小信号トランジスタのIMD測定(仮)
2016-08-10
昨日に比して-4℃・・・千葉県北西部の今日は、33℃弱の最高気温で勘弁して貰うことができました。ただ、昼過ぎにちょっと出かけた時間帯が一番暑かったようで、さっき(19時頃)田舎から帰ってきた母を迎えにバス停まで行ったときには、そこそこ過ごせる程度になっていました。
さて、今日も今日とてIMD測定絡みに執着して過ごしました。初めて見る世界ですから、時間さえあれば偶数本の「角」を観察・・・まぁ、流石にそろそろ飽きてきましたが、やがて「実用品」として完成するであろう(って、自分で頑張って組み立てないといつまでもバラックな)2トーンジェネレータのバッファ部に採用するトランジスタ探しを行うべく、今日は手持ちの小電力トランジスタのIMDを測定してみました。
まずは測定機器の構成・・・簡単なブロック図を作成しました。

現状の構成では、APB-3への入力が-15dBmを超えないことが条件になることから、測定対象となるトランジスタの利得を凡そ知っておいてから、途中に挿入するアッテネータの配分を決めました。目的はツートーンジェネレータのバッファに使える素子探しですから、細かな値の正確性ではなく「どれが最適なのか」を探す測定です。きっと、ゆくゆくはもう少し整理された形で再測定しようという意図で、記事の題名に『(仮)』を付けました。

測定用のバッファアンプ回路は、オーソドックスなものになりました。実験の前提として、コレクタ電流は出力数十mWを仮定して20mA程度流れる感じにしています。タンク回路は7MHzに同調することを条件に手持ちのコンデンサの容量で簡単に組め、かつQLが10以上となるような値としました。T37-6に15回巻きでは若干インダクタンス不足ですが、まぁ調整の範囲でしょう。

回路図通りにブレッドボードに組みました。入力はキチンとBNCコネクタ受けできましたが、これ1つしか持っていません(毎度「秋月に言ったら買わなきゃ・・・」と思っては、忘れて帰ってくる代物の一つ)。仕方なしにボードの上方に突き刺した貧弱なリード(抵抗かコンデンサの足)で取り出すことに
まぁ、ヘッポコ実験ですからヨシとしましょう
チョイスしたトランジスタはいわゆる「TO-92」タイプで部品箱に仕分けされたものから・・・と思いつつ、自作QRP機の終段によく登場する1Wクラスのものも、お巫山戯で測定してみました。また、低周波用と目されるものも織り交ぜ、その差異をみてみることまで欲張ってみました。早速、結果をお披露目。

