水晶パラメータ測定の様子
2017-06-11
昨日・今日の休日は、ほぼ天気予報通りとなりました。特に昨日の土曜日は30℃近くまで気温が上がり、かつ湿った南風という梅雨の合間独特の天気・・・夕刻シャワーを浴びてから買い物に出掛けたため汗ビッショリとはならなかったものの、やがては来るであろう本格的な梅雨を想像し、少々ゲンナリしてしまいました
が、5月末に掃除しておいたエアコンは絶好調、今年も世話になることでしょう。
この週末の空いた時間は、先日作成した水晶測定アダプタで水晶のパラメータを測定してみました。まずは測定対象である水晶のスナップから。

この水晶は、ラダー型のフィルタを作ろうと思いヤフオクで落札したもので「4096KHz」のもの。取引メールを見たら「2009年」に入手したようです。SII製(セイコーインスツル社製)のようで、半端な数(19個)の売り切りだったこともありかなり廉価に入手できました。
当時はSSBの自作機を画策していたこともあり、「中心周波数を合わせて適当なコンデンサで帯域成形」といった簡易な設計で組み上げられるもの(どうやら、Cohn型というらしいです・・・)を指向していましたが、興味の対象がほぼ完全にCWへ移ってかなり狭帯域なものが必要となり、自作するハードルが一段上がってしまったためそのままお蔵入り
その後、WやEUの自作派が重用する設計方法や設計ツールについて、JAの自作派OM諸氏のWeb記事(一部、無線雑誌の記事)として紹介されるようになりました。そして、JA9TTT/加藤OMのWeb記事を始めとしてかなり丁寧にまとめて発表される記事が散見されるようになり、かつこの間に実に優秀な実用測定器「APB-3」を入手したことも後押しとなり、遅ればせながら自分もチャレンジしてみようと思った次第。
そんなわけで、約8年の眠りから覚めた水晶達は、いきなり選別し易いようにマジックで番号を振られることになった・・・というのが、上のスナップでした
番号が振られた水晶は、一先ず自作LCメータで全ての水晶の端子間容量「Cp」を測定して表作りを開始。続いて、水晶の発振周波数等を測定して・・・いえいえ、その前に、水晶測定アダプタに具備した直列コンデンサの容量を測っておきましょう。何処を測るかって
では、回路図を再掲。

直列コンデンサはSW1をオンにした状態でA-B間の容量を測ります。このコンデンサは取り外したりしませんから、一度キチンと測っておけばOK。

何度か測定して27.04pFで安定しましたので、これを容量値としました。このコンデンサの表示容量は24pFですが、コンデンサ自体の誤差とストレー容量含みでこの値になるんでしょう。
これでアダプタの準備が整いました。早速、水晶のパラメータを測定しましょう。まずは直列共振周波数「fs」を測定します。4096KHzより少し下の周波数で共振する筈ですから、その辺りに狙いを付けてAPB-3のネットアナモードで探します。

測定風景です。足が長いまま、ピンソケットに挿して測定していますが、何れソケットがヘタるのは必至・・・というわけで、この部分は2段重ねにしています。
APB-3で採れた直列共振の様子を以下に。

ネットアナモードでの測定ですから事前に測定帯域の正規化をしておくのは勿論ですが、上手く帯域を選んでやると、正規化の作業は少ない回数で済みます。例えば、上のグラフで4.094671MHz±100Hz以内に直列共振周波数がある水晶を測定する場合、正規化は必要ないことになります。正規化する場合は、水晶を外した状態でSW3のみをオンにして帯域内を1度掃引してやり、それを正規化データにすればOKです。
直列共振周波数の測定が終わったら、水晶と直列コンデンサを接続・・・即ちSW1をオンにして直列コンデンサを接続した状態で、水晶の共振周波数のズレを測定します。測定の方法は、上記直列共振周波数の測定と同じです。
これが終わったら最後の測定・・・水晶の損失を求めます。これには一手間必要です。
まず、直列共振周波数を求めた時と同じように測定を行い、直列共振周波数のピーク値を記憶しておきます。上のグラフではこの値が「-4.56dB」になっていますね。これが終わったらSW2をオンにし、このピーク値と同じ値になるように、アダプタに具備したボリュームを調整します。
APB-3では測定データのトレース数を簡単に変更できますから、直列共振周波数の測定終了後にトレース数を「2」にして、ボリューム調整が何度でも行えるようにしておくと良いでしょう。多少コツが要りますが、慣れると以下のようにデータが採れます。

この状態になったらボリュームの値を読めば、それが損失を示す「Rm」ということになります。この時、アダプタのスイッチ状態はSW2がオンであるだけであり、ボリューム両端の端子B,Cにテスターを当てるとSW1(これはオフ)を介して導通してしまい抵抗値が測れないため、SW1もオンにしてからテスターを当てます。
こうして得られたデータから計算した水晶のパラメータを表にまとめたものを以下に。

まぁざっと、こんな具合にパラメータの測定が完了しました。19個あったはずの水晶が1つ足りないのは、別の実験で使って元に戻さなかったため、何処かへ旅に出た模様・・・。
Cp、fs、fΔ、Rmが求められれば、後はExcelに仕込んだ計算式が自動的に計算してくれます。「組合せ」の部分は、8ポールのフィルタを組む場合に比較的fsが近いものを選ぶとこんな感じになるということを示しおり、3つのパターンができそうです。
これらのデータは勿論「精度良く」という部分が後々モノを言いそうですが、自作の治具+APB-3という条件でどんなフィルタができるか・・・この辺りが最も興味が湧くところでしょう。また、使用するツールの理解には「英語必須」であり、漸く大筋は掴んだといった状態です。この辺りが紹介できれば、このヘッポコ・ブログも報われるというものでしょう。上手くいかなければ原因を探り、一段ずつステップアップできれば・・・ここ暫くは、このフィルタのネタが続きますよ

