GPSモジュール再び
2018-08-14
予定通り、先週末より夏季休暇を取ることができました。初っ端に当たる土曜は毎年恒例の「一族の寄り合い」があって終日酔っ払いでしたが、翌日曜からは原則「休息日」として過ごしています。無論、ここのブログ主の休息日は原則「ヘッポコ実験・工作日」ですが、アニメ視聴やゲームにやや気を取られつつも何やら怪しいヘッポコ実験をウダウダ進めています。
我が家周辺の日中温度はここ数日35℃は超えないものの、我が納戸シャックは30℃近くに上がってしまう時間帯である14時から2,3Hは工作や実験にはNGですが、それ以外の時間帯は何とか活動できます。とは言え、ちょっと重めの工作は置いて、ノンビリしながらできそうなことに取り掛かりました。
今から4,5年前に”高周波工作マニア”の間で俄にブームに火が付いたGPSによる周波数標準・・・当初は1秒刻みの正確なパルスを取り出して、それを周波数カウンタのゲートにして安定度の高い発振源(オーブン式のTCXOなど)を校正する方法がポピュラーでしたが、今ではGPSモジュール内のコンフィグデータを弄ることで、直接的に正確な高い周波数パルスを得る方法が定番となりつつあります。
コンフィグデータを弄れるモジュールは限られていますが、特にU-Blox社の新しいモジュールでは、同社のソフトツール”u-center”を使うことで簡単に各種諸元を調整できます。
実は、GPSによる周波数標準ブームが本格化し始めた2014年の中頃に1PPSパルス出力付きのGPSモジュールを手に入れ、シリアル通信で味見をしていました。そして、かなり安定度の高そうなOCXOとの組み合わせでGPSDOモドキ(GPSDO:GPS Disciplined Oscillator)を作ろうと考えていたら、その直後に周波数カウンタのジャン測を手に入れ、その心臓部の基準発振を比較的高安定なものに換装したらそこで満足してしまいまして・・・
じゃぁ、なんで今更GPSDOに工作意欲が傾いたかというと、2016年の中頃に手に入れたSGのジャン測と上記の周波数カウンタがそれぞれ「10MHzの外部基準で動作する仕様」になっており、SGを手に入れてからずっと10MHzの周波数基準が欲しかったんですね。この周波数基準の出力を二つに分けてぶち込めば、この2装置の周波数精度が一気に上がるわけです。
そこで、この夏季休暇中はアンテナの立て替え待ちのノイズキャンセラをペンディングして、さらにAGCのデジタル処理や安定化電源の製作・・・等々を差し置いて(宿題は一杯あるのよね
)「GPSDOの製作」に手を染めることにしました。
この工作に先立っては手持ちのGPSモジュールを引っ張り出してきて、以前の味見の通りブレボにRS232のレベル変換を置いて配線し、PCでひとまず衛星の様子を見てみることにしました。これ自体は何の問題も無く上手く行ったんですが、数時間放っておいた後にふっとモジュールに触ってみると結構な発熱
確認のため消費電流を測ってみると、何と350mAほどになっています。同等なモジュールの消費電流をネットで調べると、大食らいなものでも70mAほど・・・これはちょっと異常です。その上、どうせGPSDOを作るなら、できるだけ新しいGPSモジュールの方が良いかと思い、U-Bloxのチップを積んだ安いものを”Aliナンチャラ”で適当にチョイスして注文、休暇に入る直前に届きました。

”GB-1803”・・・あまり詳細な情報がネットに上がっていませんが、現状で二番目に新しいU-Bloxの”m8シリーズ”のチップが搭載されています。価格も700円ほどでPPS出力も具備。こんなにちっこくてまともに動くのか心配でしたが、無事に”u-center”に接続できました。
まずは衛星の様子。GPSモジュールはある程度の時間、衛星の位置を記憶していますが、長時間通電されないと何もない状態から位置情報を作り始めます。これにはある程度時間が掛かります。我が納戸シャック(3F建てマンションの奥の部屋)では、最初の衛星の捕捉に数分、位置情報が確定する「4つの衛星捕捉」には20分から30分掛かるようです。通電から2時間後の衛星の様子は以下の通り。

いわゆるGPS衛星はアメリカが打ち上げた衛星で、Gxxというのがそれ。その他、ロシアのRxxとSBAS(測位誤差を補正する静止衛星:Sxxx)が見えています。測位に使われているのが緑色のもので、この状態で8つの衛星で測位されています。
衛星の位置はほんの少しずつ動きます。そして、衛星の位置や信号の強弱で測位に使われる衛星数が変化します。我が納戸シャックで多めに衛星の信号を拾っている時の様子を以下に。

