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ハートレー型水晶発振と戯れた話

2016-08-05      
 FETを使った水晶発振回路は部品数が少なく済む魅力があり、このブログのヘッポコ実験によく登場します。特にハートレー型をチョイスしていますが、これは水晶の片端をグランド接続でき、必要に応じて可変範囲を広く取る細工が簡単にできるためです。特にコルピッツ型に恨みがあるわけではありません

 さて、水晶発振に関してはこれまであまり苦労した記憶がありませんでしたが、今回その手慣れた筈の水晶発振回路で結構な苦労をしました。結論から言うと、勝手な思い込みやら勉強不足やらが露呈したのに加え、ワニ口クリップに翻弄された・・・という顛末。まぁ、この辺りの話が暇潰しには打って付けかと思われますので、またしても「自分の老後の読み物」として綴っておきましょう。

 今回の回路は以下のようなものです。基本に忠実・・・というより、「実現性」と「手持ち部品の数」を考慮した構成です。



 ね、何の捻りもありませんよね これをユニバーサル基板に組んで「次の作り物の第一歩」として着手したわけですが、これがウンともスンとも発振せず・・・結局、ヘッポコ実験が始まってしまいました
 この時、発振の確認に自作のミニ・パワーメータを使っていたんですが、試しにこれを外してオシロスコープ(のみ)を接続すると見事に発振しています。つまり、ミニ・パワーメータのインピーダンスである「50Ω終端」では上手く発振できないことが判ったと同時に、水晶やFETなどは「確実に生きている」ということも判りました。

 詰まるところ被疑になったのは、出力側のタンク回路(←今のところ、この呼称で)。ここは、トロ活譲りの「共振器+Lマッチ」の組み合わせで設計してあり、そこそこ自信のある定数のつもり(L1とTCa,b)。そこで、小粒なコンデンサの容量誤読と踏んでコンデンサの容量確認・・・問題なし。こうなると、残るはトロイダルコアに巻いたコイル。
 計算値を信じて巻いたコイルのインダクタンスを測ってみると、設計値より多めの値になっていました。T37-6に14回巻・・・確かに少し巻き数が少ないことから、このインダクタンス値が多めになってしまうことは自明。1巻き解くとインダクタンス値がちょい小さくなり過ぎるものの、ひとまず解いて付け直して改めて発振確認すると、50Ω終端・・・ミニ・パワーメータでも発振が確認できるようになりました。

 博学至極・経験数多の方々には滑稽たる出来事でしょうが、拙者は(誰)ここで漸く「発振回路の出力部は単なるタンク回路ではなく、この部分を含めた全体が発振条件を決める」という理屈・・・この発振回路の原理に行き着いたんですね。ハートレーやコルピッツの発振原理は「読み物的な知識」として頭では判っているつもりでも、実際目の当たりにしないと結局は理解していないという、まぁ毎度お馴染みの「どよよん無線偽士」が現れた・・・といったところでしょう
 改めてハートレー発振についてにわか勉強すると、出力側の共振部分は「誘導性」にしないと上手くない⇒誘導性ということは、同調周波数より「高め」にポイントを置くようにしなくてはならない・・・ざっとこんな風に理解を進め、なぜ発振しなかったのか(なぜコイルを解いてインダクタンス値を下げたら発振したのか)納得することができました。

 この間、発振が停止したり弱かったりという現象が時々発生。実験途上で起こるため、直前の作業にエラーがあるのでは・・・と、何度も後戻りして確認することが多かったんですが、これはワニ口クリップ付きのBNCケーブルの接触不良が原因。それも、ワニ口クリップの絶縁用ビニールゴムの中(ワニ口を大きく覆っている色付きビニール部分の中)で起きた出来事。この原因にはなかなか辿り着くことができず、結構な時間を浪費してしまいました。

 ところで、先に記したように、今まであまり苦労したことがないように思っていた水晶発振・・・この「比較的苦労知らず」にも理由があることに気づきました。
 これまでの水晶発振回路は、殆ど7K/10Kボビンを使ったコイルで製作していました。これら調整用のフェライトコア付きボビンに巻いたコイルのインダクタンスの変化範囲がかなり広いことは(実測された方には)既知のことでしょうが、この可変範囲の広さで「誘導性」の状態を簡単に作り出すことができていた(調整し切れていた)ということのようです。

 こうして長いダンジョン(2週間程)を抜けたんですから、この作りものの完成に向かえばいいんですが、「誘導性」としてどの程度の所に目星を付けたらいいのか調べたくなってきました。これが次の課題なのか、いやいやブッ千切って完成に導くのか・・・ひとまず棚上げして、今日は寝ることにしましょうかね
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アパマンというハンデにさらにQRPまで課し、失敗連続のヘッポコリグや周辺機器の製作・・・趣味というより「荒行」か!?

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