2ポールフィルタの中心周波数調整
2018-01-21
昨日は久々の休日出勤・・・その後飲み会もあったりして、今日の午前中くらいまではウダウダ過ごしていました。明日からの荒天予想に備えるべく買い出しに行きましたが、その他の時間は「2ポールのクリスタルフィルタ」の特性取りをしました。
このフィルタは、高ゲインのIFアンプの中段や後段に挿入するためのものです。過去に2SC1855アンプを作成した際にあれこれ書籍を読んで、高ゲインのIFアンプではノイズフロアを押さえ込むために高Qのタンク回路で構成するか、或いはメインのフィルタ(帯域を決定するためのフィルタ)の邪魔にならない程度のものを挿入すると良いと”知識”としては知っていましたが、今回のIFアンプ実験で試してみるのが初めてです
スカート特性を期待しなければ、数KHz程度の帯域幅のクリスタルフィルタは2ポール程度でできるはず・・・と考えて軽い気持ちで組んだものの、実は結構難儀なことになってしまい、記事としてまとめるまでに時間がかかってしましました。
フィルタの設計には”Dishal Program”が大変有効のこと、さらにその算出値を使って”LTspice”でシミュレーションし、実際にブレボで組んで特性を測るという一連の方法は既に把握していますから、今回もその通りに作業を進めました。
まずは”Dishal Program”での設計データを見てみましょう。

メインのフィルタに影響を与えないように、3KHz程度の帯域として諸元を置いてみました。この水晶は、CWフィルタ作りで余ったものの中から、周波数が最も低いもの&二番目に低いものを前提にしていますが、そもそも銘板周波数が4096KHz付近でQuが10万以上のものでこの帯域のものを製作することに無理があって、特性グラフもかなり歪(いびつ)なものに。特に赤枠で囲んだ部分から、以下のような情報が読み取れます。
① 入出力インピーダンスが4KΩ程度と非常に高め
② 中心周波数がかなり高い
⇒組み合わせるメインフィルタの中心周波数は4094.92KHz
この情報よりひとまず①に着目し、これが手頃なものになるように帯域を弄ってみました。

帯域として1KHz弱まで狭めてやると、入出力インピーダンスが450Ωになりました。これなら50Ωとの整合には1:3のトリファイラ巻きのコイルで何とかなるし、IFアンプとして使用するMC1350の入出力インピーダンスとの整合も何とかなりそうです。問題は中心周波数が377Hzほど高いことですが、これは同調コンデンサで何とかなるんじゃないか・・・ということで、”LTspice”のチェックへ。

”Dishal Program"の設計結果を比較的忠実にシミュレートしています。ただ、このまま組んでも意味がありません。特にC1とC5,C8について、共振周波数を下げるために大きな容量に替えていきながら、ブレボ上で調整していくのが結構な作業になります。

今回はクリスタルフィルタの実験治具としてスナップのような改造ブレボ・・・手前側の5穴の列を全てベタアースにしたものを使ってデータを取りながら最適値を探りました。結果的にかなり大きな容量にしないと、中心周波数が合わないことが解りました。調整結果を披露する前に最終的な値を記した回路図を。

両端の抵抗はインピーダンス整合用のものです。LTspiceに描いた回路のC5にあたるコンデンサはネグってしまい、両端にあたる2つのコンデンサ容量を大きくしながら、いわゆるバンドパスっぽい特性になるようにC4にあたるコンデンサ容量を加減して追い込んでいきました。実測したデータを以下に。

おやおや、天辺の方が山型になってしまっています・・・が、実はこれが精一杯の調整結果です。要は中心周波数が低すぎて、いわゆる「台形」にはできないんですね。あと300Hzくらい上げられれば、そこそこの特性になるんですがねぇ

10KHzのスパンで見ると、スカート特性は甘いもののフィルタの効果はきちんと出そうです。低周波的にイメージしてみると、受信信号から2KHz程度上の周波数で35dBダウン程度になりますから、IFアンプ由来のノイズもかなり和らぐものと思います。
IFアンプのサブフィルタとしての手応えは得られましたから、このフィルタを小さな基板に組んで改めて周波数特性を測定すると共に、遅延特性も取っておきたいと思います。この辺りが来週末の課題になりそうですね。工作時間、取れるかなぁ
修正 2018/01/24>
回路図の記述が少々曖昧でした。測定に使ったAPB-3のインピーダンスを記しておきます。老爺さん、ご指摘ありがとうございました。
このフィルタは、高ゲインのIFアンプの中段や後段に挿入するためのものです。過去に2SC1855アンプを作成した際にあれこれ書籍を読んで、高ゲインのIFアンプではノイズフロアを押さえ込むために高Qのタンク回路で構成するか、或いはメインのフィルタ(帯域を決定するためのフィルタ)の邪魔にならない程度のものを挿入すると良いと”知識”としては知っていましたが、今回のIFアンプ実験で試してみるのが初めてです