全部で14機が緑色ですね(S128の後ろにも1機います)。この図では、衛星に国旗を追加してみましたが、とりわけ目立つのがQxの番号で示される日本の衛星”みちびき”です。この衛星は、このGPSモジュールのディフォルトでは見えませんが、"QZSS"という衛星側のプロトコルを生かしてやると見られるようになります。この辺りもコンフィグを弄ることで可能。ただ、今回NMEAの通信仕様で使用するGNxxxには、”みちびき”の測位情報は反映されず、この状態で12機で測位されていることになります。ま、何れにせよ十分ですね
”u-center”ではこうした衛星の情報以外にも多彩なアプリケーションが組み込まれていますが、自分の目的には不要・・・それでも、あれこれ見ていると飽きませんよ
さて、今回はGPSモジュールのコンフィグを弄って10MHzの信号を取り出せるかが課題です。まずは、自分の備忘録用にコンフィグの調整画面を掲載(クリックすると別窓で大きく表示されます)。

この画面は、”u-center”の上部のタブ”View”⇒”Configuration View”を押下し左側のメニューの”TP5”を押すと現れます。赤い部分が測位が確立していない状態でのクロック出力(=周波数があまり高確度でない状態)、青い部分が測位が確立した後のクロック出力(=周波数が高確度な状態)です。ここを適宜設定して画面下部の”Send”を押します。この状態ではGPSモジュールのメモリ上の設定しか変更されていませんので、電源を切ると消えてしまいます。そこで、上記の”Send”を押したらメニューから”CFG”を押し、ラジオボタン”Save Current Configuration”を選択して画面下部の”Send”を押すと、GPSモジュールのセーブデータが更新されます。
また、GPSモジュールとのシリアル通信速度(ディフォルトは9600bps)もこのメニューの”PRT”を押して現れる画面上で設定し直すことができますから、必要に応じて変更します。勿論、これも”CFG”の操作を忘れずに。
上記の設定変更で1秒周期のパルス出力が「10MHzのデューティー比50%のパルス出力」になりました。波形を見てみましょう。

同期が取れないためデジカメで撮影しましたが、こんな感じでOKです。この出力信号を適当なフィルタに通せば、10MHzの綺麗なサイン波になるでしょう。この辺りは、先駆の諸OMが既に試されていますから、今回の我が測定システムに必要な2出力・・・折角作るんですから、さらにもう1つ追加して3出力が十分な電力で得られるように回路設計したいと思います。
夏季休暇はまだ半ばですが、他にもやりたいことがあったりするんでノンビリながらもテキパキと・・・って、そんなことできるんかいな
我が家周辺の日中温度はここ数日35℃は超えないものの、我が納戸シャックは30℃近くに上がってしまう時間帯である14時から2,3Hは工作や実験にはNGですが、それ以外の時間帯は何とか活動できます。とは言え、ちょっと重めの工作は置いて、ノンビリしながらできそうなことに取り掛かりました。
今から4,5年前に”高周波工作マニア”の間で俄にブームに火が付いたGPSによる周波数標準・・・当初は1秒刻みの正確なパルスを取り出して、それを周波数カウンタのゲートにして安定度の高い発振源(オーブン式のTCXOなど)を校正する方法がポピュラーでしたが、今ではGPSモジュール内のコンフィグデータを弄ることで、直接的に正確な高い周波数パルスを得る方法が定番となりつつあります。
コンフィグデータを弄れるモジュールは限られていますが、特にU-Blox社の新しいモジュールでは、同社のソフトツール”u-center”を使うことで簡単に各種諸元を調整できます。
実は、GPSによる周波数標準ブームが本格化し始めた2014年の中頃に1PPSパルス出力付きのGPSモジュールを手に入れ、シリアル通信で味見をしていました。そして、かなり安定度の高そうなOCXOとの組み合わせでGPSDOモドキ(GPSDO:GPS Disciplined Oscillator)を作ろうと考えていたら、その直後に周波数カウンタのジャン測を手に入れ、その心臓部の基準発振を比較的高安定なものに換装したらそこで満足してしまいまして・・・

