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実験用電源ケーブルの要件(了)

2016-07-17      
 三連休初日は、前日の飲み疲れで昼寝を3時間以上してしまい壊滅的な状況、そして酔いが抜けて元気になったのが夕飯後となり、懸案の電源ノイズ対策を進めた結果夜更かしに 日を跨いで漸く「記事纏め」に漕ぎ着けました。

 まず、効果があった電源ケーブルへのパッチンコア装着を棚上げし、現用の実験用電源・・・ヤフオクで「野口英世先生お二人様」で入手したサンハヤトのDK-911の回路を調べてみました。
 この電源はいわゆる「トランス式」であり、スイッチング電源では悩ましい高周波ノイズ等は発生しないことから、アナログ回路には有利と踏んで使っています。安定化回路の中心はポピュラーな”LM317”であり残留ノイズはやや多めですが、まぁ普通の実験用途には十分かと考えていました。ところが回路図をしげしげと眺めていると、折角LM317のデータシートに記述があるリップル低減策・・・LM317の電圧可変端子をパスコンでグランドに落とすと、落とさない場合よりリップル減衰比が15dBほど大きく(65dB⇒80dB)なるという策が施されていないことが判明。



 上記の回路はDK-911の取説からの抜粋です。ひとまず、赤丸で囲んだ部分にパスコンを入れて確認を開始。確認方法は直前記事同様、8MHzの自作FET発振器のスペクトル観測です。



 前回の記事の画像で既にお馴染みの「100Hzの角」波形ですが、コンデンサの追加により少し大人しくなりました。電源からの漏れが少し減った効果かと思われます。

 続いて電源ケーブルのシールド実験・・・1.5D2Vの切れっ端(30cm程)にDCプラグを付けて確認すると、これが何と全く効果がありません 即ち、今回の100Hz&高調波ノイズの問題は、誘導による飛び込みではないことは直ぐに判りました。

 こうなると、パッチンコアで行った対策は、「①電源ラインに乗って到来する100Hz(+高調波)に効果があった」と「②グランドループが断ち切られた」という理由が考えられます。とりわけ、50Hzの高調波が目立たないのはブリッジ整流後に発生する漏れ(全波整流のため、脈流としては100Hzが大きく現れる)が有力であり、この電源回路ではブリッジ整流以降の安定化が不十分でその漏れが大きいのではないかと自分なりには結論しました。しかし、グランドループで余所のノイズを拾って来ている可能性も否めません。

 とは言え、何れにしてもパッチンコアによる対策効果が高いわけですから、これをスマートに実現すべく工作を始めました。これには既存の電源ケーブルの並行フィーダがある程度の巻き数で巻き付けられるトロイダルコア・・・FT82-77を使用しました。最初は1つのコアに7回巻きのものを1つ装着しましたが効果が今一歩・・・ということで、電源ケーブルの両端にバイファイラ巻きのものとキャンセル巻きのものを1つずつの合計2つで落ち着かせました。



 さぁ、ケーブルの確認・・・まずはノイズの軽減具合を確認すべく、DK-910の出力ノイズの様子を9V出力で観てみました。



 ±40mV程度のノイズが見えています。ヒゲのようなノイズが結構ありますね。続いてケーブルを接続してその先端で同様に観測。



 かなり綺麗になりました。早速、発振器のスペクトル観測。



 すっかり綺麗になりました。「100Hzの角」はほぼ殲滅・・・いやぁ、結構気持ちいいです

 800Hzのビートは相変わらずありますが、これは470μFのケミコンを発振器の電源端子に接続すると軽減できます。



 かなり軽減して他のノイズと同程度まで引っ込んでいます。これはお遊びの一環ではありますが、電源ラインのデカップリング(低インピーダンス化)にはやはり意味があるんだなぁと痛感しました。

 以上、紆余曲折はありましたが、この電源でもヘッポコ実験程度はできそう。もう少し高級な電源を用意してもいいんですが、手狭な工作机に似合うこいつをここ暫くは使っていこうと思います。



 電圧計は秋月の小型電圧計です。かなり前から売られてますが、イッパシに校正ボリュームが付いていて結構イケてますよ
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100hzの角といえば・・・

むか~しMCカートリッジ用アンプのホワイトノイズが気になった事がありまして、
+B電源ダイオードの転流ノイズが化けて出ていた事がありました。
リーケージフラックスばかり気にして同じ100Hzでも波と角では聞こえ方がずいぶん違うな~と感心(?)した次第です。
あっ、お呼びでなかったですね。失礼いたしました。

トランスはブンブン・・・

tomさん、コメントありがとうございます。
オーディオ系では、今回のようなノイズが「耳」に直接届きますから、それこそ死活問題ですよね(^^;
そして波形のニュアンスが体感できるというのがミソ・・・tomさんのお話で、高校時代の自作オーディオアンプの「音」を思い出しました。
スイッチを入れると「ブンッ」という音が一瞬聞こえるのが、「今日も元気だぜ」という合図。スピーカに耳を近づけると、残存ハムが微かに聞こえるのを「小さく作り過ぎた」と諦めていました。
おっと、自分も脱線してしまいました・・・。
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