ロスは微小!・・・FTトランスのインピーダンス変換実験
2015-05-31
昨日から始まっているWW WPXには、少しだけ参戦しています。SSNが20程度で全然ダメかと思いきや、15mでEU数局とQSOできました。途中、「初英国
」と思ったら全く違っていたという大勘違いに一喜一憂したり、40mは定番の西海岸と普通~にナンバー交換でき、「我が設備も随分と円熟したわい・・・」などと自画自賛したり
・・・とは言え、マジ出場を端から諦めていたことから、「工作の傍ら」でながら参戦となりました。今宵もこんな調子で夜半まではちょいちょい顔を出したいと思います。
さて、工作の傍ら・・・なんて書いちまってますから、この記事は工作チックなものなること必至ですが、実はそんなに大したことはしてないんです
採れたデータがまずまず今後の参考になりそうなんで、ひとまずまとめようと思い立った次第。
このところの一連の記事は、全て釣竿アンテナのマッチングに関わる部分を冴えない頭なりにまとめてきたつもりなんですが、ちょっと「机上論」が続いて自分でも詰まらなくなってきたんで、釣竿アンテナの80mのマッチング部に使うべく検討中のトランスによるインピーダンス変換・・・FTシリーズの透磁率の高いコアを使ったトランスによるインピーダンス変換について、その減衰量を調べてみることにしました。
まずは、簡単な回路図から。

このトランスは使用したい周波数が3.5MHzなんで、透磁率が高い・・・といってもポピュラーな#43材でいけると踏んで、さらに巻き数はこの周波数でも十分に大きなインダクタンスになり、後続のマッチング回路にできるだけ影響を与えないように6回(このコアに6回巻きだと約20μH;440Ωくらい、最小巻き数はE点であり、この時のインダクタンス値は6回×3となり約180μH;3.9KΩくらい)としました。まぁ5回でもいけそうではありますが、ちょっと欲張ってみました
このコイルのロスの測定は、同じものを2つ作って一旦変換したインピーダンスを元に戻すように「逆さま」に接続して行います。そして、求められた減衰量の半分をコイル1つ分・・・即ち、このコイルのロスということにします。

まずは0.5φのUEWをよくよじって6回巻きにしたものを2つ作ります。そして、適当な大きさにカットしたユニバーサル基板にUEWを差し込んで、回路図通りになるよう基板の銅箔面で配線すれば出来上がりです。

左がインピーダンス変換用のトランス、右は全てのコイルに端子を立てたものです。今後の実験にも使えそうなんで、できるだけきちんとつくりました。

APB-3を繋いで測定します。浮遊容量が大きそうですが、3.5MHzではあまり問題にならないでしょう。
では、早速測定結果を。この測定に先立ち、コイルを通さずに入出力を直結して正規化しています。

このコイルの最もロスの少ない周波数は800KHz付近でした。コア材の透磁率と巻き数から考えると、HF帯のさらに下の方に最良点がズレてしまったのには頷けます
また、この時の正規化値(=0dB)からの減衰量は凡そ0.005dB、コイル1つに換算して0.0025dBという結果でした。トロイダルコアは、適正な周波数における「基本的な使い方」では、非常に優れた特性を示すという典型ですね。
その上で、3.5MHzにおける「50Ω⇒34.7Ω」「50Ω⇒28.1Ω」の変換についても、グラフ上は減衰量が判別できない程度です。この時の減衰量は凡そ0.03dB、0.06dBでしたので、コイルとしてのロスはこの半分・・・ここでも、非常に小さなロスに収まっています。
グラフ上に青い矢印で示したものが「50Ω⇒22.2Ω」の変換の様子です。3.5MHzにおける減衰量は0.09dB・・・この半分がロスということになります。やはり、変換比率が大きくなると、並行する線路が少なくなりますから、その分がロスして現れるのは仕方が無いところ。青い矢印で差している辺りでは、グラフ上も差異が見て取れます・・・というわけで、さらにこれを証明すべく、巻き線比が6:3になる組み合わせ(インピーダンス比で4:1)で測定したのが、赤い矢印で示したグラフ線です。0.186dBの減衰量の半分・・・0.09dBぐらいのロスになっていますね。やはり、変換比率を大きくするとロスが増えることは明白です。
何れにしても、80mのアンテナのマッチングに使う上では、上記の回路図の条件で巻いたトランスで上等
ということが判りました。また、40mで使うなら多分5回巻き、その上ではさらに少ない巻き数の方が有利であることも確認できました。釣竿アンテナのマッチングボックスには「前向き」に使いたいと思います


さて、工作の傍ら・・・なんて書いちまってますから、この記事は工作チックなものなること必至ですが、実はそんなに大したことはしてないんです

このところの一連の記事は、全て釣竿アンテナのマッチングに関わる部分を冴えない頭なりにまとめてきたつもりなんですが、ちょっと「机上論」が続いて自分でも詰まらなくなってきたんで、釣竿アンテナの80mのマッチング部に使うべく検討中のトランスによるインピーダンス変換・・・FTシリーズの透磁率の高いコアを使ったトランスによるインピーダンス変換について、その減衰量を調べてみることにしました。
まずは、簡単な回路図から。

