそうです。
 また、信頼度の点でトグルスイッチはどうだろうとも思います。ちょっと豪華にリレーを並べて・・なんて、電源が電池でなければアリかも知れませんが、少なくとも廉価トグルはやめてもう少し高級な(っていうか、高信頼な)スイッチを買ってきた方がよさそうです。とりあえず「バチバチ作戦」を敢行したら大人しくなりやがったんで様子見

 上の原因究明には、実はかなり時間を取られてしまいました。都合、丸二日・・・まぁ、長い休みはまだまだあるさと、この接触不良問題をクリアしてから、一度やっておきたかった精度の確認作業に移ったわけです。

 さて、精度の確認といっても、要は「我が設備での基準」を確立してしまえばよいわけです。このLCメータ自体は「DE-5000より卓上で使い易い大きさ、操作性のものに仕上げる」というコンセプトですから、DE-5000を基準としてその差を把握しておくことが一つのポイント。さらに「容量が判っているコンデンサとの共振周波数からインダクタンス値を知る」・・・簡易スペアナ(GigaST V4)でもこの程度の確認はできますから、インダクタンス値はこのLC共振から求められたインダクタンス値とDE-5000/LCメータの測定値との差を調べることで、互いにどんな関係性になるかを知っておこう・・・これも確認ポイントにしておきます。

 最初に、本日のオールスターキャスト



 トロイダルコアは、まぁまぁ自作に使いそうな連中に適当に線を巻いたもの(T50-2 5T,T37-6 11T)を使います。7Kボビンは0.1mmのUEWを4回巻き・・・訳あって、1ターン毎に溝を変えて巻いた「疎巻き」。コンデンサは82pFのマイカコンで±5%の精度のものにワニ口を付けてあります。

 早速、容量測定・・・これは、十分にエージングしたLCメータとDE-5000に、上記82pFのマイカコン容量測定をさせました。



 この結果については、実は予想通りのもの。そもそも今回作ったLCメータの測定方式では、キャリブレーションがきちんとできれば「かなり精度の良い容量測定が可能」であることは、これまでの経験上解っていたことです。ただ、どの程度の精度なのかという客観比較ができるようになったのはDE-5000購入のお陰・・・これで少なくとも、容量測定に関しては「DE-5000の代替測定器」としてこのLCメータを信用しても良さそうです
 ちなみに、±1%程度の誤差レベルで測定できるのは何れも0.1μF程度までであり、それ以上になるとどんどん怪しくなります。手持ちの0.1μF±1%のコンデンサについて測定すると、LCメータで0.0983μF、DE-5000で0.0964μF・・・この結果だけから考えればLCメータの方が良さそうですが、この基準コンデンサは秋月キット付属の選別品であり、購入から既に25年以上()も経っていますからどこまで信用できるのか判りません。ただ、自分の今の電子工作スタイルで「容量が知りたい」と思うのは、多分1000pFまでのことが圧倒的に多くなるでしょうから、コンデンサの容量測定はこのLCメータでも必要十分な精度で測定できるといっていいでしょう。

 続いてリアクタンス測定・・・これは、上記のコンデンサを使ってLCの並列共振回路を構成させ、簡易スペアナで共振周波数を測り、そこからリアクタンス値を計算したものを「基準」とし、LCメータとDE-5000個々にどんな値で測定されるか調べてみました。



 まずはこんな風に・・・って、何だかさっぱり判らないスナップになってしまいました 簡易スペアナをTGモードで動作させ、入出力間にLC共振を入れて同調周波数を調べます。



 同調点のディップの鋭さはコイルのQに依存しますからもう少しなだらかなこともありますが、案外綺麗に見えるものですね。これで同調周波数を読み取り、インダクタンス値を計算するという寸法です。測定系の浮遊容量や線材のインダクタンスなどを含んだ結果ですからこれも誤差含みです。とりあえずこれで・・・とも思ったんですが、よく考えてみると治具としてコンデンサにワニ口を付けた造作部分が、そもそも不要なインダクタンスに・・・ということで、以下のように「直付け」にした形での測定も加えてみました。



 さぁ、測定結果は一気に表にまとめましょう。

コイル簡易スペアナDE-5000LCメータ備 考
治具直付
 T50-2 5T0.2000.1660.1630.164 計算値:0.125
 T37-6 11T0.4130.3800.3860.381 計算値:0.363
7K空 芯0.1160.0870.1030.079
コ ア0.2220.1870.2080.178 シールドケース無し
ケース0.1600.1260.1510.121 コア入り
 ※単位はμH

