AGC回路の初段の決定版・・・かな!?
2017-03-18
この三連休の初っ端は、久々に公私共予定のない穏やかな一日です。4月からコマーシャル上の担務が大きく変わることから、来週辺りから引き継ぎで忙しくなりそうですから、その前に十分英気を養っておこうと少し寝坊をしました。そして昼食前から、AGC回路の初段に置くアンプ部分の様子を調べてみました。
実はこの実験自体は、数日前の帰宅後に実験回路をブレッドボードに組んで味見しており、これをそのまま使ってのデータ整理が中心。それでは、実験で求めた各部品の値を記入した回路図を披露。

まず、入力はIFアンプ出力の目安として-13dBmを前提とし、入力コンデンサには4MHzで3KΩ程度のインピーダンスとなる12pF、ご本尊のFETには手持ち在庫数の関係からひとまず2SK192AのGRランクを選びました。
今更書く必要もありませんが、FETはIDSSのバラツキが激しく、無作為に選んだ4本のGRランクのIDSSは7mAから12mAまでとなっており、終端抵抗を1.8KΩに固定して探ってみましたが、ソース抵抗値をかなりキチンと選んでやらないと出力電圧に影響が出ていました。
結果的には-13dBmの入力に対し770mV程度のDC出力が得られました。後続にADコンバータを直接接続する場合、1V以上になると扱い易いんですが、ちょっと足りません。ただ、これは入力コンデンサのインピーダンスを高くしようとするあまり、この部分で入力信号がかなり小さくなっていることが原因です。試しに入力コンデンサを22pF(4MHzのインピーダンス換算で1.8KΩ)に換装すると、出力電圧は1Vを超えてきます。
さらに追加実験。IFアンプの出力には通常「復調回路」が接続されます。ここにダイオードを用いたDBMやSBMが直結されると、かなり低いインピーダンスで終端されることになります。そこで、このアンプの先頭に「仮想終端」を置いて、低インピーダンスの復調回路が接続された状況を作り出してみました。すると、出力電圧は約半分(770mV⇒340mV)になりました。この辺り、実際の受信機に仕立てる場合の設計要素になりそうです。ICの復調回路ではもう少し高いインピーダンスで受けられそうですから、「復調回路はICで簡素に・・・」というのも選択肢に入れられそうですね。
そして、さらに追加実験。これは、アンプの負荷抵抗(ドレイン抵抗)をインダクタに換えたらどうなるか・・・という実験です。

負荷には手持ちのマイクロインダクタから、ひとまず4MHzでインピーダンスが2KΩ程度になる「100μH」(インピーダンス換算で2.5KΩ)を選んで動かしてみました。また、バイアス回路はそのまま(0バイアス)とするため、ソース抵抗は取っ払っています。
この状態で、出力電圧は2.1Vとなりました。勿論、ドレイン電流はほぼIDSS値となるため消費電流的には抵抗負荷より少し不利ですがまぁ数mAの差ですから、これを我慢してあくまで「1V以上のAGC電圧抽出」に拘ってもいいかも・・・。
ただ、この回路には2点の問題があります。それは、このコイルがIF周波数の出力源となることとコイルの誘導です。このインダクタにはIFからの信号が入力された上に増幅していますから、受信機の中に組み込んだらこの信号がインダクタから不要に輻射されてIF入力側に戻っていくと不味く(これは抵抗負荷でも考えられるが、インダクタ負荷ほどではない)、かつこのコイルが誘導で受信機内部の不要な信号を拾う可能性がある(IF信号と関係ない信号でAGCが動作してしまう:手を近付けると、出力電力が少し変化することから類推)という芳しからぬ事柄であり、少なくとも漫然と受信機内に配置するのは御法度と言えそうです。
さて、AGCアンプとしての実験自体はこれで終了にしていいんですが、その他に手持ちのFETでどんな感じになるかをざっと探ってみました。以下、抵抗負荷での確認事項です。
◆ 2SK241
電力利得が2SK192Aより高いことから、上記の回路でソース抵抗を上手く調整すると(というか、ランクによっては取っ払っても)もう少しゲインが稼げます。12pFの入力コンデンサでも1V出力は可能であり、在庫の問題が無ければこちらをチョイスした方がよさそうです。
◆ 2SK246
今回の実験ではIF周波数が低いことから、汎用の(高周波用でない)FETの可能性も見てみました。ドレイン抵抗とソース抵抗をそれぞれ探って最適値を探したところ、230mVくらいの出力電圧が出てきました。が、電圧利得換算で10dBほど小さくなってしまうことから、この選択は難しいでしょう。
◆ J310とJ211
在庫豊富なJ310に加え、J211についても最適値化して見てみました。特にJ310は「住む世界が違う石」といった感じで、ソース抵抗をかなり大きく(数KΩ)してバイアスを深くしないと、電流が・・・。その上、何れも2SK192A/2SK241より利得が稼げず、出力電圧も500mVから600mV程度・・・無理をして使う程でもないと思いました。
インダクタ負荷のコイル部分を同調回路にするのも「アリ」ですが、とりあえずこのセクションの実験は終了にします。次は制御対象となるIFアンプ本体かな
修正 17/12/10>
抵抗負荷の回路図で、抵抗に関する注釈が間違っていました。別記事で引用するため差し替えました。
実はこの実験自体は、数日前の帰宅後に実験回路をブレッドボードに組んで味見しており、これをそのまま使ってのデータ整理が中心。それでは、実験で求めた各部品の値を記入した回路図を披露。

