ヘッドホンアンプっぽいのを味見(前編)
2015-04-01
先週末は何かと忙しかったことに加え、手が空いた日曜午後はポツリポツリの雨模様。作成中の外付けスピーカの塗装仕上げには着手できず、今週末も予定があってまた順延しそうです
こういう時は、お手軽実験で過ごしましょう・・・というわけで、オペアンプを使った低周波アンプの味見を画策。味見する回路は以下の通りです。

ブレッドボードで簡単に行うのに相応しい、本当にささやかな回路ですが、これできっとヘッドホンぐらいは鳴るでしょう。実験目的としてはモノラルで十分ですが、回路も簡単なんでステレオ構成としました。上手くいったら、ヘッドホンアンプとしてケースに入れてみようか・・・と、まぁこんな風に「本題」に辿りつかなくなっちゃうんですよね
味見に入る前に、ポイントをまとめてみました。
◆ コンセプトとしての「無線用低周波アンプ」
一般的なオーディオ用としての素材を使えば、無線用の低周波アンプとしての条件を包含している・・・というのはちょっと拙速。特にQRPを含めた自作無線機用や、外付けのオプション装置を製作する際の部品のチョイスは少し違ってきますから、以下の程度の切り口でそれぞれ考慮に入れる必要がありますね。
1 省電力・低電圧などの電源に関する条件
2 基本的に音声帯域が処理できればよい(数百Hzから数KHzの帯域で十分)
3 雑音特性(S/N)は良好な方がよい
4 出力のショートに対する耐性の必要性
今回製作しようと思っているものを上記のファクタで考えると・・・
1' 外付けのオプション装置であるため、電源はACアダプタか・・・極端な消費電流の低減は不要だろう。
2' SSBが普通に聞こえる範囲の低周波帯域が出力でき、ヘッドホンが鳴ればいい。
3' できる範囲で低雑音・・・という範囲でいいだろう。
4' ヘッドホン端子の外側でショートする可能性を考慮しておいた方が良いかも。
野外運用に耐えられるようなQRP機の製作などでは、①や④の部分の考慮がもう少し必要になるかも知れませんが、「オペアンプを使う」という条件であれば、そんなに悩む必要はないかも知れませんね。
◆ U1の選定
U1は音を出すためのアンプですから、それこそ自分が好きなものを選んでやり、その後に周辺の回路を検討するのが常套手段ですが、オペアンプを使った簡易な低周波アンプですから、そこそこノイズや歪みが少ないものなら何でも・・・というセンスでOKでしょう。まずは、買い置きのあるNJM4580DDを第一候補にします。
ただ、今後もこうした「低周波アンプとしてオペアンプを使う」という工作モノは結構出てくると思うんで、現状でこなれた(流通のある)デバイスの中から、「安価で低雑音・低歪」という観点で幾つかのデバイスを試してみようと思います。
まぁ、2回路入り・8本足のオペアンプなら、殆どのものがそのまま差し替えられますから、部品箱の隅でいじけている奴らも試してみましょうかね。
◆ U2の選定
ここはレールスプリッタとして十分に動作することが条件になりますが、そもそもここ一連のプチ実験用に入手したNJM3414Aが、出力電流の余裕の観点で有力候補。
その上で、スプリッタとしての安定性は「アンプとして完成させた形で音を聞いてみる」というのが正しいかと思いますから、ここもあれこれ換装させてみようと思います。
◆ スプリッタ周りの確認
回路図の①は、仮想グランドの基準を作る抵抗であり、安定度の観点からは小さい値の方が有利な反面、消費電流は増える方向・・・仮に5Vの電源を使用した場合、2.5KΩ×2で分圧すると1mAを消費することになります。
ただ、折角オペアンプで補償する形になるわけですから、できる範囲で大きめの値にしたいところ・・・22KΩ×2を狙っています。これなら100μA程度で済みますから「無いようなもの」と言えるでしょう。
何れにせよ、この値の選定も「音を聞きながら換えてみる」というのが良さそうですから、ブレッドボード実験には丁度いい塩梅。
②は、発振防止用兼過電流防止用に入れる場合がありますが、仮想グランドとしては入れたくない代物。数日前のプチ実験では、特に発振しているような挙動(電流が増える、オペアンプが発熱するなど)は見受けられませんでしたが、これこそ「音を聞きながら・・・」となれば直ぐに気付く事象ですから、この点に注意して要否を判断してみたいと思います。
◆ 非反転増幅の入力抵抗とコンデンサ
非反転増幅回路では、プラス入力とグランド間に抵抗を入れることで、それを頃合いの(必要な)入力インピーダンスと見立てますが、ちょっとした低周波アンプの場合には、取り扱い易さの観点で概ね数KΩ~数百KΩになります。
仮にこの抵抗値を10KΩとして小容量の入力コンデンサを接続すると、可聴周波数の範囲でHPFを構成することになり、低域が期せずしてカットされることがあります。例えば、0.1μFと10KΩの組み合わせでは、約159Hzをカットオフ周波数とするHPFが構成され、低域が少し減衰することになります。このことは、オーディオ機器なら問題になりますが、無線機器のアンプとしては「不要な低域がカットされる」というメリットにもつながるわけですから、この辺りも「聞いてみてどうか・・・」という実験ネタになりますね。
・・・と、ここまでが味見前に考えたあれこれです。実は、味見自体も粗方終えており、「机上で考えるのと実際に行うのとでは大違い」といった実験の醍醐味まで味わうことができました。この醍醐味の部分は、勿体付けて次の記事に続けたいと思います