 結構興味深いデータになっています・・・って、自分だけかも ですが、ちょっと考察しておきます。

 まず、簡易スペアナの結果を見ると、治具を使ったものと直付けのものの差が0.033-0.039μHとなっています。これは、治具として準備したワニ口部分の余計なインダクタンス成分であり、この程度の長さでも微小インダクタンス測定には邪魔なようです。
 今後、もしLC共振でインダクタンス値を求める場合、この治具を使って算出された値からは0.035μH程度減算しないといかんということになりますね。

 続いてトロイダルコアに着目。簡易スペアナで直付けにした共振回路の測定値を基準とすると、DE-5000/LCメータ共にイイ線で測定できていそうな値となりました。トロイダルコアはQも高くしっかり発振しますから、どの形で測定しても変わらないのでは と推測しています。
 さらに、トロイダルコアのもう一つの特徴である「巻き数から大凡のインダクタンス値が解る」という部分において、T50-2の方は計算値から随分大きな値になっています。実はこれ、「トロ活」にきちんと書いてあって、コアに対して巻数が疎・・・即ち少ない場合、計算値より大きなインダクタンス値になるという部分を見事に物語っています。実際、T50のサイズに5回しか巻かないという設計はしないんでしょうが、この辺りをきちんと頭に入れて巻くのがよいようです。
 ちなみに、T37の方は計算値の+5,6%程度の誤差であり、大凡「コア全体に均一に巻く」「そこそこ満遍ない程度の巻き数にする」(この日本語は変ですが勘弁して~)ということを守ると、市販のカーボン抵抗並の精度が実現できそう・・・コイル自作の味方であることは確かですね。

 7Kボビンについても、かなり興味深いデータになっています。
 ここで特徴的なのは、DE-5000の結果の方が簡易スペアナの治具を使った方、LCメータの結果が直付けの方に近い結果です。おやおや、LCメータの勝ち・・・と思いましたが少し考え直し、DE-5000の方が多めの測定値⇒不要なインダクタンスが多いという論拠で、こいつに着目してみました。



 DE-5000のオプションである「TL-21」です。DE-5000本体には、一般的なリードを差し込んで測定できるスリットがありますが、このアダプタを使うと、少し太めのリードなど本体スリットに挿せないものも測定できて便利。そこで、何となく「このオプションをつないでキャリブレすれば大丈夫だろう」と思っていましたが、こと7Kボビンの測定に対しては上手くないようです。試しに7Kコイルを本体スリットに挿した場合の測定値は以下のよう・・・DE-5000を中心に表まとめ。

コイル簡易スペアナDE-5000備 考
治具直付TL-21本体直
7K空 芯0.1160.0870.1030.089
コ ア0.2220.1870.2080.187 シールドケース無し
ケース0.1600.1260.1510.121 コア入り
 ※単位はμH

 流石に優秀な測定器ですね。本体直・・・即ちスリットに挿す形の測定では、簡易スペアナの直付けとほぼ同様の値になり目出度し目出度しなんですが、トロイダルコアの時は顕在化しないのがちょっと不思議ですね

 以上、つらつらと述べてきましたが、今回作ったLCメータは「自分的電子工作」のコンデンサ、コイルの測定器としては随分上等な装置に仕上がったようです。特にインダクタンス測定についてのキャリブレ機能が奏功し、ワニ口で挟む格好の測定でもかなり高精度に仕上げることができました。微小インダクタンスの測定ができることは、これからの自作モノの完成度を高める強力武器になりそうです

 2014年の最終日にして「LCメータ再作物語」は幕・・・大団円といっていいかな

追記(2015/01/01)
 そうそう、備忘録としてもう1つ書いておきます。超当ったり前ですが、7Kや10Kのボビンにコイルを巻いてその後にケースを被せると、被せる前より見かけのインダクタンス値が下がります。上記結果からも、それが如実に表れていることが判りますね。

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千葉コン個人局QRP電信部門1位おめです!

こんばんわ
今年もあとわずかになりました。いろいろお世話になりましたが来年もよろしくお願いします。
自作測定器の較正もだいぶうまくいっているようですね。ちょっと計測してみたいときには非常に便利そうです。
基板を起こしてキット化してみては?

おめありです(^^)v

ぶんきゅうさん、こんにちは・・・
っていうか、実は新年を迎えています。改めて、今年も宜しくお願いします。
千葉コン入賞の報は、実はぶんきゅうさんのコメントで知りまして・・・本当に連れて行って下さって、ありがとうございました。
LCメータが漸く片付いたみたいです。難敵は「接触不良」・・・特に、トグルスイッチはいつ購入したか判らない100円トグルだったんで、後から考えればあり得ることだったんですが・・・。
ただ、この問題も完全クリアに至ってないんです、実は。発生頻度が低くなったんで困らなくはなったんですが、やはりスイッチを取り替えてみた方が良さそうです。
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アパマンというハンデにさらにQRPまで課し、失敗連続のヘッポコリグや周辺機器の製作・・・趣味というより「荒行」か!?

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