じゃぁ、なんで今更GPSDOに工作意欲が傾いたかというと、2016年の中頃に手に入れたSGのジャン測と上記の周波数カウンタがそれぞれ「10MHzの外部基準で動作する仕様」になっており、SGを手に入れてからずっと10MHzの周波数基準が欲しかったんですね。この周波数基準の出力を二つに分けてぶち込めば、この2装置の周波数精度が一気に上がるわけです。
そこで、この夏季休暇中はアンテナの立て替え待ちのノイズキャンセラをペンディングして、さらにAGCのデジタル処理や安定化電源の製作・・・等々を差し置いて(宿題は一杯あるのよね

この工作に先立っては手持ちのGPSモジュールを引っ張り出してきて、以前の味見の通りブレボにRS232のレベル変換を置いて配線し、PCでひとまず衛星の様子を見てみることにしました。これ自体は何の問題も無く上手く行ったんですが、数時間放っておいた後にふっとモジュールに触ってみると結構な発熱


”GB-1803”・・・あまり詳細な情報がネットに上がっていませんが、現状で二番目に新しいU-Bloxの”m8シリーズ”のチップが搭載されています。価格も700円ほどでPPS出力も具備。こんなにちっこくてまともに動くのか心配でしたが、無事に”u-center”に接続できました。
まずは衛星の様子。GPSモジュールはある程度の時間、衛星の位置を記憶していますが、長時間通電されないと何もない状態から位置情報を作り始めます。これにはある程度時間が掛かります。我が納戸シャック(3F建てマンションの奥の部屋)では、最初の衛星の捕捉に数分、位置情報が確定する「4つの衛星捕捉」には20分から30分掛かるようです。通電から2時間後の衛星の様子は以下の通り。

いわゆるGPS衛星はアメリカが打ち上げた衛星で、Gxxというのがそれ。その他、ロシアのRxxとSBAS(測位誤差を補正する静止衛星:Sxxx)が見えています。測位に使われているのが緑色のもので、この状態で8つの衛星で測位されています。
衛星の位置はほんの少しずつ動きます。そして、衛星の位置や信号の強弱で測位に使われる衛星数が変化します。我が納戸シャックで多めに衛星の信号を拾っている時の様子を以下に。

全部で14機が緑色ですね(S128の後ろにも1機います)。この図では、衛星に国旗を追加してみましたが、とりわけ目立つのがQxの番号で示される日本の衛星”みちびき”です。この衛星は、このGPSモジュールのディフォルトでは見えませんが、"QZSS"という衛星側のプロトコルを生かしてやると見られるようになります。この辺りもコンフィグを弄ることで可能。ただ、今回NMEAの通信仕様で使用するGNxxxには、”みちびき”の測位情報は反映されず、この状態で12機で測位されていることになります。ま、何れにせよ十分ですね

”u-center”ではこうした衛星の情報以外にも多彩なアプリケーションが組み込まれていますが、自分の目的には不要・・・それでも、あれこれ見ていると飽きませんよ

さて、今回はGPSモジュールのコンフィグを弄って10MHzの信号を取り出せるかが課題です。まずは、自分の備忘録用にコンフィグの調整画面を掲載(クリックすると別窓で大きく表示されます)。

この画面は、”u-center”の上部のタブ”View”⇒”Configuration View”を押下し左側のメニューの”TP5”を押すと現れます。赤い部分が測位が確立していない状態でのクロック出力(=周波数があまり高確度でない状態)、青い部分が測位が確立した後のクロック出力(=周波数が高確度な状態)です。ここを適宜設定して画面下部の”Send”を押します。この状態ではGPSモジュールのメモリ上の設定しか変更されていませんので、電源を切ると消えてしまいます。そこで、上記の”Send”を押したらメニューから”CFG”を押し、ラジオボタン”Save Current Configuration”を選択して画面下部の”Send”を押すと、GPSモジュールのセーブデータが更新されます。
また、GPSモジュールとのシリアル通信速度(ディフォルトは9600bps)もこのメニューの”PRT”を押して現れる画面上で設定し直すことができますから、必要に応じて変更します。勿論、これも”CFG”の操作を忘れずに。
上記の設定変更で1秒周期のパルス出力が「10MHzのデューティー比50%のパルス出力」になりました。波形を見てみましょう。

同期が取れないためデジカメで撮影しましたが、こんな感じでOKです。この出力信号を適当なフィルタに通せば、10MHzの綺麗なサイン波になるでしょう。この辺りは、先駆の諸OMが既に試されていますから、今回の我が測定システムに必要な2出力・・・折角作るんですから、さらにもう1つ追加して3出力が十分な電力で得られるように回路設計したいと思います。
夏季休暇はまだ半ばですが、他にもやりたいことがあったりするんでノンビリながらもテキパキと・・・って、そんなことできるんかいな

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