ちょいと古いミキサーの実験結果
2017-03-11
昨日は半日で都内の野暮用を片付け、帰りに秋月に寄って「次の実験に必要な部品」を買ってきました。ここで横道に逸れてしまうと、実験中のミキサーの結果まとめが頓挫しそう・・・というわけで、今日はこの結果を纏め切ってしまいましょう。
◆入出力インピーダンス
SL6440Cの最適な動作条件を探すべく、まずは入出力インピーダンスを測定してみました。

赤が入力、青が出力インピーダンスです。この測定では、入出力のトランスに「1:1」のもの・・・即ち、インピーダンス変換が生じないような接続にして測定しています。何れも1.6MHz辺りにピークがあり、数KΩ程度の模様。
入力インピーダンスについては、カタログスペックとしてシングルエンドで500Ω、ディファレンシャルで1000Ωを謳っていますが、平均的にはもっと低いようですね。因みにHF全域において数百~数十Ωをキープしており、高い周波数に向かって下がっていく傾向、28MHzでは31Ω程度になっています。こうなると、入力側のマッチングはあまりHigh-Zへの変換は要らないようです。
◆入出力のマッチング
続いて、実際に回路を組むときに必要になる入出力マッチングの条件を探ってみました。回路図を再掲。

まずは入力(RF)。ここは、入力ピンである12,13にインピーダンスを固定するための抵抗を入れているのがデータシートに参考回路として掲載されています(450Ω)。ところが諸OMの自作の様子を拝見すると、この抵抗が有ったり無かったり、或いは抵抗値があれこれ違っているため、どれが最適に近いのか判りません。そこで、ちょっと試行錯誤に近い形で探ってみました。
用意したコイルは、以下の4種類のインピーダンス変換を行うコイルです。何れもFB801-43に巻いています。
① 50Ω:50Ω(1:1・・・Quadrifilar 4Tで2本分を入力、残り2本で
中点を取る)
② 50Ω:200Ω(1:4・・・Trifilar 4T)
③ 50Ω:450Ω(1:9・・・④と同じような作り方)
④ 50Ω:800Ω(1:16・・・このページに作り方あり)
また、入力ピンの抵抗値は1KΩの半固定抵抗を使って合わせ込む方法にしました・・・と、ここまではイイ感じだったんですが、結果的には以下のようになりました。
● インピーダンス変換比を大きくすると、入力ピンに与えられる電圧が
大きくなるため、カタログスペックである「0dBm入力で60dBc」を
実現しようとすると、変換比が大きい程不利。
● さらに、入力インピーダンスもかなり下げてやらないと、上記の
「0dBm入力で-60dBc」が確保できない。
結局、入力コイルとしては①または②とし、さらに最適な入力インピーダンスを半固定抵抗で設定するのが良さそうです。
一方、出力(IF)の方も同じように上記のコイルで探っていきました。こちらは、①では出力が十分得られず、②から④での差異はあまりハッキリしませんでした。詰まるところ、一番製作が簡単な②で十分なようです。
◆OIPとコントロール電流との関連性
続いては、入力側コイルを①、出力側を②として、OIPとコントロール電流との関連性を纏めてみました。入力は7MHzのツートーン@0dBm、VDD1とVDD2の電圧はそれぞれ12Vと9Vにしています。

少し前の記事でフライングして記述したように、OIP値が30dBmを上回る設定にするためにはかなり電流が必要・・・IC全体の消費電流として100mA程度が必要です。この時、IC自体の発熱がそこそこあることから、実装時には簡単な放熱対策をしておいた方が良さそうです。
◆VDD1とVDD2の電圧差
VDD1とVDD2の電圧差は1.5V以上あれば大丈夫なようで、この電圧差に関する特徴的な挙動は認められませんでしたので、上記の実験は全て3V差(VDD1:12V、VDD2:9V)としています。また、この電圧差を作り出すために幾つかのシリコンダイオードを直列接続されているものが製作例としては多いようですが、ここはツェナダイオードで行けそうです。
◆LOレベルについて
LO入力はシングルエンドで1500Ω程度のインピーダンスというのがカタログ値です。この入力はかなりラフで良さそうで、51Ωの抵抗で入力インピーダンスを固定した状態で-17dBmから+15dBmの範囲では正常に動作しているようです。局発信号としてはあまり大食らいでないところは、ダイオードDBMより有利になりそうです。
◆調整した後のIMDの様子
ミキサーの出力に-20dBのアッテネータを接続した状態でIMDを測定しました。まずは0dBm入力。

67dBc程度のIM値となっています。IC全体の消費電流は凡そ106mAとなりました。続いては・・・

入力を-13dBm・・・一般のHF機の「S9+60dB」に当たる入力電力にしてみました。これで-75dBc程度となっています。我が常置場所での運用ではここまで強い信号が受信されることは希だと思いますし、20dB程度のアッテネータを入れられるように製作すれば、実用に十分耐え得るものができそうです
以上でSL6440Cの実験は漸く終了、次の実験は暫く「仕込み」が必要になりそうです・・・。
◆入出力インピーダンス
SL6440Cの最適な動作条件を探すべく、まずは入出力インピーダンスを測定してみました。