スカート特性を期待しなければ、数KHz程度の帯域幅のクリスタルフィルタは2ポール程度でできるはず・・・と考えて軽い気持ちで組んだものの、実は結構難儀なことになってしまい、記事としてまとめるまでに時間がかかってしましました。
フィルタの設計には”Dishal Program”が大変有効のこと、さらにその算出値を使って”LTspice”でシミュレーションし、実際にブレボで組んで特性を測るという一連の方法は既に把握していますから、今回もその通りに作業を進めました。
まずは”Dishal Program”での設計データを見てみましょう。

メインのフィルタに影響を与えないように、3KHz程度の帯域として諸元を置いてみました。この水晶は、CWフィルタ作りで余ったものの中から、周波数が最も低いもの&二番目に低いものを前提にしていますが、そもそも銘板周波数が4096KHz付近でQuが10万以上のものでこの帯域のものを製作することに無理があって、特性グラフもかなり歪(いびつ)なものに。特に赤枠で囲んだ部分から、以下のような情報が読み取れます。
① 入出力インピーダンスが4KΩ程度と非常に高め
② 中心周波数がかなり高い
⇒組み合わせるメインフィルタの中心周波数は4094.92KHz
この情報よりひとまず①に着目し、これが手頃なものになるように帯域を弄ってみました。

帯域として1KHz弱まで狭めてやると、入出力インピーダンスが450Ωになりました。これなら50Ωとの整合には1:3のトリファイラ巻きのコイルで何とかなるし、IFアンプとして使用するMC1350の入出力インピーダンスとの整合も何とかなりそうです。問題は中心周波数が377Hzほど高いことですが、これは同調コンデンサで何とかなるんじゃないか・・・ということで、”LTspice”のチェックへ。

”Dishal Program"の設計結果を比較的忠実にシミュレートしています。ただ、このまま組んでも意味がありません。特にC1とC5,C8について、共振周波数を下げるために大きな容量に替えていきながら、ブレボ上で調整していくのが結構な作業になります。

今回はクリスタルフィルタの実験治具としてスナップのような改造ブレボ・・・手前側の5穴の列を全てベタアースにしたものを使ってデータを取りながら最適値を探りました。結果的にかなり大きな容量にしないと、中心周波数が合わないことが解りました。調整結果を披露する前に最終的な値を記した回路図を。

両端の抵抗はインピーダンス整合用のものです。LTspiceに描いた回路のC5にあたるコンデンサはネグってしまい、両端にあたる2つのコンデンサ容量を大きくしながら、いわゆるバンドパスっぽい特性になるようにC4にあたるコンデンサ容量を加減して追い込んでいきました。実測したデータを以下に。

おやおや、天辺の方が山型になってしまっています・・・が、実はこれが精一杯の調整結果です。要は中心周波数が低すぎて、いわゆる「台形」にはできないんですね。あと300Hzくらい上げられれば、そこそこの特性になるんですがねぇ


10KHzのスパンで見ると、スカート特性は甘いもののフィルタの効果はきちんと出そうです。低周波的にイメージしてみると、受信信号から2KHz程度上の周波数で35dBダウン程度になりますから、IFアンプ由来のノイズもかなり和らぐものと思います。
IFアンプのサブフィルタとしての手応えは得られましたから、このフィルタを小さな基板に組んで改めて周波数特性を測定すると共に、遅延特性も取っておきたいと思います。この辺りが来週末の課題になりそうですね。工作時間、取れるかなぁ

修正 2018/01/24>
回路図の記述が少々曖昧でした。測定に使ったAPB-3のインピーダンスを記しておきます。老爺さん、ご指摘ありがとうございました。
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鋭い!
老爺さん、コメントありがとうございます。
6ポールの回路図を流用したため、修正漏れが生じました。仰る通り、これでは意味不明ですね。
測定に使ったAPB-3の入出力インピーダンスを正しく記すよう、回路図を修正してアップし直します。
また何かお気づきでしたら、バンバン指摘して下さい(^^)/
6ポールの回路図を流用したため、修正漏れが生じました。仰る通り、これでは意味不明ですね。
測定に使ったAPB-3の入出力インピーダンスを正しく記すよう、回路図を修正してアップし直します。
また何かお気づきでしたら、バンバン指摘して下さい(^^)/