計画中のミキサー向けトランスの特性
2017-01-15
ちょっと勇み足だったようです
ミキサー用のトランスに”Quadrifilar”を使ってみようと思い立ち、ちょいと味見をしてみたらそこそこイケそうな感触でご満悦だった当ブログ主、昨夜は酎ハイ
を一杯やりながら次はどうするべ・・・と思案していたところ、巻数の多い方の巻き線に「中点」が必要なことを忘れていたことに気付きました。計画していた”Quadrifilar”では、巻数が多い方に3本の巻き線が来るため上手く中点が取れないわけです。結局、トランスの再考ということになりました。
今回のトランスは、ミキサーの入出力インピーダンスを探って合わせ込む形なんですが、50Ωから概ね200~1000Ωへの変換が必要になります。”Quadrifilar”を採用する時点で、1:9の比率として50Ωから450Ωへのインピーダンス変換でひとまず折り合いを付けようと考えましたが、どうせ巻き直すならと、1:16・・・800Ωへの変換として考え直しました。

トランスのコアには引き続きFB801-43を使うことにしますが、巻線としては以下のようにします。
緑色:バイファイラでN回巻く
水色:単線でN/2回巻く
これで巻数比が1:4、インピーダンス変換比が1:16のトランスができるはずです。図中のコンデンサは測定時には取っ払いますが、バイアスが必要な場合はこのコンデンサの接続位置に電圧を与える形になります。
さて肝心の巻数ですが、FB801-43に無理なく巻ける回数での組み合わせは、「バイファイラ6回:単線3回」「バイファイラ4回:単線2回」辺りでしょうか。流石に単線1回というのは心許ないため実験せず。

実験途中のトランス達です。右のバイファイラ6回巻きは、HFハイバンドの変換損失が大きく(20MHzで-1dB以上、周波数が上がるほど悪化するため)失格とし、左のバイファイラ4回巻き方の特性を採ってみました。

”Quadrifilar”の測定時と同様、50Ωの入力に対して800Ωの負荷を接続した場合の損失である「-6.55dB」付近に補助線を引いてみました。これならHF帯全域が-0.7dB以内に収まりそうなことが判りました。まずまずの結果に満足・・・その後少し夜更かしして
今朝は少しだけ寝坊をしましたが、10時前くらいから「さてと備忘録的記事でも書くか・・・」とブログを見たら、時折コメントを頂くJK1QJSさんから2つ前の記事に「この手のトランスに撚り線を巻く場合、撚り方で特性に影響が出るのかなぁ
」というコメントを頂いていました。なるほど、撚り線の密着具合で特性が変わることは自明ですが、その「程度」が判らないとねぇ・・・。ただ、自分で撚り線をこしらえる場合は「ハンドドリル」でキツ目に撚っていますから、これで満足してあまり考慮したことがありませんでした。
実は、上記のデータ採りをしたトランスはバイファイラの方は「ハンドドリル撚り」ですが、単線の方は後から適当に巻いたもの・・・ある意味「無造作に作った」と言えます。そこで、バイファイラに撚った線に単線を少し巻き付けてから巻いてみました。即ち、バイファイラ巻と単線の結合を密にした・・・というか、まぁ得意のナンチャッテ実験ですね

う~ん、机が汚い・・・というのは置いといて、こんな風に準備した巻線を巻きました。文書で説明するのは非常に難しいんですが、この線にコアを中心辺りまで通し、順方向と逆方向に必要な回数巻きます・・・って、やっぱり無理か

出来上がったトランスのスナップです・・・百聞は一見にしかずと思ったんですが、これでも全く伝わりませんね
まぁ、ヨシとしましょう。
さぁ、このトランスで特性を採ってみました。すると・・・

大喜びするほどではありませんが、全体に渡って0.1~0.2dB程度は改善したようです
この辺り、FB801-43のような透磁率が高いコアかつ線路が短い場合は、ラフに作ってもそれほど性能は変わらないものなのかも知れませんが、受信部に採用する場合はこうしたほんの少しのロスも少ない方が有利なことは言うまでもないでしょう。
このトランスのインピーダンス変換の様子を見てみましょう。50Ωからどのくらいのインピーダンス変換比になったのかは、リターンロスブリッジを使ってAPB-3のインピーダンスアナライザ機能で評価します。

空中配線そのものですが、HF帯ですからまぁこれで十分でしょう。

測定したのは820Ω(青)と1000Ω(赤)です。理論値は800Ω・・・青い線の方が理論値に近いので良さそうですが、やはり巻数が少ないため巻数比率通りにはならず、逆に1000Ωへの変換ということになりそうです(インピーダンス変換比として凡そ1:20)。仮に450Ω付近への変換が必要となれば「バイファイラ3回:単線2回」でイケそうですし、その他のバリエーションも幾つかできそうですから、今回の「トランス製作」についてはこの辺で幕引きに。
さぁ、寒い晩です。温かい夕飯、晩酌で暖まりたいと思います。