3次IMDをIP3、その時の利得をPGとして纏めています。IP3は軒並み20dBm後半・・・27dBm辺りに集中しています。そして、1等賞に輝いたのが定番中の定番・・・2SC1815(ランクはGR)という結果には驚きました。このトランジスタは、自作向けの最高傑作であることは多数の製作事例が証明していますが、「HF帯で数十mW出したい
」という場面ではもっと重用されるべきものかも知れませんね。
高周波製作でポピュラーな2SC1906もほぼ同様なIMD特性ですが、違うのが出力電力・・・と目線をずらしていくと、fTの高いトランジスタがPGの部分で優位になります。そして、IMDも軒並み27dBm以上を叩き出していることから、2SC2407より老番のトランジスタが台頭します。そして、2SC3355が利得でトップ&IP3でもまずまず・・・ということで、このトランジスタの実力がトップかな
ちょっと視点を変えて・・・20mAくらいのIcでは100mWくらいの出力が期待できることになりますが、ここまで出力しようとするとそのトランジスタ自体の最大損失(Pc)を考慮しなければなりません。表中の2SC945はPcが250mWしかありませんから、既にこの実験でもヤバ目。2SC1906も流石に100mW連続では可哀想でしょうね。
逆にPcが500,600mWのものはへっちゃらでしょうから、QRPpの終段やQRPのヤンガーステージには、やはり2SC2407より老番のものをチョイスするのが無難なようです。
低周波用と目されるトランジスタとして、2SC945,1959,2120をチョイスしました。fTの低さでPGが振るわないことは一目瞭然ですが、HFの低い方で30dBくらいのゲインを無理なく稼ぎたい・・・となれば、fTが300MHz程度のものでも上手くチョイスすれば使えます。流通在庫として大量に残っている低周波用のものを上手く使うことも、今後の部品チョイスの妙味としては「有」でしょう。
表の下方に1W出力クラスのトランジスタの測定結果を記しています。スペックとして圧倒的にIcが足りない状態での動作ですから、まともに動いているとは言い難いのは勿論ですが、PGについては30dB弱取れています。そこでエミッタ抵抗を33ΩとしてIcを30mA程度に上げたところ、IPがそれぞれ2~3dB上昇することが判りました(PGはあまり変わらず)。ただ、これでも圧倒的に電流不足ですから、やはりこれらのデバイスは「リニアアンプ然とした回路」でキチンと測定してやる必要があると痛感しました。
表の最右列にあるのは、そのトランジスタにとって「最適」と思われるIcの値です。これらはデータシートからの類推ですからあくまで参考ですが、Pcとの兼ね合いを考慮しながら探るIc最適値の目安として追記しました。
今回の測定の結果、35dB超のゲインとできるだけ低歪みであることが条件になることから、ツートーンジェネレータのバッファアンプは2SC2407か2SC3355にすることにしました。数的には2SC3355を90本余り持っていますからこちらで・・・と思うものの、今回の測定結果でほぼ同様なスペックと言えそうなことから、ジェネレータには残り少ない2SC2407を使って「死蔵回避」したいと思っています。
さて、今日も今日とてIMD測定絡みに執着して過ごしました。初めて見る世界ですから、時間さえあれば偶数本の「角」を観察・・・まぁ、流石にそろそろ飽きてきましたが、やがて「実用品」として完成するであろう(って、自分で頑張って組み立てないといつまでもバラックな)2トーンジェネレータのバッファ部に採用するトランジスタ探しを行うべく、今日は手持ちの小電力トランジスタのIMDを測定してみました。
まずは測定機器の構成・・・簡単なブロック図を作成しました。

現状の構成では、APB-3への入力が-15dBmを超えないことが条件になることから、測定対象となるトランジスタの利得を凡そ知っておいてから、途中に挿入するアッテネータの配分を決めました。目的はツートーンジェネレータのバッファに使える素子探しですから、細かな値の正確性ではなく「どれが最適なのか」を探す測定です。きっと、ゆくゆくはもう少し整理された形で再測定しようという意図で、記事の題名に『(仮)』を付けました。

測定用のバッファアンプ回路は、オーソドックスなものになりました。実験の前提として、コレクタ電流は出力数十mWを仮定して20mA程度流れる感じにしています。タンク回路は7MHzに同調することを条件に手持ちのコンデンサの容量で簡単に組め、かつQLが10以上となるような値としました。T37-6に15回巻きでは若干インダクタンス不足ですが、まぁ調整の範囲でしょう。

回路図通りにブレッドボードに組みました。入力はキチンとBNCコネクタ受けできましたが、これ1つしか持っていません(毎度「秋月に言ったら買わなきゃ・・・」と思っては、忘れて帰ってくる代物の一つ)。仕方なしにボードの上方に突き刺した貧弱なリード(抵抗かコンデンサの足)で取り出すことに


チョイスしたトランジスタはいわゆる「TO-92」タイプで部品箱に仕分けされたものから・・・と思いつつ、自作QRP機の終段によく登場する1Wクラスのものも、お巫山戯で測定してみました。また、低周波用と目されるものも織り交ぜ、その差異をみてみることまで欲張ってみました。早速、結果をお披露目。

3次IMDをIP3、その時の利得をPGとして纏めています。IP3は軒並み20dBm後半・・・27dBm辺りに集中しています。そして、1等賞に輝いたのが定番中の定番・・・2SC1815(ランクはGR)という結果には驚きました。このトランジスタは、自作向けの最高傑作であることは多数の製作事例が証明していますが、「HF帯で数十mW出したい

高周波製作でポピュラーな2SC1906もほぼ同様なIMD特性ですが、違うのが出力電力・・・と目線をずらしていくと、fTの高いトランジスタがPGの部分で優位になります。そして、IMDも軒並み27dBm以上を叩き出していることから、2SC2407より老番のトランジスタが台頭します。そして、2SC3355が利得でトップ&IP3でもまずまず・・・ということで、このトランジスタの実力がトップかな