まず、入力はIFアンプ出力の目安として-13dBmを前提とし、入力コンデンサには4MHzで3KΩ程度のインピーダンスとなる12pF、ご本尊のFETには手持ち在庫数の関係からひとまず2SK192AのGRランクを選びました。
今更書く必要もありませんが、FETはIDSSのバラツキが激しく、無作為に選んだ4本のGRランクのIDSSは7mAから12mAまでとなっており、終端抵抗を1.8KΩに固定して探ってみましたが、ソース抵抗値をかなりキチンと選んでやらないと出力電圧に影響が出ていました。
結果的には-13dBmの入力に対し770mV程度のDC出力が得られました。後続にADコンバータを直接接続する場合、1V以上になると扱い易いんですが、ちょっと足りません。ただ、これは入力コンデンサのインピーダンスを高くしようとするあまり、この部分で入力信号がかなり小さくなっていることが原因です。試しに入力コンデンサを22pF(4MHzのインピーダンス換算で1.8KΩ)に換装すると、出力電圧は1Vを超えてきます。
さらに追加実験。IFアンプの出力には通常「復調回路」が接続されます。ここにダイオードを用いたDBMやSBMが直結されると、かなり低いインピーダンスで終端されることになります。そこで、このアンプの先頭に「仮想終端」を置いて、低インピーダンスの復調回路が接続された状況を作り出してみました。すると、出力電圧は約半分(770mV⇒340mV)になりました。この辺り、実際の受信機に仕立てる場合の設計要素になりそうです。ICの復調回路ではもう少し高いインピーダンスで受けられそうですから、「復調回路はICで簡素に・・・」というのも選択肢に入れられそうですね。
そして、さらに追加実験。これは、アンプの負荷抵抗(ドレイン抵抗)をインダクタに換えたらどうなるか・・・という実験です。

