Tマッチのリアクタンス打ち消しの様子
2015-06-08
今週は外出の日が続きます。職場と客先が結構離れているため、道中は様々な工作や実験に思いを巡らせて過ごすことができ、結構お気楽なウィークデーが過ごせそう。暫し「平日のオアシス」を満喫したいと思います。
漸く、カップラ再作成に向けた「頭の体操」も佳境に入ってきました。昨日まで、あれこれとカップラ内部の「ロス」に着目した検討とプチ実験を進めてきましたが、インピーダンス変換に採用する予定のトロイダルコアによるトランスやLマッチで生じるロスは、総じて(というか、想像していたよりも)小さな値に収まっており一安心。そこで、最終的な回路構成として必要になるTマッチ部分の詳細な検討をしました。
今回再作成するカップラの大前提は、長めのアンテナ・・・インダクティブなアンテナを接続することを前提にして調整方向を決めてしまうことで、個々の検討要素を単純化しています。即ち、前段の低インピーダンスへの変換(ここは、フェライトコアによる50Ω⇒低いインピダンスへの変換)を前提に、それ以降 の回路では「インピーダンスが高い方へチューニングする」という形で画一化するように考えています。

上図は、既に書き留めておきたいことを全て盛り込んだもので、あまり詳細説明は要らないような気もしますが、自分の頭の整理として説明書きをしておきます。
上図のアンテナカップラにおける高いインピーダンスへの変換は「Lマッチ部」が担います。これは、インピーダンス変換部の出力インピーダンス(図中のZi)と、アンテナの「純抵抗」(図中の「R」)を整合するのが目的であり、カップラ内蔵のコイルが必要十分なインダクタンスを有しているとすれば(コイルのインダクタンス=L+Lsurp)、インピーダンスの変換比より図中のLとVC1の値は決まります。この状態でインピーダンス変換に使われなかったインダクタンス部分である「Lsurp」がVC2のキャパシタンスで相殺されれば、恰もLマッチ部分のみが存在するように見えます。
一方、アンテナ側にも同様な理屈が成り立ちます。即ち、アンテナのインダクタンス「Lant」が打ち消されるようにVC2を調整すれば、アンテナの純抵抗「R」しか見えない状態にすることができます。
つまり、Lsurp(+jX1)とLant(+jX2)が同時に打ち消される値にVC2を調整すれば、Lマッチと「R」しか見えない状態・・・この「長めのアンテナ」に対する調整は完了します。
面白いことに(って、きっと面白いと思うのは自分だけですね
)、VC2に必要なキャパシタンスはLsurpとLantを同時に打ち消す値であり、Lsurpがある程度大きな値になるよう設計しておけば、Lantが小さい・・・同調点が運用周波数に近い場合でも、無理なくチューニングできます。
40mのチューニングを例に考えてみましょう。アンテナの同調点が6.99MHz、運用周波数が7.01MHzでこの時のアンテナのリアクタンスが+10Ωだった場合、これを打ち消すキャパシタンスは-10Ω・・・コンデンサ容量に直すと2300pF近くの容量が必要です。つまりVC2には、かなり大きい容量で調整を担わせる必要があります。
ところが、Lsurpとして1uH程度のインダクタンス(リアクタンス約44Ω)が存在したとすると、アンテナのリアクタンスとの合計が約55Ωとなり、これを打ち消すキャパシタンス(-55Ω)をコンデンサ容量換算すると凡そ410pF程度・・・これなら、ジャンクのエアバリコンでも賄えそうですね。
さぁ、これでTマッチについても理屈が解った気がします。あとは、実際に組むための適正値を求めたいと思いますが、これは別の記事でまとめます。
漸く、カップラ再作成に向けた「頭の体操」も佳境に入ってきました。昨日まで、あれこれとカップラ内部の「ロス」に着目した検討とプチ実験を進めてきましたが、インピーダンス変換に採用する予定のトロイダルコアによるトランスやLマッチで生じるロスは、総じて(というか、想像していたよりも)小さな値に収まっており一安心。そこで、最終的な回路構成として必要になるTマッチ部分の詳細な検討をしました。
今回再作成するカップラの大前提は、長めのアンテナ・・・インダクティブなアンテナを接続することを前提にして調整方向を決めてしまうことで、個々の検討要素を単純化しています。即ち、前段の低インピーダンスへの変換(ここは、フェライトコアによる50Ω⇒低いインピダンスへの変換)を前提に、それ以降 の回路では「インピーダンスが高い方へチューニングする」という形で画一化するように考えています。