このトランスは使用したい周波数が3.5MHzなんで、透磁率が高い・・・といってもポピュラーな#43材でいけると踏んで、さらに巻き数はこの周波数でも十分に大きなインダクタンスになり、後続のマッチング回路にできるだけ影響を与えないように6回(このコアに6回巻きだと約20μH;440Ωくらい、最小巻き数はE点であり、この時のインダクタンス値は6回×3となり約180μH;3.9KΩくらい)としました。まぁ5回でもいけそうではありますが、ちょっと欲張ってみました

このコイルのロスの測定は、同じものを2つ作って一旦変換したインピーダンスを元に戻すように「逆さま」に接続して行います。そして、求められた減衰量の半分をコイル1つ分・・・即ち、このコイルのロスということにします。

まずは0.5φのUEWをよくよじって6回巻きにしたものを2つ作ります。そして、適当な大きさにカットしたユニバーサル基板にUEWを差し込んで、回路図通りになるよう基板の銅箔面で配線すれば出来上がりです。

左がインピーダンス変換用のトランス、右は全てのコイルに端子を立てたものです。今後の実験にも使えそうなんで、できるだけきちんとつくりました。

APB-3を繋いで測定します。浮遊容量が大きそうですが、3.5MHzではあまり問題にならないでしょう。
では、早速測定結果を。この測定に先立ち、コイルを通さずに入出力を直結して正規化しています。

このコイルの最もロスの少ない周波数は800KHz付近でした。コア材の透磁率と巻き数から考えると、HF帯のさらに下の方に最良点がズレてしまったのには頷けます

その上で、3.5MHzにおける「50Ω⇒34.7Ω」「50Ω⇒28.1Ω」の変換についても、グラフ上は減衰量が判別できない程度です。この時の減衰量は凡そ0.03dB、0.06dBでしたので、コイルとしてのロスはこの半分・・・ここでも、非常に小さなロスに収まっています。
グラフ上に青い矢印で示したものが「50Ω⇒22.2Ω」の変換の様子です。3.5MHzにおける減衰量は0.09dB・・・この半分がロスということになります。やはり、変換比率が大きくなると、並行する線路が少なくなりますから、その分がロスして現れるのは仕方が無いところ。青い矢印で差している辺りでは、グラフ上も差異が見て取れます・・・というわけで、さらにこれを証明すべく、巻き線比が6:3になる組み合わせ(インピーダンス比で4:1)で測定したのが、赤い矢印で示したグラフ線です。0.186dBの減衰量の半分・・・0.09dBぐらいのロスになっていますね。やはり、変換比率を大きくするとロスが増えることは明白です。
何れにしても、80mのアンテナのマッチングに使う上では、上記の回路図の条件で巻いたトランスで上等


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目から鱗
おはようございます!
なるほど同じものを2つこしらえて、一旦変換したインピーダンスを元の50Ωに戻して測定するのですね。3個作ると個体差もわかりますよね、ってそこまではさすがにしないか(笑)
なんにせよすばらしいアイディアありがとうございますm(_ _)m
3.5MHz以下になるとどうしても大なり小なりエレメントの短縮が必要になることが多いので、放射抵抗が下がりますからこのようなトランスは必要ですね。50Ωより高くなる場合はたいていアースが不十分なのだと思います。
なるほど同じものを2つこしらえて、一旦変換したインピーダンスを元の50Ωに戻して測定するのですね。3個作ると個体差もわかりますよね、ってそこまではさすがにしないか(笑)
なんにせよすばらしいアイディアありがとうございますm(_ _)m
3.5MHz以下になるとどうしても大なり小なりエレメントの短縮が必要になることが多いので、放射抵抗が下がりますからこのようなトランスは必要ですね。50Ωより高くなる場合はたいていアースが不十分なのだと思います。
案外少ないロスに驚き!
ぶんきゅうさん、今晩は。
お褒め頂いて恐縮です(^^; 自分で作ったトランスが上手く動作するかを確認する手段としては、単純で使える方法かと思います。勿論、条件はあると思いますけど、アマチュア的ですよね?
ベランダなんかに設置する小型の80mアンテナの整合範囲は仰る通りで、20-30Ωくらいが一つの目安かと思います。そういう意味で、実験したトランスは結構使い出がありそうですが、この後の「リアクタンス分を相殺する仕掛け」の工夫が肝になりそう・・・頑張ります(^^)b
お褒め頂いて恐縮です(^^; 自分で作ったトランスが上手く動作するかを確認する手段としては、単純で使える方法かと思います。勿論、条件はあると思いますけど、アマチュア的ですよね?
ベランダなんかに設置する小型の80mアンテナの整合範囲は仰る通りで、20-30Ωくらいが一つの目安かと思います。そういう意味で、実験したトランスは結構使い出がありそうですが、この後の「リアクタンス分を相殺する仕掛け」の工夫が肝になりそう・・・頑張ります(^^)b