この週末の空いた時間は、先日作成した水晶測定アダプタで水晶のパラメータを測定してみました。まずは測定対象である水晶のスナップから。

この水晶は、ラダー型のフィルタを作ろうと思いヤフオクで落札したもので「4096KHz」のもの。取引メールを見たら「2009年」に入手したようです。SII製(セイコーインスツル社製)のようで、半端な数(19個)の売り切りだったこともありかなり廉価に入手できました。
当時はSSBの自作機を画策していたこともあり、「中心周波数を合わせて適当なコンデンサで帯域成形」といった簡易な設計で組み上げられるもの(どうやら、Cohn型というらしいです・・・)を指向していましたが、興味の対象がほぼ完全にCWへ移ってかなり狭帯域なものが必要となり、自作するハードルが一段上がってしまったためそのままお蔵入り

その後、WやEUの自作派が重用する設計方法や設計ツールについて、JAの自作派OM諸氏のWeb記事(一部、無線雑誌の記事)として紹介されるようになりました。そして、JA9TTT/加藤OMのWeb記事を始めとしてかなり丁寧にまとめて発表される記事が散見されるようになり、かつこの間に実に優秀な実用測定器「APB-3」を入手したことも後押しとなり、遅ればせながら自分もチャレンジしてみようと思った次第。
そんなわけで、約8年の眠りから覚めた水晶達は、いきなり選別し易いようにマジックで番号を振られることになった・・・というのが、上のスナップでした

番号が振られた水晶は、一先ず自作LCメータで全ての水晶の端子間容量「Cp」を測定して表作りを開始。続いて、水晶の発振周波数等を測定して・・・いえいえ、その前に、水晶測定アダプタに具備した直列コンデンサの容量を測っておきましょう。何処を測るかって


直列コンデンサはSW1をオンにした状態でA-B間の容量を測ります。このコンデンサは取り外したりしませんから、一度キチンと測っておけばOK。

何度か測定して27.04pFで安定しましたので、これを容量値としました。このコンデンサの表示容量は24pFですが、コンデンサ自体の誤差とストレー容量含みでこの値になるんでしょう。
これでアダプタの準備が整いました。早速、水晶のパラメータを測定しましょう。まずは直列共振周波数「fs」を測定します。4096KHzより少し下の周波数で共振する筈ですから、その辺りに狙いを付けてAPB-3のネットアナモードで探します。

測定風景です。足が長いまま、ピンソケットに挿して測定していますが、何れソケットがヘタるのは必至・・・というわけで、この部分は2段重ねにしています。
APB-3で採れた直列共振の様子を以下に。

ネットアナモードでの測定ですから事前に測定帯域の正規化をしておくのは勿論ですが、上手く帯域を選んでやると、正規化の作業は少ない回数で済みます。例えば、上のグラフで4.094671MHz±100Hz以内に直列共振周波数がある水晶を測定する場合、正規化は必要ないことになります。正規化する場合は、水晶を外した状態でSW3のみをオンにして帯域内を1度掃引してやり、それを正規化データにすればOKです。
直列共振周波数の測定が終わったら、水晶と直列コンデンサを接続・・・即ちSW1をオンにして直列コンデンサを接続した状態で、水晶の共振周波数のズレを測定します。測定の方法は、上記直列共振周波数の測定と同じです。
これが終わったら最後の測定・・・水晶の損失を求めます。これには一手間必要です。
まず、直列共振周波数を求めた時と同じように測定を行い、直列共振周波数のピーク値を記憶しておきます。上のグラフではこの値が「-4.56dB」になっていますね。これが終わったらSW2をオンにし、このピーク値と同じ値になるように、アダプタに具備したボリュームを調整します。
APB-3では測定データのトレース数を簡単に変更できますから、直列共振周波数の測定終了後にトレース数を「2」にして、ボリューム調整が何度でも行えるようにしておくと良いでしょう。多少コツが要りますが、慣れると以下のようにデータが採れます。

この状態になったらボリュームの値を読めば、それが損失を示す「Rm」ということになります。この時、アダプタのスイッチ状態はSW2がオンであるだけであり、ボリューム両端の端子B,Cにテスターを当てるとSW1(これはオフ)を介して導通してしまい抵抗値が測れないため、SW1もオンにしてからテスターを当てます。
こうして得られたデータから計算した水晶のパラメータを表にまとめたものを以下に。

まぁざっと、こんな具合にパラメータの測定が完了しました。19個あったはずの水晶が1つ足りないのは、別の実験で使って元に戻さなかったため、何処かへ旅に出た模様・・・。
Cp、fs、fΔ、Rmが求められれば、後はExcelに仕込んだ計算式が自動的に計算してくれます。「組合せ」の部分は、8ポールのフィルタを組む場合に比較的fsが近いものを選ぶとこんな感じになるということを示しおり、3つのパターンができそうです。
これらのデータは勿論「精度良く」という部分が後々モノを言いそうですが、自作の治具+APB-3という条件でどんなフィルタができるか・・・この辺りが最も興味が湧くところでしょう。また、使用するツールの理解には「英語必須」であり、漸く大筋は掴んだといった状態です。この辺りが紹介できれば、このヘッポコ・ブログも報われるというものでしょう。上手くいかなければ原因を探り、一段ずつステップアップできれば・・・ここ暫くは、このフィルタのネタが続きますよ