今回のトランスは、ミキサーの入出力インピーダンスを探って合わせ込む形なんですが、50Ωから概ね200~1000Ωへの変換が必要になります。”Quadrifilar”を採用する時点で、1:9の比率として50Ωから450Ωへのインピーダンス変換でひとまず折り合いを付けようと考えましたが、どうせ巻き直すならと、1:16・・・800Ωへの変換として考え直しました。

トランスのコアには引き続きFB801-43を使うことにしますが、巻線としては以下のようにします。
緑色:バイファイラでN回巻く
水色:単線でN/2回巻く
これで巻数比が1:4、インピーダンス変換比が1:16のトランスができるはずです。図中のコンデンサは測定時には取っ払いますが、バイアスが必要な場合はこのコンデンサの接続位置に電圧を与える形になります。
さて肝心の巻数ですが、FB801-43に無理なく巻ける回数での組み合わせは、「バイファイラ6回:単線3回」「バイファイラ4回:単線2回」辺りでしょうか。流石に単線1回というのは心許ないため実験せず。

実験途中のトランス達です。右のバイファイラ6回巻きは、HFハイバンドの変換損失が大きく(20MHzで-1dB以上、周波数が上がるほど悪化するため)失格とし、左のバイファイラ4回巻き方の特性を採ってみました。

”Quadrifilar”の測定時と同様、50Ωの入力に対して800Ωの負荷を接続した場合の損失である「-6.55dB」付近に補助線を引いてみました。これならHF帯全域が-0.7dB以内に収まりそうなことが判りました。まずまずの結果に満足・・・その後少し夜更かしして

今朝は少しだけ寝坊をしましたが、10時前くらいから「さてと備忘録的記事でも書くか・・・」とブログを見たら、時折コメントを頂くJK1QJSさんから2つ前の記事に「この手のトランスに撚り線を巻く場合、撚り方で特性に影響が出るのかなぁ

実は、上記のデータ採りをしたトランスはバイファイラの方は「ハンドドリル撚り」ですが、単線の方は後から適当に巻いたもの・・・ある意味「無造作に作った」と言えます。そこで、バイファイラに撚った線に単線を少し巻き付けてから巻いてみました。即ち、バイファイラ巻と単線の結合を密にした・・・というか、まぁ得意のナンチャッテ実験ですね


う~ん、机が汚い・・・というのは置いといて、こんな風に準備した巻線を巻きました。文書で説明するのは非常に難しいんですが、この線にコアを中心辺りまで通し、順方向と逆方向に必要な回数巻きます・・・って、やっぱり無理か


出来上がったトランスのスナップです・・・百聞は一見にしかずと思ったんですが、これでも全く伝わりませんね

さぁ、このトランスで特性を採ってみました。すると・・・

大喜びするほどではありませんが、全体に渡って0.1~0.2dB程度は改善したようです

このトランスのインピーダンス変換の様子を見てみましょう。50Ωからどのくらいのインピーダンス変換比になったのかは、リターンロスブリッジを使ってAPB-3のインピーダンスアナライザ機能で評価します。

空中配線そのものですが、HF帯ですからまぁこれで十分でしょう。

測定したのは820Ω(青)と1000Ω(赤)です。理論値は800Ω・・・青い線の方が理論値に近いので良さそうですが、やはり巻数が少ないため巻数比率通りにはならず、逆に1000Ωへの変換ということになりそうです(インピーダンス変換比として凡そ1:20)。仮に450Ω付近への変換が必要となれば「バイファイラ3回:単線2回」でイケそうですし、その他のバリエーションも幾つかできそうですから、今回の「トランス製作」についてはこの辺で幕引きに。
さぁ、寒い晩です。温かい夕飯、晩酌で暖まりたいと思います。
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了解しました
この結果を差があると見るか、ないと見るかは考え方次第
でしょうか。どちらでも大差ないが細かく見ると差がある
と理解しました
くだらない疑問におつきあいいただき有り難うございます
でしょうか。どちらでも大差ないが細かく見ると差がある
と理解しました
くだらない疑問におつきあいいただき有り難うございます
あるって言えばあるでしょう
JK1QJSさん、コメントありがとうございます。
今回は「リンクコイル的」な部分でしか試していませんが、例えば単なるバイファイラ巻きのような場合にはどうなるか、調べておいても良さそうですね。
良い実験ネタ提供、ありがとうございました。
今回は「リンクコイル的」な部分でしか試していませんが、例えば単なるバイファイラ巻きのような場合にはどうなるか、調べておいても良さそうですね。
良い実験ネタ提供、ありがとうございました。