赤が入力、青が出力インピーダンスです。この測定では、入出力のトランスに「1:1」のもの・・・即ち、インピーダンス変換が生じないような接続にして測定しています。何れも1.6MHz辺りにピークがあり、数KΩ程度の模様。
入力インピーダンスについては、カタログスペックとしてシングルエンドで500Ω、ディファレンシャルで1000Ωを謳っていますが、平均的にはもっと低いようですね。因みにHF全域において数百~数十Ωをキープしており、高い周波数に向かって下がっていく傾向、28MHzでは31Ω程度になっています。こうなると、入力側のマッチングはあまりHigh-Zへの変換は要らないようです。
◆入出力のマッチング
続いて、実際に回路を組むときに必要になる入出力マッチングの条件を探ってみました。回路図を再掲。

まずは入力(RF)。ここは、入力ピンである12,13にインピーダンスを固定するための抵抗を入れているのがデータシートに参考回路として掲載されています(450Ω)。ところが諸OMの自作の様子を拝見すると、この抵抗が有ったり無かったり、或いは抵抗値があれこれ違っているため、どれが最適に近いのか判りません。そこで、ちょっと試行錯誤に近い形で探ってみました。
用意したコイルは、以下の4種類のインピーダンス変換を行うコイルです。何れもFB801-43に巻いています。
① 50Ω:50Ω(1:1・・・Quadrifilar 4Tで2本分を入力、残り2本で
中点を取る)
② 50Ω:200Ω(1:4・・・Trifilar 4T)
③ 50Ω:450Ω(1:9・・・④と同じような作り方)
④ 50Ω:800Ω(1:16・・・このページに作り方あり)
また、入力ピンの抵抗値は1KΩの半固定抵抗を使って合わせ込む方法にしました・・・と、ここまではイイ感じだったんですが、結果的には以下のようになりました。
● インピーダンス変換比を大きくすると、入力ピンに与えられる電圧が
大きくなるため、カタログスペックである「0dBm入力で60dBc」を
実現しようとすると、変換比が大きい程不利。
● さらに、入力インピーダンスもかなり下げてやらないと、上記の
「0dBm入力で-60dBc」が確保できない。
結局、入力コイルとしては①または②とし、さらに最適な入力インピーダンスを半固定抵抗で設定するのが良さそうです。
一方、出力(IF)の方も同じように上記のコイルで探っていきました。こちらは、①では出力が十分得られず、②から④での差異はあまりハッキリしませんでした。詰まるところ、一番製作が簡単な②で十分なようです。
◆OIPとコントロール電流との関連性
続いては、入力側コイルを①、出力側を②として、OIPとコントロール電流との関連性を纏めてみました。入力は7MHzのツートーン@0dBm、VDD1とVDD2の電圧はそれぞれ12Vと9Vにしています。

少し前の記事でフライングして記述したように、OIP値が30dBmを上回る設定にするためにはかなり電流が必要・・・IC全体の消費電流として100mA程度が必要です。この時、IC自体の発熱がそこそこあることから、実装時には簡単な放熱対策をしておいた方が良さそうです。
◆VDD1とVDD2の電圧差
VDD1とVDD2の電圧差は1.5V以上あれば大丈夫なようで、この電圧差に関する特徴的な挙動は認められませんでしたので、上記の実験は全て3V差(VDD1:12V、VDD2:9V)としています。また、この電圧差を作り出すために幾つかのシリコンダイオードを直列接続されているものが製作例としては多いようですが、ここはツェナダイオードで行けそうです。
◆LOレベルについて
LO入力はシングルエンドで1500Ω程度のインピーダンスというのがカタログ値です。この入力はかなりラフで良さそうで、51Ωの抵抗で入力インピーダンスを固定した状態で-17dBmから+15dBmの範囲では正常に動作しているようです。局発信号としてはあまり大食らいでないところは、ダイオードDBMより有利になりそうです。
◆調整した後のIMDの様子
ミキサーの出力に-20dBのアッテネータを接続した状態でIMDを測定しました。まずは0dBm入力。

67dBc程度のIM値となっています。IC全体の消費電流は凡そ106mAとなりました。続いては・・・

入力を-13dBm・・・一般のHF機の「S9+60dB」に当たる入力電力にしてみました。これで-75dBc程度となっています。我が常置場所での運用ではここまで強い信号が受信されることは希だと思いますし、20dB程度のアッテネータを入れられるように製作すれば、実用に十分耐え得るものができそうです

以上でSL6440Cの実験は漸く終了、次の実験は暫く「仕込み」が必要になりそうです・・・。
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