ちょっと視点を変えて・・・20mAくらいのIcでは100mWくらいの出力が期待できることになりますが、ここまで出力しようとするとそのトランジスタ自体の最大損失(Pc)を考慮しなければなりません。表中の2SC945はPcが250mWしかありませんから、既にこの実験でもヤバ目。2SC1906も流石に100mW連続では可哀想でしょうね。
逆にPcが500,600mWのものはへっちゃらでしょうから、QRPpの終段やQRPのヤンガーステージには、やはり2SC2407より老番のものをチョイスするのが無難なようです。
低周波用と目されるトランジスタとして、2SC945,1959,2120をチョイスしました。fTの低さでPGが振るわないことは一目瞭然ですが、HFの低い方で30dBくらいのゲインを無理なく稼ぎたい・・・となれば、fTが300MHz程度のものでも上手くチョイスすれば使えます。流通在庫として大量に残っている低周波用のものを上手く使うことも、今後の部品チョイスの妙味としては「有」でしょう。
表の下方に1W出力クラスのトランジスタの測定結果を記しています。スペックとして圧倒的にIcが足りない状態での動作ですから、まともに動いているとは言い難いのは勿論ですが、PGについては30dB弱取れています。そこでエミッタ抵抗を33ΩとしてIcを30mA程度に上げたところ、IPがそれぞれ2~3dB上昇することが判りました(PGはあまり変わらず)。ただ、これでも圧倒的に電流不足ですから、やはりこれらのデバイスは「リニアアンプ然とした回路」でキチンと測定してやる必要があると痛感しました。
表の最右列にあるのは、そのトランジスタにとって「最適」と思われるIcの値です。これらはデータシートからの類推ですからあくまで参考ですが、Pcとの兼ね合いを考慮しながら探るIc最適値の目安として追記しました。
今回の測定の結果、35dB超のゲインとできるだけ低歪みであることが条件になることから、ツートーンジェネレータのバッファアンプは2SC2407か2SC3355にすることにしました。数的には2SC3355を90本余り持っていますからこちらで・・・と思うものの、今回の測定結果でほぼ同様なスペックと言えそうなことから、ジェネレータには残り少ない2SC2407を使って「死蔵回避」したいと思っています。
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ぜひFETも測定を~
おはようございます
小信号TRアンプのIMD測定ってあんまり見かけないのでとても貴重な実験ですね。バイアス点やVCCによってもいろいろと変わると思いますのでいろんな条件でテストしてみてはいかがでしょうか。
っていうか早く大物作れー(笑)
小信号TRアンプのIMD測定ってあんまり見かけないのでとても貴重な実験ですね。バイアス点やVCCによってもいろいろと変わると思いますのでいろんな条件でテストしてみてはいかがでしょうか。
っていうか早く大物作れー(笑)
大物のまでの道のりは長い・・・
ぶんきゅさん、コメアリです。
ディスコンのオンパレードになってしまいましたが、セカンドソースで流通している(秋月でも売っている)
2SC3355はかなり使い道が広いデバイスだということが判り、些か買い過ぎた・・・という思いが薄れました(^^;
仰るようにIMDは、VCCやバイアス点にもかなり左右されますから、チョイスしたデバイスの最良ポイントを詰めていくと、また違った結果が出てきそうです。今回好結果&今後の「自分的定番」になりそうな2SC3355や、ディスコンとはいえまだまだ入手可能な2SC1815などは、もう少し突っ込んで調べてみてもいいかも・・・と、こんな調子では、いつまで経っても「大物」には近付けませんねぇ(爆
ディスコンのオンパレードになってしまいましたが、セカンドソースで流通している(秋月でも売っている)
2SC3355はかなり使い道が広いデバイスだということが判り、些か買い過ぎた・・・という思いが薄れました(^^;
仰るようにIMDは、VCCやバイアス点にもかなり左右されますから、チョイスしたデバイスの最良ポイントを詰めていくと、また違った結果が出てきそうです。今回好結果&今後の「自分的定番」になりそうな2SC3355や、ディスコンとはいえまだまだ入手可能な2SC1815などは、もう少し突っ込んで調べてみてもいいかも・・・と、こんな調子では、いつまで経っても「大物」には近付けませんねぇ(爆