ブレッドボードで簡単に行うのに相応しい、本当にささやかな回路ですが、これできっとヘッドホンぐらいは鳴るでしょう。実験目的としてはモノラルで十分ですが、回路も簡単なんでステレオ構成としました。上手くいったら、ヘッドホンアンプとしてケースに入れてみようか・・・と、まぁこんな風に「本題」に辿りつかなくなっちゃうんですよね

味見に入る前に、ポイントをまとめてみました。
◆ コンセプトとしての「無線用低周波アンプ」
一般的なオーディオ用としての素材を使えば、無線用の低周波アンプとしての条件を包含している・・・というのはちょっと拙速。特にQRPを含めた自作無線機用や、外付けのオプション装置を製作する際の部品のチョイスは少し違ってきますから、以下の程度の切り口でそれぞれ考慮に入れる必要がありますね。
1 省電力・低電圧などの電源に関する条件
2 基本的に音声帯域が処理できればよい(数百Hzから数KHzの帯域で十分)
3 雑音特性(S/N)は良好な方がよい
4 出力のショートに対する耐性の必要性
今回製作しようと思っているものを上記のファクタで考えると・・・
1' 外付けのオプション装置であるため、電源はACアダプタか・・・極端な消費電流の低減は不要だろう。
2' SSBが普通に聞こえる範囲の低周波帯域が出力でき、ヘッドホンが鳴ればいい。
3' できる範囲で低雑音・・・という範囲でいいだろう。
4' ヘッドホン端子の外側でショートする可能性を考慮しておいた方が良いかも。
野外運用に耐えられるようなQRP機の製作などでは、①や④の部分の考慮がもう少し必要になるかも知れませんが、「オペアンプを使う」という条件であれば、そんなに悩む必要はないかも知れませんね。
◆ U1の選定
U1は音を出すためのアンプですから、それこそ自分が好きなものを選んでやり、その後に周辺の回路を検討するのが常套手段ですが、オペアンプを使った簡易な低周波アンプですから、そこそこノイズや歪みが少ないものなら何でも・・・というセンスでOKでしょう。まずは、買い置きのあるNJM4580DDを第一候補にします。
ただ、今後もこうした「低周波アンプとしてオペアンプを使う」という工作モノは結構出てくると思うんで、現状でこなれた(流通のある)デバイスの中から、「安価で低雑音・低歪」という観点で幾つかのデバイスを試してみようと思います。
まぁ、2回路入り・8本足のオペアンプなら、殆どのものがそのまま差し替えられますから、部品箱の隅でいじけている奴らも試してみましょうかね。
◆ U2の選定
ここはレールスプリッタとして十分に動作することが条件になりますが、そもそもここ一連のプチ実験用に入手したNJM3414Aが、出力電流の余裕の観点で有力候補。
その上で、スプリッタとしての安定性は「アンプとして完成させた形で音を聞いてみる」というのが正しいかと思いますから、ここもあれこれ換装させてみようと思います。
◆ スプリッタ周りの確認
回路図の①は、仮想グランドの基準を作る抵抗であり、安定度の観点からは小さい値の方が有利な反面、消費電流は増える方向・・・仮に5Vの電源を使用した場合、2.5KΩ×2で分圧すると1mAを消費することになります。
ただ、折角オペアンプで補償する形になるわけですから、できる範囲で大きめの値にしたいところ・・・22KΩ×2を狙っています。これなら100μA程度で済みますから「無いようなもの」と言えるでしょう。
何れにせよ、この値の選定も「音を聞きながら換えてみる」というのが良さそうですから、ブレッドボード実験には丁度いい塩梅。
②は、発振防止用兼過電流防止用に入れる場合がありますが、仮想グランドとしては入れたくない代物。数日前のプチ実験では、特に発振しているような挙動(電流が増える、オペアンプが発熱するなど)は見受けられませんでしたが、これこそ「音を聞きながら・・・」となれば直ぐに気付く事象ですから、この点に注意して要否を判断してみたいと思います。
◆ 非反転増幅の入力抵抗とコンデンサ
非反転増幅回路では、プラス入力とグランド間に抵抗を入れることで、それを頃合いの(必要な)入力インピーダンスと見立てますが、ちょっとした低周波アンプの場合には、取り扱い易さの観点で概ね数KΩ~数百KΩになります。
仮にこの抵抗値を10KΩとして小容量の入力コンデンサを接続すると、可聴周波数の範囲でHPFを構成することになり、低域が期せずしてカットされることがあります。例えば、0.1μFと10KΩの組み合わせでは、約159Hzをカットオフ周波数とするHPFが構成され、低域が少し減衰することになります。このことは、オーディオ機器なら問題になりますが、無線機器のアンプとしては「不要な低域がカットされる」というメリットにもつながるわけですから、この辺りも「聞いてみてどうか・・・」という実験ネタになりますね。
・・・と、ここまでが味見前に考えたあれこれです。実は、味見自体も粗方終えており、「机上で考えるのと実際に行うのとでは大違い」といった実験の醍醐味まで味わうことができました。この醍醐味の部分は、勿体付けて次の記事に続けたいと思います

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