負荷には手持ちのマイクロインダクタから、ひとまず4MHzでインピーダンスが2KΩ程度になる「100μH」(インピーダンス換算で2.5KΩ)を選んで動かしてみました。また、バイアス回路はそのまま(0バイアス)とするため、ソース抵抗は取っ払っています。
この状態で、出力電圧は2.1Vとなりました。勿論、ドレイン電流はほぼIDSS値となるため消費電流的には抵抗負荷より少し不利ですがまぁ数mAの差ですから、これを我慢してあくまで「1V以上のAGC電圧抽出」に拘ってもいいかも・・・。
ただ、この回路には2点の問題があります。それは、このコイルがIF周波数の出力源となることとコイルの誘導です。このインダクタにはIFからの信号が入力された上に増幅していますから、受信機の中に組み込んだらこの信号がインダクタから不要に輻射されてIF入力側に戻っていくと不味く(これは抵抗負荷でも考えられるが、インダクタ負荷ほどではない)、かつこのコイルが誘導で受信機内部の不要な信号を拾う可能性がある(IF信号と関係ない信号でAGCが動作してしまう:手を近付けると、出力電力が少し変化することから類推)という芳しからぬ事柄であり、少なくとも漫然と受信機内に配置するのは御法度と言えそうです。
さて、AGCアンプとしての実験自体はこれで終了にしていいんですが、その他に手持ちのFETでどんな感じになるかをざっと探ってみました。以下、抵抗負荷での確認事項です。
◆ 2SK241
電力利得が2SK192Aより高いことから、上記の回路でソース抵抗を上手く調整すると(というか、ランクによっては取っ払っても)もう少しゲインが稼げます。12pFの入力コンデンサでも1V出力は可能であり、在庫の問題が無ければこちらをチョイスした方がよさそうです。
◆ 2SK246
今回の実験ではIF周波数が低いことから、汎用の(高周波用でない)FETの可能性も見てみました。ドレイン抵抗とソース抵抗をそれぞれ探って最適値を探したところ、230mVくらいの出力電圧が出てきました。が、電圧利得換算で10dBほど小さくなってしまうことから、この選択は難しいでしょう。
◆ J310とJ211
在庫豊富なJ310に加え、J211についても最適値化して見てみました。特にJ310は「住む世界が違う石」といった感じで、ソース抵抗をかなり大きく(数KΩ)してバイアスを深くしないと、電流が・・・。その上、何れも2SK192A/2SK241より利得が稼げず、出力電圧も500mVから600mV程度・・・無理をして使う程でもないと思いました。
インダクタ負荷のコイル部分を同調回路にするのも「アリ」ですが、とりあえずこのセクションの実験は終了にします。次は制御対象となるIFアンプ本体かな

修正 17/12/10>
抵抗負荷の回路図で、抵抗に関する注釈が間違っていました。別記事で引用するため差し替えました。
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IFの石はやはり1855?
おはようございます!
気づかぬうちに記事が進んでいました^^;
IFからAGC電圧生成ですね。どんな感じになるのかほんとうに楽しみです。
倍電圧整流後の平滑Cは0.01uFのようですが、リプルとかはいかがでしょうか?
でもAD変換に繋がるのでソフトウエアで補正できそうですね。
当局のはAF信号から生成しているのでリプルの周波数が低く、オペアンプの絶対値回路
で全波整流してなおかつ平滑Cを大きくするという苦肉の策をやっています。なので、強信号
のときのAGCアタックがやや遅れてポコってしまします^^;これもAD変換してソフトウエア制御
で補正できないかなと考えています。
気づかぬうちに記事が進んでいました^^;
IFからAGC電圧生成ですね。どんな感じになるのかほんとうに楽しみです。
倍電圧整流後の平滑Cは0.01uFのようですが、リプルとかはいかがでしょうか?
でもAD変換に繋がるのでソフトウエアで補正できそうですね。
当局のはAF信号から生成しているのでリプルの周波数が低く、オペアンプの絶対値回路
で全波整流してなおかつ平滑Cを大きくするという苦肉の策をやっています。なので、強信号
のときのAGCアタックがやや遅れてポコってしまします^^;これもAD変換してソフトウエア制御
で補正できないかなと考えています。
更新は密かに(嘘
ぶんきゅうさん、こんにちは。
IFからのAGC取り出しのトップはこんな形で簡素にやっつけたいと思っていますが、以前の製作では2度とも、キャリアリーク→IF利得が上がらないという部分でかなり苦労した記憶があり、これが一番の懸念です。
先読みされちゃいましたが、AGCのADコン受けでソフト制御となると、リップルや立ち上がりの過渡的な部分は、逆に「素直」に出てきてくれた方がいいかな?と、現時点では整理しています。
ま、結果は気長にお待ち下さい(^^;)
IFからのAGC取り出しのトップはこんな形で簡素にやっつけたいと思っていますが、以前の製作では2度とも、キャリアリーク→IF利得が上がらないという部分でかなり苦労した記憶があり、これが一番の懸念です。
先読みされちゃいましたが、AGCのADコン受けでソフト制御となると、リップルや立ち上がりの過渡的な部分は、逆に「素直」に出てきてくれた方がいいかな?と、現時点では整理しています。
ま、結果は気長にお待ち下さい(^^;)