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釣竿アンテナ用マッチング回路の検討Tips

2015-05-05      
 折角セッティングした新しい部品入れへの収納が億劫で、相変わらずコンテストで釣竿君を扱うのに好適なマッチングボックスを検討しています。落ち着いてデータ取得してみたところで幾つか気付いたこともあるんで、つらつらとまとめておきたいと思います。

 釣竿君の80m運用では、40m用に最適化してあるセンターローディングの短縮アンテナにエンドローディングとしてコイルを挿入して使います。



 上の絵は、丁度80mの運用中の様子になるわけですが、この状態から40mの運用に切り替える場合、ワニ口-2をカップラから外してワニ口-1をコイルからカップラに付け替え、その上で「チューニングを取り直す」という作業を伴います。このチューニング作業に手こずれば、その分は運用時間のロスになることから安易にバンド切り替えを行うことはできず、新しいマルチの獲得には不利になっています。
 そこで、この2バンド個々に独立したマッチングセクションを設けて事前にチューニングしておき、運用中のバンド切り替えをスイッチ操作などの簡単なものとすることで、煩わしいチューニング作業を一掃しようというのが今回の製作テーマです。



 またしても稚拙な絵図でお恥ずかしい でも、案外こうしたイメージ図は重要・・・何度も眺めてはさらにイメージを膨らませたり、逆にディテールを想像したりと、無いよりは有った方がいい場合が多く、時間のあるときには書くようにしています。

 80mのローディングコイルは、今後の改良の可能性を考慮して「外付け」にすることにしたいんで、アンテナの切替操作としては、今の釣竿君の仕様に依存して「切替スイッチの操作とアンテナの『ワニ口』の付け替え」という手作業を前提にしています。上の絵図の状態で、TRXの代わりとしてクラニシ君かアンアナ54号君を繋いでマッチングを取れば80mのチューニングは完了。40mも同様で、事前にチューニングを取っておけば、あとは運用したいバンドに合わせて切替スイッチとワニ口の付け替えを行えば良いわけです。
 多分、これだけのちょっとした造作で、特に国内コンテストの夜中の運用は飛躍的に楽になるはず・・・もっと早く実現しておけば良かったなぁとちょっと後悔しています

 さて、肝心のマッチング部に着目してみます。

 まず、アンテナのマッチング回路のポイントは、「1.設計した範囲では確実に」「2.如何に減衰なく」整合が取れるかということです。特にアパマンの悩みである「雨が降ると同調点が大きく変化する」といった場合を含めて、設計時点で想定される整合範囲はきちんと考慮しておく必要があります。

  現用のアンテナカップラであるTYPE-Ⅲの設計時点では、この「整合範囲の検討」において実は考え違いをしています。というのは、整合範囲を広めに取っ ておくことで如何なる状況にも対応できるという、言わば「大は小を兼ねる」的な発想で検討したため、整合範囲が非常に広くなってしまっています。また、π型の亜種である「πC型」としたため、(定量的には測定していませんが)余計な変換をして不必要にロスっている可能性が高く、QRPが主体の運用スタイルとしてはちょっと好ましからず・・・。
 一方、アンアナ54号君を購入して以来、アンテナの抵抗分と虚数成分の理解が深まったお陰で、抵抗分として支配項になり易い「カウンターポイズ」の部分と、短縮型アンテナの宿命でもある虚数成分を分けて検討できるようになり、おまけに虚数成分の「殺し方」・・・というか、対処の仕方が解ってきたことで、マッチング部に対する「要件」が変わってきました。そして、釣竿君の80mと40m使用時に必要な整合範囲も、アンアナ54号君のお陰で既にデータまとめができたわけですね。

 そこで、ここではマッチング部とアンテナの等価回路図モドキをこしらえてみました。



 「単一型アンテナ」というところが粋ざんしょ 少なくとも我が釣竿君は「垂直」では御座らんし、無線工学の教科書に立ち返ったわけですな まぁ、そんなことは兎も角、ここからが「Tips」というより「気付いた点のメモ書き」になります。

 この4つのバリエーションの大本の作りは「Lマッチ」であり、π型よりロスは少ないものと思います。この内、最も製作し易いのが1番のものです。これは、アンテナのリアクタンス成分を打ち消すためのコイル「XL2」を、インピーダンス変換を行うLマッチの「XL1」の一部として取り込んでしまうことができ、ハード的な要素として「コンデンサとコイルが1つずつ」で済む形になるためです。全体としてLマッチそのものですから、かなりロスの少ないマッチングが期待できます。
 ここで、昨日のデータ・・・80mと40mの釣竿君の諸元データを思い出すと、50Ωよりインピーダンスが低い方(30~50Ω)でマッチングが取れるのは80mであり、自動的に1番か2番かのチョイスになりますが、もし接続するアンテナがキャパシティブ・・・その波長に対して電気的に少し短いアンテナであれば1番でOKということになりますね。勿論、このリアクタンス成分は小さいほど必要となるインダクタンス「XL2」も小さくなりますから、ここら辺りにローディングコイルを含めた80mのアンテナとしての「同調点の落としどころ」がありそうです。

 一方、40mの場合は50Ωよりインピーダンスが高い方(50~65Ω)でマッチングすることが、昨日まとめたデータから解っています。即ち、3番か4番のチョイスになりますが、3番の方は「コイルを2つ用意する」か「1つのコイルとしてタップを取る」かしかなく、製作が面倒になります。こうなると、4番をチョイスした上でアンテナを(電気的に)少し長めにすればよいというのが1つの結論なんですが、実はここに注意すべき点があります。それは、4番のマッチング回路で数Ω程度のアンテナのリアクタンス成分を打ち消そうとすると、XC2の容量が非常に大きくなってしまうということ。7.000MHzで試算してみると・・・

  1Ω : 22736.4pF
  5Ω : 4547.4pF
 10Ω : 2273.6pF
 20Ω : 1136.8pF
 30Ω :  757.9pF

 勿論、数Ω台のマッチングによる改善は、SWRの小数点第一位が変わるか変わらないか程度ですから、現実的には2連のエアバリコン・・・430pF×2の可変範囲、さらに820pF程度のコンデンサをパラに接続できるような仕掛けを作り、数十Ω程度の範囲が調整できればいいでしょう。

 なんだ、考えれば動きそうジャンと思うのは素人の浅はかさ・・・実はもう一つ大きな難題があります。それは、Lマッチのインピーダンス変換では、コンデンサとコイルの両方の値を変換比率に応じて変えてやらなければならないことです。コンデンサはバリコンで難なく実現できますが、問題はコイルの方。実際にはアンテナ側のリアクタンス成分との関係や必ずしも無線機側のインピーダンスが50Ωピッタリで無くても良い(寧ろ、ピッタリだと思っても意味が無い)といったことから、その時点でまずまずの状態にはチューニングできそうですが、流石に「最良」にはならないでしょう。この辺り、コイルの作り方やタップの取り方など考えるべき点はまだまだありますから、今後のプチ実験を含めて、もう少し検討したいと思います。

修正 15/05/07

 整合の等価回路・・・キャパシティブとしたいところがコンダクティブという「造語」になっていました。何だ、コンダクティブって・・・。
図を入れ替えました。

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アパマンというハンデにさらにQRPまで課し、失敗連続のヘッポコリグや周辺機器の製作・・・趣味というより「荒行」か!?

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