上図は、既に書き留めておきたいことを全て盛り込んだもので、あまり詳細説明は要らないような気もしますが、自分の頭の整理として説明書きをしておきます。
上図のアンテナカップラにおける高いインピーダンスへの変換は「Lマッチ部」が担います。これは、インピーダンス変換部の出力インピーダンス(図中のZi)と、アンテナの「純抵抗」(図中の「R」)を整合するのが目的であり、カップラ内蔵のコイルが必要十分なインダクタンスを有しているとすれば(コイルのインダクタンス=L+Lsurp)、インピーダンスの変換比より図中のLとVC1の値は決まります。この状態でインピーダンス変換に使われなかったインダクタンス部分である「Lsurp」がVC2のキャパシタンスで相殺されれば、恰もLマッチ部分のみが存在するように見えます。
一方、アンテナ側にも同様な理屈が成り立ちます。即ち、アンテナのインダクタンス「Lant」が打ち消されるようにVC2を調整すれば、アンテナの純抵抗「R」しか見えない状態にすることができます。
つまり、Lsurp(+jX1)とLant(+jX2)が同時に打ち消される値にVC2を調整すれば、Lマッチと「R」しか見えない状態・・・この「長めのアンテナ」に対する調整は完了します。
面白いことに(って、きっと面白いと思うのは自分だけですね

40mのチューニングを例に考えてみましょう。アンテナの同調点が6.99MHz、運用周波数が7.01MHzでこの時のアンテナのリアクタンスが+10Ωだった場合、これを打ち消すキャパシタンスは-10Ω・・・コンデンサ容量に直すと2300pF近くの容量が必要です。つまりVC2には、かなり大きい容量で調整を担わせる必要があります。
ところが、Lsurpとして1uH程度のインダクタンス(リアクタンス約44Ω)が存在したとすると、アンテナのリアクタンスとの合計が約55Ωとなり、これを打ち消すキャパシタンス(-55Ω)をコンデンサ容量換算すると凡そ410pF程度・・・これなら、ジャンクのエアバリコンでも賄えそうですね。
さぁ、これでTマッチについても理屈が解った気がします。あとは、実際に組むための適正値を求めたいと思いますが、これは別の記事でまとめます。
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2段変換?
こんにちは。
なかなかマニアックな動作というかなんというか(笑)
図のLマッチ部は、リアクタンスを打ち消す(=共振させる)のみならず純抵抗もある程度変化させる役目も持たせているのでしょうか?単純にLマッチ部だけでリアクタンスを打ち消してなおかつ純抵抗も50Ωに調整できればなんて考えてしまうんですが、Lマッチ1段のみでは調整しきれない部分があるということなのだろうかと解釈しています。
RFトランスによるインピーダンス変換は損失が少ないことはどよよんさんも実証されていますが、インピーダンス比が大きいと変換損失は大きくなるのでこのような2段組み合わせ技は損失を少なくするという点で有効なのかもしれませんね。
なかなかマニアックな動作というかなんというか(笑)
図のLマッチ部は、リアクタンスを打ち消す(=共振させる)のみならず純抵抗もある程度変化させる役目も持たせているのでしょうか?単純にLマッチ部だけでリアクタンスを打ち消してなおかつ純抵抗も50Ωに調整できればなんて考えてしまうんですが、Lマッチ1段のみでは調整しきれない部分があるということなのだろうかと解釈しています。
RFトランスによるインピーダンス変換は損失が少ないことはどよよんさんも実証されていますが、インピーダンス比が大きいと変換損失は大きくなるのでこのような2段組み合わせ技は損失を少なくするという点で有効なのかもしれませんね。
トランスマッチが圧倒的なら・・・
ぶんきゅうさん、こんにちは。
この「二段変換」は、トランスマッチのインピーダンス変換の補完とリアクタンス打ち消しを狙ったものであり、トロイダルコアで作るLマッチのロスがきっと大きいもの(といっても、まぁ-1dBくらい)と踏んで、πマッチのリグ側だけでもトランスマッチにしたらどうか・・・というナンチャッテ回路です。ご推察の通り、調整範囲を広げるために、アンテナ側はT型で考えています。
ところが、少し前の記事で書いたように、Lマッチも案外ロスが少なかったことから、今回の回路でカップラを再作成するか迷っています。πC型での再作成では、現用の「TYPE-Ⅲ」と同じになってしまうんで何となく詰まらないことに加え、ちょっとお高いマイカコンが(細かく調整できるようにしようとすると)そこそこの数必要になるんで、この「トランスマッチ+Tマッチ」も捨て難いんです(^^;)
この「二段変換」は、トランスマッチのインピーダンス変換の補完とリアクタンス打ち消しを狙ったものであり、トロイダルコアで作るLマッチのロスがきっと大きいもの(といっても、まぁ-1dBくらい)と踏んで、πマッチのリグ側だけでもトランスマッチにしたらどうか・・・というナンチャッテ回路です。ご推察の通り、調整範囲を広げるために、アンテナ側はT型で考えています。
ところが、少し前の記事で書いたように、Lマッチも案外ロスが少なかったことから、今回の回路でカップラを再作成するか迷っています。πC型での再作成では、現用の「TYPE-Ⅲ」と同じになってしまうんで何となく詰まらないことに加え、ちょっとお高いマイカコンが(細かく調整できるようにしようとすると)そこそこの数必要になるんで、この「トランスマッチ+Tマッチ」も捨て難いんです(^^;)